真言宗の仏像・位牌・仏壇について
- 2021年05月07日
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弘法大師が日本に伝え真言宗は即身成仏の教えを根幹とする密教です。大日如来をご本尊に、開祖である弘法大師と不動明王を脇侍として安置するのが一般的です。
真言宗に限らず現代では位牌やお仏壇の選び方には絶対にこうでなければならないという決まりはありません。
現代の住宅事情などに合わせて自由に選ぶ人が増えています。真言宗でもお仏壇は設置スペースに合うサイズのものを選び、仏壇とのバランスを考えてご本尊や脇侍、位牌などを選ぶことが大切です。
目次
真言宗の御本尊と脇侍 – 大日如来の仏像や掛け軸の選び方と祀り方
真言宗は御本尊に「大日如来」を飾るのが一般的
真言宗は空海が中国の西安にある寺で学んだ後に日本へと持ち帰った密教です。他の宗派とは異なり、ご本尊に大日如来を祀る唯一の宗派です。
分派の多いことで知られ、弘法大師空海によって開かれた宗派で高野山真言宗、東寺真言宗、真言宗豊山派、真言宗智山派などに分かれてはいますが、主な16派18の総大本山を総称して真言宗と呼ばれています。
一般的には位牌や墓石の戒名に、梵字の阿を刻みますが、これは即身成仏がかなったことを意味しています。
実際のお葬式に際しては分派の多い宗派ごとに、さらにはその地方の古くからの習慣の違いごとに、それぞれに異なる特徴による進行で行われます。
真言宗では身体、言葉、心の修業をすることで、誰もが仏になる事ができるとされています。真言宗のお寺の中には御本尊に阿弥陀如来や釈迦如来を祀るお寺も存在しますが、一般家庭ではその多くが大日如来意を祀ると言われています。
御本尊に大日如来像を祀るのは真言宗だけなので、他の宗派と間違える心配もありません。その修業は大日如来と一体化するためのものであり、即身成仏を目的とするとも説かれるものです。
弘法大師と不動明王が真言宗の脇侍
真言宗は他の宗派とは異なりご本尊の大日如来を祀り、そのわきに脇侍として弘法大師と不道明王を安置しています。そして弘法大師は真言宗の開祖でもあるためしっかりと安置することが求められます。
一方不動明王とは密教特有の尊師である明王の一尊であり、大日如来の化身とも言われる存在です。隆三世、軍茶利、大威徳、混合夜叉からなる五大明王の中心となる存在で、日本の仏教の諸派で広く信仰されています。
真言宗において脇侍を祀るにあたっては、正面に大日如来を祀り、向かって左側には不動明王を、右側には弘法大師を祀ります。
ただし、真言宗の智山派のなどでは左側の脇侍には興教大師を祀る場合もあります。
一般的な仏教の教えでは、長い修業期間を全うすることで成仏を目指すという考え方なのですが、密教である真言宗では大日如来と一体となって修行することで、誰もがそのまま仏となれるという教えです。
その思想の中心は曼荼羅思想であり、広い視野で正しく物事を見極めるとあらゆるものには共通する大きな本質があって、それが大きな円の中心であり全てを丸く包みこんでいるのが大日如来様だとされています。
「仏像にするか、掛け軸にするか」は予算とスペースに応じて選ぶ
真言宗で一般家庭の仏壇の中心に祀るのは大日如来様です。脇侍に真言宗の開祖でもある弘法大師と不動明王をお祀りするにあたって、脇侍は仏像にするか、それとも掛け軸にするかで迷うかもしれません。
脇侍もできれば御本尊と同じように仏像を選びたいと考える人も多いのですが、脇侍もご本尊と同じようにしたいと考えれば、仏壇の中にもそれなりのスペースが必要になります。
近年では住宅事情や仏壇に対する考え方は大きく変化しており、さらに言うならばその地域の特徴によっても差が生まれています。
ご先祖様を大切にする思想が深く根付いている地域では、現在でもお仏壇は故人を祀る大切な場所なのでなるべく立派に大きなものを用意し、仏壇を設置する部屋は仏間と呼ばれる専門の空間を今でも確保しているような習慣が根強く残っている地域もあります。
片や都市部では住宅事情に合わせてコンパクトでモダンなデザインの仏壇などが好まれる傾向にあります。脇侍をどのような形で祀るかは、まずはスペースに合わせてどんな仏壇を選ぶかによっても変わってきます。そしてもう一つ予算に応じて選ぶことも大切です。
「御本尊と脇侍」の仏像・掛け軸の祀り方
真言宗でご本尊である大日如来と脇侍を祀るにあたっては、一般的には向かって左側に不動明王を、右側に弘法大師を祀るのが一般的です。脇侍はどちらを左右に安置するのか迷う人もいますが、基本的にはご本尊の方に向く形となり背を向ける事はないと考えれば左右どちらに何を祀るかで悩むことはなくなります。
まずは大日如来が最も大切でお仏壇の中心に安置し、その両脇に脇侍を安置することになります。現在のお仏壇はデザインも大きさも様々なので、ご本尊や脇侍を選ぶ際には自宅のお仏壇にきちんと安置できるサイズのものを選ぶことが何よりも大切になります。
仏像の場合大日如来像の高さを表記されているのですが、通常は台座や光背などのサイズは寸尺で表記された数値には入らないので、選ぶ際には十分にその点を理解しておかないと後で仏壇に入りきらなくなる心配があります。
お祀りするにあたっては、大日如来の両脇に掛け軸などで脇侍を安置するのですが、その際にはご本尊よりも高くならないように設置するのが一般的です。また、掛け軸の場合スタンドやピンなどを使ってお祀りするため、高さにある程度ゆとりを持たせておく必要があります。
位牌の選び方(浄土宗・真言宗・天台宗・臨済宗・日蓮宗・曹洞宗)
位牌のデザインや形の選び方に決まりはない
位牌というのは日本人にとって故人の霊が宿るモノで、先祖祭祀の道具として使用されてきました。位牌にも白木でできたものとやや小さな黒塗りに金色の飾りや濃い色の木目などでできたものをよく目にします。
位牌には故人の戒名と、亡くなった年月日、亡くなった時の年齢や俗名などが記してあるのが一般的で、葬儀や供養の際に用いられます。そこに記される戒名は仏様として浄土で使用する新しい名前という考え方が一般的です。
故人がなくなってから仏様として生まれ変わるのが四十九日にあたる日で、この時に納骨などを行い菩提寺から僧侶を迎えて法要を営みます。四十九日までは白木の仮のものを使用し、本位牌は四十九日の法要までに用意して置きます。
四十九日の法要でお経をあげていただく事によって魂入れをする事になります。
位牌は伝統的なものでは漆塗りや黒檀、紫檀などが使用され、デザインや色、装飾や仕上げなどに関しては現在では多くの種類があります。最近では美しい蒔絵が施されたものや特殊な漆塗りのものなど、さらに選択肢が増えています。
位牌のデザインや形に細かな決まりごとはありません。故人の好みを反映させたデザインのものなども増え、どんなものを選ばなければならないという宗派による決まりも特にないのですが、選ぶ際には必ずお仏壇の中に収まるサイズのものを選ぶことが鉄則です。
昔は位牌のサイズは社会的な立場の高い人ほど大きい傾向があったようですが、現代では住宅事情に合わせて選ぶ人が増えています。
浄土真宗に限っては位牌を使わない
位牌を選ぶ際に宗派による明確な違いは基本的にはありません。むしろ宗派よりもその地域独特の傾向の方が大きな違いとなって現れる事が多いようです。
そして浄土真宗に限っては元々位牌を使用せず、戒名も法名と言って頭に釈の文字を付けたところに男性は3文字、女性は4文字が基本だとされてきました。この法名を法名軸と呼ばれる掛け軸に記したり、過去帳に記したりして使用してきました。
けれども最近では浄土真宗でも他の宗派と同じように一般的によく使用される塗りなどの位牌に院号、位号などの付いた法名を記して供養する例がよくみられるようになっています。
浄土真宗では阿弥陀如来を本尊と仰ぎ、誰もが仏になる事が約束されているという教えなので、信者が亡くなった後仏の弟子ではなく仏になって魂が浄土に行くと信じられてきました。
そのため本来は位牌は不要で法名を記した法名軸などを用意していたのですが、現代ではそうした習慣や仏壇仏具にまつわる環境も大きく変わり、位牌そのものが故人への供養の一つで心のよりどころなのだと考えられるようになっています。
曹洞宗や臨済宗などの禅宗では、唐木のものを使用し、その他の宗派では塗りのものが選ばれる傾向があるようですが、宗派によって確固たる違いがあるわけではなく、もともと位牌を使用しない伝統を持っていた浄土真宗であっても現代では使用する人が増えており、さらに宗派による大きな違いは現代ではなくなりつつあるうえ、お仏壇にもあえて本尊を祀る事をせず写真だけを祀っている人も増えていると言われています。
注意すべきポイントは「文字の入れ方」
位牌を作る際に注意しなければならないのは文字の入れ方です。白木のものに書かれている文字によって原稿を作ってから、文字と内容を十分に確認してから入れる必要があります。
まず戒名ですが、戒名の末尾に位や霊位と書かれている位号があります。そして戒名の上に梵字と呼ばれるサンスクリット文字が入ります。これは宗派によって異なり、梵字がない場合やあっても入れない事も出来ます。
そして生前の氏名である俗名、和暦で漢数字であらわす没年月日、亡くなった年齢を漢数字であらわす没年齢などが入ります。
文字や配列は白木のものに書いた僧侶やその地域の風習によっても異なりますが、白木のものに書かれた文字を元に本位牌に入れる事となるので事前によく確認しておく必要があります。
白木のものは表面のみにこれらの文字がすべて書かれている場合が多いのですが、本位牌には通常は戒名と没年月日を表面に、俗名と没年齢を裏面にかくのが一般的です。
白木のものに記入されている文字の種類は旧字が使われている場合があります。そのまま使用すると後々読めなくなるかもしれないことを懸念して、旧字をそのまま使うのではなく新字に直して書く人もいます。これは本位牌を作成する際に遺族がどちらにするか選ぶことができます。
また、古い位牌の傷みが激しかったり、数が増えすぎてしまって仏壇がいっぱいになっているような場合、例えば「先祖代々の霊」などと記した大きめの位牌にまとめるなどの方法がとられることもあります。もしも作り変える際には魂抜きをして新しい位牌に魂入れを行うのが一般的です。
真言宗のお仏壇の選び方と注意点
真言宗では唐木仏壇かモダン仏壇がよく選ばれる
真言宗には、仏壇に関して細かな宗教的な決まりごとが存在しません。そのため、仏壇の選択にそれほど神経質になる必要はありません。ただ、真言宗に関する仏具を設置しやすいという観点から唐木仏壇かモダン仏壇のどちらかが選ばれることが多いです。
基本的に、仏壇というのはお寺の本堂を小さなサイズに収めたもののことを意味します。
当然ですが、お寺をそのまま住宅に持ってくることはできませんので、それぞれの宗教や宗派のお寺に見立てた仏壇を住宅に持ってくることになります。そのため、それぞれの宗教や宗派によって本山とする様々なお寺を考慮して、本来は選択しなくてはいけません。
中には、宗派によって独自のお寺の決まりを作っているところもあります。この場合には、そのお寺を前提として購入を検討しなくてはいけないため、この点は理解が必要です。実際に、同じ真言宗であっても宗派によっては信徒のために詳しいイラストなどによって仏具などの設置方法を細かく記載しているところも存在します。
このような決まりごとが存在するケースでは、その状況にあわせて仏壇も選ばなくてはいけません。ただ、真言宗の本尊は大日如来であり、この点に関しては各宗派ともに変わりません。お祀りする対象として大日如来が存在すれば、それが真言宗の仏壇となりますのでこの点は忘れないようにしておくことです。
唐木とモダンがよく選択されているのは、あくまでも宗派の違いを加味して設置方法に不備が生じないようにするためです。
金仏壇は真言宗ではあまり選択しない
真言宗に仏壇の細かな決まりは存在しないと述べましたが、実は一つだけ注意をしなくてはならない点があります。それは、なるべくならば金仏壇を選択しないようにすることです。これには諸説ありますが、大きな理由としては以下の二つの理由が挙げられます。
まず、歴史的な理由から金仏壇を選択しないケースが目立つことです。元々、日本の宗教は地域性が高くかつ国家的な移り変わりが多かったという背景もあって、一時期は仏壇の早期の製作が求められることもありました。
例えば、江戸時代のキリスト教禁止令です。キリスト教を崇拝していないということを証明するために、素早く仏教を信仰する証として仏壇を住宅に設置しなくてはいけない時期がありました。つまり、金仏壇などを用意する時間的な余裕がなかったのです。こうした歴史的な影響が、現代にも続いていると考えられている説があります。
二つ目の理由が、宗教上の違いが存在すると考える説です。浄土真宗は宗教の中でも特に金仏壇が好まれる宗教ですが、これは浄土真宗が進行する阿弥陀仏の浄土を表現しているからだと考えられています。浄土真宗の浄土は光輝く救いの地であるという考えがありますので、これを上手く表現できる金仏壇は宗教上の観点からも特に好まれています。
一方で、真言宗は現実世界の即身成仏を前提とした宗教です。浄土ではなく、現生の世に仏となることを宗教上の旨としているため、現実的な金銀財宝の欲は必要ありません。そのため、見た目が煌びやかなものは選択せず、必要なものだけを選択することが大切なのだと考えられています。
予算と置く場所に合わせてチョイス
真言宗は、宗教上の仏壇の条件は厳しくないので結局は予算とその仏具を置くスペースによって選択することがとても大切になります。
例えば、真言宗には準備しなくてはならない仏具がいくつか存在します。三具足や五具足、湯茶器などお祀りするときには必ずスペースが必要になります。実際に、宗派によっては販売されている仏具がかなり異なることもあります。どの宗派に属しているのかを専門店に告げてから、予算と相談をして正しいものを購入しなくてはいけません。
また、本尊と脇侍に関しても重要です。真言宗の本尊は大日如来ですが、仏壇にお祀りできる仏像は全て同じ大きさというわけではありません。仏像を購入した後に実は大きさが全く異なっていたということも十分にありえます。まずは、どの程度の大きさのものが必要なのかをきちんと計算してから相談しなくてはいけません。
脇侍に関しても、サイズが大きすぎるとバランスが悪くなり中に入らなくなる可能性もあります。特に、設置スペースがそれほど大きくない場合には余計に注意をしなくてはいけません。本尊や脇侍を購入した後には、それと一緒に掛け軸などの購入も検討する必要があります。
しかし、この掛け軸というのは本尊よりも大きなモノを選択するのはあまり良くないと考えられています。本尊の高さと設置スペースに余裕がないときには、予算を小さくして掛け軸を掛けられるように余裕を持たせることも大切です。サイズがコンパクトであっても、宗教上の意味合いは変わりませんので心配する必要はありません。
まとめ
真言宗は、本尊を大日如来とした宗教であるためその宗教上の考えを前提とした仏具を選択しなくてはいけません。掛け軸などの仏具に関しては共通した考え方もありますが、位牌や仏壇の選択時には注意が必要な点もあります。
特に、大きな決まりごとはありませんが金仏壇に関しては避けておくことが大切です。即身成仏を是とした宗教であるため、欲にも見えてしまう煌びやかな装飾は必要ありません。費用は大切ではなく、真言宗を理解して正しい信仰心で設置することが大切です。
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