お墓はいらない人が考える0葬、墓じまいという考え方
- 2023年03月06日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
これまで、先祖が眠っているお墓は遺族や親族で管理・維持することが一般的でした。しかし、少子化や核家族化などが進む現代社会において、子どもたちがお墓を受け継ぎ、管理や維持し続けることは難しい時代になりつつあります。
また、お墓に対する考え方や価値観も多様化し、お墓はいらない人が「0葬」を考える機会や、お墓を手放す「墓じまい」をされる人が増えてきました。そこで今回は、0葬という考え方や墓じまいについて紹介します。
目次
お墓や葬式が不要という0葬という考え方
「0葬(ゼロ葬)」といった言葉を耳にしたことがあるでしょうか?0葬(ゼロ葬)とは、宗教学者の島田裕巳氏の著書のタイトルで、著者はこの中でお通夜や葬儀など儀式を行わず、遺骨も引き取らない葬送方法を提唱しています。
0葬を選択した場合、火葬だけ行い荼毘(だび)に付されたのち、遺骨は火葬場に処理してもらいます。火葬場で遺骨の引き取らない0葬は全国の火葬場でできるというわけではありませんし、積極的に案内しているものではありません。どうしても希望する場合は、各火葬場に問い合わせてみるとよいでしょう。
0葬では、お墓は不要という考え方なので、新たに建てることはありません。
お墓を建てるとなると、お墓の永代使用料や墓石の価格など、あわせて約200万円(全国平均)ほどかかります。葬儀を執り行った場合の費用(全国平均の200万円)と合わせ、故人を供養するための費用は、トータルで約400万円ほどかかるのが一般的です。
また、お墓を建てれば、お墓の維持お寺への管理費といった費用も継続的に支払わなければなりません。
0葬はコストの面で遺族や子孫に金銭的な負担がかからないという点でインパクトがありますが、実際に行う人はまだそう多くありません。とはいえ、0葬に興味を持つ人は少なからずいるように感じます。
お墓を作る意味と、お墓を作る事で生じる問題点
家族を亡くし、落胆している遺族が故人を偲び、心のよりどころとなっている場所がお墓です。お墓参りを重ねることでその哀しみから徐々に気持ちが癒され、故人のいなくなった日々の生活に慣れていくのですが、同時に遺族はお墓の維持や管理をしていかなければなりません。
お墓はその家の先祖が代々永眠している場所です。一般的に家の跡継ぎが財産とともにお墓の維持・管理も引き継ぐことになります。
しかし、少子化、核家族化、非婚化が進んだ今では、お墓を作ったものの、お墓の跡継ぎがいなかったり、仕事の都合でお墓が遠方になってしまったりと、管理ができず荒れ果ててしまうお墓の数は少なくありません。非婚者や子どもがいない家庭も増えつつあります。お墓をつくることが必ずしも最善とはいえなくなってきました。
近年増えている墓じまいとは?
墓じまいとは、お墓を撤去して更地にし、霊園やお寺の管理者にお墓を返すことを言います。文字通り、お墓を閉じてしまうことから、墓じまいと呼ばれます。 墓じまいが増えている背景に、昔に比べ、生まれた地で一生を送る人が減り、都市圏に人が集まっていることが挙げられます。また、子供や孫、親戚が地元にいなく、高齢になりお墓参りも体に負担がかかりきつくなり、墓じまいをされる方も増えています。
墓じまいで生じる問題点
墓じまいをするにあたって問題点も出てきます。お墓には故人の遺骨が安置されていますので、遺骨の引っ越しが必要になります。 新たに移す先のお墓がある場合は特に問題ありませんが、墓じまいをした後に、取り出した遺骨を納めるお墓が無い場合には何かしらの供養をしなければなりません。
お墓はいらない時に選択する合同墓や納骨堂という供養
自宅での保管以外にも、合同墓や納骨堂を利用するという方法もあります。
合同墓とは、他の方の遺骨と一緒に収める墓のことです。個人でお墓を建てる必要がないので、費用は数万円から数十万円程度で済みます。
お寺や霊園に遺骨を送り(送骨し)永代供養してもらうスタイルですと、3万円ほどで済む場合もあります。お墓を管理する親族が遠方に住んでいるなど、頻繁に足を運べない場合、寺院や墓地の関係者が管理してくれる合同墓は安心できる選択肢でしょう。
納骨堂は、寺院などの中にあり遺骨を預かって安置する場所のことを言います。埋蔵ではなく収蔵による供養であり、墓石を購入するよりも費用は安くなります。
建物の中にあることがほとんどであり、雨の日や雪の季節など、天候に左右されずいつでも訪れることが出来るところも長所です。
お墓がいらない人は、自宅で遺骨を保管することもできる
では、従来通りの方法でお墓を建てなくてはいけないのかというと、そうではありません。墓地として認められた場所以外へ埋葬しない限り、骨壺に入れた遺骨を期限なく自宅で保管することは法律違反ではないのです。
お墓を持たない人やお墓を建てる余裕のない人が、自宅の仏壇の中などに骨壺を保管しているケースは、意外に多いのです。
近年では、手元供養という言葉も聞かれるようになり、遺骨の一部をペンダントに入れられるように加工し、持ち歩くという人も増えてきています。
遺骨と離れがたいという人も、いらっしゃるでしょう。そのような場合には手元に置いてもよいのですし、それらの方法も法律的には問題のない、認められている供養法です。
必ずしもお墓を作る必要はない!散骨という方法もある
散骨とは、遺骨を海や山に撒いて供養する方法のことです。
亡くなられた方が生前に好きだった場所へ遺骨を撒いてほしいと希望する場合も多くなってきています。海への散骨は年間で1万~2万件程度行われていますが、山への散骨については、他人の土地や公共の土地には撒くことができませんので、現実的にはほとんど行われていません。
散骨には法的な決まりはないのですが、一般的に遺骨は粉骨し遺灰とした上で、散骨場所や周囲の状況に配慮することが大切になります。法的には問題がなくても、マナーの面で気を付けることが出てくる場合もあります。
粉骨作業を業者に依頼し、散骨だけを自身で行うということもできます。
散骨に関しては、自治体によっては禁止していたり許可が必要な場合もあるので、事前の確認が大切になるでしょう。
まとめ
今回、お墓の必要性とさまざまな納骨方法をご紹介しました。時の流れとともに、お墓に対する考え方も変わります。選択肢が広がってきた現代では、自分や残された遺族に合った納骨方法を選ぶことが容易になりました。
大切な家族へ最後に行う思いやりの気持ちの表れが、お墓がいらない、作らないの選択肢なのかもしれません。まだ新しい供養の方法ですので、家族や親族において受け入れ難いと感じる方もいるかもしれません。0葬を考えている方は、生前、家族や親族とよく話し合い、お互いが納得した上で執り行うことが重要です。
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監修者のコメント
岩田 昌幸 一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
宗教学者の島田裕巳氏は、著書「0葬(ゼロ葬)」の中でセレモニーは不要、遺骨は火葬場で引きとってもらうことを提唱しています。欧州では、遺骨は自宅に持って帰ることをせず隣接する墓地に納骨するところがあるように、遺骨の扱い方の多様化も自然な流れなのかもしれません。