神道の供養には欠かせない霊璽!作るときにはどうすればいいの?
- 2024年11月27日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
神道で亡くなった人を供養する場合、「霊璽」を作る必要があります。仏教で「位牌」にあたるものですが、霊璽にはどのような意味があるのでしょうか。これから、神道で使用されている霊璽の意味や歴史についてご説明します。また、霊璽の種類や材料・記されている霊号・作成方法もご紹介しますので、参考にしてみてください。
霊璽とはいったい何?
霊璽とは、神道で亡くなった人の供養をする際に「御霊をうつす依代」のことです。神道では、亡くなった人の魂を「御霊代」と呼びます。霊璽を神として遺族が祀れば、亡くなった人や先祖は子孫を守る守護神になれるのです。よって、霊璽は丁寧に取り扱わなければなりません。
霊璽は仏教の「位牌」にあたるもので、位牌に載る戒名のように、霊璽にも「霊号」と呼ばれる文字入れをします。神道では、神は神聖な存在であるため、直接見えるところには置きません。基本的に霊璽は「祖霊舎」に安置することが多く、「鞘」と呼ばれる蓋も被せています。
霊璽が位牌と違っている点
霊璽と位牌の意味は似ていますが「霊璽は色や漆などを塗らない」という違いがあります。位牌は黒色や濃い赤色を塗っていて、金で模様を施しながら塗るものが多いです。素材自体の模様や色を活かした位牌や、陶器やクリスタルなど見た目が派手な位牌もあります。これは、仏壇などに飾って、定期的に拝んでいるからです。
一方、霊璽は神として祀っているので、直接目に触れる機会はほとんどありません。また、霊璽を直接見ないように、布をかぶせている場合もあります。よって、霊璽には派手な色や模様を付ける必要がないのです。霊璽には「白木覆い」「鏡錦付き覆い」などがあります。
霊璽の「白木覆い」とは?
霊璽にはさまざまなものがありますが、周りを白木の箱で覆うものを「白木覆い」と言います。鏡が付いていないので、霊璽の前に鏡を置くのが一般的です。
霊璽の「鏡錦付き覆い」とは?
神道では、太陽神の「天照大神」を最上神としています。鏡が光を反射した時に太陽が見えるため、霊璽には鏡を付けているものがあるのです。また、神と向き合う時に自分を映し出し、心を正しくするという意味もあります。「鏡錦付き覆い」は霊璽の周りを覆うもので、正面に鏡が付いた錦の布で覆って祀っているのです。
霊璽の歴史
霊璽は、中国で布教されている儒教で先祖を祀る際の「御霊代」として使われていたものが由来とされています。「神主」「木主」とも呼ばれ、これが最初に仏教へ伝わり、江戸時代から位牌として用いられるようになりました。その後、学者や神職によってさまざまな葬儀の形が求められるようになります。神式の葬儀を研究する動きの中で、江戸時代から明治時代に霊璽も使用されるようになりました。霊璽の語源は、明確には分かっていません。
「璽」は「印」を意味しているため、故人を表す霊と合わさって霊璽になったとされています。また、「璽」という言葉は日本三種神器の「八尺瓊勾玉」のことでもあり、これが関係している説もあるのです。
霊璽の材料・種類
霊璽は基本的に「白木造り」とされ、ヒノキ材を使うことが多いです。その他にもセンノキやケヤキ・ヒバも使用されています。木の種類によって、霊璽の決まりや優劣はありません。霊璽の種類は一人一体で祀る「一体型」、10人までをまとめられる「回出型」の2種類があります。作成する時にどちらを選択しても構いませんが、最初に作る時は一体型にするのが一般的です。祀るスペースがなくなった時は、回出型に移行しても構いません。作成する本人よりも三代上の人はまとめていくなど、一体型と回出型を併用してもいいのです。
霊璽に記される霊号とは?
霊璽に記される文字の「霊号」には付け方に決まりがあり、故人名の後には「称名」「尊称」「結辞」を、順番につけていきます。称名は、成人男性には「大人(うし)」、成人女性には「刀自(とじ)」を使うのが一般的で、年齢によっては「童子」「姫」「翁」「大刀自」などが使われています。
尊称は故人名や称名の後に付けるものです。「命(みこと)」または「之命(のみこと)」を用いています。結辞は「霊」「霊位」「之霊」などです。
霊璽はどうやって作るの?
霊璽を作成する際、最初に神職へ「神葬祭」を依頼します。霊璽への入魂は遷霊祭で行いますが、遷霊祭と通夜祭は一緒に執り行うため、すぐに用意することが必要です。
神葬祭の依頼をしていれば、白木に称名などが彫ってある霊璽を、遷霊祭までに神職が用意してくれます。遺族が選んだ白木で行いたい場合は、遷霊祭または五十日祭までに、自分達で用意することになるでしょう。
一方、仏教の位牌へ入魂するのは、四十九日の法事になります。つまり、神道の霊璽と仏教の位牌では、入魂するタイミングが異なるのです。また、仏式の葬儀では、四十九日までは仮の位牌として白木のものを使い、その後に黒塗りされた本位牌に変わります。神道では、五十日祭の後に新しい霊璽を作る必要はありません。
霊璽は「祖霊舎」に祀ります。中央部分に霊璽を置き、お供えをするのが一般的です。以下がお供えする主なものになります。
- 塩
- 米
- 水
- 酒
- 榊
- ローソク
- 鏡
塩は「海の恵み」、米は「大地の恵み」を代表しています。水は「生命の源」、酒は「稲から作られるもの」が由来です。榊は「一族の繁栄」を願っていて、清める炎として「ローソク」も供えます。また、霊璽には神や親族の心を映し出す鏡が必要です。鏡が付いた錦布を覆ったり、霊璽の前に鏡を置いたりします。
祖霊舎は神棚とは別に作り、神棚よりも低い位置に置く決まりです。基本的に外扉は開けても構いませんが、内扉は閉じておきます。ただし、霊璽のサイズが小さい場合、内扉はありません。内扉がない場合でも、霊璽が見えないように「戸張」と呼ばれる布を覆います。祖霊舎に置くお供え品は、毎日取り替えるのが一般的です。榊は月に2回、1日と15日に取り替える風習があります。
まとめ
霊璽は亡くなった人を供養する時に使われるものです。遷霊祭までに作成し、五十日祭以降もそのまま使用します。霊璽には霊号という文字を彫りますが、年齢や性別・身分によって霊号も変わってくるので知っているといいでしょう。基本的には、仏教で位牌を作るときと同様の流れで作られ、儀礼の呼び方やタイミングが変わるだけだと考えても問題ありません。もし心配なことがあれば、神具や仏壇店の方に相談してみるとよいでしょう。
霊璽に関するよくある質問
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監修者のコメント
岩田 昌幸 一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
霊璽に御霊を入れる儀式を遷霊祭といい、通夜の中で行われます。会場の灯りを消し、神職が白木の霊璽を棺の方に向けて、故人の霊が還るよう、遷霊の詞を唱えます。その間、会場の参列者は起立、低頭します。