これで安心!お坊さんの呼び方の種類を押さえよう!
- 2023年03月13日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
お寺を管理をしている人の事を「お坊さん」と呼んでいる人も多いでしょう。しかし、いざ仏式の法事などでお坊さんを目の前にした時、どのように声をかけるべきか分からないものです。
あまり知られていませんが、実はお坊さんの呼び方はいくつも存在し、正しい呼び方は宗派や役職によっても異なります。
もちろん、お寺の世界のことをあまりよく知らない私たちが間違った呼び方をしても、お坊さんからとがめられることはまずないでしょう。しかし、基礎知識を知っておくことで、よりお坊さんのことを身近に感じられ、そのことによって葬儀や法事が意義深いものになることでしょう。
今回はいざという時に迷ってしまわないように、お坊さんに対する呼び方の種類をご紹介します。お坊さんの適切な呼び方を確認して、落ち着いた気持ちで法事・法要に臨みましょう。
目次
そもそもお坊さんとは?
現在「お坊さん」という言葉は、僧侶全般を指し示す言葉として広く用いられています。
お坊さんは「坊主」とも呼ばれますが、これは元々「房主」に由来し、僧侶が集まる僧房のリーダー格である主僧の事を指していました。それが次第に僧侶全体の事を意味するようになり、今では「坊主」や「お坊さん」といった呼び方をされているのです。
また、「坊」という字は奈良・平安時代に区画された都の地区を指し示す言葉でした。それが次第に大寺院にに所属する末寺を意味するようになり、「一坊の主人」という意味から、そのお寺の主人である僧を「坊主」と呼ぶようになったとも言われています。
ちなみに、髪の毛を剃った状態の事を「坊主頭」と呼ぶのは、僧侶の多くが剃髪することに由来します。
仏教では、髪の毛は美の象徴として、髭は権力の象徴として捉えます。美や権力への欲求や執着が人間を苦しめる元凶であると考え、僧侶が出家する際、俗世への未練や執着を断ち切る為に剃髪します。
なお、剃髪の頻度やタイミングは宗派によって異なり、例外的に浄土真宗では髪の毛のある僧侶が認められています。
「住職」とは寺の責任者のこと
お坊さんの呼び方でよく使われるのが「住職」。これは、僧侶の中でもそのお寺の管理者のことを指し示すことばです。
いまでこそお寺も世襲で受け継がれていますが、そもそも仏教では妻帯が禁じられていたため、前住職と交代するごとに、外から新しい僧侶がやってきて、新住職が就任するという形をとるのが本来の習わしです。
本来お寺は檀家のものであり、そこに外から僧侶を招いて、お寺に住み込んで、本堂の維持や檀家の先祖供養に務めてもらったのです。これに由来して、そのお寺を管理する僧侶のことを「住職」と呼びます。
僧侶が複数いるような大きい寺院の場合も、「住職」はそのお寺のトップただ1人のことを指します。住職の次点の僧侶を「副住職」、お寺の法務や事務を取り扱う僧侶を「役僧」などと呼びます。
宗派によって変わる住職の呼び方
住職の呼び方は、宗派によって異なります。
天台宗は「法印」「和尚」
天台宗では「法印(ほういん)」や「和尚(おしょう/かしょう)」などと呼びます。一般の方が住職に「ほういんさん」や「おしょうさん」と呼びかけても失礼には当たりません。
真言宗は「和尚」「阿闍梨」
真言宗の場合、正式には「和尚」と書いて「わじょう」と呼びます。しかし「わじょうさん」と呼ぶのもなかなか難しいので、一般の方は「おしょうさん」でも構わないでしょう。また、真言宗の場合、厳しい修行を経た高僧のことを「阿闍梨(あじゃり)」と呼びます。
浄土宗・禅宗は「和尚」「方丈」
浄土宗や禅宗(臨済宗・曹洞宗)では「和尚(おしょう)」または「方丈(ほうじょう)」と呼びます。禅宗のお寺などに行くと「ほうじょうさん」と声をかける場面をよく目にします。
「方丈」は、お釈迦さまの弟子の1人である維摩居士に由来します。維摩居士が居住した家は一丈四方(約3m四方)という狭さであり、その狭い空間の中で真理を見出すことから、「方丈」という言葉がそのまま住職を指すようになったのです。
特に禅宗では「座して半畳、寝て一畳」という言葉があり、真理に到達するのに余計な場所は不要と考えます。
鎌倉時代の随筆家である鴨長明の『方丈記』も、出家した鴨長明が一丈四方の小さな庵の中で考えたことを書き記したことから、このように名づけられました。
浄土真宗は「院家」「院主」
浄土真宗では「院家(いんげ)」や「院主(いんじゅ)」と呼びます。そのことから、住職に声をかける時は「ごいんげさん」や「ごいんじゅさん」、これがなまって「ごえんさん」などと呼ばれます。
日蓮宗は「上人」
日蓮宗では、開祖の日蓮上人にちなんで住職のことを「お上人(しょうんにん)」と呼ぶことが多いようです。
本山寺院の住職への特別な呼び方
お寺には本山と末寺の2種類があり、末寺は本山に所属するという形式がとられています。そのため、本山の代表者となる住職には別の呼び名が与えられているのです。
本山に勤める住職の呼び方は宗派によって異なり、日本国内で門徒数の多い浄土宗・浄土真宗では「法主(ほっす)」や「門主(もんしゅ・もんす)」という呼び名が用いられています。
律宗では末寺の住職を和尚(わじょう)と呼び、本山に勤める住職の呼び方は「長老(ちょうろう)」です。
同じく密教の流れを汲み、平安時代に栄えた仏教として並べられる事の多い天台宗と真言宗では、本山の住職を「座主(ざす)」と呼びます。
曹洞宗と日蓮宗では「貫主(かんず)」という呼び名が使用されていますが、貫主は元々律令制度における戸籍である「貫籍(かんじゃく)」の筆頭者を示すものでした。そこから転じて寺院の筆頭者を意味する言葉になったといわれています。
これらの他にも宗派によっては「別当(べっとう)」や「山主(さんす)」といった呼び方もあります。
その他の呼び方
このほかにも、僧侶の呼び方は実にさまざまです。
▶「老師」ろうし
主に禅宗系統で使われる高僧への呼び方です。
▶「庵主」」あんじゅ
女性の僧侶を「尼(あま)」、尼が住んでいるお寺を「尼寺」、そして尼の住職を「庵主(あんじゅ)」と呼びます。
▶「雲水」うんすい
禅宗では、修行中の僧侶のことを雲水と呼びます。
住職の妻の呼び方
日本の寺院では妻帯が公然と認められており、女性よりも男性が住職を務める寺院の方が圧倒的に多くあります。そのため、住職に妻がいることも珍しくありません。
法務に出かける住職に代わって、住職の妻がお寺を守っているケースは実に多く、法事や法要で顔を合わせたり、住職への取次ぎで話す機会も日常茶飯事です。住職の妻の呼び方も覚えておくと安心でしょう。
一般的に住職の妻を指し示す言葉として最も多く用いられているのが「坊守(ぼうもり)」です。日常的に「ぼうもりさん」と呼ぶ光景をよく見かけます。
ただし、坊守は主に浄土真宗で用いる呼び方で、他の宗派では「堂守(どうもり)さん」「お庫裏(おくり)さん」や「寺庭(じてい)さん」などがあります。お寺の庫裏(くり:住職家族の住居)や庭の手入れをする人とイメージすると分かりやすいでしょう。
お坊さんの無難な呼び方とは?
ここまで見てきたように、住職や僧侶の呼び方は実にたくさんあり、これらを正確に把握することは困難です。多少呼び方が間違えていたとしても、とがめられることはまずありません。
住職でない方に「ご住職」と呼んでも、浄土真宗の住職に「和尚さん」と呼んでも、特にトラブルにはならないでしょう。
とはいえ、「この呼び方であってるかな?」と思う方は次の呼び方を覚えておくと安心です。
最も安心なのは「○○寺様」という呼び方です。お寺の宗派やお坊さんの階級による違いもないので、困った時にはお寺の名前を確認してみましょう。
また、僧侶全体を指す言葉である「僧侶様」という呼び方も無難に使えるものの一つです。
それでも不安が残ったり、大切な儀式・行事にお招きするので正式な呼び方を知っておきたいという場合には、直接お坊さんに「何とお呼びすれば良いですか?」と伺ってみましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。僧侶にはこれだけたくさんの呼び方があることを知らないという方も多かったのではないでしょうか。
葬儀や法事は、故人を供養するための大切な儀式です。供養の専門家であるお坊さんには、最大限の敬意を示し、失礼のないようにしたいものです。
この記事を参考にして、お坊さんの呼び方での迷いが払しょくできれば、その分だけ故人様への供養に向き合うことができます。
また、呼び方が分からないまま適当に呼んでしまう事の方が失礼に当たるでしょう。もしも不安な点があるならば、お坊さんに直接お尋ねしましょう。こうした直接のコミュニケーションが、お坊さんと私たちの距離を縮め、葬儀や法事をより実りのあるものにしてくれることでしょう。
お坊さんの呼び方に関するよくある質問
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