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檀家制度とメリット・デメリット、費用、入檀・離檀について

檀家制度とメリット・デメリット、費用、入檀・離檀について
  • 2023年01月26日

檀家制度という言葉自体を聞いたことが無い世代が大変多くなってきていますが、言葉は知っていても、どういう制度なのか、明確にはわからないという方も少なくありません。本記事では、檀家制度の内容、檀家となることのメリットやデメリット、入檀の方法や費用、そして離檀(檀家を離れる)の方法に関して、わかりやすくご紹介します。

記事の監修

人はなぜ弔い、弔われるのか、葬送儀礼を意味のある営みとして理解し、私たちは次世代へ伝えていきます。葬送儀礼マナー検定実施中。

檀家制度とは

檀家制度とは、江戸時代の寺請制度がその始まりと言われている制度で、家単位で特定のお寺に所属し、葬祭や供養などの仏事一式を任せる代わりに、お布施や寄付としてそのお寺の経済支援を行うことを言います。特定のお寺を決めることにより、お墓をそのお寺に置くことになります。檀家制度を廃止するお寺もありますが、通常、お寺は檀家を募集しています。

檀家とは、特定のお寺に所属して寺を支援する家を意味しますが、いざご不幸があった際に、檀家になっているかどうか分からない場合も多いようです。簡単に確認する方法の1つは、お墓が寺院にあるか、霊園にあるかという点です。もし寺院にお墓がある場合は、檀家になっている可能性が高いです。お寺さんには檀家の名簿がありますので、問い合わせしても良いですし、親御さんに聞いてみるのも一つの方法でしょう。

また、仏教の宗派によって呼び名は変わり、浄土宗では信徒、浄土真宗では門徒と呼ばれます。

檀家の中には総代と呼ばれる方がいます。総代とは檀家の中から選ばれる代表者です。檀家の中心となって、檀家をまとめる役割があります。

檀家になるメリット・デメリット

実際に、檀家というものがどのような仕組みになっていて、金銭などの負担がどのくらいになるのかわからなことばかりではないでしょうか。
檀家になった場合に受けるメリット、デメリットについてご紹介します。

メリット

1.手厚い供養を受けることができる
2.お彼岸やお盆などの、お寺さんが忙しい繁忙期でも優先して法事・法要の対応依頼をしてもらえる
3.葬儀や法事など、仏事に関して相談することができる

突然の身内の不幸の際にも、慌ててお寺さんや葬儀社を探すことなく、葬儀に関する執り行いを全てお任せすることができるのも大きなメリットです。

デメリット

1.入檀する際に必要な入檀料やお布施、寄付など、出費がかかる
2.寺の修繕や改修などの時に寄付を求められる
3.葬儀などを他のお寺にお願いできなくなる
4.お寺のルールに従う必要がある
5.離檀する時に離檀料が必要になる

入檀する際に必要な入檀料やお布施、寄付など、出費がかかります。これは、檀家の役目として、お寺を経済的に支える必要があるためです。
詳細は、「檀家としてかかる費用・寄付」をご覧ください。

檀家である以上は葬儀や法要はそのお寺にお願いすると言う暗黙の了解がありますので、葬儀や法事に関する相談ができる反面、制約もあります。

また、お寺のルールの例としては、戒名(かいみょう)に関するものです。好きな戒名を付けたいと思っても、戒名を付けることができるのは、お寺の僧侶とルールとして決まっていますので、自分で勝手に付けることはできません。ちなみに、戒名を付けて頂く場合も費用が発生します。

※上記のメリット・デメリットは一般的なものですので、檀家になる際にはお寺に確認しましょう。

入壇の方法

檀家になることを入檀と言います。入檀するということは、決めたお寺にお墓を持つということになります。その手続きとして、檀家契約書、墓地契約書をとりかわし、入檀料を支払います。入檀料の相場は、10万〜30万円と言われています。

また、お位牌を安置するための位牌堂の費用も必要となり、相場は10万円程度と言われています。

檀家になる前に、不明点や心配な点等ありましたら、お寺に確認しましょう。後々、思っていたことと違う等と言うトラブルを避けるために必要です。

檀家としてかかる費用・寄付

檀家は、お寺を経済的に支援することとなりますので、仏事に関わる費用や寄付が発生します。お寺によって異なりますが、一般的に発生する費用について説明します。

入檀料

檀家になる為に必要な初期費用となります。いわゆる、学校に入学する際に支払う、入学金のようなものです。お寺さんによって金額が異なりますが、10〜30万円が相場と言われています。宗派や寺院によって異なります。
墓地の使用料に入檀料が含まれている場合と使用料とは別に納める場合がありますので、事前に確認しましょう。

護持会費・維持費

お墓の清掃や管理、お寺の運営の為に檀家が負担する費用です。相場は年間5千円〜2万円程度となります。月額にすると500円〜1,500円程度となります。

寺院行事・法要のお布施

お寺の行事や法要の際に支払う費用をお布施と言います。年間で数回開催される彼岸会(春と秋)、盂蘭盆会(うらぼんかい/7月もしくは8月に開催)、施餓鬼会(せがきかい/夏)、十夜法要(秋)などの行事、お寺が開催する合同の法要への参加費をお布施としてお寺に渡します。3千円~1万円程度が相場のようです。
また、お寺によっては、お車代をお渡しする場合もあります。

お寺や住居の改築・修繕費の負担

お寺には本堂や書院、庫裡鐘楼等の施設がありますが、これらや僧侶の住居の改築や修繕を行う際に、寄付を求められます。寄付ですので、絶対に支払わなければならないものではありませんが、檀家として、お寺との関係を保つために寄付に応じるケースが多いのが実情です。
また、この寄付の場合「1口1万円 2口以上」などど、初めから最低金額が設定されていることもあります。

葬儀・法要等のお布施

葬儀や法要、月命日の読経や戒名・法名を授かる際に必要となるのがお布施です。決まった金額はありませんが、お布施の目安としては以下の金額となります。

  • 通夜、葬儀の読経や供養:15〜50万円
  • 1周忌や3周忌などの法要:3〜10万円
  • 月命日などの読経:5千円〜1万円
  • 戒名・法名・法号:1万円〜∞ (※位によって金額が異なり、上限はありません。100万円を超える戒名もあります)

戒名にはランクがあり、その人の地位やお寺への貢献度などを勘案して決められます。故人や遺族が好きなように選べるものではありません。

また、お寺によっては、お膳料やお車代なども必要になる場合があります。

離壇の方法

檀家をやめることを離檀(りだん)と言います。離檀すると言う事は、お墓を移転・撤去(改葬)する事になります。お墓の継承者問題で墓じまいしたり、住まいから遠くてなかなかお墓参りに行けないなどの理由で改葬するケースが多いようです。離檀はお寺の決めたルールに従って、手続きをすることとなります。
また、離檀する際、離檀料が必要となる場合があります。
以下に、一般的な離檀の手続きについて説明しますので、参考にしてください。

離檀の申し出

離檀する旨をお寺さんに申し出るのですが、口頭で伝えるだけで良い場合と文書で離檀届けを提出する必要がある場合があります。これは、お寺さんの決まりごととなりますので、お寺さんもしくは入檀した際にとりかわした契約書を確認しましょう。

新しいお墓を検討する時点から、お寺に相談して、理解を得た上で離檀の手続きに入ることができればトラブルは発生しないでしょう。

離檀料の支払い

離檀する際にお布施として離檀料を請求される場合があります。入檀した際に取り交わした檀家契約書に記載されていることもありますので、確認をしてみましょう。
また、先祖代々であったり、親や祖父母の代から続いているお寺を離檀をする場合、入檀契約者と離檀申し出人が異なることになりますが、一般的に、高額な離檀料の支払いを要求されるなど、悪質でない限り、これまでお世話をして頂いたお礼料として、支払うようです。

離檀料の相場は地域やお寺によって、また、これまでのお付き合いによって異なりますが、一般的には法要1回分程度が目安と言われています。お墓から魂を抜く閉眼供養や遺骨を取り出す供養、読経と合わせて支払う場合もありますが、10万~20万円程度が相場と言われています。

離檀料に関しては、百万単位の高額な金額を請求されるケースもあり、裁判に持ち込まれることがあります。
しかし、弁護士費用は裁判に要する時間を考慮し、支払いに応じるケースが多くあります。

閉眼供養

閉眼供養は、お魂抜きや性根抜きとも言われ、お墓に宿った仏様の魂を鎮めて抜き取る(閉眼)供養です。家族のみで行なうのが一般的です。
閉眼供養を行うためには、トラブルを防止する観点からも下記の3点を確認しましょう。

 

お供え物や服装、日時などを予め確認しましょう。

お墓の移設(改葬)の手続きと移転作業

檀家でなくなることにより、お寺からご遺骨を引き取り、他に移す必要があります。これを一般的に改葬と言います。お墓を撤去し、更地にしてお寺にお返しすることになります。この際に発生する代金は離檀料には含まれていませんので、注意が必要です。

また、忘れてはいけないこととして、役所に改葬許可申請を提出する必要があります。 改葬の際にかかる費用は、主に以下となります。

  • 既存のお墓の撤去費用
  • 移転先の墓地使用料金
  • 移転先の墓地工事費
  • 改葬許可申請費用
  • お布施
  • ご遺骨の取り出し・納骨料
  • 事務手数料(改葬許可申請書、受入証明書、埋葬証明書)

改葬許可申請はお墓がある市区町村の役場で行います。申請に必要な書類は以下となります。

  • 改葬許可申請書
  • 埋葬証明書(=納骨証明書):お寺に発行してもらいます
  • 受入証明書(=永代使用許可書):移転先のお寺に発行してもらいます
  • 申請者の印鑑

改葬許可申請が完了すると、市区町村より改葬許可証が発行されますので、移転先のお寺に提出致します。

納骨式

移転先のお墓に遺骨を納める儀式を納骨式といいます。納骨式のお布施の相場はおよそ3万~5万円程度です。
その他にお車代として5千~1万円程度、そして、会食を辞退された場合は御膳料として5千~1万円程度を渡します。

檀家としてお寺を経済的に支えるために必要な費用は決して安い金額ではありませんが、受けられる恩恵もありますので、ご自分の人生設計の一つとして、検討してください。

監修者のコメント

ーーー

寺院内のお墓は、日々の勤行を通じて完成された供養の空間の中にありますので、頻繁にお墓参りに行くことができない人でも安心です。檀家としてのお付き合いも、昔とは少しずつ変わってきてきています。

よくある疑問・質問

檀家についてよくある疑問・質問をまとめてみました。

檀家ではありませんが、お寺にお墓を建てることはできますか?
寺の敷地内にお墓を建てられるのは、檀家さんのみとなっております。現在、檀家さんでなくても、これから檀家さんになる場合には、建てることができます。
お寺のお墓に愛犬も一緒に入れますか?
人とペットが一緒に入ることができるお墓はを設けているお寺はまだ多くありません。中には供養塔を敷地内に設けている寺院もあります。
檀家ですが、戒名を自分でつけたいのですが、可能ですか?
戒名は僧侶がつけるものですので、ご自分でつけることはできません。
檀家を止めて、永代供養にしたいのですが、可能ですか?
檀家であるお寺に永代供養のシステムがあれば可能ですが、無い場合は、永代供養はできません。
檀家ですが、お墓ではなく、納骨堂に遺骨を入れたいのですが、可能ですか?
檀家であるお寺に納骨堂がある場合は可能です。
檀家ですが、遠方に住んでいます。法事に来て頂くことは可能ですか?
一般的には、近くのお寺にお願いするように言われます。しかし、お車代含め、来て頂く際に発生する費用を負担する場合は、菩提寺との相談となります。
僧侶との折り合いが悪く離檀を考えています。僧侶との折り合いが悪いという理由だけで離檀しても大丈夫でしょうか?
檀家とお寺のお付き合いは長く続くものとなります、僧侶との折り合いが悪く、他のお寺に移りたい場合、離檀しても問題ありません。

まとめ

今回は、檀家とはどの様な制度か、そして、檀家になるメリットとデメリットを紹介させていただきました。ただ、あくまでも一般的なものですので、お寺さんに相談しながら、ご自身にとってのメリット・デメリットを熟考して、決断していただければ幸いです。検討するにあたって不明点は、遠慮なくお寺さんに質問してみましょう。檀家を辞めたいと思っても、簡単には離檀できません。ぜひ後悔の無い決断をして頂くためのご参考としてください。

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