新たな時代の墓参りの形、インターネット墓参りとは
- 2023年02月06日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
現在は、インターネットでお墓参りができる時代です。
インターネットが普及し、ネット上で買い物や旅行の予約、銀行振り込み何でもできるようになりましたが「ネットお墓参り」はまだ耳慣れない言葉かもしれません。
しかし、実情を調べるとその存在意義は確立しつつあります。
最近話題になっている「人生の仕舞い方」終活においても、自分流に人生を閉じ自分流のお葬式を希望する等、既成概念から脱却しつつある昨今、葬儀やお墓の概念も変わってきています。
昔からの習わしや決まり事に縛られず、各々が決めることといった傾向は、お墓参りのあり方にも新たな選択肢を増やしたといえるでしょう。そのひとつが「ネット墓参り」です。
インターネット墓参りとは
現在ネット上で存在している「ネット墓参り」とは、大きく分けて2種類あります。
1つ目は、実在するお墓にwebサーバー経由でお参りできる「併存型ネット墓」です。2つ目は、インターネット上にできたバーチャル墓(仮想霊園)にお参りする「単独型ネット墓」です。インターネット墓参りは、離れて暮らす兄弟、姑、父・母など両親がお墓は遠方でなかなか行けない方というや仕事などで忙しい方、経済的にお墓を建てることができない方には、とても有り難いシステムです。
ネットお墓参りの仕組みと手順
ネット墓参りの具体的な仕組みはどうなっているのか、興味のある方は多いと思います。
ネット墓参りは会員登録後に利用できます。一般的な申し込み方法は、喪主又はお客様となる方の名前、住所、電話番号、メールアドレスなど自分の情報に加え、故人の情報として名前、戒名・法名、生年月日、没年月日などを入力します。
そして、お墓が実在する場合はお墓の写真を送信し、ない場合はバーチャル墓(サイバー墓)の選択、その他、パスワード、公開するか否かなど、ネット墓の情報を選択します。利用するネット墓参りサイトによって多少の違いはありますが、大体このようなものを指示に従って提出し、お墓参りの為の閲覧権であるID登録をします。
ネット墓参りを利用するための費用
ネット墓参りを利用するための費用は、登録料や年会費、音声・動画を登録する場合の登録料、お墓や故人の情報を変更する場合の内容変更手数料などがありますが、支払い時期や方法などはサイトによって違います。ほとんどのネット墓参りの利用費用は、年会費2,000~3,000円前後、一式で1万円未満とリーズナブルな価格設定がされていますが、よく理解し納得したうえで支払い手続きをしましょう。
手続きが終わると、あとは所定のネット墓参りサイトにログインし、自分のお墓に入ります。すると、お墓の映像が出てくる仕組みです。
運営会社やサイトによって細かい仕組みは違いますが、お墓の前で線香をお備えし手を合わせる決まった工程を、あたかも実際に自分がしているかのように錯覚させる映像が創り出されています。バーチャルと知りながらも、お墓参りをした気持ちになるから不思議です。故人の写真が映ると心に染みわたるものを感じます。
「埋め墓」は実際あるお墓、「参り墓」はネット上のバーチャル墓
実際にお骨があり、お墓が世界中のどこかに現存しているケースは、分かり易く解釈すると実際のお墓にもお参りできますし、ネットでもお参りできる現代版「両墓制」と言えるでしょう。
両墓制とは、日本がまだ土葬だったころの墓文化です。実存しているお墓は、昔の言い方でいう「埋め墓」になります。実際にお骨が納められているお墓です。そして、お骨を納めたお墓とは別にお参りしやすい場所に建てた墓を「参り墓」と言い、埋め墓と参り墓を合わせて両墓制と言います。この参り墓がインターネット墓に当たります。お参り専用のお墓ということです。
お骨は自然界へ、お墓は心の中へ、故人だけのメモリアルスペース
お骨は自然界へ、お墓は心の中へ、故人だけのメモリアルスペース 全てがバーチャルで完結しているインターネット墓の場合、実在するお墓はありませんので、葬儀後のお骨の扱い方はご自身でお考え頂くということになります。遺骨は墓地や納骨堂などに遺骨を納骨するほか、お骨を粉末にして散骨するのも選択肢のひとつです。
どのようなケースであれ、お骨が無くお墓も存在していない場合にネット墓地や霊園でネット墓参りをするのは完全仮想空間です。愛する故人だけのメモリアルスペースがネットの世界で存在し続けることになります。
故人を想い手を合わせたくなった時、ご自身が亡くした喪失感に陥った時、助けてくれるのがネットお参りです。きっと心が穏やかになるでしょう。
インターネット墓地・霊園のお参りシステム
最近は、ネット墓地やネット霊園、また人間に限らずペット用のペット用墓地などもあります。インターネット墓地・霊園出のお参りの内容は次のようになります。
家に居ながらお墓参りができるネット墓地と霊園
基本的にネット墓地は、実存するお墓の写真を撮影してインターネットのお墓とします。そのお墓を各閲覧権利のある方がログインして閲覧するというシステムです。
実際行かなくても自宅で墓地や霊園の様子が見らる安心感と、ネットを介して墓前でお参りもできるというインターネットをフルに活用したサービスです。
お墓はいらない、生きた証はインターネット上に残す
前者ほど数は多くありませんが、インターネット上にお墓を作り、実際のお墓は持たないバーチャル空間のお墓は、イメージ映像で墓地や霊園を創り出し、お経をあげたり、水や花、焼香をしたりとネット上で参拝します。この場合は実際墓地や霊園を持っていない方でも、お墓がない方でも参拝できる仮想空間を提供するサービスです。
故人の生きた証を永遠に、ネット上に残すことができるというメリットがあります。
どちらも今では、様々なサービスが提供されています。ボタン一つで偉いお坊様の読経が聴けたり、納骨堂ではIDカードを差し込むと位牌が出てくる等各サイトで競い合い、リアル以上に良質なバーチャルサービスを創り上げているサイトもあります。これからますます進化が期待できる分野です。
WEBカメラで参拝するネット墓地
前述の1つ目に当たるシステムです。実際存在している墓地にWEBカメラを備え付け、墓地の様子をリアルに御覧頂けるサービスに加えて、いつでも好きな時に参拝がネット上できるようにシステム化したものです。また、お墓参り以外にも、ライブカメラによって法事・法要に参加できるサービスもあります。
運営会社によっていろいろなパターンがありますが、お寺や墓地、墓苑の管理者によるサービスの一環として提供していることが多いようです。
日本では、まだまだ知名度は低いですが、海外ではよく知られたサービスとなっています。
始まりは檀家やお墓の持ち主に、今の様子を見せるためだった
ネット墓参りができた経緯は、檀家様やお墓の持ち主様を対象に、遠方に住んでいる方や仕事など多忙な方などでも手土産も不要で手軽にお参りすることができますし、お体の弱い高齢の方でも負担が少ないように、お墓の今の様子をお見せしようと始めたそうです。その後、それならネットを介してお参りもして頂こうとネット墓参り(ハイテク墓)をはじめたところ想像以上に好評だということです。
基本的には、墓地・霊園に設置されたWEBカメラ(ライブカメラ)で墓地の入口からお墓の様子等を撮影し、その映像がネット上に流れます。
自分のお墓が映されると、お墓に向かって手を合わせお参りします。実際はパソコンやスマホなどの前で手を合わせるということです。ライブカメラが設置されている墓地であればリアルタイムでお墓の状況を確認することができます。
基本的な流れにプラスしてお経のBGMが流れたり、故人の好きだった曲を捧げることも自由です。ご住職様のお説教や読教を視聴できたりと様々なサービスが提供されています。
諸事情により定期的な墓清掃をできていない方も少なくないと思いますが、最近では、自分のお墓の前でお経をあげて頂くサービスや墓石の石磨き、無視の除去、雑巾がけ、清掃、草むしりなどの代行サービスを提供しているしるところもありますので、お墓のお手入れは代行屋に頼むこともできます。墓掃除代行では、実際に作業している様子をwebカメラで撮影し自宅で見ることが出来るという、ネットが普及したからこそできるサービスです。
仮想空間(バーチャル)のネット墓地
仮想空間に存在するインターネット墓地は、まだまだ普及しているとは言えませんが、バーチャル技術が発達してきている現在では、今後期待できる新しいお墓のかたちと言えます。
また、ネット墓参りの利用者の多くが実存するお墓をもっていることから、ネット墓地を主体とするのではなく、あくまでも補助的な役割で利用することが目的で利用する方が多いというのが現在の実情です。
ネット霊園は、故人が生きてきた足跡を残す所と言ったら分かりやすいかもしれません。これまでに何をして何を思ったか等々、残したい記録を生きた証として保管することができます。
公開する場合は、写真を投稿する方もいます。閲覧した人は“参拝者”としてメッセージを残すこともできます。全く知らない方が閲覧してメッセージを寄せる場合もあり、慰められたり慰めたりこのようなメッセージ機能が付いているサービスを提供している所もありますので、SNS(ソーシャルネットワークサービス)的なお墓参りのかたちと言えるでしょう。
このため、お葬式をしなかった方が代わりにネット霊園を利用してご挨拶を送るという使い方をしている場合もあります。
まだまだ出来たばかりの世界なだけに、運営管理者により様々で定義も曖昧なところがあるのも事実です。しかし、故人を偲ぶ心と弔いたい気持ち、懐かしみたい気持ちは、お仏壇の前で手を合わせてもネットを介しても思う気持ちは同じです。そもそも仏教は、「信じることと何が正しいのかを自分で考えること」という教えです。
お墓やお仏壇は、心を寄せて手を合わせる“目に見える”対象であると言う方もいらっしゃいますが、自分が何をお墓と思うのかが何よりも重要です。お墓お骨等物質的にはなにもない方にとって、たとえバーチャルでも目に見える心の拠り所となれば、存在意義は大いにあると言えるでしょう。
家族に面倒をかけたくないからお墓はいらないと言う方が増えている昨今、新たに生まれた仮想空間のネット墓地や霊園は、この先ニーズが増えるだろうと予想されます。
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監修者のコメント
岩田 昌幸 一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
現在、バーチャル墓参を提案している業者はいくつかありますが、実際のところまださほど浸透してはいません。葬送儀礼のシンプル化が進む中で、バーチャル参拝はオプションであり、課金システムを新たに契約する価値があるかどうか、今後のサービスの行方に注目です。そんな中、バーチャル参拝の元祖「仏壇」が近年見直されています。