神式のお葬式で知っておきたい香典袋のマナーは?参列時のマナーや作法を紹介
- 2024年12月27日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
神式のお葬式に参列する際には、香典の代わりに玉串料を渡すのが一般的です。神式は日本の神道に基づいており、故人さまを家の守り神として祀ることが目的となります。
お葬式のマナーや作法は信仰している宗教によって異なるため、神式のお葬式なら神式に合わせることが大切です。
この記事では、神式のお葬式で知っておきたい香典袋のマナーや作法を紹介します。
神式におけるお葬式や香典の考え方
神式は日本の伝統的な宗教です。ここでは、神式におけるお葬式や香典の考え方について詳しく解説します。
神式のお葬式とは
神式のお葬式とは、日本の神道に基づいて行われるお葬式のことです。神葬祭(しんそうさい)とも呼ばれ、故人さまを家の守護人として祀るために行われます。
他の宗教と大きく異なるのは、故人さまを守り神として祀ることがお葬式の目的であることです。神式では死が穢れとされているため、穢れを清めるという意味があります。
死後の世界については、故人さまは高天原という神々の世界に行くと考えられています。故人さまは神々の世界に帰り、子孫を見守る存在になります。
また、肉体は霊魂を宿す器であるとされています。肉体が滅んでも魂は永遠であり、祖霊として生き続けるという考えが根底にあります。
仏式と神式の違い
仏式と神式では、信仰する宗教や考え方に多くの違いがあります。以下の表は、仏式と神式の違いをまとめたものです。
神式のお葬式 | 仏式のお葬式 | |
---|---|---|
目的 | 故人さまを家の守護神として祀る | 故人さまを極楽浄土におくる |
お葬式の内容 |
|
|
戒名の有無 | 個人の名前は、そのまま魂の名前として引き継がれる | 仏門に入った証として戒名という名前を新たにもらう |
お葬式の場所 | 自宅、斎場 | お寺、自宅、斎場 |
神式のお葬式は神社で行われず、自宅や葬儀場で行われるのが一般的です。神式では死が穢れとされており、神が祀られている場所に持ち込まないようにしているためです。
このように仏式と神式では考え方が異なるため、お葬式の内容や作法も異なります。神式のお葬式に参列する際には、仏式との違いを把握しておきましょう。
神式のお葬式の流れ
仏式と神式では、お葬式の流れも異なります。一般的な神式のお葬式は、以下の順番で進みます。
- 帰幽奉告:祖霊者に逝去したことを報告する
- 枕直しの儀:故人さまのお身体を清めて安置する
- 納棺の儀:故人さまのお身体を棺に納める
- 通夜祭:神職が祝詞を読み上げて玉串を奉奠する
- 遷霊祭:霊璽に故人さまの霊を移す
- 葬場祭:故人さまに最後の別れを告げる
- 火葬祭:ご火葬して残ったご遺骨を納める
- 埋葬祭:故人さまのご遺骨を墓地に埋葬する
- 帰家祭:無事にお葬式を終えたことを神々に奉告する
神式のお葬式は、故人さまへの敬意や感謝を示す大切な儀式です。お葬式の流れは、地域や慣習によって若干の違いがある場合もあります。
香典と玉串料の違い
香典と玉串料は、宗教的な背景によって呼び名が異なりますが、大きな違いはありません。
香典は仏式のお葬式で用いられ、玉串料は神式のお葬式で用いられます。どちらも、故人さまに弔意を表すためにご遺族にお渡しする金銭のことです。
また、香典は本来は「香をすすめる」「香を薫じて供える」という意味合いがありましたが、現在はご遺族のお葬式の負担を補うという相互扶助的な意味合いが強くなっています。
玉串料も、神様に捧げる榊の枝である玉串に代わって納める金品のことを指していましたが、現在は相互扶助の意味合いが強いです。
香典返し
もともと神式では香典返しを行う習慣はありませんでしたが、最近は仏式の影響もあり、ご遺族が返礼品を準備するケースが増えています。
香典返しは、香典を贈った方々への感謝と、弔事を滞りなく終えたことを報告するために行われます。
神式の玉串料も相互扶助という意味合いがあるため、いただいた恩に感謝して、その一部をお返しするために返礼品を贈ります。
準備するものは仏式のお葬式と同様で、玉串料の半分~1/3が目安です。なお、神式では仏教の忌明けに該当する五十日祭以降に返礼品を贈るのが一般的となっています。
以下の記事では、香典返しの相場やおすすめの品物、カタログギフトなどをまとめていますので、ぜひご参照ください。
祭祀料
神式のお葬式では、神社に対して祭祀料を奉納するのが一般的です。
祭祀料は、お葬式の儀式を執り行ってもらった神主や神社への謝礼としてお渡しする金銭で、仏式でいうお布施にあたります。
祭祀料を渡すタイミングは、仏式のお葬式と同じく通夜祭や遷霊祭などです。
他にも、神主が遠方から来る場合はお車代、お葬式の会食に神主が参加しない場合は御膳料が必要になります。
祭祀料の目安は神主一人あたり15~20万円程度、お車代や御膳料はそれぞれ5,000円が目安です。
ただし、実際にかかる費用はお葬式の規模や地域のしきたりによっても代わるため、地域の事情に詳しい親族や葬儀社に相談しておきましょう。
神式の不祝儀袋(香典袋)について
神式のお葬式に参列する際、玉串料は香典袋に入れてお渡しするのが一般的です。ここでは、神式の香典袋について知っておきたいことを解説します。
種類
神式のお葬式に玉串料を持参する場合、金銭を入れる香典袋は白色のシンプルなものを選びましょう。
仏式のお葬式で見る蓮の花が描かれている香典袋は、神式のお葬式では不適切とされます。
十字架やユリが印刷された種類も、キリスト教のお葬式に使用する香典袋であるため選ばないようにしましょう。
香典袋は日本の弔辞における伝統的なマナーの一つです。故人さまへの敬意を示すためにも、適切な香典袋選びは重要です。
正しい弔意を示すためにも、神式のお葬式に適切な香典袋を選びましょう。
香典袋が持つ意味や使い方などは以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
水引
香典袋の水引は、包む金額に応じて適切なものを選びましょう。
包む金額が3,000~5,000円であれば封筒に水引が印刷されたもの、それよりも高額な場合は本物の水引がついた香典袋を選ぶと、封筒と中身の格式が釣り合います。
水引の色については、玉串料の金額に応じて以下のものを選びましょう。
- 5,000円以下:双銀または双白
- 10,000~50,000円:双銀または双白
- 50,000円以上:双銀または双白
玉串料は神様に捧げるお金であるため、中身が透けなければ水引がついていない白無地の封筒でも問題ありません。
なお、紅白の水引は結婚式などの慶事ごとに使用されます。弔辞と慶事では水引の種類が明確に異なっているため、注意して選びましょう。
選び方
神式の香典袋は、包む金額に水引の色や種類を合わせ、結び切りのものを選びましょう。結び切りは一度結ぶとほどけない結び方であるため、繰り返さないという意味があります。
また、左右の輪がお互いに結び合っているあわじ結びも使用可能です。
あわじ結びは左右に引っ張ると結び目が強くなるため、結び切りと同様に同じことが繰り返さないようにという意味が込められます。
一方、宗教に関係なく蝶結び(花結び)の香典袋はお葬式に使えません。蝶結びは何度でも結び直すことができるため、お葬式で使用すると不幸を重ねるという意味になります。
蝶結びは昇進や卒業など、何回繰り返してもうれしいお祝い事に使用されます。
書き方
神式の香典袋の表書きは、『御玉串料』『御榊料』『御神前』『御神後』『御霊前』の中から選びます。神式のお葬式で多く用いられるのは御玉串料です。
香典袋の上包み表面の上部に表書きを記載し、中央下部に自身の名前を記載しましょう。中包みの表面には、玉串料として包んだ金額を記載します。
記載する金額は、壱(一)、弐(二)、参(三)のように漢数字を使用します。
例えば1万円を包む場合は、『金壱萬圓也』と記載するのがマナ-です。中包みの裏面左下に住所と氏名を記載しておきましょう。
御霊前と御神前では、時期による使い分けが重要になるため注意が必要です。神式では、故人さまがお亡くなりになって50日後に神様になるという考えがあります。
そのため、お亡くなりになってから50日間は御霊前を使えます。一方、御神前は一年祭や三年祭などの式年祭で使用するのが一般的です。
包み方
神式のお葬式でも、香典袋の包み方は仏式と変わりません。
玉串料も新札は避け、適度な使用感のお札を使います。新札を使うと、不幸を予期してあらかじめ用意したと捉えられてしまうためです。
お金を入れる向きは、中袋を裏にして開けた際に、お札の表(肖像画がある方)が上にくるように入れましょう。
また、玉串料を入れた香典袋を持ち運ぶ際には袱紗を使うのが一般的です。袱紗で包んでおくと、香典袋の汚れを防ぐことができます。
袱紗の色は、灰色や深緑、紺、紫色などの落ち着いた色を選びましょう。紫色の袱紗は結婚式などの慶事でも使えるため、一つあればそれぞれのシーンで使えて便利です。
神式のお葬式に参列する際のマナー・作法
神式のお葬式では、香典袋以外にも注意すべきポイントがいくつかあります。ここでは、神式のお葬式に参列する際の、マナー・作法について詳しく解説します。
神式独自の考え
神式のお葬式では、お亡くなりなった方は守り神となり、家を守る存在になるという考えがあります。
仏式のように極楽浄土に送るという考えではないため、神式独自の考えを理解したうえで、お葬式に参列することが大切です。
例えば、香典袋の表書きであれば『御仏前』を用いるのは適切ではありません。なぜなら、神式では故人さまが仏になると考えられていないためです。
同様に、仏教で多く用いられる成仏という言葉も、故人さまがあの世に行くという概念がないため使われません。
数珠
神式のお葬式では数珠を使用しません。
そもそも数珠は複数の小さな珠に糸を通した仏具であり、念仏を唱える際に使用する仏教の法具です。
仏教のお葬式において、お坊さんの読経やお焼香する際に用いられ、煩悩の数や念仏を唱えた回数を数える役割があります。
神式のお葬式ではお坊さんの読経やお焼香は行われないため、数珠を使用するシーンがありません。そのため、神式のお葬式で数珠を用いることは不適切といえるでしょう。
ただし、なかには「相手の宗教が何かわからない」というケースもあります。
このような場合は数珠をカバンの中に入れておいて、仏式なら出す、神式なら出さないなど、その場で判断しても問題ありません。
服装
神式のお葬式に参列する際の服装マナーは、基本的に仏式のお葬式と同じです。
通夜祭に参列する場合であれば、男性ならダークスーツ、女性なら地味な色のスーツがよいでしょう。遷霊祭には喪服での参列が一般的です。
男性は黒のスーツ、白のワイシャツ、黒のネクタイ、黒の靴下・靴を着用します。
女性は黒の喪服もしくはワンピース、黒のストッキング、黒の靴です。メイクは薄化粧にして、華美なアクセサリーは外しておきましょう。
また、殺生を連想させるような爬虫類系の素材を用いたバッグや靴、コートを着用するのはマナー違反です。
以下の記事でお葬式の服装の選び方やマナーを詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
言葉遣い
神式のお葬式に参列する際は、ご遺族に対して仏教用語を使用しないように注意が必要です。
神式のお葬式は故人さまが家を守る神となることを祈る儀式であり、故人さまを悼むために行われるものではありません。
そのため、仏式のお葬式で一般的に使われる「ご冥福をお祈りします」という言葉は神式の考えに反します。
神式では、『平安』『拝礼』などの言葉がお悔やみの言葉です。神式では霊魂のことを『御霊』と呼ぶため、その安らぎを祈ると言った言葉が相応しいといえるでしょう。
具体的には以下のような言葉です。
- 御霊のご平安をお祈りいたします
- 拝礼させていただきます
- 心より拝礼させていただきます
また、宗教に関係なく使える挨拶としては、「この度は誠にご愁傷さまです」「謹んでお悔やみ申し上げます」などがあります。
玉串奉奠
神式のお葬式では、玉串奉奠(たまぐしほうてん)が行われます。
仏教において、お通夜や葬儀・告別式で行われるお焼香にあたるものです。玉串は神様が宿るとされる榊の木の枝に、紙垂と呼ばれる麻や紙を結びつけたものを指します。
神式のお葬式では、お焼香と同じように会葬者も順番に玉串奉奠を行います。具体的なやり方は以下の通りです。
- 喪主とご遺族に一礼
- 神主に一礼し、両手で玉串を受け取る
- 玉串を右手を上から、左手を下から支えるようにして胸の高さにあげて玉串案に進む
- 故人さまに一礼する
- 玉串の根本が手前に来るように玉串を時計回りに180度回転させる
- 左手を根本、右手は枝先になるように持ち替える
- 玉串の根元を祭壇に向けて両手で玉串案に置いて故人さまに捧げる
- 右足から一歩後退する
- 2回深くお礼をし、拍手を2回する
- 最後に深く一礼をする
玉串奉奠は神式の重要な儀式であるため、正しい作法で丁寧に行う必要があります。
手水の儀
手水の儀は、神式のお葬式に際して葬儀場に入る前や帰宅したときに、手や口を清める儀式のことです。
ひしゃくですくった水を左手と右手に1/3ほどかけ、左の手のひらに水を注ぎ、その水で口を軽くすすぎます。その後は左手をもう一度清め、ハンカチで口と両手を拭きます。
地方によって多少の違いがあるため、地域のルールに沿って行うのが基本です。
まとめ
お葬式に参列する際には、宗教の考えに基づいてマナーや作法を守ることが大切です。
神式は日本の伝統的な宗教であり、故人さまは家の守り神になると考えられています。仏式とは考え方が異なるため、それによってお葬式のマナーや作法にも違いがあります。
神式のお葬式に参列する際は、香典袋の表書きに『御仏前』を用いないように気をつけましょう。蓮の花が描かれている香典袋を用いるのもNGです。
神式のお葬式に参列するにあたって、香典袋のマナーや作法に不安があるという方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
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