13宗派56派の宗祖・教え・教典・唱名など
- 2023年02月13日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
日本は信仰の自由が認められている国ですが、仏教徒の人も多いのではないでしょうか。 仏教は13の宗派に分かれており、またそれぞれの分派も含めると56派にもなるとされています。宗派によって教えや作法が違う場合もあるので、知らない事でマナー違反をしてしまう事は避けるようにしましょう。 そこで今回は各宗教ごとの基本的な情報や、教えや作法などの特徴をそれぞれまとめていきます。これから葬儀の喪主や参列の予定がある人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
浄土宗(じょうどしゅう)
分派と本山
宗派とは経典の種類や教義によって同一宗教内で分かれているものであり、英語では 「denomination」「sect」などと訳されます。 浄土宗は5派に分かれているので、それぞれの名前と本山を紹介します。
宗派一覧
- 浄土宗(総本山:知恩院。正式名称は華頂山知恩教院大谷寺。大本山:増上寺)
- 浄土宗捨世派(本山:一心院)
- 西山浄土宗(総本山:光明寺)
- 浄土宗西山禅林寺派(総本山:永観堂禅林寺)
- 浄土宗西山深草派(総本山:誓願寺)
宗祖
法然(円光大師)1133年~1212年
教え
法然(円光大師)は叔父である観覚のもとで仏教を学び、1175年、法然が43歳の時に浄土宗を開宗しました。 修行による成仏を否定し、念仏によって極楽往来するとされています。往来と成仏は別の意味として考えられており、成仏する為には極楽浄土に行った後に修業する事が必要になります。 浄土三部経の中でも、観無量寿経に重きを置いている宗派です。
本尊
阿弥陀如来
主な教典
浄土三部経(観無量寿経、無量寿経、阿弥陀経)
唱名
南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)
焼香の作法
焼香は抹香を額の高さまで掲げ、3回行います。
浄土真宗
分派と本山
浄土真宗は10派に分かれているので、それぞれの名前と本山を紹介します。
宗派一覧
- 浄土真宗本願寺派(本山:龍谷山本願寺。西本願寺とも呼ばれる。また直轄寺院に築地本願寺がある)
- 真宗大谷派(本山:真宗本廟。東本願寺とも呼ばれる)
- 真宗高田派(本山:専修寺。高田本山とも呼ばれる)
- 真宗佛光寺派(本山:佛光寺)
- 真宗興正派(本山:興正寺)
- 真宗木辺派(本山:錦織寺)
- 真宗出雲路派(本山:毫摂寺。五分市本山とも呼ばれる)
- 真宗誠照寺派(総本山:誠照寺。鯖江本山とも呼ばれる)
- 真宗三門徒派(本山:専照寺。中野本山とも呼ばれる)
- 真宗山元派(本山:證誠寺。横越本山とも呼ばれる)
宗祖
親鸞1173年~1262年
教え
法然(円光大師)の弟子である親鸞が開祖であり、浄土真宗でも修業による成仏は認めていません。人が求めていなくても仏は救ってくださるという他力回向の理論があり、改めて修行する必要がないとしているのです。その為浄土宗では念仏を唱えることで浄土往来すると考えられていますが、浄土真宗では仏様が救ってくださると信じていれば往来できるとしています。浄土三部経の中で無量寿経に重きを置いている宗派です。
本尊
阿弥陀如来
主な教典
浄土三部経(観無量寿経、無量寿経、阿弥陀経)
唱名
南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)
焼香の作法
焼香は抹香を額の高さまで掲げる事はせず、1回だけ行います。
真言宗
分派と本山
真言宗は16派に分かれているので、それぞれの名前と本山を紹介します。
宗派一覧
- 東寺真言宗(総本山:東寺。真言宗全体の総本山でもある。教王護国寺とも呼ばれる)
- 高野山真言宗(総本山:金剛峯寺)
- 真言宗善通寺派(総本山:善通寺。大本山:随心院)
- 真言宗醍醐派(総本山:醍醐寺)
- 真言宗御室派(総本山:仁和寺)
- 真言宗大覚寺派(大本山:大覚寺)
- 真言宗泉涌寺派(総本山:泉涌寺)
- 真言宗山階派(大本山:勧修寺。「かんしゅうじ」「かんじゅじ」と読まれる事もあるが、「かじゅうじ」が正式な呼称です)
- 信貴山真言宗(総本山:朝護孫子寺)
- 真言宗中山寺派(大本山:中山寺)
- 真言三宝宗(大本山:清荒神清澄寺)
- 真言宗須磨寺派(大本山:須磨寺)
- 新義真言宗(総本山:根来寺)
- 真言宗智山派(総本山:智積院)
- 真言宗豊山派(総本山:長谷寺)
- 真言律宗(総本山:西大寺。大本山:宝山寺)
宗祖
空海(弘法大師)774年~835年
教え
真言宗は9世紀の始めに空海によって開宗された宗派であり、日本で唯一の純粋な密教です。
密教とは秘密の教えの事を指し、大衆に向けてではなく信者にのみ教えを広めていきます。
真言宗には十住心思想という人の心のあり方や価値観などを10段階に分けて考える思想があり、最終的には本尊である大日如来と同レベルに達することを説いているのです。
本尊
大日如来
主な教典
大日経、金剛頂経、理趣経、般若心経
唱名
南無大師遍照金剛(なむたいしへんじょうこんごう)
焼香の作法
焼香は抹香を額の高さまで掲げ、3回行います。
天台宗
分派と本山
天台宗は3派に分かれているので、それぞれの名前と本山を紹介します。
宗派一覧
- 天台宗(総本山:比叡山延暦寺)
- 天台寺門宗(総本山:園城寺。一般的には三井寺と呼ばれている)
- 天台真盛宗(総本山:西教寺)
宗祖
最澄 (伝教大師)766年~822年
教え
9世紀初めごろに最澄によって日本に伝えられた宗派であり、開宗は806年です。諸経の王とされる妙法蓮華経を主な経典としているので、天台法華宗と呼ばれる事もあります。
円、密、禅、戒の全てを大切にしており、特に定められている本尊がない事も特徴です。
天台宗で学んでから宗祖となった人も覆いので、他の宗派との違いが少ない宗派でもあります。
本尊
特定の本尊はないが、阿弥陀如来を祀る事が多い
主な教典
妙法蓮華経(法華経) 、大日経、阿弥陀経
唱名
正式には南無宗祖根本伝教大師福聚金剛ではあるが、南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)が一般的
焼香の作法
抹香をつまみ、額の位置まで掲げ、香炉に落とす動作を3回行います。
日蓮宗
分派と本山
日蓮宗は単一宗派であり、分派はありません。ただ日蓮系宗派や教団があるので、よく混同されやすいです。
- ・総本山:身延山久遠寺
- ・大本山(霊跡寺院):妙顕寺、本圀寺、池上本門寺、誕生寺、清澄寺
- ・本山(由緒寺院):本法寺、妙覚寺、立本寺、本満寺、頂妙寺、妙傳寺
宗祖
日蓮(立正大師)1222年~1282年
教え
宗祖である日蓮の名前がそのまま宗派となっていますが、本尊は日蓮自身ではなく大曼荼羅となります。他の宗派のように複数の経典があるのではなく、妙法蓮華経以外の経典はほとんど使われないのも特徴です。
それだけ教えを徹底しており、人の生き方と妙法蓮華経を一体化するという考え方をしています。
江戸時代までは法華宗または日蓮法華宗とも呼ばれていました。
本尊
大曼荼羅
主な教典
妙法蓮華経(蓮華経)
唱名
南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)
焼香の作法
焼香は抹香を額の高さまで掲げ、3回行います。
臨済宗
分派と本山
臨済宗は十五派に分かれているので、それぞれの名前と本山を紹介します。
宗派一覧
- 臨済宗建仁寺派(大本山:建仁寺。「けんにんじ」が正式な呼称だが、地元では「けんねんさん」と呼ばれる事もある)
- 臨済宗建長寺派(大本山:建長寺)
- 臨済宗東福寺派(大本山:東福寺)
- 臨済宗妙心寺派(大本山:妙心寺)
- 臨済宗円覚寺派(大本山:円覚寺。正式名称は瑞鹿山 円覚興聖禅寺)
- 臨済宗南禅寺派(大本山:南禅寺)
- 臨済宗大徳寺派(大本山:大徳寺)
- 臨済宗国泰寺派(大本山:国泰寺)
- 臨済宗向嶽寺派(大本山:向嶽寺)
- 臨済宗天龍寺派(大本山:天龍寺)
- 臨済宗永源寺派(本山:永源寺)
- 臨済宗方広寺派(大本山:方広寺)
- 臨済宗相国寺派(大本山:相国寺。正式名称は萬年山相國承天禅寺)
- 臨済宗佛通寺派(大本山:佛通寺)
- 臨済宗興聖寺派(本山:興聖寺)
宗祖
栄西(千光法師)1141年~1215年
教え
栄西が日本における開宗ですが、栄西以降中国から何人もの僧によって持ち込まれた事で様々な流派が作られました。
悟りの手段に座禅を用いる禅宗の1つであり、与えられた公案に対して座禅をしながら答えを工夫するという公案禅が行われています。
経典や教えに依存ぜず直接相手の心に働きかけ、人間の心の本質が仏と同一であることを悟る事で成仏できるという考え方を持つ宗派です。
本尊
特に定められていない
主な経典
特定の経典はないが、一例として、般若心教、観音経、大悲咒、開経偈などが読まれる。
唱名
南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)
焼香の作法
焼香は抹香を額の高さまで掲げ、1回行います。
曹洞宗
分派と本山
曹洞宗は単一宗派であり、分派はありません。
- 大本山:永平寺、總持寺
宗祖
道元(承陽大師)1200年~1253年
教え
宗祖は道元であり、臨済宗と同じく座禅を中心にした禅宗の1つです。曹洞宗では悟りを求めない修行でこそ悟りが開かれるとされており、悟りを求める修行は打算的な悟りを開くとしています。
その為、悟りを開く為に修行があるのではなく、修行の中に悟りがあるという修証一等の考え方を持っています。
臨済宗では公案禅が行われますが、曹洞宗では何も考えずただひたすらに座禅するという黙照禅が行われます。
本尊
釈迦如来
主な教典
特定の経典はないが、般若心経、観音経、修証義、妙法蓮華経などが読まれる事が多い
唱名
南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)
焼香の作法
焼香は2回行いますが、まず抹香を額の高さまで掲げるものを1回行い、その後、掲げないものを1回行います。
法相宗
分派と本山
法相宗は単一宗派であり、分派はありません。
- 大本山:興福寺、薬師寺(以前は清水寺も含まれていたが、現在では離脱している)
宗祖
基(窺基と通称されているが、窺の字を付けない「基」が正式名称)632年~682年
教え
法相宗は基が宗祖でありますが、日本仏教としては遣唐使での入唐求法僧侶により広められ、南都六宗の1つとして8世紀から9世紀にかけて隆盛を極めました。
密教のような即身成仏ではなく、長い年月をかけ修行を行う事によって成仏できると考えられています。
法相とは存在のあり方を指している言葉であり、「唯識三年倶舎八年」と言われる難解な思想を持っているのです。
本尊
唯識曼荼羅
主な教典
瑜伽師地論、成唯識論
唱名
特に定められていないが一例として、般若心教などが読まれる。
焼香の作法
奈良仏教である法相宗では、一般的に葬儀は行われません。
律宗
分派と本山
律宗は単一宗派であり、分派はありません。
- 総本山:唐招提寺
- 大本山:壬生寺
宗祖
鑑真 688年~763年
教え
唐代では道宣が成立させましたが、日本へは鑑真によって伝えられ開宗された宗派です。経・律・論の中の律を中心としており、定められた戒律を厳格に守る事が必要になります。
僧侶になりたい人は戒律に従い具足戒を受ける必要があるのですが、具足戒は男性の僧で250個、女性の僧では348個もの戒律が定められています。
経典や論を重んじる宗派が多い中、律宗は戒律を守る事が最も重要であり、それによって悪事が防げる(摂律義戒)と考えられているのです。
他にも善行を積極的に行うべき(摂善法戒)、全ての人々に利益を施すべき(摂衆生戒)という教えがあります。
本尊
盧舎那仏
主な教典
四分律、梵網経、妙法蓮華経
唱名
特に定められていないが一例として、般若心教などが読まれる。
焼香の作法
奈良仏教である律宗では、一般的に葬儀は行われません。
華厳宗
分派と本山
華厳宗は単一宗派であり、分派はありません。
- 大本山:東大寺
宗祖
杜順 557年~640年
教え
中国で杜順によって開宗された宗派で、日本へは736年に審祥によって伝えられています。審祥が東大寺において華厳宗の講義を行ったことで、日本国内に広まっていきました。
「一がそのまま多であり、多がそのまま一である」という相反するものを一つに統括するという考え方を持っており、大方広仏華厳経を経典の中心としその思想を拠り所にしています。
南都六宗の1つであり、大方広仏華厳経の思想を学び・研究した多くの僧を輩出しました。
本尊
毘盧舎那仏
主な教典
大方広仏華厳経
唱名
特に定められていないが一例として、般若心教などが読まれる。
焼香の作法
奈良仏教である華厳宗では、一般的に葬儀は行われません。
融通念仏宗
分派と本山
融通念仏宗は単一宗派であり、分派はありません。
- 総本山:大念佛寺(日本で最初の念仏道場)
宗祖
良忍 1073年~1132年
教え
融通念仏宗は平安時代の末期に天台学を学んだ良忍によって開宗された宗派であり、唯一の日本発祥の宗派になります。
毎日百遍の念仏を唱えること(日課念仏)が修行の根幹であり、来世ではなく現世で往来するという教えが基本です。
物と物は全て相互に融通しあっているとされ、1人の念仏が全ての人の為になると同時に、全ての人の念仏は自分のためにもなっていると考えられています。
心を合わせて1つの念仏を唱えることによって、合わさった力は大きな力となって現世での往生が成し遂げられるとされているのです。
本尊
十一尊天得如来
主な教典
華厳経、法華経
唱名
南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)
焼香の作法
焼香は抹香を額の高さまで掲げ、3回行います。
時宗
分派と本山
時宗は単一宗派であり、分派はありません。
- 総本山:清浄光寺。一般的に遊行寺と呼ばれる事が多い。
宗祖
一遍(証誠大師)1239年~1289年
教え
鎌倉時代末期に一遍によって開宗されて宗派であり、阿弥陀仏への信心に関わらず誰でも念仏を唱えれば往生できると考えられています。
これは念仏を唱えて成仏するのではなく、念仏を唱える事がすなわち往生であるという教えに基づくものです。
時宗では踊念仏という踊りながら念仏を唱えるものがありますが、現在は実施されている地域が少なく重要無形民俗文化財に指定されています。
また時宗の歴代上人は念仏の教えを広める為に全国を巡って(遊行して)おり、この事から一辺ら時宗の僧達を「遊行上人」、総本山の清浄光寺を「遊行寺」と呼ぶようになりました。
本尊
阿弥陀如来
主な教典
無量寿経、観無量寿経、阿弥陀経
唱名
南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)
焼香の作法
焼香は抹香を額の高さまで掲げ、1回〜3回行います。
13宗派56派に関するよくある質問
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監修者のコメント
岩田 昌幸一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
仏教はお釈迦様お教えですが、教えを説いたときは文字や絵に残すことはなく、弟子たちによって教えが広められました。その教えは個々の能力や素質によって解かれ方が違っていたため、解釈の違いからいくつかに分裂しています。中国でまとめられた多くの経典の中から、自分たちに合う教えを選び、それをもとにした教えを説く団体がいくつもあらわれ教団となって法を伝えているわけです。