暮石に名前を彫る時や追加彫りの流れと費用相場
- 2022年11月28日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
故人の葬儀も滞りなく終わってようやく落ち着いた・・・、そう安心してばかりはいられません。仏教の考え方には、故人が仏様として成仏し極楽浄土へ向かうには、「仏の弟子」となる必要があり、そのため死後に戒名を授かります。
そして、故人が戒名(法名)を授かり極楽浄土へ向かったことを後世に伝えるため、墓石に名前(戒名・俗名)を彫るという形で、記録を残すことになります。
このように名前を彫ることは、供養の一環として現在でも続けられています。では、墓石に名前を彫る時期はいつが良いのか?その彫るときの申込や流れは?費用はいくら位?と疑問もいろいろと浮かんでくることでしょう。
そこで今回は、墓石に名前を彫ることや、追加彫りについて申込の流れ・費用、注意点をご説明します。
目次
暮石に名前を彫る時期やタイミング
墓石に故人の名前を彫る際には、時期やタイミングに何か決まりがあるのでしょうか?
これに関しては、墓石へ彫刻する際の時期やタイミングが、特に限定されているわけではありません。
つまり、仏教では墓石へ彫刻しないと成仏できない、という言い伝えもなく、いつでも遺族の気が向いたときで構わないとされています。
ただし、丁度良い区切りまでに故人の名前を彫るケースが一般的となっています。その区切りが「納骨式」となります。
納骨式とは、故人の遺骨をお墓に入れる儀式です。この儀式で墓石に故人の魂を宿らせることになります。これを「開眼法要」と言います。
なお、納骨式は既に先祖代々のお墓を持っているご家庭の場合、四十九日の法要当日に納骨式を行うことが多いです。
また、先祖代々のお墓がなく、新しい墓地・霊園を探している最中である場合や、故人とのあまりに急な別れで気持ちの整理がつかず、しばらくは遺骨を手元に置いておきたい場合、無理をして納骨する必要はありません。
故人を納める場所や心の準備が整った後に、墓石に故人の名前を彫ってもらい納骨することにしても構いません。
▼詳しい内容と手配方法▼暮石に名前を彫る費用相場
新しくお墓をたてた場合には、墓石本体(竿石と呼びます。)の表面に「◯◯家先祖代々之墓」等と彫り、裏面にはお墓を建てた人の名前・建てた年月日を彫り、側面に故人の戒名・没年月日・俗名・享年を刻みます。
暮石に名前を彫る費用は依頼する石材店によってそれぞれ異なります。また、石材店へ費用を支払えば、すぐに彫刻ができるわけではありません。墓石へ名前を彫る際は僧侶にお布施も用意する必要があります。
こちらでは、石材店に支払う彫刻の費用と、寺院(僧侶)に支払うお布施について説明します。
石材店に支払う彫刻代
新しく墓石を建立した場合には、家名、題字・題目、建立者名および建立日等は基礎彫刻として、墓石費に含まれていることがほとんどです。
石材店の中には、1人目の方の名前についても墓石費に含まれていることもありますが、故人の名前を彫る場合は別途費用として、1人につき概ね2万円~5万円となります。ただし、中には10万円位の費用を請求する石材店もあります。
この彫刻代に大きく開きがあるのは、その地域の周辺にある石材店がどれ位あるかに関係しているようです。
石材店が比較的多い地域ならば、価格競争をある程度行わないと、利用者は価格の安い業者に依頼することがほとんどなので、彫刻代は安くなる場合が多いです。
逆に、その地域に競争相手が少ない場合には、石材店も彫刻代等を高く設定してしまう傾向があります。
最近ではインターネットで石材店を探せるので、安い値段で彫刻してくれる石材店が数多く見つかります。このような業者に依頼すればより安い費用に抑えられるはずです。
しかし、民営霊園および寺院墓地では、そのほとんどが特定の石材店と提携していて、指定業者に依頼しなければ施工できないことになっています。
そのため、民営霊園や寺院墓地と提携している石材店も、彫刻代等を高く設定しているケースが多いです。なお、地方自治体が運営する公営霊園では、どんな石材店でも自由に依頼することができます。
寺院に支払うお布施
新しく墓石を建立し、故人の名前も彫刻して納骨すれば終了ではなく、僧侶を招いた開眼法要を行わなければなりません。仏教では墓石に魂を宿す欠かせない儀式となっています。
その際に、お経をあげて頂いた僧侶へお布施が必要になります。お布施の費用は概ね1万円~5万円となります。
また、僧侶が管理する寺院墓地での開眼法要ではなく、民営・公営の霊園で行う場合は遠方から僧侶に来てもらうことがあります。この場合は、交通費(お車代と呼びます。)として5,000円~10,000円を準備する必要があります。
法事・法要・葬儀のお布施の相場に関してはこちらもご参照ください
暮石に名前を彫る時の流れ
新しく墓石を建立し、彫刻してもらうケースは次のような流れで行われます。
なお、遺族は故人の戒名・没年月日・俗名・享年を正確に業者へ伝えましょう。後日、名前の漢字間違い等が判明した場合は、その修正に手間取ることになります。
暮石への名前の追加彫りも可能?
既に先祖代々のお墓がある場合には、その竿石へ新たに亡くなった親族の名前を彫ることが可能です。納骨する故人の名前も、竿石の側面に彫ることになります。
この追加彫りの場合、墓石を購入するわけではないので、新しくお墓をたてた時より費用が軽減されます。
ただし、追加彫りを行う工程によっては、墓石を工場に移送して彫る必要がある等、予想外の手間や費用がかかってしまうこともあります。
また、追加彫りの場合も、寺院や霊園と提携している指定石材店でないと認められないことがあります。ご自分が選んだ業者が寺院・霊園の指定業者でなかった場合、後日トラブルが発生することもあります。
追加彫りの費用の相場
追加彫りの費用相場も、石材店によって費用に開きがあります。また、追加彫りは単に竿石に名前を追加するだけで良いわけではなく、僧侶の執り行う儀式も必要です。当然、お布施も用意しなければなりません。
先祖代々のお墓に故人が入る場合でも、納骨式の前に追加彫りを行い、僧侶に読経してもらうことが、手間と費用を抑えることにつながります。
石材店に支払う彫刻代
故人の名前を追加彫りしてもらう場合は、1人につき2万円~5万円となります。それに加え、工場で追加彫りを行う必要がある場合は、墓石の移送費・お墓の取り付け費用も請求されます。
この墓石の移送費・お墓の取り付け費用が必要かどうかは、依頼する石材店に事前に確認する必要があります。
一方、20年以上前とは異なり、最近では現場彫刻の技術が飛躍的に発達しています。この現場彫刻とは現地でお墓に名前を彫る作業です。現在行われている追加彫りのほとんどが現場彫刻と言われています。
ただし、追加彫りを依頼するお墓が、機材を持ち込みが難しい場所であることや、墓地や霊園の決まりで、騒音や粉じん等によって周辺の環境へ悪影響が出さないために、墓石を移送しなければならない場合もあります。
現場彫刻で追加彫りをするのか、工場での作業となるかは寺院・霊園の規定や担当する石材店次第です。そのため、作業のやり方次第で追加彫りをするかどうかを決める場合には、墓地管理者の設定した決まり(契約約款)を確認したり、または石材店から作業工程の説明を受けたりしてから判断しましょう。
寺院に支払うお布施
故人の葬儀や焼骨も終わり、先祖代々のお墓に追加彫りしてもらった後に、納骨式が行われます。その際に、僧侶の読経による法要が行われます。
お布施の費用は概ね1万円~5万円となります。遠方から僧侶を呼ぶ場合には、交通費として5,000円~10,000円を用意します。
ただし、追加彫りの際に一度工場へ移送が必要な場合、移送前に墓石の魂抜き(閉眼供養)を行い、彫刻後に再び墓石が戻ったときは魂入れ(閉眼供養)を行う必要があります。この場合にも僧侶へお布施が必要となる場合があります。
また、特に寺院墓地を使用している場合、宗教宗派によっては現場彫刻を行える時でも、同様の儀式を執り行う必要があります。前もって追加彫りの際にどのような儀式が必要なのか墓地を管理している寺院へ確認してみましょう。
追加彫りの流れ
追加彫りのケースは次のような流れで行われます。
申し込みの際には、現場彫刻が可能なのか、工場への移送が必要なのか石材店の事情もあるので質問しておきます。
暮石に名前を彫る時や追加彫りの注意点
墓石に名前を彫刻するだけでも、その工程にいろいろな制約や取り決めがあったり、信仰上必要となってくる儀式を執り行なったりするケースもあります。
こちらでは、墓石に名前を彫る際の注意点や、困った事態に対応するための方法をご説明します。
名前を彫る時は余裕を持って依頼しよう!
新たに墓石へ名前を彫刻する場合も、追加彫りを行う場合でも、石材店の日程の都合もあるので余裕をもって依頼することが必要です。
特に新しい墓石を購入し、墓石に名前を彫って四十九日の法要に合わせた納骨式を行う場合、墓石の選定や移送もあるので、納骨式の2~3ヶ月前くらいに名前を彫る分も一緒に申込んでおけば、当日に十分間に合うことでしょう。
一方、追加彫りの場合、現場彫刻では1日で彫り終わることがほとんどですが、工場へ移送する必要のある場合には2~3週間前から申込んでおくことが無難です。
墓石に追加彫りをするスペースがない!
通常ならば竿石の側面に故人の名前が彫刻されることになりますが、先祖代々にわたって受け継がれたお墓の場合、彫るスペースがなくなってしまうことがあります。
その際に、故人の名前を新たに彫刻するスペースとして「墓誌」をたてる方法もあります。この墓誌とは墓石の傍らに設置される板状の石です。
一般的に墓誌には、概ね20名前後の方の名前が追加彫り可能となっています。その形や彫刻する故人名の順番も明確な決まりはありません。
そのため、新たな墓石をたてても、そこに故人の名前を彫刻せず、墓誌に名前を彫刻して構いません。なお、墓誌はあくまでお墓ではなく、お墓に入っている人の「記録帳」の役割を担っているので、墓誌に追加彫りしても僧侶の魂抜き・魂入れのような儀式は必要ありません。
ただし、墓誌をたてる場合には、それなりに広いスペースが必要になります。お墓で使用している土地の広さをよく考えて、墓誌のサイズを決定しましょう。墓誌の価格は、だいたい10数万円からとなります。
墓石から名前を消す方法はあるの?
彫られている名前を消したいというケースもあることでしょう。例えば、何らかの親族間でのトラブルが原因であったり、単純に文字の彫り間違いが原因であったりします。
名前を消す方法としては、墓石に彫られている部分の石材を新しくしたり、削り直したり、埋めて消したりすることもできます。
石材を新しくする方法は、竿石を丸ごと新品に交換してしまう形になります。竿石を新しい物にする以上、非常に費用は高額になります。およそ50万円~100万円またはそれ以上の金額がかかる可能性もあります。
削り直しの方法としては、工場に移送して彫刻した面を削り、磨き上げた上で再びお墓に戻します。文字を彫った深さに従って、墓石を削るため、それによっても費用に差が出ます。費用としては概ね10万円~50万円が目安と言えます。
埋めて消す方法は、「パテ埋め」と言われています。消したい文字だけを修正できるので、一文字何万円という形で依頼できます。ただし、文字数によっては数万円程度かかります。
墓石の加工に関する技術も進歩しているので、消した跡があまり目立たないことでしょう。ただし、それなりに費用が高額になる場合があるので、事前に石材店へ確認しましょう。
また、故人の名前が石材店のミスで間違っている場合は、彫り直しを請求できます。ただし、故人の納骨式に間に合わせたいような場合は、更なる日程の調整を図る必要があります。
なお、遺族側で戒名の漢字や、亡くなった年月日を間違って石材店に伝えてしまった場合は、石材店へ修正のために追加費用を支払う必要があります。
まとめ
墓石へ名前を彫ることは必要な儀式といえません。それでも、先祖代々にわたって続けているのだから、今後も名前を彫っていくべきだと考えるご家庭があることでしょう。一方で、費用も余分にかかるし、自分たち夫婦の代で彫るのをやめたいという希望もあることでしょう。そのため、各家庭の事情で墓石への彫刻を行うかどうか判断しましょう。
例えば、ご実家に過去帳があって、亡くなった両親・祖父母等の記録を大事に記録・保管しているのであれば、無理に墓石へ名前を刻む必要はありません。肝心なのは、いくら年数が経っても故人を慈しみ、その成仏を願う子供や孫たちの真心です。
暮石に名前を彫る時に関するよくある質問
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監修者のコメント
岩田 昌幸 一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
生前に名前や戒名を墓石に彫っておくこともできます。その場合、地域や宗派によっては存命の場合、全部もしくは一部を朱文字にすることもあります。某墓地では、多くの墓石に生年月日が入っていました。この場合、亡くなった日は後から付け足して彫るようです。