一向宗とは?浄土真宗との違いや開祖、葬儀、仏壇の飾り方
- 2023年01月19日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
日本には数多くの仏教宗派が存在します。有名な宗派としては日蓮宗や天台宗、真言宗、浄土宗、浄土真宗などが挙げられます。それぞれの宗派によって仏壇の飾り方や葬儀の方法なども違います。
本記事では日本の仏教宗派のひとつ、一向宗という宗派の開祖や葬儀、浄土真宗との違いについてご紹介します。
一向宗とは?
一向宗とは、鎌倉時代の僧侶一向俊聖を祖とする仏教宗派です。一向宗は自らを一向衆と称し、弥陀如来以外の仏を信仰する人々や神社に参詣する人などを排斥していきました。一応は踊り念仏を行事としますが、念仏そのものに特別な宗教的意義を見出すことはなかったようです。
一向宗の開祖
一向宗の開祖は一向俊聖と言って良いでしょう。一向は現在の福岡県久留米市の草野永泰の第2子として生まれました。そして、1245年に播磨国書写山圓教寺に入寺して天台教学を修め、1253年には剃髪受戒して名を俊聖とします。しかし、翌年の夏には書写山を下り南都興福寺などで修行しますが、悟りを得られませんでした。
その後、鎌倉蓮華寺の然阿良忠の門弟となり、1273年から各地を遊行回国します。そこで踊り念仏や天道念仏を修して道場を設け、近江国番場宿の蓮華寺にて立ち往生して最期を迎えました。
以後、この寺を本山として東北や関東、近江などに一向の法流を伝える寺院が分布し、教団を形成するようになりました。
浄土真宗も一向宗と呼ばれる所以
親鸞の教えを浄土真宗と言いますが、一向宗とも呼ぶこともあるようです。もともと親鸞が一向宗と言っていたのではなく、親鸞が「阿弥陀仏一仏に向け」と教えていたため、世間の人が「あれは一向宗ではないか」と勝手に呼ばれていったと伝えられています。しかも、親鸞の教えに「一向専念無量寿仏」というものがあることから、他宗派から一向宗と呼ばれていることに対して否定はしませんでしたが、自称することに対しては寛容ではありませんでした。
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親鸞の教えを純化した、浄土真宗本願寺派の葬儀の流れとマナー
一向宗の葬儀
文化庁が出している宗教年鑑によると、現代では、一向宗という宗旨・宗派の団体の登録はありません。流れを汲んんでいるのが浄土真宗、もしくは真宗各派になります。
門徒は死とともに極楽住生を遂げていると考えられているため、葬儀の主な目的は受戒などではなく、極楽への法恩感謝となっています。本尊の阿弥陀如来で唱える言葉は南無阿弥陀仏です。
葬儀の流れ
現在、一向宗と呼ばれる宗旨・宗派は登録されていませんので、流れを汲んでいるの浄土真宗、もしくは真宗各派の作法に沿って行われます。ここでは浄土真宗本願寺派と同じ流れについてご紹介します。
出棺勤行は帰三宝偈のあとに路念仏が唱えられ、お棺が葬場に移されたことを表し、葬場勤行に入ります。次に三奉請があり、正信偈、念仏、和讃が唱えられ焼香へと続きます。そして、火葬に先だって行われる火屋勤行の時に読まれるのは、重誓偈などの偈文です。拾骨の時は火屋勤行と同じく偈文・念仏・回向が唱えられ、遺骨が自宅に戻って還骨勤行を行えば葬儀は終了です。
一向宗の仏壇の飾り方
一向宗の流れを受けている浄土真宗本願寺派について説明します。本尊は本願寺派の阿弥陀如来、脇は右に親鸞聖人、左に蓮如上人の掛け軸になります。荘厳する仏具は次のとおりです。
- 本尊や仏壇内部を明るくする灯篭
- お浄土の飾りをあらわす瓔珞
- 須弥壇や仏前の前卓などに敷きかける打敷
- お線香を寝かせて焚く玉香炉
- ご飯を盛る仏飯器とそれを置く仏器台
- 樒をお供えてお浄土の香水を表す華瓶
- 生け花を飾るための花立
- 蝋燭台である火立
- 亡くなられた方の法名などを書く過去帖とそれを置く見台
- 菓子や果物等を供える台の高杯
- 読経の時に打つリン
- お経本をのせる机の経机
- 線香さしやマッチ消し、ローソク消しなどの小物類
まとめ
一向宗は一般的に2つの意味があります。鎌倉時代の僧侶であった一向俊聖が祖である仏教宗派の一向宗、そして親鸞の一向専念無量寿仏という教えによって世間が浄土真宗を一向宗と呼んでいたことです。現代は、一向宗という宗旨・宗派の登録はなく、浄土真宗もしくは真宗各派が流れを汲んでいます。葬儀や仏壇の飾りつけはそれぞれの宗派に沿った形で行われます。
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監修者のコメント
岩田 昌幸 一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
親鸞を宗祖とし、蓮如が広めた教えは室町時代に広がり、真宗教団として一大勢力を持つようになります。現在、宗教年鑑には一向宗という名称で登録された宗旨・宗派はありません。浄土真宗もしくは真宗各派がその流れをくんでいます。