死体検案書の書き方と基礎知識
- 2023年01月20日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
人が死亡した際、日本では市区町村役場に死亡届を提出しなければなりません。死亡届と併せて同一用紙に記載されているのが「死亡診断書」兼「死体検案書」です。死亡届を提出する際は、この死亡診断書または死体検案書を医師に記入してもらわなければなりません。普段目にすることのないこれらの書類について、基礎知識と提出までの流れを詳しくご紹介します。
目次
死体検案書とは
死体検案書とは、人の死亡事由について医師が記した書類のことをいいます。死亡診断書と同様、死亡を証明する効力があり、死体検案書は実際に死体を検案した医師のみが発行できる書類です。
書類のサイズはA3サイズ。左右半分で書類が分かれており、右ページに「死亡診断書」兼「死体検案書」、左ページに「死亡届」が記載されています。
右ページの死亡診断書、兼死体検案書は医師が記入します。記入する内容は死因や死亡時刻などです。死亡診断書と書類を兼用しているため、医師は不要な部分を2重線で消し、使い分けています。
左ページの死亡届は、遺族が故人の名前や戸籍情報を記入します。医師に死体検案書を記入してもらったあと、遺族が死亡届を記入し、市町村役場に提出します。
死亡診断書と死体検案書のちがい
死亡診断書と死体検案書はともに死亡を証明する書類です。どちらも死亡を証明する書類ですが、使用の条件が異なります。
死亡診断書と死体検案書のちがい
継続して治療中の病気、怪我等が原因で死亡した場合のみ作成される証明書。医師が容態の経過を把握している場合に死亡診断書が作成されます。歯科医師による作成も可。
この条件以外の死亡証明は、すべて「死体検案書」が作成される。
医師が検案を行った場合に作成される証明書。治療していない病気が原因の死亡、異状死、自殺など、医師が容態の経過を把握してない場合、医師は検案を行わなければならない。
よって、死体検案書に関しては歯科医師による作成不可。
「死亡診断書の発行手続きですべきこと」はこちら
死体検案書が必要なケース
自宅での孤独死や治療していない病気が原因である病死、異状死、自殺、他殺など、医師が容態の経過を把握してない場合の死亡に関して、医師は必ず死体を検案しなければなりません。検案とは、死体について死因や死亡時刻、異状死ではないかなど、死亡の事実を医学的に確認することをいいます。死体検案書は検案した医師によって作成されます。
- 故人が治療をしていない病気が原因で死亡した場合
- 故人の死因が不明の場合
- 死亡時の状況に異常があると判断した場合
- 事故死や転落死といった不慮の死、また自殺や他殺等の場合
ちなみに、故人が自宅での死亡した場合、治療中の病気が原因で死亡した場合は死亡診断書を用いることがあります。/p>
どうやって死体検案書を発行するの?
検案した結果、医師が死亡に不審な点がないと判断した場合、死体検案書が作成されます。
万が一、死亡に不審な点があると判断した場合、医師は24時間以内に所轄警察署に届け出なければなりません。検察官や警察官が検視を行い、必要であれば司法解剖や行政解剖を行います。この場合、警察の監察医(警察医)により死体検案書が交付されます。
死体検案書の発行に必要な費用
死亡診断書発行の費用の相場が大きな病院で5,000~8,000円程度であるのに対し、死体検案書の相場は30,000~100,000円程度と高額です。地域や病院の規模、医師によって金額に幅があるため、予定外の出費となることも考えられます。しかし、医師に死因を詳しく調べてもらうため、死亡診断書より高額になってしまうことは仕方がないのかもしれません。
また、死体検案書は葬儀の手続き等でも必要となる場合があります。医師に記入してもらった死体検案書は、あらかじめ5~10枚くらいコピーをとっておきましょう。一方で、コピーでの受付不可としている手続きもあります。市区町村提出の際、あらかじめ「死亡届の記載事項証明」も発行してもらい、二度手間とならないよう準備しておきましょう。
死体検案書の内容と確認事項
死体検案書には次のような内容が記載されます。
記載する項目
【故人の基本情報】
故人の氏名、生年月日、性別が記載されます。
【死亡した場所】
故人が死亡した場所が記載されます。自宅だった場合は「自宅」と記載されますが、そのほかの場所だと施設名称(病院・介護老人保健施設・助産所など)が書かれ、住所も記載されます。
【死亡した日・時刻】
死亡した年月日、時刻が記載されます。死亡時刻が定かでない場合はわかる範囲で記載します。また、死亡年月日が特定できない場合は「不詳」と書かれます。
【死亡した理由】
死因に関する医療処置の有無、解剖の有無が記載されます。
【外因死の追加事項】
事故死や殺害・自殺など、死因が病死や自然死以外に該当する場合は、傷害が発生した日時、場所(都道府県名及び市町村名)、障害が発生したところの種別、手段、状況といった内容も記載されます。
例)変死体で頭部に打撲痕があった場合
殺害による打撲痕の可能性が高いか、自ら打ち付けた打撲痕の可能性が高いか。
【その他】
補足内容がある場合に記載されます。
医師の自筆署名か印鑑があるか要確認
死体検案書は医師による検案が行われたことを証明するため、書類に医師の自筆による署名が必要です。医師から受け取った際、遺族は必ず確認しましょう。
死体検案書を提出する流れ
ここで死亡から死体検案書を提出するまでの流れをご紹介します。
この時、右側の死体検案書に遺族が加筆や修正することは禁止されています。ご注意ください。
故人の本籍地または死亡地、届出人の現住所地の順位で該当する市町村役場に提出
365日24時間受付
親族・同居者・後見人・家主・地主など
・死亡届・死体検案書
・火葬許可申請書 ※一緒に提出します。
各市町村によっては火葬料の支払いがある場合があります。
死亡したのを知った日から7日以内
\※故人が国外で死亡した場合、死亡を知った日から3か月以内
提出先は市町村役場となります。この時火葬許可申請書もあわせて提出します。提出代行を要する場合は葬儀会社にご相談ください。葬儀会社が無料または有料で提出代行を行っている場合があります。
【合わせて読みたい】
火葬許可証がないと埋葬できない!発行に必要なものと手続き方法
わからないことがあれば専門家に相談しましょう
故人が亡くなって慌ただしい中、遺族は普段あまり遭遇することのない複雑な手続きを進めなければなりません。死体検案書という聞きなれない書類もその一つ。わからないことがあって当然です。詳しい内容は専門家に相談しましょう。
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まとめ
一般の方が死体検案書を日常的に見かけることはないかもしれません。知らなくて当たり前の知識ではありますが、期日が決まっていたり、費用がかかったりする場合があります。いざという時の備えとして役立ててください。
死体検案書に関するよくある質問
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監修者のコメント
岩田 昌幸 一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
自宅や老人ホームで突然死の場合など、すぐに死亡診断書を書いてもらうことができず、医師による検案が行われます。その時に書いてもらう書類が「死体検案書」です。病名が明らかで、日常的に「かかりつけ医」によって診療、経過観察を受けている場合は、死体検案書ではなく死亡診断書が発行されます。