葬儀の玉串料とは?目安や書き方、参列する際のマナーを紹介
- 2024年08月09日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
日本のお葬式は主に仏式ですが、神道で行われる場合もあります。
仏式では葬儀に香典を持参するのに対し、神社による神道では玉串料を持参するのが一般的です。
どちらも葬儀にお金を包むという点では同じですが、宗教の違いから呼び名やルールが異なります。
「神道の葬儀に参列したことがない」という方の中には、玉串料のマナーやルールに不安を感じるという方もいるでしょう。
この記事では、葬儀における玉串料の仕組みや目安、書き方、参列する際のマナーを紹介します。
玉串料とは?
玉串料とは、神社に納められるお金のことを指します。ここでは、玉串料について詳しく解説します。
読み方と意味
玉串料の読み方は「たまぐしりょう」で、本来の意味は祈祷の際に神社に納められるお金のことです。
玉串とは、植物の榊(さかき)の枝に木綿や紙垂をつけたものです。神道の結婚式やお葬式などの神事の際に捧げられていました。
日本の神話である「天岩戸開き」の場面において、神様である布刀玉命が岩戸の前に榊に鏡や玉をつけて捧げたことが由来とされています。
以前は神様へのお供え物として納めるものでしたが、現在は神職の方への謝礼も含まれています。さらに、お葬式においてはご遺族が神社に渡す謝礼金だけでなく、参列者がご遺族に渡す金銭も玉串料と呼ぶのが一般的です。
玉串料は、仏式のお葬式におけるお布施や香典と同じ意味合いを持ちます。
御玉串料との違い
御玉串料と玉串料は、表記が異なるだけで意味は同じです。読み方は、「おんたまぐしりょう」といいます。
どちらを使っても問題ないですが、お葬式で包む際には外袋の表書きに「御玉串料」と記載するのが一般的です。
初穂料との違い
玉串料と初穂料(はつほりょう)には、弔事で使われるか使われないかの違いがあります。玉串料は慶事・弔事どちらでも使えるのに対し、初穂料は弔事で使えません。
そもそも初穂料とは、神様への感謝の気持ちを示すお供え物を意味します。
初穂とはその年に初めて収穫された稲穂の束のことです。広い意味ではその年に初めて獲れた農産物や魚介類なども含みます。
これらを感謝の気持ちや豊作祈願の気持ちを込めて神前に奉納したため、神道の慶事で現金を供える際に「初穂料」と記載するようになりました。
神様に感謝の気持ちを示すお供え物であるため、弔事であるお葬式には用いられません。なお、玉串料は神様への捧げものであり、お葬式だけでなく結婚式などの慶事でも使えます。
玉串料が必要となる神道の法事
玉串料は、神道のさまざまな法事で用いられるため、どのような法事があるか把握しておきましょう。
ここでは、神道において玉串料が必要となる法事を紹介します。
神道とは
そもそも神道とは、古来から日本にある日本特有の宗教です。地上の森羅万象に神が宿るという考えが基本となっています。
神道は仏教のように明確な教えや経典が存在せず、古くから日本の各地で伝わってきた信仰をまとめたものです。神道では死をけがれと考え、儀式で清めて日常生活に戻していくのが基本的な考えとなります。
また、きちんと祀ることにより、故人さまが子孫を守る神になるという考えも神道の特徴です。
神葬祭
神葬祭(しんそうさい)とは、神道におけるお葬式のことです。
仏式と異なり、お亡くなりになった故人さまを天国に送る儀式ではありません。神葬祭は故人さまが家を守る神様となるように祈るために行うものです。神葬祭が終わると、祖先は神様となってご遺族や親族を守る存在になると信じられています。
また、神葬祭はお亡くなりになった当日からさまざまな儀式が行われるのも特徴です。例えば、ご逝去の当日には神棚に対し、故人さまの死を奉告する帰幽奉告(きゆうほうこく)の儀式が行われます。そのあとは、神棚の扉を閉じて白い紙を貼って塞ぎます。
一方、神葬祭は祖先への崇拝がもとになって発生した民俗信仰であるため、お葬式の流れは地域差が大きいのも特徴です。神葬祭に参列する場合は、玉串料だけでなく、お葬式のルールやマナーも事前に確かめておく必要があります。
霊祭
霊祭(れいさい)とは、仏教の法要にあたる神道の行事です。
故人さまがお亡くなりになった日を起点に、10日ごとに十日祭、二十日祭と行います。霊祭における五十日祭は、仏式の法要における四十九日にあたり、納骨する場合も多いです。
五十日祭の翌日には「清祓いの儀(きよはらいのぎ)」を行い、忌明けのお祓いやお清めを行います。
この行いを合祀祭(ごうしさい)といい、神棚封じで使った半紙を取り除き、故人さまが守り神となるための儀式です。
清祓いの儀のあとに行われる霊祭は祭百日(ひゃっかにち)です。故人さまがお亡くなりになってから100日目を目処に行い、知人や友人を招いて会食を行う場合もあります。
なお、霊祭を行う際にも神主に対して玉串料が必要です。
式年祭
式年祭(しきねんさい)とは、仏教における年忌法要です。
故人さまがお亡くなりになった日を起点に、一年祭、三年祭、五年祭、十年祭と行います。そのあとは10年ごとに行われ、50年が一区切りです。場合によっては、百年祭や二百年祭と続く場合もあります。
式年祭の規模は一年祭や三年祭が大きく、そのあとは徐々に小規模になるケースが多いです。
式年祭では、清祓いの儀や祝詞奏上(のりとそうじょう)が行われ、仏式のお焼香にあたる玉串奉奠(たまぐしほうてん)、会食の順で行われます。式年祭の大まかな流れや内容は、仏教の式年祭とほとんど変わりません。
式年祭で神社に儀式をお願いする場合も、玉串料を納める必要があります。
葬儀の玉串料の種類と相場
お葬式の玉串料にはご遺族が神社に渡す場合と、参列者がご遺族に渡すケースがあります。
ここでは、それぞれの立場で必要となる玉串料の相場を解説します。
神社に渡す場合
お葬式でご家族が神社に渡す玉串料の相場は30万円~40万円です。
お葬式や祈祷によってあらかじめ玉串料が定められている場合もあるため、事前に確認しておきましょう。指定がない場合や、どれくらい渡していいのかわからない場合は神社に確認しても問題ありません。
霊祭や式年祭でも玉串料は必要ですが、この場合の相場は3万円~5万円ほどです。ただし、式年祭や玉串料のあとに食事会を行う際には、お膳料やお車料などが必要となります。
お葬式の玉串料の相場が高めに設定されているのは、故人さまを神様として祀るためにさまざまな儀式が必要になるためです。
葬式の予算は玉串料も含めて検討する必要があります。
ご遺族に渡す場合
お葬式の参列者がご遺族に玉串料を渡す場合、一般的なお香典と同じ相場と考えて問題ありません。
玉串料は故人さまやご遺族をいたわる気持ちを形にしたものであり、「〇〇円」といった決まりはありません。しかし、神道でも最近は香典返しのように、玉串料に応じた返礼品を参列者に渡すのが一般的です。
玉串料が相場よりも低すぎると、ご遺族の負担を増やす可能性もあるため、相場の範囲内でお渡しするのが望ましいといえます。
玉串料の相場を故人さまとの関係別に紹介します。
- 祖父母:1万円~5万円
- 親:5万円~10万円
- 兄弟姉妹:3万円~10万円
- おじ、おば:5千円~3万円
- 友人:5千円~1万円
- 隣人:3千円~1万円
- 会社関係:5千円~1万円
一般的に年齢が高くなるほど玉串料も多くなります。また、実際には個人的な関係の深さや、一緒に参列する方とのバランスも考慮しながら金額を決めるのがよいでしょう。
葬儀で玉串料を用意する場合のマナー
お葬式で玉串料を用意する場合は、お香典と同じようにマナーを守る必要があります。
ここでは、参列者がお葬式に玉串料を用意する際のマナーを紹介します。
不祝儀袋の種類
玉串料を入れる不祝儀袋は、金額に見合ったものを選びましょう。
不祝儀袋は水引が印刷されているタイプから、銀が使われたものまでさまざまな種類があります。見栄えがいいという理由で選んだ場合に、中に入れる玉串料が少ないと失礼にあたる場合があるため注意しましょう。
基本的には玉串料が少ないほど簡易的な不祝儀袋、金額が高くなるほど豪華な不祝儀袋となります。
選び方の基準となるのは、玉串料が5千円までなら水引が印刷されているものを使用し、実際に水引がついているものは1万円以上が目安です。
また、あわじ結びの水引や双銀の水引は3~5万円を包むときに使用します。それ以上の金額を包む場合は、高級和紙製で双銀のものがよいでしょう。
お札を入れるときのマナー
玉串料を不祝儀袋に入れる際には、お札の肖像画を裏向き・下側にして入れるのがマナーです。これは不祝儀であるため、顔を伏せるという意味合いがあります。
また、玉串料では「不幸をあらかじめ予想していた」という誤解を防ぐため、新札を使用しないのがマナーです。一方で、ぼろぼろのお札を使用するのもマナー違反であり、切れ目が入っているようなものは避けましょう。
汚れが目立って状態が悪いものは避け、適度に使用感があるものが望ましいです。お札を入れるマナーは以前に比べると気にする人は減っているものの、不快な気持ちにさせる可能性もあります。
神餞物を一緒に渡した方がいいケース
玉串料をご遺族に渡す場合に、神餞物(しんせんぶつ)を渡す場合もあります。
神餞物とは神道におけるお供え物です。神に捧げるという意味があるため、食べ物や飲み物を選ぶのが一般的となっています。神餞物は必ず持参しなければならないわけではありませんが、持参する方がご遺族から丁寧な印象を持たれます。
神餞に禁止されているものはないものの、仏式のように花を飾る習慣がないため、植物は避けた方がよいでしょう。お線香やろうそくなども、神道のお葬式のお供え物としては相応しくありません。
外袋の書き方
不祝儀袋の外袋には、「御玉串料」もしくは「御霊前」「御榊料」と書きます。
「御神前」と書く場合もありますが、神道では故人さまが守護霊となるのは式年祭からとしているところもあります。
場合によっては御神前が相応しくないため、御玉串料と書くのが無難でしょう。また、神道の不祝儀袋では、仏式のように「御仏前」と書くのはマナー違反となるため注意が必要です。
次に水引のスペースを空け、中央の下に参列者のフルネームを縦書きします。連名で出す場合、夫の名前の左隣に名字を省略した妻の名前を書くのが一般的です。
会社の同僚で出すなど、複数名の場合は3人目までは名前を記載します。4人以上の場合は「(団体名)一同」と記載するのがマナーです。
中包みの書き方
中包みとは、外袋の中にある玉串料を入れる袋のことです。
中包みの表面には金額を記入し、裏面には住所・氏名をそれぞれ書きます。金額を記入する際は、旧漢数字を使用するのが基本です。例えば、玉串料として1万円を中袋に入れる場合、「金壱萬圓」、5万円なら「金伍萬円」と記載します。
なお、中袋も連名で出す場合は夫婦だと夫の氏名をフルネームで書き、その左側に妻の名前のみを書くのが基本です。会社関連など複数人で出す場合も、3人までは名前を書き、4人以上になる場合は代表者の氏名と団体名を記入します。
外袋・中包みを書く際に使用する道具
神道の玉串料を入れる外袋や中包みに金額や氏名を記入する際も、仏式と同じように薄墨と筆を使って書くのが基本です。
薄墨と筆を使用するのは、「涙がこぼれて墨が薄まってしまった」という意味が込められます。故人さまがお亡くなりになったことに対する悲しみを表現するため、神道も仏式も関係ありません。
筆を持っていない場合は薄墨の筆ペンを購入して書きましょう。急な訃報で筆や筆ペンの用意ができない場合は、サインペンを代用しても問題ありません。ただし、インクは必ず黒色を使用しましょう。
ボールペンや鉛筆はご遺族にマナー違反と捉えられるため、使用は避けましょう。
水引の結び方
お葬式に使用する不祝儀袋の水引は、「結びきり」もしくは「あわじ結び」と呼ばれるものがあります。
結びきりは、同じことが二度と起こらないようにという気持ちが込められた結び方です。お葬式や法要をはじめ、退院祝いで使われる場合もあります。
あわじ結びは結びきりの両端が輪になるように結んだもので、結んだ形がアワビに似ていることから名づけられました。一度結びと解くことが難しいため、「繰り返さない」「一度きり」の意味が込められています。
不祝儀袋では、結びきり、あわじ結びのどちらを選んでも失礼にはなりません。
一方、蝶結びの水切は何度でも繰り返していいという意味があるため、お葬式では避ける必要があります。
不祝儀袋の出し方
不祝儀袋はふくさに包んだ状態でお葬式に持参し、受付で渡すのが一般的です。
受付で渡すときは右手にふくさを乗せ、左手で包んでいるふくさを開いて、不祝儀袋を渡しましょう。ふくさはお金を汚れやシワから守ったり、渡す相手に敬意を払うために使います。仏式でも神道でも関係なく、不祝儀袋とセットで用意するのがマナーです。
一方、不祝儀袋を渡すときの言葉には注意する必要があります。例えば、神道では仏教用語を使用しないため、「ご冥福をお祈りします」はNGです。
「お悔やみを申し上げます」「ご愁傷様です」などの声がけなら失礼にあたりません。
喪主が神職に渡す場合
喪主が神職に玉串料を渡す場合も、黒白もしくは双銀の結びきりの水引がついた不祝儀袋を用意します。
しかし、神職に渡す玉串料は謝礼として渡すため不祝儀にはあたりません。感謝を伝えるためのものであるため、お札は折り目のない新札を包むのがマナーです。お札も肖像画が封筒の表面に向くように入れ、すべてのお札の向きを揃えて入れましょう。
不祝儀に使用する筆記用具は薄墨ではなく濃い墨を使い、筆や筆ペンが用意できないときはサインペンでも問題ありません。
まとめ
この記事では、お葬式における玉串料の概要や目安、不祝儀袋の書き方などを紹介しました。
玉串料とは、神道のお葬式においてご遺族が神社に渡す謝礼金や、参列者がご遺族に渡す金銭を指します。参列者がご遺族に渡す玉串料は、仏式におけるご香典とほとんど同じです。
相場や渡し方もご香典と変わりませんが、外袋の書き方や渡す際のお悔やみの言葉には違いもあります。
神道のお葬式に参列する際には慌てないように、玉串料のルールやマナーを確認しておきましょう。
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