喪中って何?期間や過ごし方のポイントまとめ
- 2024年11月28日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
家族や親族との別れは突然訪れるものです。家族・親族が亡くなった場合には、「喪中」と呼ばれる期間があります。
日本人の多くが「喪中は仏事にまつわるしきたり」という認識はあるものの、具体的にどのような過ごし方をすれば良いのかという点があいまいであるという問題があります。
喪中の期間や過ごし方を正しく理解して、故人の死を悼みましょう。
この記事では、喪中の期間や過ごし方、喪中と忌中の違いなどについて詳しく解説していきます。
目次
そもそも喪中って何?
喪中とは、家族や親族などの近親者が亡くなった場合、死を悼んで行動を慎むために設けられた一定の期間のことをいいます。
家族など大切な人との別れが突然訪れる可能性は、誰にでもあります。そして、近しい人の死を経験すると、遺族の多くが悲しみに暮れる日々を過ごすようになるでしょう。
このような理由から、故人の冥福を祈り、遺族が日常の生活に戻るために、喪中は現代でも必要なものとして日本人に認識されているのです。
また、故人の死を悼み、身を慎む行為を「忌服(きぶく)」や「服喪」と呼ぶこともあります。
「忌」という漢字は、死者の穢れを忌むことを意味するものです。以前から日本では近親者が亡くなると、一定の期間だけ社会的な慶事から離れて過ごすということが行われていました。
もともと日本では「死は穢れたもの」として扱われてきたため、現代でも「喪中に慶事は控える」というしきたりが残っているといわれています。
喪中と呼ばれる期間は、晴れがましいことや派手な行動は慎むのがマナーです。
具体的に述べると、喪中には結婚などのお祝い事や、遠方への旅行などは控えるべきでしょう。
他には、正月飾り、鏡餅などの飾りつけなどは行わないものとされています。加えて、神社への初詣も控えるケースも多くあります。
喪中に初詣や祝い事などを控えるのは、遺族が外部との接触を断ち、死の穢れを他の人へ移さないということが主な目的です。
しかし、それだけでなく、喪中には「遺族が悲しみを乗り越えるための期間」という意味合いも含まれているといえるでしょう。
忌中とは何が違う?
「喪中」と似ている言葉として、「忌中」という言葉が挙げられます。
これらの言葉は近親者が亡くなったときなどに耳にするものですが、本来の意味合いは少々異なるといわれています。
まず、「忌中」も「喪中」も、近親者の死に際して喪に服す期間を指しているものです。よって、忌中・喪中どちらの言葉に関しても「身を慎む」という意味があり、加えて過ごし方やマナーは共通しています。
ただし、忌中と喪中とでは身を慎む「忌服」と呼ばれる期間が異なります。
具体的に、忌中の期間については、不幸があったときから数えて仏教では49日間、神道では50日間です。
このように、宗教によっても忌中の期間は違います。
仏教では亡くなってから49日を忌中とし、「忌明け」は四十九日法要を終えた後のことを指しています。
四十九日は「満中陰」とも呼ばれており、この頃に「満中陰法要」や「忌明け法要」と呼ばれる法事法要をとり行うのが一般的です。また、このタイミングで納骨を行うケースも多いことから、49日が経つ頃には遺族であっても死の穢れがなくなっていると捉えられる場合が多いといえるでしょう。
一方で、喪中は1年間が目安とされています。喪中については宗教はあまり関係がなく、故人との別れによる悲しみや精神的なショックを乗り越えるために設けられた期間です。
ただ、この期間はあくまでも目安と捉えられることも多く、現代では喪中に対する考え方そのものが多様化しているといわれています。
喪中の期間はどれくらい?
喪中の期間は、故人と遺族との関係性によって異なります。
このことは、明治7年に出された太政官布告の「服忌令」によって細かく規定されています。
武家の忌服制に基づいた「服忌令」によると、具体的に、父母や夫は13カ月、義父母は150日、子どもは90日、兄弟姉妹は90日が喪中期間といわれているのです。
その後、太政官布告の「服忌令」は昭和22年に廃止されました。
しかし、「服忌令」によって定められた喪中期間は、現代でも目安として参考にされているといわれています。
ただし、「服忌令」で規定されたようなものは、現代人の生活にはそぐわないともいわれています。したがって、「服忌令」に記された喪中期間はあくまでも目安として知っておき、遺族が故人の冥福を祈りながら過ごすための期間として捉えておくと良いでしょう。
忌中や喪中の基本的な過ごし方
遺族が忌中や喪中を過ごす場合には、基本的な過ごし方のマナーを心得ておくことが欠かせません。
まず、忌中・喪中は身を慎む期間とされているため、遺族は慶事・祭典の主催をしてはなりません。
具体的には、遺族が自ら結婚式を挙げたり、神社へお参りしたりすることなどは控えるべきといわれています。他には、家の新築や改築、神事を伴うお祭りへの参加なども、極力避けるのが無難といえるでしょう。
しかし、自分の意に反してお祝い事に招待されるのは誰にでも起こりうることです。
万が一、結婚式などのお祝い事に招待された場合は、先方や身内に相談するなどして、出席するかどうかを決めるようにしましょう。
また、現代では故人や遺族のことを考えて、忌中や喪中に関係なく、お祝い事に参加・主催するケースも見られます。たとえば、故人が生前楽しみにしていたお祝い事であれば、忌中・喪中であってもあえて予定通りとり行うという場合もあります。
慶事・祭典の内容にもよりますが、遺族にとって重要な慶事であるならば、「故人も喜んでくれるだろう」などと柔軟に考えるようにすると良いでしょう。
しかし、このような場合には、周りの遺族にもしっかりと相談してからとり行うことがポイントです。忌中・喪中に遺族が慶事・祭典を主催したり、参加したりするときには、前もって親族らに相談してそれぞれの意思を確認しておきましょう。
喪中の正月の過ごし方は?
服喪期間に気をつけたい事柄のひとつとして、喪中の正月の過ごし方が挙げられます。
本来であれば、正月は親族や友人、会社の同僚などに年賀はがきを出したり、家族でおせち料理を囲んで賑やかに過ごしたりする人が多いでしょう。
しかし、喪中には祝い事や慶事などを控えるのがマナーです。
まず、喪中の場合、新年のあいさつは控えるのが礼儀といわれています。
ただし、毎年、年賀状のやり取りをしている人に対しては喪中はがきを送って、喪中であることと、年賀状は送れないという旨を伝えておくと良いでしょう。
喪中はがきは11月中旬以降から12月初旬には届くように、早めに準備をしておくのがポイントです。
次に、新年のお祝いは控えるのがマナーといわれています。
たとえば、正月飾りや鏡餅、お屠蘇などは、日本の正月の定番です。
しかし、これらのものには新年を祝うという意味合いがあるため、喪中期間には控えるようにしましょう。
また、お年玉やおせち料理なども、正月に関するものです。
そのため、本来ならば控えるのがマナーといわれています。しかしながら、お年玉やおせち料理は、子どもにとって楽しみのひとつです。
そのため、喪中であっても子どもにお年玉をあげようと思ったら、表書きを「お小遣い」や「書籍代」、「文具代」などに変更して渡しても良いでしょう。
このように見ていくと、喪中期間の正月の過ごし方は何かと制限が多いと思われがちですが、お年玉・おせち料理は状況を見て、家族や親族と相談したうえで決めることが大切です。
喪中の結婚式の参加や挙式は大丈夫?
喪中であっても、結婚式に招待されるケースはあります。
しかし、結婚式は慶事であるため、参列は控えるのが一般的です。ただし、自分が喪中であっても、友人や会社の関係などでどうしても結婚式に参列しなければならないという状況も実際にはあります。
このような場合、結婚式に出席するのであれば喪中であることは相手に伝えないという気配りが求められるでしょう。
また、自分が喪中である場合には、結婚式を主催することは控えるべきとされています。
しかし、四十九日法要の後は忌明けとされているため、49日を経過したら問題なく挙式をとり行って良いという考えもあるのです。
通常、結婚式の日取りは数カ月前から決まっているケースが多いため、キャンセルすること自体が難しいという現実の問題もあるでしょう。したがって、喪中の挙式については新郎新婦だけでなく、家族や親族の意見も参考にしながら決めましょう。
喪中に旅行に行くのは問題ない?
喪中には、遊興を控えるという考え方があります。
旅行は娯楽として考える人も多く、遊興にあてはまる可能性が高いため、喪中の旅行は控えたほうが良いとされるケースがほとんどです。
しかし、実際には、喪中に旅行に行くのはいけないという決まりはありません。
ただ、特に忌中期間は遺族にとって精神的なショックが大きいことから、「旅行に行く気分にはならない」ということはよくあります。加えて、喪中に旅行に行くというと、「近所の人から不謹慎だと思われるのではないか」などと、周りの人の目を気にすることもあるでしょう。
このような理由から、喪中期間の旅行は避けられる傾向にあるようです。
さらに、現実的な問題として、近しい家族や親族が亡くなったときにはお墓や遺産分割、遺品整理など、さまざまな事柄に時間を費やさなければなりません。
色々な手続きなどを行わなければならない負担を考えると、忌中期間は遺族は特に忙しい日々を過ごすことになるため、旅行に行く時間的な余裕が持てないという可能性もあります。
ただし、喪中であっても気分転換や、大切な人が亡くなった悲しみから立ち直るために旅行に行くケースも実際にはあります。
たとえば、故人との思い出が詰まった旅行先などを訪れる場合には、遺影を持って出かけてみるのも良いでしょう。
遺族として悲しみから立ち直るために、旅行をして気分転換をするということ自体は決してタブーではないといえます。
喪中を過ごすときの注意点
遺族が喪中を過ごすときには、いくつかの注意点があります。
まず、喪中で避けるべきお祝い事のひとつとして、正月行事が挙げられます。
正月を迎え、新しい年を祝うということ自体が晴れがましいことです。そのため、喪中期間には正月行事は控えるのがマナーです。
具体的には、おせち料理を食べたり、玄関先に門松やしめ縄飾りを取りつけたりするなどのことは控えるのが通例といえるでしょう。
次に、喪中期間であってもお中元やお歳暮、季節の挨拶、お礼などは通常通り行うようにしましょう。
お中元やお歳暮はお祝い事にあたるものではないため、先方が喪中期間の場合でも贈り物をしても構いません。
ただし、お中元・お歳暮の贈り物をするときには、紅白の水引はかけないようにすることがポイントです。その代わりに白無地の奉書紙、または白の短冊を使用して、お中元・お歳暮の表書きにするのがマナーといえるでしょう。
忌中・喪中時にお寺へのお参りは問題なく、むしろ積極的にお参りしたいところです。 ただし忌中時の神社への立ち入りは控えましょう。死後50日を過ぎれば立ち入り可とする神社が多いですが、神社によっても異なります。
お寺は、葬儀や四十九日法要などが行われる場所のひとつです。そのため、忌中・喪中の期間であってもお寺にお参りすることは良いこととされています。これは、仏教と神道の死生観の違いのあらわれです。
仏教は死を穢れと捉えていないため、故人の死を悼み祈りをささげたいときにはお寺を訪れるようにすると良いでしょう。
喪中の正しい過ごし方を知っておこう!
家族や親族が元気に過ごしている間は、喪中の意味や過ごし方などについて考えることはありません。しかし、近しい人の死を経験したときに、初めて喪中のマナーや重要性に気づかされるものです。
喪中の意味や期間などの正しい知識があると、故人の死を悼みながら、遺族として悲しみを乗り越えるきっかけにもなります。
また、喪中のマナーなどを把握しておけば、喪中の期間を過ごしている遺族と接するときにも適切な心配りを行うことができるでしょう。
遺族は喪中の過ごし方のポイントを押さえておけば、マナーを守りながら喪中期間を正しく過ごすことができます。
喪中の過ごし方などで悩んだときには、家族や親戚などに相談して、遺族としての最善の過ごし方ができるように心がけましょう。
特に、喪中期間の旅行や正月、慶事・祭典などは、身内でも意見が分かれる可能性があります。そのため、必要に応じて周りの人に相談し、喪中であってもときには柔軟な対応ができるようにすると良いでしょう。
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監修者のコメント
岩田 昌幸 一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
喪中時は、「初詣は避けるべき」と言われていますが、宗教的な意味では寺院はOK、神社は五十日祭を過ぎればOKとするところが多いです。しかし、新年のお祝いムードがあふれる中、喪中の最中に足を運ぶのも積極的におすすめはできません。年末年始はお墓参りなど静かに過ごしてみてはいかがでしょうか。