初盆(新盆)の意味って何?知っておくべき初盆の知識まとめ
- 2023年05月10日
クレジットカード払いにも対応
毎年夏にやって来るお盆には、先祖の魂が私たちの住む家に帰ってくるものとされています。お墓参りやお坊さんの棚経、精霊棚や盆提灯など、現在でもさまざまなお盆の風習が行われています。
家の中に不幸があってはじめて迎えるお盆のことを「初盆」や「新盆」と呼びます。初盆を正しく迎えて、故人をきちんと供養したいと思うものの、通常のお盆と同じことをすればいいのか、それとも特別な準備をしなければならないのかなど、初盆(新盆)について分からないという人も少なくありません。
今回は、初盆(新盆)の意味、準備すべきことや供養の方法について解説いたします。
目次
初盆(新盆)とは
まずは初盆(新盆)に関する基本的な事柄を解説いたします。
初盆(新盆)に故人様を供養する意味
お盆は毎年やって来ますが、身内に不幸が起きて、その方の四十九日法要を終えたあと、はじめて迎えるお盆のことを「初盆」や「新盆」と呼びます。
お盆は、故人や先祖が年に一度家族のもとに帰ってくる日とされ、1年で最も盛んに行われる仏事行事です。特に初盆(新盆)は、故人が亡くなってから初めて迎えるお盆ということで、通常のお盆よりも念入りに供養が行われます。
お盆の時期は僧侶が檀家の各家を訪問して読経をしますが、初盆(新盆)では、遺族や親族以外にも故人と生前親しくしていた友人などを招いて、きちんとした法要を営むケースも少なくありません。
また、お寺によっては、初盆(新盆)を迎える家族だけを本堂に招いて、法要を営むところもあります。
ここまで念入りに供養をするのは、忌があけてまだ間もなく、遺族の悲しみも癒えていないからです。だからこそ家族や親戚が集まり、みんなで故人を偲び、同じ時間を過ごすのです。
「初盆」「新盆」の呼び方は?
「初盆」や「新盆」。この2つに意味の違いはなく、どちらも「四十九日を終えてはじめてのお盆」のことを指します。
どちらを用いるかは地域によって異なり、西日本では「初盆」、東日本では「新盆」が多いようです。
この呼び方もさまざまで、初盆は「はつぼん」「ういぼん」、新盆は「あらぼん」「にいぼん」「しんぼん」などと地方ごとに異なります。
いつものお盆と初盆(新盆)との違い
毎年やって来るお盆と初盆(新盆)とでは、何が違うのでしょうか。
▶時期の違い
通常お盆は、7月または8月の13日から15日からですが、初盆(新盆)の場合はこの期間を長くとります。かつてはお盆月の1日か7日に親族が集まって、先祖の霊の道しるべとなる燈籠を立てて、20日過ぎや月末まで飾っていました。つまり1か月間を通して、お盆の時期として故人とともにすごしたのです。
いまでも関西などでは「七日盆」と呼び、初盆を迎える家庭は8月7日をお盆の入りとしています。
▶読経の違い
お盆には僧侶が檀家の各家をお参りしてお経を読みます。時間にして5分から10分程度です。しかし、初盆の家の場合、しっかりと時間をとって30分から1時間近くお経を読むお寺もあります。
また、初盆の家庭だけを本堂に集めて法要を行うお寺もあります。
▶飾り物の違い
お盆飾りの方法は地域によって実にさまざまですが、初盆の時だけ専用のお盆飾り(「精霊棚」などと呼ばれる)をする地域もあります。また、お盆には提灯を飾りますが、初盆(新盆)の時にはこれを白い提灯にします。
▶親族や近所によるお見舞い
初盆には、親族や近所の方、さらには故人とご縁のあった方々によるお見舞いが行われます。実際にお盆法要に参列する、自宅への弔問、お線香や御香典のお供えなど、方法はさまざまです。
ひと昔前であれば、素麵や砂糖などのお供え物をもって弔問する「新盆見舞い」という風習も見られたほどです。
初盆(新盆)の時期
故人が亡くなった日によって、初盆(新盆)が今年になるか来年になるかが異なります。また地域によって初盆の始まる時期もさまざまです。この章では初盆の時期について分かりやすく解説します。
お盆の時期は3種類ある
まずはじめに、お盆そのものの時期が日本全国を見渡すと3種類あることをご紹介いたします。
お盆の起源は、お釈迦様の十大弟子のひとりである目連尊者の伝説に由来します。餓鬼道に堕ちた母を救うために、お釈迦様の助言通り、夏安居(僧侶たちの修行の期間)の終わる日に、修行者たちに飲食を振る舞ったことがお盆の起源です。この夏安居の終わる日というのが、旧暦の7月15日だったのです。
また、中国では、道教の考えに基づいた「三元」という風習があり、夏の「中元」の日はいまでも死者供養の日とされています。この中元もまた旧暦の7月15日です。
このような仏教説話や道教の慣習を経て、日本でもお盆と言えば「旧暦の7月15日」を中心に行われていましたが、明治時代の改暦によって、お盆の時期が3つに分かれてしまいます。
▶7月盆(新暦の7月13日~15日)
主に東京や関東地方の一部で見られます。明治政府の改暦にあわせて新暦の7月にお盆を行います。これまで夏の季節に行われていたお盆でしたが、7月盆の地域では梅雨に行うこととなります。
▶8月盆(新暦の8月13日~8月15日)
私たちがもっともなじみ深いのが8月盆です。日本中で8月盆を採用しているところが多く、企業なども8月のお盆時期を特別休暇としています。お盆の季節感を大事にしつつ、毎年やって来るお盆の時期を固定するために、1か月遅れでお盆を設定したのです。
▶旧暦盆
沖縄地方などで見られます。ご先祖様を大切にする沖縄などでは、一般的社会活動は新暦で動いていますが、伝統的な仏事や祭事はいまも昔ながらの旧暦で執り行います。新暦では1年は365日ですが、旧暦の場合、平年は354日程度、閏年は384日程度と、新暦で計算すると年によって異なります。そのためお盆の時期も毎年異なります。
ちなみに、この記事を執筆してる2023年のお盆は8月28日〜8月30日です。
このように、まずは日本全国でお盆の時期が3つに分かれるものであることを押さえた上で、初盆(新盆)の時期について解説していきます。
四十九日後から起算する
初盆(新盆)は、四十九日を終えた日から数えて、今年はじめてお盆を迎える場合に該当します。
7月にご逝去された方は、四十九日がお盆を超えてしまうので、翌年が初盆(新盆)となりますが。
6月が命日の方の場合、初盆(新盆)を今年にするか来年にするか、頭を悩ますところです。というのも、お盆の入りを8月13日とした場合、49日さかのぼると6月25日なり、この境界をどう捉えるかが、お寺によってさまざまだからです。
厳密に言うなら初盆(新盆)を今年行うか、来年にするかの境目は次の日付になります。
命日が6月24日→四十九日が8月12日→今年が初盆(新盆)
命日が6月25日→四十九日が8月13日→来年が初盆(新盆)
ただし、実際にこの考え通りに初盆(新盆)を迎えるかというとそうでもなく、現場での対応はさまざまです。
たとえば、四十九日とお盆が重なった場合、お寺側としては一年で一番忙しい時期でまとまった時間が取れないため、少し早めて四十九日法要をすることも少なくありません。この時に、初盆(新盆)の供養をまとめて行うこともあります。
また逆に、たとえお盆の時期であっても、忌日通りに四十九日法要をして、その翌年に初盆(新盆)を行うこともあります。
このあたりの方針は、菩提寺、あるいは寺院を紹介してくれた葬儀社になどに相談してみましょう。
初盆(新盆)だけ期間が長い地域もある
通常のお盆では、7月または8月の13日がお盆の入りですが、初盆の場合、その月の1日や7日をお盆の入りとするなど、今でも故人を長く供養する習慣が各地で見られます。
お盆月の1日は「釜蓋朔日」と呼び、地獄に通ずる窯が開いて、死者との交流が行きかう日と考えられています。この日から地域や家を掃除して、ご先祖様をお迎えする準備を整えます。また、7日に自宅に飾る精霊棚や軒先に吊るす燈籠を設置するところもあります。
関西地方の一部地域では、いまでも「七日盆」と呼ばれ、初盆(新盆)の魂は8月7日からお迎えする風習が残っています。
初盆(新盆)の準備
初盆を迎えるにあたり、家族はどんな準備をすればよいのでしょうか。
お寺や親戚に連絡
お寺によるお参りがいつ行われるのか、事前に確認しておきます。また、日程や場所が決まったら、お参りしてほしい親戚にも早めに連絡しておきましょう。
盆提灯
仏間にはお盆用の提灯や行灯を飾りますが、初盆(新盆)の家では白い提灯を玄関先に吊り下げます。これを白紋天とも呼びます。白紋天の灯りを頼りに、故人がわがやに帰ってきてくれると信じられています。
最近ではマンションなどの集合住宅に住む方も多く、周囲の人に知られたくない方向けの室内用のものも販売されています。
精霊棚
お盆の時期には、精霊棚と呼ばれるお盆専用の祭壇を組み、そこに位牌を並べてご先祖様を供養します。精霊棚の飾り方は地域によって差が大きく、ここではその一例をご紹介いたします。
- 仏壇の前や横に小机準備し、真菰(まこも)を敷く
- 仏壇から出した位牌を机の上に並べる
- 線香、ローソク、供花などを並べる
- 精霊棚の左右に提灯を飾る。天井から吊る提灯、畳に置く行灯のどちらでもよい
- 季節の野菜や果物、そうめんなどのお供え物、精霊馬(キュウリとナスで馬と牛に見立てたもの)を供える
- ナスとキュウリを刻んだものを洗い米と混ぜて、蓮の葉の上に供える(「水の子」や「餓鬼飯」と呼ばれる)
- 四隅に笹竹を立てて結界を作り、竹の上部にしめ縄を張ってほおずきを吊るす
このほかにも、精霊堂と呼ばれるお堂を祭壇に設置する地域、精霊棚を土間や庭に設置する地域、精霊棚を不要とする地域など、さまざまです。
お供え物
仏壇や精霊棚にお供え物を並べます。お供え物の定番は、複数の人で分けられるよう、小分けにして長持ちするものです。お菓子や果物、季節感のあるゼリーや羊かん、ジュースやアルコールなどもよいでしょう。
迎え火・送り火
お盆の風物詩は、迎え火と送り火です。軒先でおがらの火をつけて煙を出す、お墓に灯した火で自宅の盆提灯に灯すなど、さまざまな方法があります。
最近は、お盆の入りの日と、ご先祖様を送る日に、それぞれおがらに火をつけて煙を出します。この煙を頼りにわが家にやってきて、煙に乗って仏の世界に帰っていくのです。
初盆(新盆)の場合は、ことさら地域の慣習に沿って行いましょう。七日盆が行われる関西地方では、8月7日に初盆(新盆)を迎える故人のために迎え火を焚き、13日にその他のご先祖様への迎え火を焚き、15日にすべての霊を送り出すために送り火を焚きます。
京都の大文字焼、各地で行われる精霊流しも、送り火のひとつです。
お墓参りとお墓掃除
お盆は帰省の時期ですから、お墓参りに出かける人もたくさんいます。
迎え火と送り火の際にお墓の灯を使う地域では、この風習がそのままお墓参りとも重なることになります。
また、お盆の期間中はお墓の中にご先祖様がいないことから、ご先祖様が留守中である8月14日にあえてお墓掃除をする地域もあるようです。
初盆(新盆)の供養
初盆(新盆)では、主に2つの供養があります。
僧侶が自宅にお参りする「棚経」
お盆時期になると、お寺の僧侶は檀家の各家をまわり、お経をあげます。これを「お盆参り」や精霊棚に向けて読経されることから「棚経」などと呼びます。
初盆を迎える家の場合、特に念入りにお経を読んでくれます。地域によっては四十九日や一周忌の法要のように、親戚が集まってともに供養をします。
お寺で営まれる「施餓鬼法要」
お盆には、先祖供養ともうひとつ大切な意味があり、それが施餓鬼です。
施餓鬼とは、前の章で紹介した目連尊者の伝説に由来します。修行者たちに飲食を施すことで餓鬼道に堕ちた母を助けられたことから、餓鬼道に堕ちた諸霊を供養する「施餓鬼法要」が、日本各地のお寺で行われます。
この施餓鬼法要を、初盆(新盆)を迎えた家の合同法要と位置づけているお寺もあります。
お盆飾りの片づけ方
初盆(新盆)でしか使わない飾り物は、基本的には使いまわしをせずに処分します。
初盆(新盆)用の白提灯、蓮の葉や精霊馬などは処分します。ゴミとして出す、仏具店や葬儀社が引き取る、地域でお焚き上げをするなど、地域の慣習に従いましょう。
また、柄の入った通常の提灯や仏具など、毎年使えるものはきれいにして保管します。
お供え物は可能な限り家族や親戚で分けます。ただし夏の暑い季節なので、食べきれないものや数日間お供えし続けていたものなどは、可燃ごみとして捨てます。きちんと清めて処分したい人は、塩を振ってからゴミに出しましょう。
初盆(新盆)のよくある質問
初盆(新盆)に関するよくある質問にお答えします。
初盆(新盆)の服装は?
初盆のお参りは平服で構いません。夏の暑い時期なので、無理のない格好にしましょう。
もしも形式を整えた法要を営むのであれば、黒の喪服を着用します。
男性の場合、ジャケットを無理にはおることなく、白のワイシャツに黒のネクタイをしめておけば問題ありません。
女性も、黒のワンピースなど、上半身は半袖の形をとっても失礼には当たらないでしょう。
初盆(新盆)の香典の相場は?
故人との関係性によります。親戚であれば5千円〜1万円。友人、知人、ご近所という間柄であれば3千円~5千円でしょう。
もしも法要後の会食に招待されているのであれば、追加で5千円~1万円程度包みましょう。
お坊さんへのお布施の相場は?
初盆(新盆)のお参りの場合1万円~3万円が相場とされています。通常の棚経であれば3千円~1万円です。
このほかに御車代や御膳料をそれぞれ5千円~1万円ほど包むと、より丁寧な対応となるでしょう。
まとめ
お盆はご先祖様と出会い、想いを馳せるための仏事です。特に初盆(新盆)は、悲しみの癒えぬ間にやってくるので、家族や親戚みんなで故人を迎え入れたいものです。こうした仏事を通して、私たちがたくさんの存在との繋がりの中で生かされていることを実感できることでしょう。
▼詳しい内容と手配方法▼初盆(新盆)の意味に関するよくある質問
クレジットカード払いにも対応
はじめてのお葬式に
役立つ資料プレゼント!
- 費用と流れ
- 葬儀場情報
- 喪主の役割
監修者のコメント
岩田 昌幸 一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
お盆は先祖祭祀と仏教の盂蘭盆会が融合されて一般に広く行われているイベントです。盆と正月といわれるように、日本では大切な行事として親しまれています。お盆は「イキミタマ」「生盆」といって、生きている親に対して子供達が魚などを届けて共食する地域の習俗もあります。