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仏教だけじゃない!神道のお盆の過ごし方

仏教だけじゃない!神道のお盆の過ごし方
  • 2024年11月29日

「お盆」と聞くと、仏教に限った儀式(先祖供養)と思われがちですが、神道にもお盆があり、とても大切な行事のうちの一つとなります。

例えば、「迎え火」や「送り火」は、地域の慣習によるところが大きいように、お盆は神仏や先祖崇拝などが融合し現在の形になっています。

しかし、神道におけるお盆の過ごし方については、あまり知られていません。
今回は、仏教同様、神道にとっても大切な日となる、神道のお盆についてご紹介します。

記事の監修

人はなぜ弔い、弔われるのか、葬送儀礼を意味のある営みとして理解し、私たちは次世代へ伝えていきます。葬送儀礼マナー検定実施中。

神道のお盆

神道というより、習俗として、お盆にはご先祖様の御霊が家に戻ってくるための先祖供養や先祖崇拝だけでなく、一年間、不幸がなかったこと、そして両親の長寿と健康をお祝いする慣習があります。

神道のお盆の時期

東京・横浜など関東圏の一部の地域では旧盆と言われる7月13日〜16日にかけて、それ以外の地域では新盆と言われる8月13日〜16日にかけて4日間がお盆とされています。
詳しくは「お盆の墓参りの時期と持ち物」を御覧ください。

神道のお盆の迎えかた

神道でも、お盆を迎えるためには、準備から始まります。お盆の迎え方を順を追って説明していきます。特に初盆の時には、必要になります。

準備編:7日 七日盆(なぬかぼん)

手順1. 迎え火・送り火の木材を購入します
ホームセンターやスーパーで購入することができます。直接地面に迎え火や送り火を置きたくない場合もしくは置けない場合は、燃えない素材の皿や金属の箱を使うと良いでしょう。

お盆の迎え火と送り火の詳しい説明はこちらもご参照ください

手順2.お墓の掃除をします
墓石周辺の落ち葉やゴミを拾い、墓石や花立、燭台などの神具の汚れを水やスポンジで落とします。
神道の墓石は、縦長で頭頂部が四角錐状になっているタイプと仏教と同じタイプの2種類があります。

墓石には、「○○家之奥(津もしくは都)城」と霊名が刻まれています。霊名は、姓名の下に「之霊、命、命霊、霊位」のどれかを付けます。
「津」は一般の信徒、「都」は神主様や氏子に付けられます。読み方はどちらの場合も同じで「おくつき」となります。

墓石の掃除方法の詳しい説明はこちらもご参照ください

手順3.お墓参りをします
ロウソクに火を灯し、花立に榊をお供えします。神具に水、お神酒、塩、米をお供えし、墓石に水をかけた後、二拝二拍手一拝をしてお祈りします。神道では、線香はあげません。榊をお供えするのが基本ですが、生花でも大丈夫です。
なお、故人が亡くなられてから50日以上経っていない場合、柏手は音を立ててはいけないので、気をつけましょう。
ちなみに、神道では、忌が明けるまでは神社には行っていけないとされています。忌が明けるには最長50日とされています。 「生き盆」もしくは「生きみたま」と呼ばれ、親族が一同に集まって親や祖父母のためにお膳を調える風習も、仏教行事というより習俗によるところが大きい風習です。

手順4.神棚・祖霊舎を掃除します
毛が柔らかいタイプのハタキやタオルで、埃や汚れを取ります。
神棚・祖霊舎は、木材でできていますので、洗剤を使うことはお勧めできません。また、水を使いたい場合も、タオルに水分を含ませ、硬く絞ってから使いましょう。木材に水分のシミが付着してしまった場合、取ることは困難となります。

神棚と祖霊舎はどちらも神様をお祀りするものとなりますが、お祀りする神様がちがいます。神棚には天照大神様、崇拝する神社、氏神様のお札や神具をお祀りしますが、祖霊舎には、ご先祖様や故人の霊璽(仏式で言う位牌のこと)をお祀りします。祖霊舎は「信徒壇」「御霊舎」とも言います。

手順5.精霊棚を作ります
精霊棚は、祖霊舎の前に作ります。
供物用の台を準備します。台には、真菰(まこも)の網を敷き、花立に盆花を飾ります。
ホオズキの実と団子(お迎え団子もしくは送り団子)と季節の果物などをお供えします。キュウリの馬とナスの牛を飾り、故人の好きだった食べ物をお供えします。
なお、お供え物は地域によって異なりますので、事前に確認することをお勧めします。

精霊棚の詳しい説明はこちらもご参照ください

手順6.盆提灯を飾ります
ご先祖様が戻られる時の目じるとなる盆提灯を飾ります。詳細は、下の「盆提灯」をご参照ください。
初盆の場合は「白提灯」を飾りましょう。なお、白提灯を飾る場合は1つで良いとされています。

当日編:13日 迎え盆・迎え火

手順1.午前中にお供え物(神饌物)を飾ります

手順2.墓参りをします
ロウソクに火を灯し、花立に榊をお供えします。神具に水、お神酒、塩、米をお供えし、墓石に水をかけた後、二拝二拍手一拝をしてお参りします。神道では、線香をあげません。榊をお供えするのが基本ですが、生花でも大丈夫です。
なお、故人が亡くなられてから50日以上経っていない場合、柏手は音を立ててはいけないので、気をつけましょう。
ちなみに、神道では、忌が明けるまでは神社には行っていけないとされています。忌が明けるには最長50日とされています。

手順3.夕方になったら、家の門前で迎え火を焚きます
家に戻って来られる祖霊(ご先祖様の霊)が迷わないために焚きます。

当日編:15日 盆祭り・中元祭

手順1.神主様をお招きして祝詞の奏上を行ってもらいます
僧侶をお招きして読経をあげてもらう仏教と同様、神道では神主をお迎えして「大祓祝詞」を奏上して頂きます。

順2.奏上の間、列席者は榊を祖霊舎に捧げます

手順3.列席者が一同に集まり、会食をします

当日編:16日 送り盆・送り火

手順1.家の門前で送り火を焚きます
祖霊があの世に無事に戻られるようお見送りします。

手順2.精霊棚や祭壇を片付けます

神道祭壇の飾り方

祖霊舎を中央の上段に安置し、手前の左右に榊立て、燭台、神饌物(しんせんもの)をお供えします。お供え物は、三方台に乗せると見栄えがよくなります。
神饌物とは、神様や亡くなって家を守ってくださる神様となった方へお供えする食べ物の総称です。火を通さず素材のまま生でお供えする物を「生饌(せいせん)」、火を通して調理した物を「熟饌(じゅくせん)」と言います。

祭壇は段でもテーブルでも構いませんが、北向きにならないように注意が必要です。
こちらでは、三段飾り壇についてご紹介します。神道の場合、神饌物を置く順番(序列)が決まっています。序列が高いのは、神様から見て左側となりますので、参考にしてください。

(飾り)
正面:掛軸(天照大神)、しめ縄、紙垂(しで)
紙垂は、一般的に祭主様(伊勢神宮の神職の役職)が作ります
上段:中心に霊璽(れいじ)、両脇に本榊
中段:左から順に魚、米、三宝
下段:左から順に神具一式、海の物(魚、昆布など)、山の物(川魚、果物、野菜など)、お菓子(数種類)、両端脇に燭台
神具一式とは、カワラケ(塩を盛る小皿)、水玉(蓋つきの水差し)、平子(供物の皿)のことになります。
最前:手前に八足、両脇に盆提灯
祭壇外側:奥から両脇に麻を垂らした榊、手前の両脇に生花

食べ物や飲み物は、三方や折敷の上に乗せると、見栄えが良くなります。また、三方や折敷は、縁の継ぎ目が手前に来るように置きます。

お菓子として、一般的に団子をお供えしますが、お供えする団子には決まりがあります。
13日には迎え団子として「あん付き」の団子を、15日には送り団子として「白団子」をお供えします。
また、神饌物は、神様のお下がりを頂くという神人共食の文化が神道にはありますので、祭事が終わった後、家族で頂きます。
神饌物を頂くことを神道では、「直会(なおらい)」と言います。

また、地域によっては、竹で作った「精霊棚(しょうりょうだな)」を準備します。精霊棚とは、盂蘭盆(うらぼん)にお供え物をして、精霊をお祀りする棚のことで、「盆棚」とも呼ばれます。
精霊棚の作り方は仏教と同じとなります。

また、神道でも神職(神主)による祭事が執り行われます。
神職が祭事を執り行い、親族や訪問客の方々が入れるスペースを確保しておきましょう。

神道のお盆のお供え(神饌物)

神道の場合、仏教と大きく違うのはお供え物です。精進料理が中心となる仏教の場合、お盆の時期のお供え物として肉や魚は適さないとされていますが、神道の場合は、魚などもお供えをします。
なお、神式でのお供えには、食べ物によって並べる順番が決まっています。並べる順番に関しては、「神道祭壇の飾り方」をご参照ください。
ちなみに、お供え物の序列は、序列が高いのは、神様から見て左側となります。
では、お供え物を序列の高い順に紹介していきます。

盆提灯

提灯には、大きく分けて2タイプあります。
一つは、吊り下げるタイプ。もう一つは置くタイプです。
提灯は、ご先祖様が迷うことなく家に戻って来るための目印になります。また、盆提灯には故人の冥福を祈る意味も込められています。
なお、神道の場合は「蓮」が描かれていないものを選びます。蓮は仏様の智慧や慈悲の象徴とされているためです。

迎え火と送り火

「迎え火」と「送り火」は、元々、神道が始まりとされています。
お盆の時期には、ご先祖様の魂がこの世に戻ってくるのでお迎えをし、この世から戻られる時にお見送りをします。

神道のお盆における気になる疑問

男性疑問

こちらでは、神道のお盆で気になる疑問についてお答えしていきますので、ぜひ、参考にしてください。

神職(神主様)への表書きと相場は?
神職(神主様)へお礼をお渡しする時の表書きは「御祭祀料」「御礼」が一般的です。地域によっては「御玉串料」「御祈祷料」と書くこともありますので、事前に神社に確認しておくと良いでしょう。
なお、表書きは薄墨ではなく、濃墨で書きますので、気をつけましょう。
また、相場も神社よって異なります。10,000円〜50,000円程度が多いようですが、事前に確認をすることをお勧めします。
水引は、一般的に「「双銀か黒白の結び切り」「白い奉書紙」の物、西日本で「黄白の結び切り」を使うこともあります。
訪問する時の香典の表書きと相場は?
訪問先にお渡しする時の表書きは「御玉串料」が一般的ですが、「御榊料」「御神前」なども使われます。相場は、故人との関係にもよりますが、5,000円〜30,000円程度が多いようです。
水引は神主様への御礼料と同様となります。
のし紙の表書きはどう書くの?
お盆にお供え物を持っていく場合の熨斗紙の表書きは「御供(おくもつ)」「奉献(ほうけん)」「奉納」のいずれかとなり、水引の結び切りの中央に書きます。
水引は神主様への御礼料と同様となります。
お供えは何を持っていくの?
仏教の場合、お供え物として、ロウソクや線香を持参することがありますが、神道ではロウソクはかがり火として使用しますが、線香は使用しません。
神道のお供え物として良いとされているのは、果物やお菓子、魚、故人が生前に好きだった物などになります。具体的には、季節の果物や焼き菓子、羊羹、ジュースを持参される方が多いようです。
果物の場合、盛りかごにすると見栄えが良くなります。
供物の相場は、5,000円〜15,000円程度となります。
供花の選び方は?
神道の法事では、儀式で榊を使いますので、一般的に花を送ることは多くありません。花を送ること自体、禁止されている訳ではありませんが、事前に主催者に確認してから持参されることをお勧めします。

浄土真宗のお盆

浄土真宗の場合、お盆だからと言って、精霊棚を準備したり、先祖の霊ために迎え火や送り火を焚くなど特別な準備をする必要はないとされています。

親鸞聖人の教えとしては、お盆になると、地獄(苦界)の釜の蓋が開き、先祖の霊が全て家に帰って来るという教えが仏教にはないとしています。また、仏様はいつも側にいらっしゃるので、お盆の時期に改めて仏様をお迎えすることはないと教えとしてもあります。

だからと言って、何もしないということではありません。 お盆の時期には、亡くなられた方をご縁として無常を見つめるために、仏法を聞かせて頂く日としています。
無常とは、全てのもの事は、生じ、変化し、滅びるため、一定のままではないという事です。言い換えると、人の世は儚いものという事です。

言い換えると、亡くなられたご先祖様を供養する日ではなく、飢え、渇き、苦しみを抱えて、未来永劫流転しようとしている自分自身のために聞法精進(説法を聞いて、身を清め行いを慎むこと)に励む日であるということです。

詳しくは「浄土真宗のお盆の過ごし方」を御覧ください。

曹洞宗のお盆

曹洞宗のお盆は、「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と言います。
お盆が近づいてきたら、お墓や仏壇を掃除して、ご先祖様をお迎えする準備をします。盆棚を準備する場合は、仏壇の前に盆棚をお祀りし、位牌を仏壇から盆棚に移します。
曹洞宗において特徴的なのは、盆棚となります。準備する盆棚には必ず白い布を被せます。
また、御膳の配置が決まっており、お箸を仏様の方に向けて置きます。
曹洞宗の場合、お供え物として必ず「みずの子」をお供えします。洗米とキュウリ、ナスのさいの目切りを混ぜた物となりますが、生物のため、すぐに傷んでしまいます。毎日、取り替えて差し上げると良いでしょう。

お盆の当日は、夕方に迎え火でご先祖様をお迎えするために、お墓もしくは自宅の前で、おがらや藁を焚きます。
お盆の間は、僧侶に読経をあげてもらいます。戻られる日には、送り火を焚き、お見送りをします。
ご先祖様が戻られたら、位牌を仏壇に戻し、盆棚を片付けます。

詳しくは「曹洞宗のお盆の過ごし方」を御覧ください。

まとめ

神道のお盆について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
神道の場合、全ての儀式は祭事とされているため、お盆も神主様に祝詞をあげて頂きます。ご先祖様が家に戻られることだけを供養するのではなく、家族を見守ってくださって、健康で長寿でいることへの感謝を伝える時でもあります。
祭事に相応しく、家族・親族で集まり、故人を供養するだけではなく、神様にお礼をお伝えしましょう。

監修者のコメント

神道といっても、儀式が体系化されたのは明治以降のこと。お盆の迎え方や送り方、お盆期間中の過ごし方など仏教と大きな違いはありません。ご先祖を迎える場所も海や川、山、墓地など地域によって異なります。わからなければ、地域の仏具店などで尋ねてみると良いでしょう。

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