お盆に海に入ってはいけない理由と気になる疑問
- 2024年11月29日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
地域や年齢などに関係なく、「お盆に海に入ってはいけない」と家族や知人から言われたことがある人もいるのではないでしょうか。
しかし、なぜ海に入ってはいけないのかという理由については、きちんと説明を受けることもほとんどなく、意外と知られていないものです。
実際、子供などにこのように伝えたとき、理由を聞かれて返答に詰まった経験を持っている人も少なからず存在しています。
そこで、こちらでは、お盆に海に入ってはいけないといわれている理由や、水遊び、プールでの水泳など判断に迷うシチュエーションについての基準を見ていきます。
お盆に海に入ってはいけない理由
お盆に海に入ってはいけない理由については、いくつかあります。
現実的な理由もあれば、言い伝えのようなあやふやな理由などもありますが、全国的に共通しているものも複数存在しています。
風習
まず、伝承では旧暦の7月は閻魔斎日といって、閻魔様の休日とみなされています。この時期には地獄の釜の蓋が開き、あの世から霊が集まってきやすいと考えられているのです。
この期間はちょうどお盆の時期と重なっており、先祖の霊も戻ると考えられているため、霊が海水浴に来た人の足を引っ張る事を恐れて、海を避けるようになったといわれています。
言い伝えというのは古い時代から伝わっているものがほとんどですが、昔は今よりも神や霊の存在を信じていたため、厳しくこの風習を守ってきたのです。
風習という面から見ていくと、お盆というのは家に帰ってくる祖先の霊をお迎えする行事です。このような時期に自宅を離れ、遊び目的で海に出かけるという不敬な気持ちを戒める意味で、上記のような理由をつけて海に入ることを禁じたという説もあります。
ただし、お盆に海に入ると霊に足を引っ張られるという懸念は、必ずしも単なる妄想とは言い切れません。実際にお盆の時期に海に入ることは、通常よりも危険性を増す可能性が高いのです。
お盆の時期は、波打ち際から沖に向かって流れていく離岸流が発生しやすい時期ともいえます。一度離岸流につかまると、岸に向かって泳いでも全く陸に近づけず、やがて体力を奪われて、浅いところでも水死することがあります。
このような不可解な水難事故が多かったことから、霊による水難と恐れられていた可能性も考えられるのです。
台風
8月と言えば台風が発生しやすい時期です。この時期は高波も多く、海水浴をしている人だけでなく、高台で釣りなどを楽しんでいる人や船に乗っている人も水難事故に遭うリスクが高くなります。
高波が引くときの力も強く、砂浜で遊んでいて海にさらわれる危険性も出てきます。これも、お盆の言い伝えを後押しする理由の一つと言えるでしょう。
クラゲ
海はお盆を過ぎるとクラゲが大量発生しているため、刺されるリスクが高くなります。水温も一気に冷たくなり、心臓に負担がかかるという懸念もあります。お盆の海水浴の危険性を経験で知っていた昔の人が、この時期の水遊びを禁じたとも考えられます。
海だけでなく、お盆頃の川も水草が増え、体に絡みついて溺れる危険性が高まるので、避けた方が良いでしょう。
お盆の海に関する疑問
お盆に海水浴をしてはいけないというのは全国的にもよく知られていますが、海水浴以外ならば問題はないのでしょうか。
もちろん、地域によって言い伝えの内容が異なっていますので、詳しい人に確認してみるのも一つの方法ですが、現実的な水難事故等のリスクから見ていくと、ある程度判断はできるでしょう。
また、川によっては海よりも流れが激しく、水が冷たくて水難事故のリスクが高くなっている場所も多々ありますので、川遊びもあまりお勧めはできません。足をとられて転ぶくらいで済めばよいですが、深い川では溺れてしまう恐れもあります。
水難事故のリスクから考えても、高潮や台風などの危険性が高くなるこの時期、船上や水辺の近くに出かけることは賢明とは言えません。
お盆だからと言って水難事故のリスクが高まるものでもないため、問題ないでしょう。ただし、信心深い家庭では、プールも水遊びと考えて良い顔をしないことがありますので、家の人に確認してから計画を立てるか、お盆の時期を避けて水遊びをする方が無難です。
まとめ
通常のお盆は節度を持って水遊びをすることもできますが、新盆は遊びのスケジュールは入れないようにしましょう。
新盆というのは、故人が初めて霊として里帰りすると言われており、身内が集まってお坊さんに棚経をあげてもらい、盛大な供養を行います。例えこのような行事がないにしても、あえて避けたほうが良いといわれているお盆の水遊びに出かけることは、周囲の目から見てもあまり良い印象は抱かれないでしょう。
社会人にとっては、お盆というのは貴重な夏休みという認識になりがちですが、古くからの言い伝えを大切にしている家庭も少なからず見られます。また、この時期は特に暑さもピークに達しており、寝不足になったり、体力が低下したりしやすい季節でもあります。
新盆に限らず、お盆の時期にはある程度余裕を持ったスケジュールを組んで、静かに過ごした方が、休み明けにリフレッシュできるという人も一定数いるのです。
遠方で里帰りやお墓参りができないという人は、余裕がある時に一人になり、故人をしのぶ時間を持つなど、自分なりの供養をしても良いでしょう。
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監修者のコメント
岩田 昌幸 一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
お盆の時期に海に入るとご先祖が連れていってしまう、というのは迷信にすぎないと考えて良いでしょう。暑い時期で海や川での作業や遊びがどうしても多くなることから、警鐘を鳴らす意味でこのように言われている側面があると思います。いつの時期でも水の事故には気をつけたいものです。