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法事・法要とは?僧侶の依頼から当日の流れまで

法事・法要とは?僧侶の依頼から当日の流れまで
  • 2023年02月06日

法事(法要)とは?

法事(法要)は、故人の冥福を祈り、供養をすることを目的とした仏教の儀式です。

厳密に法事とは、故人の供養のために読経等を行う「法要」と、法要の後に行われる「お斎(とき)」という会席を含めた行事のことを指します。

ただし、現在では法事も法要も同じ意味の行事として扱われています。

お斎についての詳しい説明はこちら

記事の監修

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忌日法要

そもそも「忌日」とは、仏教において故人の命日から数えて7日毎を指します。この7日毎に行われる法要を「忌日法要」と言います。

本来は、49日目まで7日毎に法要があります。この49日目までは結婚式や慶事を慎むこととされています。

最近では告別式の後に初七日を行い、その後四十九日の法要を行うのみという場合が多いようです。
また、費用の面や遺族の都合を反映し葬儀の後に、初七日・四十九日を同時に済ませてしまうケースもあり、葬儀のみならず法要の簡素化もかなり進んでいます。

以下では、仏教における死後の審判と各法要との関係について説明します。

初七日(しょなのか)

仏教では、故人があの世へ行くための「三途の川」のほとりに到着する日とされています。
故人の生前の善行・悪行によって、この三途の川の緩流から激流を渡ることになり、その渡り方も、橋・船・自分で泳ぐという3通りに分かれると言われています。死者に旅支度を着け、頭陀袋の中に「三途の川の渡し賃」として六文銭を入れるのようにあったのは、船で無事に渡れるように、という願いが込められています。

初七日(しょなのか)とは、遺族等が「故人が緩流でしかも橋または船で渡れますように。」、と供養するための行事です。

本来の初七日は故人の亡くなった日を含む7日目に行うものでした。
しかし、最近の初七日は葬儀後に合わせて行われる場合が多く、僧侶の読経の後に、お斎が設けられます。

初七日法要の流れについての詳しい説明はこちら

二七日(ふたなのか)

仏教では、故人が光を頼りに「死出の山」を7日間歩き続ける期間とされています。そして、「秦広王」という審判を下す方がいる第一の法廷で、この地に来る経緯を説明することになると言われています。

故人は尋問されたのち晴れて三途の川を渡ることができます。
その後に故人の罪の重さが測られます。そして、「初江王」という審判を下す方がいる第二の法廷で、殺生の罪を裁かれます。

二七日は、故人が亡くなってから14日目に行う法要です。
こちらの法要も初七日に続き、自宅で僧侶に読経してもらいます。ほとんどの家庭ではこちらの法要は省略されるケースが多いです。

三七日(みなのか)

第二の法廷をクリアすると、再び故人は7日間歩き続けなければなりません。
ようやく歩いた先には「宋帝王」という審判を下す方がいます。この第三の法廷で、邪淫(性的行為)の罪をしつこく尋問され裁かれます。
三七日は、故人が亡くなってから21日目に行う法要です。
三七日は自宅で僧侶に読経してもらいますが、内輪だけで法要を営みます。ほとんどの家庭ではこちらの法要も省略されるケースが多いです。

四七日(よなのか)

第三の法廷をクリアしたら故人は7日後に、「五官王」から審判をうけます。この第四の法廷で言動の罪を尋問されます。つまり、人の悪口・陰口を言ったり、嘘をついたりしたかどうかを尋問され、裁かれます。

四七日は、故人が亡くなってから28日目に行う法要です。
この法要は自宅で僧侶に読経してもらいますが、内輪だけで法要を営みます。ほとんどの家庭ではこちらの法要も省略されるケースが多いです。

五七日(いつなのか)

第四の法廷をクリアしたら故人は7日後に、「閻魔大王」の第五法廷で尋問され裁きを受けます。この閻魔大王の裁定で、故人の来世が決定されます。

五七日は、故人が亡くなってから35日目に行う法要です。
この法要は自宅で僧侶に読経してもらいますが、内輪だけで法要を営みます。ほとんどの家庭ではこちらの法要も省略されるケースが多いです。

六七日(むなのか)

閻魔大王の追及をクリアすると、また7日後に「変成王」という審判を下す方がいる第六の法廷で尋問されます。

六七日は、故人が亡くなってから42日目に行う法要です。
この法要は自宅で僧侶に読経してもらいますが、内輪だけで法要を営みます。ほとんどの家庭ではこちらの法要も省略されるケースが多いです。

七七日(なななぬか)

第六の法廷をクリアしたら閻魔大王の息子の「泰山王」が管理する第七の法廷へ向かいます。泰山王から故人が六道に進むことを指示され、六つの鳥居のいずれかを故人は選択しなければいけません。
この六つの鳥居は「地獄界・餓鬼界・畜生界・修羅界・人間界・天界」に分かれていますが、いわゆる故人の運しだいというわけではありません。

生前の行状と、これまでの裁き、追善供養の有無の比較衡量で、どちらを選んでも地獄行きなることもあるなど、故人の自己責任が過分に影響されます。
このいわゆる故人にとって大事な最終関門の日が「四十九日」です。

この日をもって「忌明け」となり、僧侶によって読経をしてもらうことに加え、親族の他、友人・知人を集めて供養することになります。
儀式そのものに決まった形式は無いものの、概ね菩提寺で読経してもらい、その後、お斎が設けられます。
お墓がある場合は、四十九日に合わせて納骨する場合が多いです。

百箇日(ひゃっかにち)

故人は49日目で行き先が決まってしまいますが、「地獄界・餓鬼界・畜生界」に落とされた場合、「平等王」による再審の道が開かれています。
百箇日はもしも故人がこれらの「三悪趣」に落とされた場合のことを考えて、観音様に助けてもらえるよう法要をするという意味があります。

遺族側としては、悲しみを断ち切るという意味があります。
こちらの法要は、地域差や各家庭によって違いがありますが、親族の他、友人・知人を集めて供養し、会食をするという場合もあります。

年忌法要

故人の命日(亡くなった日)を一周忌以降、「祥月命日」と言います。例えば故人の亡くなられた日が、12月10日であるなら、その月日が祥月命日に該当します。

この祥月命日に営む法要で、定められた年に執り行われる法要を「年忌法要」と呼びます。

実は仏教では、忌日法要に続いて死後の裁きはまだ続いているとされ、裁判官である『十王』による故人への追及が行われています。
こちらでも、仏教における死後の審判と各法要との関係について説明します。

一周忌

仏教では、故人がこの日に「都市王」と呼ばれる方の審判を受けます。
年忌法要の中では喪が明ける日とされ、盛大に法要が執り行われます。

もちろん、法要では僧侶の読経が行われ、遺族のみならず親類・友人・知人が招かれますが、各々の参加する日程の調整も必要です。
そのため、例えば前述した12月10日に故人が亡くなった場合は、丸1年後のその月日に行われるべきですが、参加者が集まりやすい土曜・日曜に変更しても問題ありません。

一般的には故人の命日より前の休日(土曜・日曜)に執り行われます。
ただし、内容自体は決まった形式は定められておらず、遺族間で内容を決めても差し支えありません。

三回忌

仏教では、故人がこの日に「五道転輪王」と呼ばれる方の審判を受けます。
三回忌は満2年目の命日に行います。この三回忌までは親類縁者の他、故人の友人・知人を呼んで執り行われることが多いです。

ただし、内容自体は決まった形式は定められておらず、遺族間で一周忌と同内容の法要にするかどうかを話し合って決めても差し支えありません。

七回忌

仏教では、十王たちの執拗な審判を乗り越え、故人が「悟りの道」へ精進する時期とされています。
七回忌は満6年目の命日に行います。この七回忌からは親族だけで故人を偲ぶ場合が多く、こぢんまりした法要となっていきます。

七回忌以降は故人のための法要として行うこともできますが、他の先祖の法事法要と合わせて行っても問題ありません。これを「併修」と呼びますが、この場合には命日が早い先祖に合わせたスケジュールで執り行います。

十三回忌

十三回忌の本地は大日如来です。
十三回忌は、満12年目の命日に行います。親族だけで故人を偲ぶ場合が多く、こぢんまりした法要となります。

十七回忌

十七回忌は、満16年目の命日に行います。

二十三回忌

二十七回忌

三十三回忌

満32年目の命日に行います。一般的に、この三十三回忌で「忌上げ」とされます。この忌上げとは、今後は故人だけの法事・法要ではなく、先祖として供養するということです。年忌法要を打ち切ることから「年忌止め」とも呼ばれています。

上げ法事の詳しい説明はこちら

法事法要の種類についてはこちらもご参照ください

法事のスケジュール

手を合わせる女性

スケジュールとしては、前述した通り、忌日法要も年忌法要も本来ならば取り行われる日が決まっていましたが、法事・法要を行う習慣自体がすっかり薄れています。

忌日法要の場合は、告別式後に初七日を行うことが一般的となり、四十九日を同時に済ませる場合もあります。

亡くなった方に合わせるというよりは、生きている方々の都合に合わせて執り行われることが多くなり、法事・法要の簡素化は進行しています。

また、年忌法要の場合は、形式にとらわれず、故人の命日から5周年・10周年と区切りが良い時に、遺族や親類縁者、友人等が集まって会食する形式が増えています。

たとえば、菩提寺や墓所等で法要を行い、その後ホテルやレストランへ移動して会食をするというスタイルを採ることも多くなっています。かつては喪服着用不可としていたホテルやレストランでも、近年は「法宴」いった会食プランが提案されるようになりました。

一層、法事・法要に参加する方の都合に合わせた柔軟なスケジュール設定が行われているのが現状です。

法事の準備(遺族)

前述したように法事・法要は省略される場合が多くなり、法事・法要にとらわれない故人を偲ぶ催しも増えています。

ただし、依然として故人の忌日法要の場合は初七日、四十九日に、年忌法要の場合は一周忌、三回忌くらいまでは遺族のみならず親類縁者・故人の友人等を招いて法事・法要が行われることが多いです。
法事・法要の準備から、その当日までの流れは以下の通りです。

STEP 1法事一ヶ月前
こちらでは遺族側の法事の準備を紹介します。できるだけ法事法要の1ヶ月前までには全ての準備を終えるように予定を組んでおきましょう。

 

①法事・法要の日時、場所、参列者の目安を決める

日時については、僧侶の都合や、参列者の参加しやすい日を決める必要があります。そのため、本来は法要を行うべき日にちにとらわれず、その日以前の休日に設定しても問題ありません。
場所や参加人数も考慮に入れ、最も法要にふさわしい場所・日時を選定します。

②僧侶に依頼する

法要で読経してもらうため僧侶に依頼をしておきます。他の法要との関係で、遺族の期日の希望に沿えない場合があります。期日が決まったら速やかに僧侶に連絡しましょう。
あらかじめ、僧侶の予定を聞いてから法事・法要の日時を調整することも良い方法です。

③法事・法要に参加してもらう方に案内状を送付

案内状を送付するタイミングは、法事・法要の1ヶ月前が適当です。
案内状には次の事項を記載します。

  • 法事・法要を行う故人の名前
  • 日時・場所
  • お斎(とき)の時間・場所(会食を予定していなければその旨も明記します。)

出欠確認ができるように返信用はがきを同封します。出欠確認が2週間程度で完了できれば、法要後の会食であるお斎(とき)を催すお店の予約等がスムーズに進みます。

法事法要の案内状の書き方についての詳しい説明はこちら

④引き出物を用意したい場合には?

引き出物は、香典へのお礼として、せっかく参加してもらう方々への感謝として、用意することが丁寧な対応と言えます。
参列者の人数が決まれば、引き出物を渡される方々の事情も考慮して、品物を選定する必要があります。
次のような条件に合う品物がふさわしいでしょう。

  • 参加者が持ち帰りやすい品物
  • 贈られる側が喜ぶような実用的な品物
  • 不幸が残らないという意味で、手元にいつまでも残らない品物

上記の条件を満たすものとして、お菓子のような食品、石鹸・洗剤等があげられます。当然、食品や洗剤でも重い品物はNGです。
一方、白いタオルなら手元にいつまでも残るものですが、あの世へは白装束を着て旅立つので、同じ白いタオルを引き出物にしても失礼ではありません。
引き出物の金額の目安は、2,000円~5,000円程度が妥当でしょう。

法事の引き出物の相場や詳しい説明はこちら

⑤各所へ連絡

寺院へ卒塔婆の本数を確認し連絡、出欠確認をもとに会食のお店や引き出物の業者、送迎バス等の業者へ連絡します。

 
STEP 2法事前日の準備
参加人数の最終確認および、お布施、お供え物、お花、位牌・遺影写真、引き出物を準備します。
 
STEP 3法事の当日
遺族は法事・法要の時間よりも1.2時間早く会場へ向かい、会場関係者と予定の確認を行います。
準備したお布施、お供え物、お花、位牌・遺影写真、引き出物を持参しセッティングします。

 

法事法要のお布施の相場、書き方、渡し方の詳しい説明はこちら

 
STEP 4法事の進行
決まった形式は無いものの概ね次のように進行していきます。
僧侶の読経→遺族・親族による焼香→参列者による焼香→僧侶の説話→墓参り→会席へ移動(または解散)
 
STEP 5会食の進行
僧侶が同席するときは、上座へ案内します。会席とはいっても大騒ぎは厳禁です。
施主の挨拶→献杯→会食→施主の参列者へのお礼と閉会のあいさつ→引き出物を参列者へ手渡し解散

 

施主の法事法要の挨拶や例文についてはこちらをご参照ください

法事の準備(参列者)

初七日、四十九日、一周忌、三回忌くらいまでは遺族や親類縁者の他、故人の友人等を招いて法事・法要が行われことが多いです。
こちらでは参列者側の準備を説明します。

STEP 1法事へ参加する準備
法事へ参加する際の事前の準備は以下の通りです。施主が法事の準備をしやすいように、出欠の意思や、依頼したいことがあれば速やかに施主へ回答または申し出を行いましょう。

 

案内状への返信

案内状がご自分の自宅へ送付されたら速やかに返信しましょう。やむを得ない事情が無い場合は出席することが礼儀です。
欠席する場合には、欠席する旨の返事に加え、お供え物・御仏前を遺族へ送るのが丁寧な対応と言えます。

返信はがきの書き方とマナーについての詳しい説明はこちら

卒塔婆供養について

卒塔婆供養を申し出る時には、施主とあらかじめ話し合い料金を確認します。ただし、宗派や墓地の状況により卒塔婆を立てることができない場合があります。
卒塔婆供養ができる場合は、「卒塔婆料」と包み紙の表面に記載し、法要当日に施主へ渡します。概ね3,000円~7,000円程度が目安です。

 
STEP 2法事の当日の準備

服装

参加する服装は忌日法要と年忌法要とで異なります。
法事へ参加する服装は、忌明け(四十九日)までは、葬儀・告別式と同じく喪服または準喪服を、一周忌は基本的に喪服ですが何らかの理由で用意できなければ黒のスーツで構いません。また、三回忌は黒のスーツで問題ありません。
男性の場合は、ダークスーツでワイシャツは無地を着用し、ネクタイは黒を締めます。靴下は黒(または紺かグレー)を履きます。
女性の場合は、黒または地味なスーツ・ワンピース、アクセサリーは、派手なものは当然控える必要があります。

法事法要での服装のマナーについての詳しい説明はこちら

持参するもの

最近では供物の代わりに、御仏前として現金を包むことが主流です。家人との関係が深かったかどうかでも包む金額は異なりますが、金額自体は1万円~2万円前後が妥当です。ご夫婦で出席する場合は2万円~4円前後となります。包みに「御仏前」または「御供物料」と表書きし、水引は黒白・双銀等にします。

法事の香典の相場や書き方についての詳しい説明はこちら

亡くなってからの日数の数え方

法事・法要の日数は前述したようにあまりこだわらなくなっているのが現状です。

しかし、本来であるなら初七日についは、東日本の場合は亡くなった日から数えて7日目、西日本の場合は亡くなった日の前日から数えて7日目と、若干、日にちついて異なる点があります。

また、年忌法要については本来、亡くなってから満1年目の命日が一周忌となります。

他の年忌法要であれば、「満年数-1年」で行われます。例えば、三回忌の場合、故人が平成29年12月10日に亡くなったときは、平成32年ではなく、平成31年12月10日に行われます。

まとめ

法要とは僧侶や参加者が故人の供養のために読経等を行うことで、そのあとの会食等の流れを全て含めたものが法事です。

現在では、法事・法要も同じ意味として用いられており厳密な区別はほとんどなくなっています。

法事法要の1日の細かい流れについてはこちらもご参照ください

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