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お葬式で故人を悼み、時には遺族よりも激しく泣く「泣き女」という職業があるのをご存知でしょうか。お葬式では厳粛な雰囲気の中、静かに故人を偲び、悲しみに浸る方が多いでしょう。
悲しみを表現することもまた、身近な人との別れを受け止め、その悲しみから立ち直るためには必要な課程であるとグリーフケアの観点からも指摘されています。
そうは言っても、特に遺族は葬儀などの忙しさの中、悲しみを表現するのは難しい、と感じるでしょう。
そんな故人とのつらい別れを、葬儀の場で泣いて表現してくれる存在が「泣き女」です。ここでは「泣き女」の仕事内容と国によって異なる泣き女の存在について説明します。
「泣き女」とは、葬式の時に大げさなほど激しく泣き叫び、時には遺族以上に号泣するのを仕事としています。「泣女(なきめ)」や「泣き屋(なきや)」とも呼ばれ、「哭き女」や「哭女」とも書きます。
圧倒的な存在感を放つ泣き女ですが、特に韓国や中国のアジア圏で見られる職業です。
弔問客として葬儀、主に出棺の際に参列し、泣き女が率先して激しく泣くことで、ほかの参列者が泣く手助けをしています。悲しみを押し殺すのではなく、ともに悲しみを表現するために泣き女は存在しているのです。
では、一体どのような理由で泣き女の職業が成立したのでしょうか。
泣き女の職業は儒教の考え方が根付いているアジア圏が中心であり、儒教では、参列者の涙の量が故人の生前の徳を表すと考えられています。泣き女は、その涙の量を増やす役割を担っているのです。
また一説には、泣き女の慟哭とも言える泣きが、悪霊ばらいや、死者が復活するとされる魂呼ばいとしての性格を持つと言われています。
こういった背景のもと、泣き女は大げさに泣くほど良いとされ、地面に泣き崩れたり、激しく声を上げて叫ぶ姿を見せるのも、悲しみを表現するため、また故人の徳を増やすため、さらには故人の魂を復活させるためという、遺族の願いが込められているのです。
では、泣き女の給料はどれくらいなのでしょうか。
かつての日本では職業としての泣き女が存在しており、その当時は報酬をお金ではなく米や味噌などの現物で支給していました。
泣き方に応じた米の量があり、「五合泣き」や、さらに激しく泣く「一升泣き」などと呼ばれていたそうです。
現在も泣き女が存在する韓国や中国では、一回につき平均200元(日本円で3,000円相当)というデータもあるようですが、はっきりしていません。
しかし、出棺の際だけ、という10分から20分ほどの拘束時間のため、一回の報酬は時給に換算すると高いと言えるでしょう。
激しく泣くだけでなく、「悲しみ」や「つらさ」などを訴えかける泣きの演技や振る舞い、台詞などを磨くことで人気が出るようになると、報酬も大きく変わります。
人気が出て引っ張りだこの「プロ」の泣き女になると、給料もかなり稼げるようです。
日本では今でこそ泣き女の習俗はありませんが、古代から日本全土で存在しました。やがて時代とともに廃れていった習慣ですが、三宅島や八丈島、奄美大島などの島嶼部では、戦前まで行われていた記録が残っています。
泣き女は、遺族の代わりに大きな声を上げて泣くことで故人を悼み、死者にとっては馳走となる涙を流して報酬を受け取っていました。同時に、取り憑いた悪霊を取り除く悪霊払いや、死者の魂を呼び戻す魂呼ばいの性質も併せ持っていました。
悪霊払いは今でも節分などで垣間見ることができます。魂呼ばいは、かつては土葬であったことから、死者の復活が信じ願われており、死者の出た家の屋根で、死者の名を大声で呼ぶなどしていたそうです。
泣き女の習慣は朝鮮半島が特に有名です。朝鮮半島では儒教の考えが根付いており、儒教には、「哭礼(こくれい)の儀式」という、葬式でのしきたりがあります。
これは葬儀におけるマナーのひとつともいえ、親を亡くした子どもは悲しみのあまり声を出して泣くことができないので、周囲の者が代わりに大声を上げて泣いたのが習慣となりました。
しかし、儒教成立以前から泣き女の習慣は存在しており、「哭礼の儀式」と併せて根付いていったと想像されます。
ピラミッドやラクダで有名なエジプトでも泣き女は存在していました。エジプトでは、古代エジプトの壁画にも描かれるほどはるか昔から泣き女の存在は認められ、旧約聖書にも記されています。
エジプトの泣き女は自らが泣いて他者の涙を引き出すのではなく、故人の業績や美徳を感動的な言葉で賞賛し、それを聞く人々の心を揺り動かすことで泣かせていました。
他国の泣き女とは異なり、泣きの演技ではなく、雄弁に物語る話術を心得ていたと言えます。
泣き女の中にはタンバリンを持ち、巧みに駆使して人々を感極まらせ、慟哭させました。
ベトナムでも職業として泣き女は存在しています。葬儀の始まりから埋葬まで、必ず誰かが泣いていないといけないという考えから、泣き女を雇って故人のために涙を流すそうです。
その他の国での「泣き女」はという職業は見られるのでしょうか。
中国では韓国同様、泣き女の存在は有名で、葬儀の際に泣き女をどれだけ呼ぶかが家の名誉ともされていました。
そのため、50人から60人もの泣き女を呼ぶこともあったそうです。葬儀の際には泣き女の激しい慟哭に加え、盛大な爆竹、チャルメラを吹くなど、賑やかに行われます。
また、英語圏のイギリスではバンシーという妖怪・妖精の化身が泣き女に通じています。
バンシーは家人の死を予言すると言われており、バンシーの泣き声が聞こえた家では近い将来死者が出ると言われているそうです。
複数のバンシーが泣いた場合は、死者は勇敢もしくは聖なる人物であった証であるとも言われました。
バンシーは女の妖精であり、男性がいない点も泣き女と類似しています。その容姿や振る舞いは多様性に富んでおり、移民などによりアメリカにも伝わったようです。
さらにメキシコでは、ジョロナという伝説の女性が泣き女とも呼ばれています。
ジョロナは我が子を殺された悲しみのあまり、夜ごと我が子を探して泣きながらさまよい、全ての人に恐怖を与えたそうです。
泣き女は、現在も職業として存在している韓国や中国だけでなく、かつての日本やエジプト、イギリスなど世界中に存在していました。
どの泣き女も、故人に対する敬意と失ったことへの悲しみを示していることがうかがえます。
葬儀に対する遺族、参列者の心構えとして学ぶべき点は多いのではないでしょうか。
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※本記事の情報正確性等につきましては、細心の注意を払っておりますが、いかなる保証もするものではありません。特に宗教、地域ごとの習慣や個別の事情によって考え方や対応方法が異なることがございます。掲載情報は、ご自身の責任と判断においてご利用ください。情報の利用によって何らかの損害が発生した場合でも、当社は一切の責任を負いません。本記事に掲載の提供情報は、法的アドバイスの提供を目的としたものではありません。
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