老衰の死亡までの期間は?ご家族が準備することや心構えについて解説
- 2024年04月23日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
2022年の総務省統計局調査によると、日本の総人口の29.1%が高齢者です。
日本国内においては少子高齢化が加速しており、老衰でお亡くなりになる方が、2022年の人口動態統計では11.4%となっています。
高齢者と生活しているご家族は、老衰でお亡くなりになることを考えなければいけません。
老衰が始まってからお亡くなりになるまでの期間は、持病や体力の状態により異なりますが、ご家族による事前準備や心構えは大切です。
この記事では、老衰の死亡までの期間、ご家族が準備する内容や心構えについて解説します。
老衰の定義
老衰とは、身体の老化に伴い生命を維持する臓器や心肺機能の維持が困難になる状態です。
厚生労働省が発行する死亡診断書マニュアルでは、『高齢者で他に記載すべき死因がない、自然死のみが老衰に該当する』と定義されています。
ここでは、老衰による死亡の定義や、老衰となる年齢について解説します。
老衰による死亡とは
老衰による死亡とは、老化によって心肺機能が停止した場合です。
年齢を重ねるごとに身体機能は衰弱し、やがて生命の維持が困難になります。老衰は、脳も含むすべての身体機能が低下するため、本人は大きな苦痛を感じにくいといわれています。
また、身体機能や臓器が衰弱し、さまざまな病気を併発する可能性が高まります。代表的な病気は以下のとおりです。
- 誤嚥性肺炎
- 臓器の合併症
老衰により病気が併発してお亡くなりになる場合は、併発した病気が死因となります。死因が老衰になるケースは、老化によって心肺機能が自然に停止した場合のみです。
老衰とは何歳以上のことを指すのか
老衰には明確な年齢が定められていません。
平均寿命を超えて病気を併発せずにお亡くなりになられた場合は、医師が老衰と判断するケースが一般的です。
令和4年の厚生労働省『簡易生命表』によれば、男性が81.05歳、女性が87.09歳となっているため、老衰と判断する目安として考えておくのがよいでしょう。
老衰が迫ったときにご家族が準備すること
医師から老衰が始まっている事実を知らされたときは、ご家族が今後の準備を始めます。本人と意思疎通ができる段階で、早めの準備が大切です。
ここでは、老衰が迫ったときにご家族が準備する内容を解説します。
医師から余命宣告された場合は『家族が余命宣告されたらするべき準備と心構え』もあわせてご覧ください。
遺言書の作成
ご家族は、老衰が進行する前に遺言書の作成について相談してください。
しかし、本人が元気なときに遺言書の相談を持ちかけるのは非常に酷でもあり、相談しにくいものです。
そのため、遺言書について直接相談するのではなく、紙とペンを用意しながら今後の希望を尋ねるようにコミュニケーションを図りましょう。
遺言書は、ご逝去後にご遺族同士の財産分与や相続で重要になる書類です。
ご親族間のトラブルを未然に防ぐためにも、作成した方がよい書類となるため、本人を傷つけない方法で相談することが重要になります。
医療方針の相談と延命処置の決断
老衰の時期が迫ってきたら、本人に今後の医療方針や延命処置について相談しましょう。元気に会話ができるうちに、今後の方針を決めておくのが大切です。
特に病気が併発している場合は、薬物投与の継続や延命処置の判断も相談してください。
会話ができない状態まで老衰が進行してしまうと、本人の意思を尊重しない治療となってしまう場合もあります。
ご家族にとって、危篤状態で本人が痛みに耐えている姿を見るのはつらいです。本人の意思を尊重しながら、少しでも楽に天国にいけるよう、方針を事前に決めておきましょう。
お葬式の希望を聞く
本人が元気に話せる段階では、お葬式の希望も聞いておきましょう。どのようなお葬式を希望するかによって、準備を行うご家族の動き方も変わります。
お葬式の規模やプラン、参列してほしい人をあらかじめ確認しておきましょう。
希望を聞くときは、世間話をするような感覚でコミュニケーションを図り、「どんなお葬式をやりたい?」と優しく尋ねると、スムーズに本人の希望が聞けるかもしれません。
希望があれば、できるだけ本人の希望を叶えてあげるのが理想的です。
財産分与や銀行口座などの引き継ぎ
老衰の初期段階では、本人が所有している財産や銀行口座の暗証番号など、本人しか知らない情報を事前に聞いておきましょう。
銀行口座に預金がある場合は、今後行う行事に充当できる場合もあります。本人が残してくれた資金を使ってお葬式をしたり、年忌法要などの費用に充てるケースも珍しくありません。
老衰が進むと聞けないこともあるため、話せるときに細かいことをしっかり聞いておくとよいでしょう。
老衰前に家族が大切にすること
老衰前は、ご家族も最後の時に向けた準備を行います。
老衰状態になってからお亡くなりになるまでの期間には個人差があり、体調が優れてご家族との意思疎通が取れる日もあれば、1日中眠っている日もあります。
ここでは、本人の状態が日々変化するなかで、老衰前にご家族が大切にするべきことを解説します。
優しい心と労る気持ち
老衰前には、優しい心と労る気持ちを持つことが大切です。
意思疎通が思うように図れない場面でも、耳元で声を聞かせてあげたり、やさしく手を握るなどのスキンシップを取りましょう。
老衰により認知症が進行すると、ご家族ですら判断できない場合もありますが、最後まで優しく労う気持ちを持てば、ご家族の感情が本人まで届き肉体的な苦しみも緩和できます。
今まで人生を全うしてきたご家族に対し、残りの短い時間で労いの気持ちと優しさを伝えることはとても大切です。
会話やコミュニケーションを多くする
本人が声に反応ができる状態であれば、積極的に会話やコミュニケーションをとりましょう。
一人にせず、ご家族が寄り添いながら手を温めてあげたり、たくさん話しかけてあげることが大切です。
反応できる状態であれば、ご家族からの会話やコミュニケーションは本人も嬉しいものです。
また、老衰が進むと寝ている時間が多くなるため、話せるときは積極的に話しかけてあげるのがよいでしょう。
できることを叶えてあげる
老衰が進むなかでも、本人の希望があれば叶えてあげるのが理想です。
食べたいもの、今したいこと、会いたい人など、希望がある場合には看護師や医師に相談して、できる限りの希望を叶えてあげましょう。
病気を抱えている場合は医師の判断が必要ですが、会話がスムーズにできたり、問題なく食事を食べられる状態であれば、許可を得られるケースも多いでしょう。
小さな希望でも、悔いが残らない人生にしてあげるのもご家族の優しさです。
身体を清潔に保つ
老衰前には身体を清潔に保つのもご家族の役目です。
老衰が進むと自分で思うように身体を動かせなくなり、入浴が困難になります。そのため、身体をホットタオルで拭いて、常に清潔を保つように心がけましょう。
しかし、体を動かすときは、看護師や医師に相談してから安全を考慮して動かしてください。
肉体の衰えが進んでいる場合は、健全な方が動かす力で怪我をさせてしまう場合もあります。室温の調整にも気をつけて、無理のない範囲で体を清潔にしてあげましょう。
少しでも良い環境を作る
老衰が始まったときは、本人の希望を聞きながら少しでも良い環境を作りましょう。
普段から愛用している枕や毛布、快適に過ごせる洋服を用意して、本人がリラックスできる環境を整えてあげることが大切です。
また、病院の許可をもらえる場合には、体調を考慮して車椅子で庭を散歩したり、外の景色が見える窓際まで連れて行ってあげるのもよいでしょう。
快適に過ごせる環境を用意すれば、ストレスが軽減されて本人の幸せにもつながります。
老衰が迫ったときの初期症状
老衰が迫ると、さまざまな初期症状が起こります。ただし、全員に同じ症状が起こるわけではありません。病気の併発や認知症の進行状況によって、症状が異なります。
ここでは、老衰が迫ったときに起こる代表的な初期症状を紹介します。
老衰死による前兆や兆候を知りたい方は『老衰死で穏やかな最期を迎えるために考えたいこと。老衰死の前兆とは?』もあわせてご覧ください。
食事量の大幅な減少
老衰が迫ると筋肉や臓器が萎縮し、食事の量が大幅に減少します。栄養吸収率の低下による体重減少も症状のひとつです。
老衰の進行に比例して食事量も少なくなり、最終的には噛む力や飲む力も弱ってくるため、流動食や介護食が必要になるケースもあります。
ご家族が食事をあげる場合には、お粥などのペースト状になった食事を用意して、少しずつ食べさせてあげるのがよいでしょう。
食事を口から摂取できなくなってしまうと、お迎えの時期が近いといわれています。
体重の減少と筋肉の衰え
老衰が進行すると、病室や自宅のベッドで寝ている時間が増えるため筋力が衰えます。自分の足で歩かなくなり、徐々に筋肉が衰えて体重も減少してしまうでしょう。
筋肉量の低下によって思うように力が入らなくなり、転倒するリスクが高まります。そのため、移動するときは車椅子や杖などを使い、転倒に気をつけることが大切です。
また、筋肉の衰えは歩行だけではなく、さまざまな場面での影響が懸念されます。
食事中にコップやお茶碗を落としてしまうケースもあるため、ご家族には予期せぬ怪我に注意する対応力が求められます。
身体機能が著しく低下する
老衰の初期症状では、身体機能の低下が顕著に現れます。
歩く速度が遅くなったり、小さな段差で転びやすくなるケースが増え、今までと変わらない日常生活でも大きな負担がかかります。
一緒に暮らしているご家族が、極端に体力や身体機能が低下したと感じる場合には、老衰の第一歩が始まっていると考えてよいでしょう。
そのため、私生活をよく観察しながら予期せぬ怪我をしないよう注意が必要です。
睡眠時間が長くなる
老衰が最終段階まで進行すると、脳機能の低下によって意識を保てなくなり、時間帯に関係なく睡眠時間が長くなります。
最終的には、意思疎通ができないまま一日中眠っている状態が続くため、口からの食事が困難になります。
脳機能が極端に低下して、自力では何もできない状態まで老衰が進行した場合には、医師の判断で終末期医療へ移行するのが一般的です。
老衰には施せる治療法がないため、最低限のケアを施して最後を看取る形となります。
病気を併発している方は延命治療を中断する場合もあり、医師やご家族の判断で本人を第一に考えた治療法が優先されます。
老衰で死亡する間近に起こる症状
老衰でお亡くなりになる直前には、さまざまな症状が起こります。ここでは、さまざまな症状について解説します。
口から食べ物を摂取できなくなる
老衰の最終段階では、口から食べ物や水分を摂取できません。
一日中眠って過ごす場合が多くなり、目を覚ましても意思の疎通は困難です。極端に身体機能が低下している状態では、寝るだけでも体力を消耗します。
そのため、長時間眠り続けていても身体に負担がかかり、体力も少しずつ減っていきます。
中治り現象が起こる
老衰でお亡くなりになる間近は、一時的に意識が回復して手を動かしたり、声かけに反応する場合があります。
これは中治り現象と呼ばれ、少しでも長く生きるために、脳から幸福感を生み出すホルモンが分泌されるために起こる症状です。
必ずしも起こる症状ではありませんが、最後が近いときに起こる症状といわれています。
もし、中治り現象が見られたら、積極的に声をかけて、少しでも多くの感謝の気持ちを伝えるのがよいでしょう。
季節の変わり目や真冬は死が早まる場合がある
老衰は、季節の変わり目や真冬の時期に早まるといわれています。
老衰の最終段階では、体が極端に衰弱しているため、室温や季節の変化によって体調が急変します。そのため、わずかな温度変化が原因でお亡くなりになるケースも少なくありません。
まとめ
老衰とは、身体の老化に伴い生命維持に必要な機能の維持が難しい状態です。お亡くなりになる期間は、併発する病気によっても異なります。
老化が始まると身体機能や体重の低下が顕著にあらわれ、最後のときが近づきます。意思疎通も難しくなりますが、ご家族は最後まで一緒に過ごし、優しく労うことが大切です。
また、事前にお葬式プランや葬儀場を検討しておくことは、後悔のないお別れをする意味でも大切になります。特にお葬式に関する知識がないまま、慌てて当日を迎えると失敗するおそれがあるでしょう。
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