曹洞宗の仏像・位牌・仏壇について
- 2022年11月21日
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各宗派ごとにさまざまな仏壇の選び方や御本尊の決まりごとが仏教には存在します。その中のひとつ、曹洞宗は浄土真宗などに比べ規模も小さいため、どういった宗派なのかがあまり知られていません。
御本尊をどのように選べばよいのか、脇侍を掛け軸にするかどうか、位牌の扱い方、曹洞宗ならではのお仏壇の選び方とデザインのチョイスなどについてしっかりと知っておけば購入の際に戸惑うこともありません。
お寺によって違う部分もありますが、曹洞宗の御本尊と脇侍 – 釈迦如来の仏像や掛け軸の選び方と祀り方についてご紹介していきます。
目次
基本的に曹洞宗の御本尊は「釈迦如来」
仏教という大きなくくりで見た場合、各宗派の中でもあまり派手ではなくあまり知名度が高くないのが曹洞宗です。
仏教の宗派の差というのはもちろん教義や宇宙のとらえ方、細かい儀礼などの部分にもあらわれてきますが、基本的には「何を御本尊として奉るか」ということがポイントになってきます。
最大派閥の浄土真宗などが「阿弥陀如来」を御本尊としているいっぽうで、曹洞宗は「釈迦如来」、つまり仏教の開祖であるお釈迦様をそのまま御本尊として扱う宗派です。
ただし、禅宗である曹洞宗はそれぞれのお寺の考え方が強く反映されるため所属している寺院によっては浄土真宗と同じく「阿弥陀如来」を御本尊にしていたり、あるいは「観音菩薩」を奉るようすすめるところもあります。
仏教は他宗教と比べてこのあたり寛容であるのも長所のひとつですから、「基本的には釈迦如来である」ことだけ押さえておきましょう。
常済大師と承陽大師が曹洞宗の脇侍
曹洞宗では臨済宗同様、「自分の中に仏がいる」という考え方であるため先述のようにご本尊はお寺によってまちまちであることが多いのですが、その脇に配置される脇侍についてはある程度しっかりとした決まりがあります。
脇侍として配されるのは、常済大師と承陽大師の二人であり、基本的には常済大師が左への配置、承陽大師が右側となるのが通例です。立像であれば、かならず御本尊に対して背を向けないように置くのが決まりで、いわゆる「一仏両祖の三尊仏」という形でお仏壇に「脇侍・ご本尊・脇侍」の三つを祀ることになります。
ただし、一部のお寺によっては同じ曹洞宗であっても脇侍の右側が道元禅師で左のほうに瑩山禅師を置くという派も存在しますので、このあたりに不明な点がある場合には所属のお寺に聞いてみるのが良いでしょう。脇侍は教義の教化の意味合いを持つ大切なものですから、しっかりと調べておくことが必要です。
仏像が御本尊、掛け軸を脇侍として祀る例が多い
お仏壇に奉るものとしては、御本尊や脇侍どちらにも「立体の仏像」「掛け軸」があり、さらに仏像であれば座像か立像かなどいくつかの分類がなされます。
仏像も掛け軸も、仏様の姿をかたどっているという意味では同じものですので仏教、ひいては曹洞宗において大きな区別はなく、どちらを選んでも問題はないとされているものです。
そのため好きな組み合わせで配置することができますが、どうしても迷うという場合は慣例上、「御本尊が仏像」「両隣の脇侍は掛け軸」といった組み合わせが多いため採用してみるのが良いでしょう。
御本尊の釈迦如来や、脇侍の大師二人がデザイン上、ほかの宗派よりも幅をとることや仏壇のスペースによるものだという説もあり、この形がもっともスタンダードとなっているようです。
とはいえ厳密な規定ではないので、もしお家に伝わっている釈迦如来の掛け軸、あるいは大師の仏像などがあればそれは活用することをお勧めします。
サイズは寸尺法で表されるので注意
仏像や仏具、掛け軸などを購入する際には、いくつか注意点があります。実店舗に行って目の前で実物を見るなら問題はないのですが、これらの品目はたいていセンチ・メートルなど西洋の寸法ではなく日本に古来からある「寸尺法」で大きさを表記しているため、通販などで購入するときにはうっかりサイズ違いのものを買ってしまわないよう注意が必要です。
昔の寸法では、1丈=およそ3メートルを基準とし、単位ごとに1/10になっていきます。そのため1尺は30センチであり、1寸は3センチ、1分は3ミリメートルと概算するとおおよその大きさがつかめるでしょう。
たとえば「3尺2寸の仏像」であれば96センチであり、通常の仏壇には収まらないサイズです。逆に、「縦が5寸の掛け軸」となるとちょっと小ぶりすぎて、ミニ仏壇などでないと間が空いてしまって不格好になります。単位をよく知って、実寸をしっかり把握しましょう。
釈迦如来の仏像と掛け軸のサイズの選び方・祀り方のポイント
ご家庭の状況(設置するお部屋や宗派)に応じたお仏壇を選んで購入したら、次はもっとも重要な中に祀る釈迦如来像などの本尊と脇侍を選ぶことになります。
ここでポイントになるのは、それぞれのサイズの相対性であり配置の仕方です。まず、御本尊が真ん中ですから存在感を生み出すためにもやや左右より大きいものを選択する必要があります。
ここで注意すべきは、「左右の脇侍が掛け軸か立像か」という点です。どうしても立体像のほうが存在感が出ますので、左右の脇侍を像にするとそれに挟まれる御本尊はかなり大きめのサイズを選ぶ必要が出てきます。
逆に脇侍が掛け軸なら、掛け軸自体のサイズは大きくても問題にならないため、仏壇内に余裕をもっておける大きさの御本尊の像を購入しましょう。くっつけて置くことはせず、少し空間に余裕を持たせて左右均等に配置するのがコツです。
曹洞宗の仏壇選びに厳格なルールは無い
曹洞宗は中国から伝わってきた禅宗の一つであり、分派などはなく福井県の永平寺、石川県の総持寺が本山で『即心是仏』の心を持ってお釈迦様を本尊と仰ぎ、座禅を行うことで釈迦の悟りの境地に至ると説かれている宗派の総称です。
曹洞宗の仏壇選びにはこれでなくてはならないという決まりは特になく、形状からカラーなどまで予算に合わせて自由に選ぶことができます。
祀るべきご本尊様には釈迦如来、脇侍には左脇掛けに常済大師、右脇掛けに承陽大師を祀るのが曹洞宗では一般的ですが、ご本尊様も阿弥陀如来だったり、観世音菩薩、地蔵菩薩などを祀ったりもできます。これは既にこの仏様とご縁があるということで全然問題はないといわれております。
但し、選び方や祀り方に関しては地域やお寺により異なる場合もありますし、先祖代々こうしてきたという各家庭の決まりごとがある場合も多々ありますので、どうしても気になってしまう方はご自分の菩提寺、ご家庭の菩提寺に確認されることをお勧めいたしますが、曹洞宗にはこのように厳格な決まりごとはないと言われています。
曹洞宗では唐木仏壇かモダン仏壇がよく選ばれる
曹洞宗では、仏壇の形状、仕様、カラー等に決まりごとはないので予算に合わせたり、置くところによって自由に選ぶことができます。特に最近選ばれているものは、唐木仏壇やモダン仏壇です。
モダン仏壇は、最近流行りのもので家具調仏壇とも言われ家の中のほかの家具との調和がしやすいのが特徴で、シンプルナものから花柄などのものまで幅広くあります。
唐木仏壇は、昔からの伝統的なもので材質は堅目ですが、美しい色合いを出しており落ち着いた雰囲気を醸し出します。唐木とは中国から輸入されることからこの名前が用いられています。
このように今のマンションが多い住宅事情に合わせて、置く場所やサイズや仕様により種類が多くあります。
又、ミニ仏壇と呼ばれるものが唐木仏壇にもモダン仏壇にもありますので、スペースの関係などによりこちらを選択される方も多くなりました。
曹洞宗は、これをしては駄目という決まりも殆どない自由性の高い宗派だと考えられますので、仏壇も各個人の好みに合わすこともできるので、有効的に仏壇を生かすこともできると思います。
曹洞宗において金仏壇はほとんど選ばれない
各宗派のもともとの仏壇は金仏壇でしたが、現代では変化してきており金仏壇は浄土真宗西・東、浄土宗、真言宗、天台宗、日蓮宗の人たちが用いるとされています。他の宗派との違いをはっきりとさせる為などの理由により、曹洞宗の人たちは金仏壇を避け、選択しない人が殆どです。
金仏壇は全てを金粉により施してありますので金箔に比べて高級だとも言われており、神々しい輝きが特徴ですので曹洞宗の人々には、自分を研鑽するという考え方の人も多くいて、ピカピカに飾り立てるのは好まないのが宗派としての基本だと捉えているのだとも考えられます。
その背景には曹洞宗は禅宗の一つであるという事実と誇りがあるように思われ、避けるべきだと自然に考えるようになってきたのではと推測されます。
他の宗派との違いの中でも、割りに多くの人がぴかぴかイコール浄土真宗と認識している方が多いのも要因の一つではないかと思います。実際に金仏壇を選ぶ人の多くは浄土宗、浄土真宗の方が多いとも言われておりますので、紛らわしさを避けるためにも曹洞宗では選択しない傾向にあります。
デザイン・サイズは予算と置く場所を考慮して選ぶ
現在流通している仏壇は、そのデザインからサイズまで数多くあり選ぶ側としては非常に便利になってきました。
デザインとしては、シンプルに何の柄のないものから天の川の模様などをあしらったものまでありますし、サイズも大きなものからミニ仏壇と呼ばれるコンパクトにまで用意されています。
例えば、ちゃんとした置き場所が備え付けられているなら別ですが、箪笥や机や棚の上に置きたいなどの条件や、ご自分にあった予算で選べるようになりました。日本製か外国製だけでも予算はかなり違ってきますので選ぶ際には注意した方がよいと思います。
昨今の住宅事情や家族構成などや、置き場所の考え方などは人それぞれが様々な考え方をお持ちですし、年齢的なものでも選択する際の決め手となるものは違ってくるのは、当たり前です。
一番大切なのは祀る心であり、こんな所へ置いてはいけないと言うものはなくここへしか置き場所がないのなら、そこの場所に合うサイズを選び、支払い額も予算内であるかどうか確認し、好みのデザインであるかも充分検討して選ぶことがお勧めです。
曹洞宗のご本尊は、釈迦如来であり脇侍は中央に釈迦牟尼仏、向かって右に承陽大師、左に常済大師の掛け軸を祀るのが基本となっております。ご本尊の釈迦如来が仏像の場合は脇侍の掛け軸はご本尊より少し低く祀るのが一般的です。
ご本尊の仏像や脇侍の掛け軸にも色々と種類がありますが、特にこれを選ばなければならないという規定や規制はございませんので、色やデザイン同様好みに合わせて自由に選ぶことができるのが曹洞宗の特徴です。
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監修者のコメント
竹内 義彦一般社団法人 終活協議会
曹洞宗は鎌倉時代に中国から伝わった禅宗のひとつで、福井の永平寺と横浜の總持寺が本山になります。曹洞宗の仏壇は他の宗派に比べると自由度が高くなりますが、それでも決まりごとはありますので、本尊や脇侍については自身がお世話になっている寺院に確認してから準備するようにしてください。