「宇宙葬」とは?身近になりつつある新時代の散骨葬
- 2021年05月11日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
近年は埋葬に関する人々の考え方も変わり、墓を作らずに自然葬や散骨をする人が増えてきています。「宇宙葬」もそのひとつです。
「宇宙葬」とは、円筒形の遺骨収集カプセルに数グラムの遺骨や遺品を詰めロケットで打ち上げ、地球周回軌道に乗せて宇宙へ運ぶサービスです。
また、バルーン散骨も広義の宇宙葬に含まれることが多いです。
まだまだ馴染みの薄い宇宙葬ですが、いったいどういうものなのか詳しく見ていきましょう。
宇宙葬とは?
宇宙葬とは、遺灰を収めた円筒形のカプセルをロケットに搭載して宇宙空間、成層圏に打ち上げ宇宙空間で行う散骨葬。すなわち、樹木葬や海洋散骨とならぶ究極の自然葬です。ロケットはおもにアメリカの商業用宇宙基地があるニューメキシコ州「スペースポート・アメリカ」から打ち上げられます。
宇宙葬の発祥はアメリカ
世界初の宇宙葬が行われたのは、1997年4月のことです。空中発射型のロケット「ペガサスロケット」を利用して、SF映画「スター・トレック」に携わった方々20余名の遺骨を収納し、カナリア諸島上空に発射され宇宙散骨が行われました。
宇宙に打ち上げられたロケットは宇宙葬から1カ月後、オーストラリア大陸北部地域の指定位置に落着しています。
打ち上げの方法には、種々ありますが
- トーラスロケットによる打ち上げ:地球周回軌道
- スタートレッククロケットによる打ち上げ:弾道軌道
等の方法で2019年までの間に12回実施されています。
宇宙葬は日本国内でも広がりつつある
日本で「宇宙葬」といえば、スペースシャトルや宇宙基地、映画やテレビで観た「宇宙戦艦ヤマト」や「機動戦士ガンダム」などのフィクションの世界のイメージが強いのではないでしょうか。
実は日本国内においても、宇宙葬は開始されています。
米国ベンチャー企業のエリジウムスペース社と日本企業の銀河ステージが提携して、2016年10月に第一回目の宇宙葬が行われました。
その後、申込者は年々増加しており、宇宙への憧れだけでなく、日本の寺院による葬儀と比べて安価であり簡便であることも手伝い、人気が集まっているようです。
宇宙葬はこんな人におすすめ
まだまだ新しく、珍しい印象が残る宇宙葬ですが
このような方にふさわしいのではないでしょうか。 空を見上げて故人を偲ぶー そのようなロマンがあるのは宇宙葬ならではのものです。
宇宙葬の種類
宇宙葬とひとことでいっても、その方法はさまざまです。
代表的なものを挙げると以下の4つに分類されます。
バルーン散骨(バルーン葬)
遺灰や遺骨を巨大なバルーンに入れて空へと飛ばし、成層圏に達したところで空中に散骨します。「成層圏」は地球の大気圏で、厳密には宇宙ではないのですが、広義の宇宙葬のひとつに含まれています。
費用が他のものに比べて安価であること、実施も国内でできることから、4つの中ではもっともハードルが低い宇宙葬といえます。
大気圏散骨(流れ星供養)
遺灰や遺骨を人工衛星に乗せてロケットで宇宙空間まで打ち上げ、地球を数日から数年の期間を周回したのち、大気圏に再突入して流れ星になります。周回している間は、遺族の方は専用のモバイルアプリで人工衛星の位置を追跡することができます。遺灰は燃え尽きてしまうので、社会問題になっている宇宙ゴミにはなりません。
月面散骨(月面供養)
遺灰の入ったカプセルを月まで運び、月に散骨かプセルを放置、またはロケットごと月に落下させる方法です。月をお墓にするという考えなので、遺族の方は月を見上げればお墓参りができます。
宇宙散骨
ロケットを打ち上げ、積み込んだ遺灰を宇宙のかなたに運んでもらいます。
宇宙葬にかかる費用は?
宇宙葬は基本的に宇宙のどこまで飛ばすのかで種類と料金が変わり、その価格は20万前後~250万円程度までと大きく幅があります。
ここでは、前述の種類ごとに価格をまとめてみました。
- バルーン散骨:20万円前後
- 大気圏散骨:45万円前後
- 月面散骨:250万円
- 宇宙散骨:250万円
宇宙葬を行う流れ
まずは宇宙葬のサービスを行なっている専門業者に依頼をすることになります。生前に自分で申し込みをされる方もいますが、お亡くなりになった後に遺族の方がする場合もあります。
以下、申し込み後の一般的な流れを説明します。
火葬された遺灰の一部を採取するための、遺灰カプセルが入った遺灰収納キットが送られてきますので、指示通りに骨壷からカプセルへ遺灰の一部を移し替えてください。
次に
カプセル本体を宇宙葬専門業者に送り返します。
カプセルの材質はアルミ合金で、申込者の希望するイニシャルを最大3文字まで刻印することができます。
カプセルを受け取った専門業者は、遺灰が入った専用カプセルを人工衛星に配備してロケットで宇宙空間まで運び、御遺体の一部を散骨します。
大気圏散骨の場合は、人工衛星が一定の期間地球を周回したあとに大気圏に向かって戻り、摩擦熱により焼失します。
希望者はアメリカでの打ち上げセレモニーにも参加できるほか、全員に打ち上げ証明書などが贈られます。
宇宙葬の注意点
トラブル関連
宇宙葬は長い葬儀の歴史の中では、まだ始まったばかりのサービスです。提供している会社も多くはなく、詐欺やトラブルに巻き込まれないように気をつけましょう。
時間がかかる
宇宙葬はそのプランによって打ち上げるロケットも異なり、実施までに何年もかかることもあります。また、予定されていた打ち上げが中止になることもあるので、数年を待つぐらいの気構えがないと難しいでしょう。バルーン散骨の場合は、比較的故人のスケジュールに対応してくれるようです。
わずかな遺灰・遺骨
宇宙葬のカプセルに入る遺灰は、数グラムとごくわずかです。そのため遺灰や遺骨の多くは手元に残り、別の供養が必要になります。お墓を作らない場合は、他の散骨との組み合わせになるでしょう。宇宙葬はお墓の代わりというより、ひとつの夢を叶える葬儀と考えた方がいいかもしれません。
宇宙葬の気になるポイント
現実化してきたとはいえ、一般的にはなじみのない宇宙葬。
その他、気になるところについても解説します。
スペースデブリ(宇宙ゴミ)にはならない?
スペースデブリ(宇宙ゴミ)とは、宇宙ロケットが目的地に向かうまでに燃料タンクや飛行部分をロケット本体から外して宇宙空間に置き去りにしたものや、制御不能になった人工衛星などを指します。
宇宙葬では、利用するロケットは地球回収軌道から大気圏に突入するときに焼滅するので、宇宙ゴミになることはありません。
宇宙葬の評価や口コミは?
宇宙葬はまだ認知度の低い新しいサービスですので、評価や口コミが気になるところでしょう。
しかし、まだ始まったばかりのサービスであるため評価や口コミはほとんど見られません。今後、こういった情報は宇宙葬の広がりとともに増えていくと思われます。
手元供養はしたいという方へ
宇宙葬を考えているけど、手元供養も行いたいという方は多いのではないでしょうか。
宇宙葬の封入カプセルに入る遺灰は10グラムにも満たず、遺骨や遺灰のごく一部です。そのため、宇宙葬自体がお墓の代わりになるというものではありません。
しかし通常の埋葬でも、仏壇がない、あるいは遺骨の一部を自分の手元に残したいという方や、墓が遠方のため墓参りが難しい方、無宗教であるため墓は不要と考える方もいるでしょう。
そのような方向けに、遺骨でダイヤモンド(人工ダイヤモンド)を製作するというサービスがあります。作られる石はメモリアル・ダイヤモンドと呼ばれ、Yシャツのボタンより少し小さく、重さは0.2gほどです。故人の遺骨から作られたということもあり、遺族にとって貴重なメモリアル製品となるでしょう。
このように“一部を宇宙葬として、一部を手元供養とする”という選択肢もあるのではないでしょうか。
まとめ
宇宙葬といわれれば、壮大な別世界の葬儀という感覚に陥りそうですが、近年、関心が高まりつつある自然葬のひとつといっていいでしょう。プランもいくつか種類があり、今では費用面からも身近になりつつあります。
また、海洋散骨や樹木葬との組み合わせも可能です。
人生最後の旅を宇宙旅行にする宇宙葬。
検討してみる価値はあるのではないでしょうか?
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