四十九日法要のマナーと基礎知識
- 2023年02月13日
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人が亡くなると行われる儀式に法事があります。法事は法要とその後に行われる会食をすべて含んで指し、法要とはお坊さんがお経をあげたり、家族らが焼香などをしたりして、故人を偲び供養する弔い行事のことです。法要を執り行う日は、一定のタイミングで決められています。
そして、忌中に行う法要のうち最後に執り行われるのが四十九日法要です。今回は四十九日法要の概要やマナーについて解説していきます。
目次
四十九日とは
命日から7日ごとに行われる行事を忌日法要といい、その1つが四十九日法要です。亡くなってから49日目の法要という意味ですが、49日とは書かず漢数字で表します。四十九日は「満中陰法要」「忌明け」「七七日」などさまざまな呼び方があります。
▼詳しい内容と手配方法▼満中陰法要とは
初七日から六七日までの法要を「中陰」と呼び、この世と彼の世をさまよう期間のことを指します。生前の罪についての裁きを7日ごとに行って、故人の来世を決める重要な期間です。
五七日で閻魔大王からの審判が下り、その後14日間の猶予を経て、四十九日をもって裁きがくだされます。裁きで善い行いをしていたことが認められれば極楽浄土へ生まれ変われるとされているのです。
この「中陰」または「中有」は日本独自の死生観として、死者があの世へ旅立つ期間とも解釈されます。
また、浄土真宗では、故人は臨終と同時に浄土に往生する(即身成仏)と考えるので、中陰期間は、故人に対する追慕、故人を通して「生と死」について考え、謹慎し求法の生活をする期間と捉えられています。
忌明けとは
忌明けとは、忌服(故人の冥福を祈り、喪に服す)期間を終える日、またはその日を迎えたことを言います。
この忌服期間は宗教により異なり、仏式の場合は四十九日、神式の場合は五十日が忌明けに相当します。また、地域によっては忌明けが五七日となる場合もあるため注意が必要です。
仏式の場合は、故人の魂が旅立つ日である「四十九日」までを忌中とし、その日を忌明けとします。仏教では初七日から四十九日までに7回の忌日がありますが、忌日法要の簡素化に伴い、すべての忌日に法要を行わないことが一般的です。満中陰法要・忌明け法要は、葬儀でお世話になった親族、故人の友人らを招き法事法要をとり行い、多くのご遺族は忌明けとこの法要を持ち、一区切りとします。
七七日とは
初七日、二七日、三七日・・・と数え、四十九日のことを指します。法事の種類について下記記事で詳しく解説していますので、併せてご確認ください。
四十九日の数え方
法事を執り行う際には、お坊さんのスケジュールを押さえたり、近しい親族や友人などに都合を付けてもらったりするためにも、事前に日取りを決めておくことが求められます。スケジュールを事前に決めるためには、いつ法事を行うべきかを自分で把握できるようにしておくと安心です。
仏教の四十九日法要とは命日から数えて49日目に行う法要であると先で説明しましたが、同じ法要でも亡くなってからの日数によって数え方が異なってくるため注意しなければいけません。法要によって数え始めの基点とする日が違っています。
年齢の計算には数え年と満年齢による2つの数え方があり、誕生日を迎えるごとに1年とカウントする数え年の数え方が一般的です。数え年のカウント方法では、1年目までは0歳と扱われます。しかし、法要の数え方では一定の時期までは満年齢の方法で数えることがルールです。
亡くなられてから百箇日までは、亡くなられた日を1日目として数えるのが通例です。つまり、四十九日は亡くなられてから四十八日目に実施される法要となります。一方、百箇日を過ぎてから行う法要については、命日を1日目と数えることが決まりとなっています。百箇日以内に行う法要とは、一周忌までの法要です。三回忌以降は「満年齢」ではなく「数え年」で数えます。
法要をいつ行うべきかについては、故人が亡くなられた日から何日目であるかによって決めることが原則ですが、現代では仕事などで予定を自由に決められない人も多くいるため、必ず法要すべき日の当日に法事を行えるとは限りません。
たとえば、命日から四十八日目が平日で、参列者の多くが、都合がつかないような場合もあるでしょう。そのような際には、当日に近い土曜日や日曜日などに執り行うことも可能です。ただし、日をずらす場合には、正式な日よりも遅くずらすのではなく、早くずらすことがルールとなっています。
四十九日に実施される主な儀式
四十九日に執り行われる法事で実施される儀式は主に下記の4つです。
四十九日法要
本記事で詳しく説明していきます。
納骨法要
四十九日に実施されるのが一般的。そうでない場合でも、三回忌までには行なわれます。
開眼法要
白木位牌から本位牌へ変え、仏壇を新たに購入した場合に行なわれます。そもそも、新たに用意した墓や仏壇に仏様の魂入れをするための儀式です。なお、法事の日取り決めの時には、予定する日が平日である場合は、親族が参列しにくいことから、直前の土曜日もしくは日曜日にずらすケースが大半です。
お斎
法事終了後に行なわれる会食はお斎(御斎・おとき)と呼ばれます。
法要の列席者やお坊さんに食事をふるまい、故人を偲ぶための時間です。
四十九日法要を行う場所
四十九日法要を行う場所を決める場合、選択肢は大きく3つあります。
お寺で行う
まず、1つ目がお寺です。
先祖代々で引き継がれているお墓がある場合には、菩提寺で行います。
お寺を利用すると、一般的に行う法要であれば十分に足りる広さがあり、仏事の専門家がいるため相談などもしやすく安心です。
また、寺院にあるものを使用して、不足するものだけを自分で用意すればよいため、費用や準備の手間を軽減することもできます。
さらに、菩提寺がある場合や、お墓を新たに建てる予定がある寺院で行う場合であれば、法要後の納骨式をそのまま同じ場所で行うことができる点もメリットです。
自宅で行う
2つ目は自宅です。
一般的には、自宅での法要では仏間を使用します。自宅だと、親族や親しい友人のみで小規模に行う場合には慣れた場所で気軽に利用しやすく、別途会場の手配をしなければいけない負担がなくなるのは便利な点です。
ただし、法要の儀式で必要となる仏壇や卒塔婆、供物台などの用意を自分で行わなければいけません。また、参列者の人数に応じた座布団の準備や駐車場の用意なども必要です。
セレモニーホールやホテルで行う
3つ目として、セレモニーホールやホテルなどの施設を利用するのも方法となります。会場の広さに選択肢があるため、参列者の人数に合わせた場所を用意することが可能です。
セレモニーホールであれば、専門の知識を持ったスタッフがいるため、会場の設定や当日の流れ、案内状の手配などといった事前の準備などについても頼ることができます。アクセスに便利な場所にあったり、駐車場が十分に確保されていたりする点も便利なポイントです。
四十九日当日にすることと流れ
法事は、どのような流れで行わなければいけないかという細かい決まりがあるわけではありません。ただし、一般的な四十九日の流れを知っておけば気持ちに余裕を持ちやすくなるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
着席する順番は、お坊さんの席の真後ろが施主で、その他の人は故人と血縁の深い順に前方から座っていきます。
焼香の方法は、席から立って前方に設置されている焼香台まで移動するケースと、着席したままで回して焼香する場合とさまざまです。
また、四十九日法要を行った会場から離れたところにお墓がある場合も、同日に行わないケースです。
お斎に出ることができないお坊さんは、法話後にお帰りになられることが通常です。
遺族の服装
大切な家族が亡くなられた場合、精神的にも体力的にも不安定な状態のなかでやるべきことに追われ、服装にまで気が回りにくいものです。
しかし、故人のためにも遺族として正しいマナーで法事に臨めるよう、服装のマナーもきちんと知っておくことは大切となります。
通夜や告別式だと急を要しますが、法事はある程度の日数があるため事前にきちんと準備をしておくようにしましょう。
法事では何を着るべき?
遺族の服装として迷いやすいのが喪服を着るべきか、黒い色であれば普段着でもよいのかという点ですが、正しいマナーとしては、法事であっても喪服が基本です。三回忌までは、原則的には喪服になります。
喪服とは葬儀のための礼服を示し、法要では略礼服で参列するのがマナーです。
男性の服装
男性であればブラックスーツに黒いネクタイを合わせます。
シャツは白いもの、ベルトや靴下、靴はすべて黒でそろえましょう。
女性の服装
一方、女性はワンピースやスーツを着用します。
どちらであっても当然ながら色は黒一色でなければいけません。スーツを着用する場合には、中に着るブラウスの色は白を選びます。また、法要の場であることを踏まえて、露出の高いデザインのものは避けなければいけません。
スカートであれば、膝上の短い丈のものは不適切です。さらに、袖も長い丈のものを着るようにします。真夏の暑い日であっても長袖を着用することが原則です。加えて、靴は黒いパンプスを履き、靴下ではなく黒いストッキングを着用するようにします。生足や肌の色がわかるベージュのストッキングは避けることが必要です。また、バッグも黒いものであることが必須です。
男女問わず、アクセサリーについても華美なものは身に付けないようにする必要があります。ただし、三回忌以降は略式礼装でなくても構いません。七回忌を過ぎれば略式喪服、あるいは黒やグレーなどの服装で結構です。詳しくは法事の服装の記事で紹介しておりますので、ご参考にされてみてください。
参列者の服装
参列者については、初七日から四十九日までの期間は略式喪服、一周忌以降の年忌法要に関しては略式礼装または黒やグレーなどの服を着用します。参列者が、施主や遺族よりも格の高い服装を着用することはありません。
男性の服装
男性であれば、スーツとワイシャツの組み合わせが一般的です。
女性の服装
女性であれば、ワンピースやスーツ、アンサンブルで揃えておくと安心となります。
案内状に平服でお越しくださいと書いてあったら
施主からの案内状に「平服でお越しください」と記載があった場合に限っては、喪服以外でも構いません。ただし、服をはじめ、バッグや靴などの小物においても、色やデザインには十分な配慮が必要です。できる限り地味なものを選ぶようにします。また、女性でスカートを着用する場合には、丈が短いものも避けなければいけません。
七回忌を過ぎれば、地味なものなら平服で結構です。参列者側も遺族側と服装について大きく変わることはありません。詳しくは法事の服装の記事で紹介しておりますので、ご参考にされてみてください。
四十九日法要の服装についてその他に気を付けておくべき点
四十九日の服装に関するその他に気を付けておきたいポイントが、靴や小物の素材です。
靴の注意点
葬儀や法事では殺生を禁じる本革はおすすめされていません。
ただし、かつてのように厳しいルールはなく、合皮の靴を着用してもよいとされています。
アクセサリーの注意点
また、アクセサリーは不要に身に付けないほうが無難ですが、パールは付けてもよいとされているものです。真珠は、涙の象徴と考えられているからです。ただし、華美なデザインのものは禁止となります。
また、1連タイプのものでなければいけません。2連以上のものは、不幸が重なることを連想させるため注意しましょう。
四十九日法要に必要な香典の金額相場と香典袋の書き方
香典をお通夜や告別式で持参している場合、その後の四十九日法要で再度必要となるか迷うこともあるでしょう。四十九日法要でも香典をお持ちします。
香典の金額相場
持参する香典の金額相場は故人との関係性や年齢によってさまざまです。たとえば、親族の場合には1~3万円くらいが目安となります。友人や知人などだと5,000~1万円が相場です。さらに、年齢でいえば、20~30代くらいの知人の場合には5,000円前後が一般的となっています。
親族内や地域でルールがある場合もあるため、参列する近しい人に相談して決めるのも方法です。
香典袋の表書き
また、法要の香典袋の表書きについては宗教によって対応が異なる場合がありますが、四十九日法要に関しては、キリスト教式だとそもそも存在しないため、用意すること自体不要です。
仏式の四十九日法要では「ご霊前
」と表記されたタイプのものを持参します。「御仏前(御佛前)」と表記されたものは四十九日以降に使うものなので注意しましょう。
浄土真宗の場合
ただし、浄土真宗に限っては四十九日以前の法要でも「御仏前(御佛前)」の香典袋を使用します。浄土真宗はもともと霊の存在を認めていない宗派だからです。
また、水引については、浄土真宗を含めて仏式はすべて黒白か双銀の結び切りのタイプにすることがマナーとなっています。黄白の水引を使ってよいのは忌が明けてからです。
名前の書き方
また、香典袋の表側中央、なおかつ水引の下には持参する人の名前を書くことが必要となります。
夫婦連名とする場合には、夫の名前を中央に書くようにしましょう。知人や会社の同僚などとの連名で3名以内なら目上の人を1番右に書き、左に向かって順にバランスよく名前を連ねていきます。ただし、4名以上だと「一同」といったようにまとめて記載することが一般的です。
さらに、中袋がある場合には表面中央に漢数字で金額を書き、裏面左側に住所と氏名を記載します。金額を書く際には必ず頭に「金」の文字を付けておきましょう。
四十九日法要でお渡しするお布施の金額相場と書き方
四十日法要でも一般的に僧侶(お坊さん)をお呼びします。そして、来ていただいたお坊さんには「お布施」を渡すことがマナーです。
ただし、お布施とは、お坊さんに対して支払うものでは本来ありません。あくまでも、お坊さんを通して、ご本尊に捧げているものです。お坊さんの働きに対するお金ではなく、あくまでも故人を偲ぶ気持ちの表れであるため、いくらでなければいけないという決まりはありません。
ただし、金額に決まりがないと、かえって、いくらにすればよいか迷ってしまうことはあるものです。そのため、相場を知っておくと目安にすることができて安心でしょう。
お布施の金額相場
一般的に見ると、四十九日法要では、3万円程度をお渡しすることが多い傾向です。ただし、お布施として渡す金額とは別に、お礼を用意しなければいけないケースもあるため注意しましょう。用意が必要となるのは、たとえば、お寺の本堂以外で法要を行う場合です。
お坊さんに遠方からお越しいただいた場合には、お車代として5,000~1万円程度を別途用意する必要があります。また、お斎に出ずにお帰りになる場合には、同じ料理を用意して持ち帰っていただくこともあります。
しかし、持ち帰りが負担となることも配慮して御膳料をお渡しするケースは少なくありません。御膳料は、お斎で用意する料理内容などによっても異なりますが、5,000~2万円程度が目安です。
お布施の書き方
封筒の表書きには「御布施」と記入します。その下に名前をフルネーム、または〇〇家といった記入をします。裏面には住所と金額を記入しましょう。金額は旧字体の漢数字を使用します。お布施の渡し方等の詳細は下記で詳しく説明してありますので、併せてご確認ください。
香典返しの品物と金額相場
香典返しとは、法要への参列に対するお礼の気持ちを表した参列者用の手土産です。「引き出物」や「お返し」と呼ばれることもあります。
香典返しはどんなものを選べばいいの?
香典返しとして用意する品物選びに条件はありませんが、持ち帰りやすさに配慮して、軽くてコンパクトなサイズのものを選ぶようにします。また、常温保存ができるものであることは必須です。
たとえば、食品を選ぶケースもありますが、生ものは持ち帰りが難しいため不適切となります。常温で保存可能なおまんじゅうなどのお菓子などは喜ばれやすい品物ですが、賞味期限が短いお菓子は避けたほうがよいでしょう。
他には、どの家庭でも常備されているような日用品は年齢性別問わず使用しやすいため、重宝されます。なかでも、石鹸や洗剤といったものは、穢れを洗い落とすという意味があるため、香典に向いた品物です。その他、軽量で日持ちのする海苔などの乾物類も人気の高い香典返しとなっています。
何を選べばよいか迷ってしまった場合には、商品券やカタログギフトにすると無難です。受け取った人の好みで自由に好きなものを選んでもらうことができます。
香典返しの金額相場
香典返しの品物選びで重要となるのが金額です。法事のお返しは、いただいたお香典の3分の1から2分の1程度を目安にすることがよいとされています。
お香典は5,000~3万円が相場ですが、四十九日法要ではお斎も振る舞うことが一般的であるため、会食にかかる費用も踏まえて2,000~5,000円程度が香典返しにかける費用の相場です。
用意するもの
遺族の場合、返礼品を準備します。参列者の場合は、御供物料(もしくは御仏前、御香料など)を持っていきます。なお、納骨については四十九日の法要後に行なわれるのが一般的です。
※但し、浄土真宗など宗派によっては卒塔婆を用いないこともありますので、注意が必要です。
卒塔婆について
故人の供養を願って卒塔婆を希望する際には、御供物料とは別に「御卒塔婆料(御卒塔婆供養料)」を白い封筒に入れ、施主にお渡しします。卒塔婆の金額はおおよそ3,000~5,000円程度です。前もって施主に連絡して金額を確認しておくと良いでしょう。卒塔婆は、施主以外でも親族や友人などどなたでも付けることが可能です。
※卒塔婆に関する補足…墓石の後ろに立てる、長い板状のものです。浄土真宗など、卒塔婆を用いない宗派もありますので、注意しましょう。
四十九日法要のマナーと基礎知識に関するよくある質問
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監修者のコメント
岩田 昌幸一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
日本で最初に四十九日法要が行われたのは702年の持統天皇だと言われています。以降、平安貴族の間でも、鈍色の装束を着用して忌み慎む生活をしていたことが伝わっています。忌明け後はケガレの概念は薄れていきますが、その後も神事祭礼や祝儀の参加を遠慮し、新年のあいさつを控えるといった慣習があります。