海洋散骨とは?海に散骨する方法と費用相場について
- 2024年10月09日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
海洋散骨は、遺骨を海に散布する葬送方法です。厚労省のガイドラインでは、法令遵守、場所や環境への配慮、安全確保が求められています。
散骨には粉骨が必要で、専門業者に依頼するのが推奨されます。故人の希望や金銭的理由、後継者がいない場合など、特定の人に適しており、費用は方法により異なります。
私たちの社会では、亡くなった方の焼骨をお墓に納めるのが古来から続く常識だと思われがちですが、最近では供養の形も多様化し、さまざまな方法が採られています。
その象徴が、お墓を設けずに粉末状にした遺骨を撒いて自然に還す「散骨」で、散骨の中でも最も多いのが海で行われる「海洋散骨」です。
故人が元気なうちから散骨を望んでいたとしても、実際に遺族の立場になると、散骨は過去に自分たちが経験したことのない葬送方法となり、踏み切れないという人も少なくありません。
この記事では、海洋散骨がどのような葬法なのか、基本的な事柄、流れ、費用などについて詳しく解説します。大海原に還っていくことを望んだ故人の最後の願いを叶えるためにも、どうぞ参考にしてみてください。
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目次
海洋散骨とは?
まずは、海洋散骨についての基本的な事柄について解説いたします。
散骨とは?
散骨とは、粉末状にした遺骨を海や山や川などの自然に撒く葬法のことです。
これまでの日本社会では、遺体を土の中に埋葬する土葬や、火葬したのちに遺骨を土中に埋蔵するなどの方法が広く行われてきましたが、近年散骨がにわかに注目を集めています。
これまでは、散骨についての明確な法律がない中で、散骨業者は「これなら違法にあたらないだろう」と、いわば既存の関連法の隙間で事業を展開しました。やがて、高齢化社会や、宗教の多様化など、散骨が現代社会のニーズに応えていることから、徐々に社会全体に広がり始めているのが実情です。
民間の動きに対して法整備がなされていないことを危惧する声は各方面から聞かれました。こうした流れを受けて、令和2年度、厚生労働省のホームページに、散骨に関するガイドライン(事業者向け)が掲載され、はじめて国が公に指針を示したこととなります。
この中で、散骨とは次のように定義づけられています。
墓埋法に基づき適法に火葬された後、その焼骨を粉状に砕き、墓埋法が想定する埋蔵又は収蔵以外の方法で、陸地又は水面に散布し、又は投下する行為
つまり、国が散骨として認めるのは、次の要件を満たしたものです。
- 法律に基づいて遺体を火葬していること
- 焼骨を粉状にしていること
- 墓地として認められた場所以外の陸地や水面に散布、投下すること
こうした散骨行為を民間業者が事業としておこなう際のガイドラインがまとめられたのです。次章で詳しく解説いたします。
厚労省が示したガイドラインのポイント
ガイドラインとは、あくまで行政庁が作成する運用基準、行動指針に過ぎず、国会で定められた「法律」ではないため、法的根拠はありません。
しかし、国が指針を示したことは、散骨の一般化に向けては大きな一歩となることでしょう。
このガイドラインは、あくまでも事業者向けのものですが、一般利用者の方々にとっても、散骨がどういうものかを考える上で、大きな学びになるかと思います。
法令の遵守
散骨は、さまざまな法律を守りながら行わなければなりません。具体的には「墓地、埋葬等に関する法律」「刑法」「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」「海上運送法」「民法」、その他各地方公共団体が制定した条例やガイドラインなど遵守すべきことが示されています。
散骨を行う場所
散骨の場所については、陸地の場合は「あらかじめ特定した区域」、海洋の場合は「海岸から一定の距離以上離れた海域」と、曖昧な表現で終わってしまっています。散骨は、常に周辺住民とのトラブルの原因となってしまうだけに、実施場所には細心の注意と配慮が求められます。
陸地には必ず地権者がいます。誰かの土地に遺骨を撒くことは、その土地の所有者の宗教的感情を害しかねません。また、海での散骨も、その海域に遺骨が撒かれているという事実が、水産業や観光業への風評被害につながる恐れもあります。
熱海市のガイドラインでは「熱海市内の土地(初島含む)から10キロメートル以上離れた海域で行うこと」と示され、一般社団法人日本海洋散骨協会のガイドラインでは「人が立ち入ることができる陸地から1海里(1.852キロメートル以上離れた海洋上のみ」としており、これらを前提に、散骨の場所が選定されていくものと思われます。
焼骨の形状
火葬された焼骨は、その形状を目で見て分からなくなるまで、粉状に砕かなければなりません。
焼骨の粉砕(粉骨)は、ガイドライン策定前から行われていました。焼骨の状態で遺骨を屋外に撒くことは遺体遺棄罪にあたるからです。
また、遺骨を粉状に粉砕することは遺体損壊罪にあたらないのかという議論もありましたが、このたびのガイドラインにより、散骨を目的とする粉骨は問題ないと、国が認めたこととなりました。
関係者への配慮
これは、「散骨を行う場所」や「焼骨の形状」にもつながる話ですが、散骨を行うにあたり、住民、周辺住民や土地の所有者、漁業や観光業などを営む関係者の利益や宗教感情等を害することのない配慮が求められます。
散骨に限らず、葬儀社の新設や霊園の造成などの際に必ずと言っていいほど反対運動が起こるように、弔いに関する取り組みは嫌悪されがちです。その上、散骨はこれまでになかった新たな弔いの方法ですから、なおのこときめ細かい配慮が必要なのです。
自然環境への配慮
焼骨自体は自然環境に有害ではありません。また、散骨するにあたり、故人が愛用していたものも一緒に投げ入れたい気持ちは理解できます(棺の中への副葬品と同義)。だからといって、プラスチックやビニール製品など、自然に還ることのないものを撒いてはいけません。
利用者との契約等
散骨事業はまだまだ社会全体に普及しているとは言い難く、ゆえに新規参入がしやすい業界です。そのため、事業者の質も玉石混交と言わざるを得ないのが実情です。利用者が損を被ることがないよう、次に挙げる事柄を促しています。
- 約款の整備
- 利用者の契約内容の選択
- 契約の締結(契約内容の適切な説明と理解、契約書の作成、費用の明細書の提示)
- 契約の解約に応じる事
- 散骨事業者は、約款に定めるところにより、利用者の解約の申し出に応じること。
- 散骨証明書の作成、交付
国がこのようなガイドラインを策定したことが、業者選びの目安となるでしょう。
安全の確保
特に海洋散骨の場合は船の上での行為となります。遵守すべき「海上運送法」を守り、安全の確保を負う義務があります。
散骨の実施状況の公表
自社のホームページ等で、散骨の実施状況を公表すること。また、地方公共団体の求めがあればこれを提出すべきとしています。
散骨の注意点
厚生労働省がガイドラインを示したことで、散骨のあるべき姿が見えてきたかと思います。その上で、あなたが散骨をしようとしたときに、どのような点に気を付けなければならないか、そのポイントを押さえましょう。
必ず粉骨をしなければならない
散骨をするには、必ず遺骨を粉末状にしなければなりません。火葬を終えた焼骨のまま遺骨を撒いてしまうと、遺体遺棄罪にあたり、違法行為として罰せられます。
粉末状にするということは、周囲の人から見て、それが遺骨かどうかわからないようにするということです。厚労省のガイドラインには「粉状に砕く」としていますが、日本海洋散骨協会は、独自のガイドラインの中で
自ら行うより、専門業者に依頼を
「まわりに気づかれないのであれば、自らの手で散骨をしてもいいの?」と思う人もいるでしょう。結論を先に言うならば、自分たちの手で散骨は行えます。ただし、あまりおすすめはできません。
2023年3月現在、散骨そのものを取り締まる法律がないため、自分自身で散骨をしたからといって、罰せられるわけではありません(もちろん遺体遺棄罪などの関連法に抵触する行いは許されません)。
実際これまでも、「遺骨を粉末状にして、周囲に迷惑をかけなければ、散骨をしてもよい」という解釈のもと、さまざまな事業者が散骨を実施し、社会もこれを容認してきました。であるだけに、人知れず遺骨を粉状にし、自らの手で散骨を実施した人もいることでしょう。
しかし、厚労省がガイドラインを策定するまでになっており、それにあわせて散骨業者の事業内容も整備されつつあります。万が一のトラブル防止のために、専門業者に依頼するのが賢明でしょう。
また、法律上の問題だけでなく、心情的な負担についても、冷静に考えなければなりません。
亡き人の弔いは自分だけではかかえきれない大きく、そして深い問題です。だからこそ、歴史上、世界各地の文化や宗教の中で、宗教者や専門家の力を借りながら、故人を弔ってきたのです。
自分自身で散骨をしたものの、あとから「本当にこの方法でよかったのかな」と後悔しても、遺骨は二度と戻って来ません。こうした心の揺らぎをもまた、専門業者が担保してくれるのです。
散骨はどんな人に向いている?
墓石、納骨堂、樹木葬、永代供養など、さまざまな葬法がある中で、散骨はどのような人に向いているのでしょうか?
故人の生前の希望
「私が亡くなったら遺骨は海に撒いて」「生前から山が大好きな人だったから、山に還りたい」などと、故人の生前の希望に沿う形で散骨を選ぶ人が多くいます。故人の願いを果たすことで、故人も、そして家族の心もきっと満たされることでしょう。
金銭的な理由
墓地の購入や墓石の建立、さらには納骨堂や樹木葬の購入など、お墓にはそれなりの費用がかかります。
しかし、手を合わす場所を作る必要のない散骨は、はるかに安価な費用で故人を弔うことができます。
身寄りがおらず、お墓の後継者がいない人
お墓や納骨堂に遺骨を納めても、お参りに来る人がいないのであれば、はじめから散骨にして、遺骨を自然に還そう、と考える人が散骨を選びます。
従来の宗教への信仰心がない人
伝統的な宗教や、従来からの供養の方法を、心情的にあえて避けたいと考える人が、散骨を実施しています。
海洋散骨の費用相場
海洋散骨とひとことに言っても、その内容は実にさまざまです。海洋散骨のプランを費用について解説します。
散骨の方法によって費用は異なる
散骨の費用はその方法によって異なります。
▶委託散骨 5万円程度
委託散骨とは、故人の散骨を業者に委託することです。家族は遺骨を業者に預けるだけで済みます。一定数の遺骨が揃ったら散骨が実施されるため、業者側のコストが軽減され、費用を安く抑えられます。費用相場は5万円前後です。
▶合同散骨 10万円~20万円
複数の家族が一艘の船に乗りあわせて、海の沖合で散骨をします。船のチャーター代を乗り合わせた組数で割ることができるため、比較的安く散骨ができます。
▶個別散骨 20万円~30万円
一組の家族が一艘の船をチャーターして、沖合で散骨をします。費用は最も高くつきますが、誰にも邪魔されずに自分たちらしい散骨ができます。
粉骨の料金は含まれているか
散骨をするためには必ず粉骨をしなければなりません。散骨業者が用意するプランに粉骨が含まれているかどうかは事前の確認が必要です。
散骨業者に粉骨も任せることもできますが、それ以外にも、火葬の際に粉骨まで実施してくれる火葬場や、粉骨のみを受け付ける業者もあり、事前にこれらを利用しても構いません。
海洋散骨の専門業者の選び方
散骨には、さまざまなトラブルの恐れがあります。これらを回避して安心の散骨を実施するためにも、信頼できる業者選びが大切です。
厚労省のガイドラインを参考にする
業者選びの際に参考になるのが、先ほどから触れている厚労省のガイドラインです。
「法律への知識と理解があり、ガイドラインをきちんと守っているか」 「約款や契約内容をきちん明示しているか」これらを照らし合わせて、自らが業者の質を見極める姿勢が大切です。
数社を比較して費用プランを見比べる
散骨業者は各地に存在していますが、業者ごとに料金設定、サービスの内容や質が異なります。だからこそ、希望のエリア内にある複数の業者を比較検討すべきです。資料請求、電話や対面による相談などをして、安心できる業者かどうか見極めましょう。
また、費用プランの比較も大切です。ただ安い業者を選ぶのではなく、プランに含まれている品目、追加料金が必要なもの、サービス内容の詳細をきちんと把握して、納得できるかどうかを判断しましょう。
こちらの疑問に丁寧に答えてくれる
馴れない散骨は分からないことばかりです。だからこそ、こちらの疑問に対する答え方で、その業者の質を見極められます。丁寧な言葉か、分かりやすい表現か、さらにはこちらの心や想いに寄り添ってくれているか。これらを満たす業者であれば、安心して散骨を任せられるでしょう。
せっかくの海洋散骨でトラブルに巻き込まれては後悔だけが残ってしまいます。だからこそ、事前の情報収集を念入りに行いましょう。
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海洋散骨の流れ
お問合せから海洋散骨の確定まで
海洋散骨、当日の流れ
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よりそう海洋散骨のプランは、全国の海洋散骨業者と提携しております。
また、必要なものだけのシンプルプランにすることで、全国対応・低価格でのプラン提供を実現しました。
散骨地域は全国7箇所から選べます。
海洋散骨に関するよくある質問
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監修者のコメント
岩田 昌幸 一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
散骨を希望する人は増えているように実感していますが、「海が好きだった」「海と縁がある」という理由だけでなく、近年は「お墓がいらない」「お墓を維持していくのが面倒」とお墓に対する否定的な意見から選ぶ人が増えているのが気になります。散骨は遺骨を遺棄することではなく、弔いを目的として行われるという意味は理解しておきたいものです。