御仏前（香典）の金額のマナーは？御佛前・御霊前との違いや判断基準を紹介

• 2024年12月27日

御仏前は香典袋に書く表書きで、香典そのものを指すこともある言葉です。

しかし、具体的に御仏前がどのような意味を持っていて、御佛前や御霊前とどう違うのかについては分からない方もいるのではないでしょうか。

この記事では、御仏前の基本概要、使用する判断基準、金額に関するマナー、書く際の注意点、よくある質問について詳しく解説します。

御仏前について知りたい人は、ぜひ最後までご覧ください。

御仏前とは

御仏前とは、香典を包む際に書く表書きのことです。ここでは、御仏前について詳しく解説します。

御仏前の意味

御仏前は、文字通り仏さまの前であることを意味する言葉です。

仏教の世界では故人さまが成仏すると仏さまになると考えられており、成仏した後の故人さまに差し出すものには御仏前と記載するのがマナーとなります。

香典をお葬式に持参したり故人さまにお供えしたりする際は、御仏前と表書きされた香典袋にお金を入れて、喪主もしくはご遺族にお渡しします。

御佛前との違い

御仏前は御佛前と表記されることがありますが、どちらも同じ意味です。漢字は仏か佛によって変わりますが、読み方は両方とも「ごぶつぜん」となります。

香典袋に書く際は御仏前でも御佛前でも問題ありませんが、よく似た言葉の御霊前とは意味が異なるため注意が必要です。

御霊前との違い

御仏前と御霊前には、以下のような違いがあります。

• 御仏前：成仏した後の故人さまへ向けた言葉
• 御霊前：仏さまになる前の故人さまへ向けた言葉

御仏前は成仏した後の故人さまへ向けた言葉、御霊前は仏さまになる前の故人さまへ向けた言葉であり、成仏しているかどうかによって記載されている言葉が変わります。

故人さまが成仏しているかどうかは宗教・宗派によって考え方が変わるため、香典を出す前に確認が必要です。

御仏前を使用する判断基準

御仏前を使用する判断基準は、仏教・神道・キリスト教など宗教・宗派によって変わるため注意が必要です。

ここでは、御仏前を使用する判断基準について詳しく解説します。

仏教の場合は四十九日が境目

仏教の場合、御仏前を使用するのは四十九日が境目です。

仏教の世界では、故人さまが成仏して現世から旅立つのが命日から49日目とされており、お亡くなりになられてから49日間は霊として存在すると考えます。

そのため、四十九日を迎えるまでは御霊前（まだ霊体と考えるため）、四十九日を迎えてからは御仏前（すでに成仏したと考えるため）となります。

一方、浄土真宗ではお亡くなりになった直後に成仏すると考えるため、四十九日にかかわらず御仏前を使用して問題ありません。

宗教だけでなく宗派によって使用する言葉や表現が変わるため、ご注意ください。

神道の場合は御神前

神道の場合は、故人さまがお亡くなりになった後、祖先の神々のところへお戻りになると考えるため、香典袋の表書きには御仏前ではなく御神前と記載します。

御神前の他には御玉串料、御榊料、御神饌料、御弔料、初穂料、御供（ごくう）なども使用可能です。

キリスト教は不可

キリスト教の場合は、故人さまがお亡くなりになった後、神々の元へ召されたと考えるため、香典袋の表書きには御仏前ではなく御花料と記載します。

御花料の他には献花料、弔慰料、御ミサ料、御忌慰（おんきい）、御偲（おしのび）なども使用可能です。

御仏前の金額に関するマナー

御仏前の金額では、お札の入れ方、金額の決め方、香典袋の書き方、葬儀場での渡し方などに注意が必要です。

ここでは、御仏前の金額に関するマナーについて詳しく解説します。

お札の入れ方

御仏前にお金を入れる際は、肖像画が裏向き・下向きになるように入れてください。

肖像画が裏向き・下向きになるように入れるのは、故人さまの訃報に対する弔意を示すことにつながり、喪主・ご遺族に対する配慮となります。

お札を複数入れる際は向きを揃え、バラバラにならないようにしましょう。

なお、お札は新札だと訃報を予測していたという印象を与えるため、やや使い古された旧札を用いるのがマナーです。

あまりにもボロボロだと失礼になるため、若干の使用感があれば十分です。新しいものしかない場合は、折り目をつけてから入れましょう。

金額の決め方

御仏前の金額を決める際は、以下の点を意識しましょう。

• 偶数など割り切れる数字にしない
• 死や苦を連想させる数字にしない

御仏前では偶数など割り切れる数字にしない、死や苦を連想させる数字にしないのがマナーとされています。

例えば、2万円・6万円・8万円などの割り切れる数字は故人さまとの別れを連想させるため、避けるのがマナーです。

同じく、死を連想させる4、苦を連想させる9も避けるのがマナーとされるため、1万円・3万円・5万円・7万円のどれかをお選びください。

なお、例外として10万円は割り切れる数字ではありますがマナー違反とはなりません。

香典袋の書き方

御仏前は香典袋に入れてお渡ししますが、現金をそのまま渡したり白無地の封筒に入れて渡したりするのはマナー違反です。

香典は香典袋に入れ、以下の内容を記載して渡しましょう。

• 外袋：表書き（御仏前の文字）・送り主の名前
• 中袋：表面に金額・裏面に氏名と住所

香典袋は外袋と中袋で構成されており、それぞれ書く内容が変わります。

外袋には、表書きとして御仏前や送り主の名前を書きます。中袋には表面に金額、裏面に氏名と住所を書くのがマナーとなります。

四十九日法要の後にお渡しする形となりますが、お葬式当日にお渡しする際と同様にきちんと外袋・中袋の両方に必要事項を記載してお渡しください。

以下の記事では香典袋の書き方について詳しく解説しているため、どう書けば良いかわからない人はあわせてご確認ください。

御仏前の渡し方

四十九日法要は喪主・ご遺族の自宅の他、菩提寺（ぼだいじ）などの寺院、葬儀社、ホテルなどで行われ、以下の言葉とともにお渡しするのがマナーです。

• 哀悼の意を表します
• お悔やみ申し上げます
• ご愁傷さまです
• ご冥福をお祈りします
• 残念でなりません

すでに仏壇が設置されている場合は、仏壇にそのままお供えして構いません。

一方で、喪主・ご遺族に直接お渡ししてもマナー違反とはならないため、どちらを選ぶかは自分自身の意思でご判断ください。

原則は喪主・ご遺族に直接手渡しするのが望ましいため、特別な事情がない限りは手渡しするようにしましょう。

以下の記事では家族葬で香典は持参するべきかについて解説しているため、興味がある方はあわせてご確認ください。

御仏前を書く際の注意点

御仏前を書く際は、いくつかの注意が必要です。ここでは、御仏前を書く際の注意点について詳しく解説します。

表書きは濃い墨の毛筆・筆ペンで記入する

御仏前などの表書きは、濃い墨の毛筆・筆ペンでご記入ください。

香典は急な訃報で墨が磨れなかった、悲しみの涙で墨が滲んだとの意味合いから薄墨を選ぶのがマナーです。

しかし、御仏前は四十九日法要でお渡しするものですでに知らせを受けているとの意味合いから、濃い墨を選ぶのがマナーとなります。

地域によっては、四十九日法要でも薄墨の毛筆・筆ペンで記入するのがマナーとされることがありますが、御仏前は濃い墨で書くのが望ましいです。

どうすべきか判断しかねる場合は、地元の葬儀社や年長者に確認を取ると良いでしょう。

表書きは宗教・宗派に合わせて記入する

御仏前などの表書きは、宗教・宗派に合わせて記入しましょう。

仏教・神道・キリスト教で記入するものが変わるため、どのような表書きが必要なのかは故人さまの宗教・宗派に合わせてご判断ください。

故人さまが無宗教だったり、宗教不明だったりする場合は、御香典と書くのが安心です。

一方で、地域によっては独自の風習が残っていることもあるため、どうすべきかわからない場合は宗教・宗派を含め一度確認しておくことを推奨します。

金額は中袋の表面に記入する

香典袋に入れる金額は、中袋の表面にご記入ください。いくら入っているのか一目でわかるよう、中央に読みやすい丁寧な字で書きます。

達筆までは求められませんが、雑な字だと受け取った喪主・ご遺族にとって読みにくいことがあるため、読みやすい字で丁寧に書くのがマナーです。

金額は漢数字・旧字体を使用する

金額を書く際は、前に「金」の文字を書き、後ろに「圓」の文字を書きます。

具体的に見ていくと、1万円は「金壱萬圓」、3万円は「金参萬圓」、5万円は「金伍萬圓」、7万円は「金七萬圓」という形です。

万の場合は萬と表記しますが、千の場合は仟と表記するため、金額に合わせて漢字表記を変えなくてはならない点に注意してください。

金額は濃い墨でわかりやすく記入する

金額を書く際は、黒い墨でわかりやすく記入します。

表書きは薄墨（四十九日法要は濃い墨）ですが、金額に関しては法要の時期にかかわらず濃い墨でわかりやすく記入するのがマナーです。

お葬式当日・初七日・四十九日を問わず、濃い墨で記入しましょう。

金額は相場を逸脱しないようにする

香典袋に入れる金額は、相場を逸脱しないようにしましょう。

御仏前の金額は故人さまとの関係や地域によって変わるため、具体的にいくらとはいえませんが、相場を逸脱した金額をお渡しするのはマナー違反です。

例えば、相場が1万円なのに対して10万円をお渡しするのはマナー違反となります。

逆に相場が3万円なのに3,000円をお渡しするのもマナー違反となるため、できる限り相場に近い金額をお渡しするようにしてください。

なお、故人さまと特別仲が良かった場合は、この限りではありません。

あくまでも御霊前は気持ちとしてお渡しするものであるため、関係性によっては相場に関係なくお渡ししても良いでしょう。

氏名・住所は中袋の裏面に記入する

氏名・住所は、中袋の裏面に記入するのがマナーです。

個人が判別できる情報がないと、受け取った人が誰からいただいたものなのかわからなくなるため、必ず氏名・住所を忘れずにご記入ください。

記入するのを忘れると香典返しの手配などでご迷惑をおかけすることになるため、外袋に入れる際に中袋の文字を確認しましょう。

数人で出す場合は連名にする

数人で出す場合は、連名にするのがマナーとされています。連名は、複数人で香典を出す場合に名前を連ねて記入することを指す言葉です。

例えば、夫婦で香典を出す場合、夫の名前と妻の名前を連ねて書きます。他にも、親子で出す場合や兄弟姉妹で出す場合などには連名にするのがマナーです。

会社や団体で代表者が出す場合も、組織名・代表者名・他一同のようにご記入ください。

一方、本人が直接葬儀場や自宅に出向く際は人数分に分けてお渡ししても構わないため、状況に合わせて判断しましょう。

御仏前でよくある質問

ここでは、御仏前でよくある質問について詳しく解説します。

まとめ

御仏前は、香典袋の表書きによく使用される言葉で、この単語がそのまま香典を指すこともあります。

主に御仏前は四十九日法要の後、故人さまが仏さまになった後に使用するもので、四十九日までの間は御霊前を使用するのがマナーです。

一方、宗教・宗派はもちろん地域によって使用する文言が変わることがあるため、表書きをどのように書くべきかは地元の葬儀社もしくは年長者に確認するのが良いでしょう。

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