二礼二拍一礼は参拝の基本。その歴史と考え方とは。
- 2022年04月15日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
神社に参拝へ行った際、お賽銭を入れてお辞儀をし、手をたたく…。
大晦日やお参りのときに必ずと行って良いほど行う動作で、誰もがその様子をイメージできるのではないでしょうか。
参拝で行うこの作法のことを「二礼二拍手一礼」といいます。
何気なく行っているこの作法ですが、現在の「二礼二拍手一礼」に至るまで、さまざまな経緯があったと言われています。
ひとつひとつの動作には、神様を敬い、尊う気持ちを表す意味があり、神社によっては、より深く讃えるため、お辞儀や拍手の回数を増やすなど、「二礼二拍手一礼」とは異なる作法をする場合もあります。
現在の形になるまでの歴史や考え方、そのようになった理由を学び、あらためて「二礼二拍手一礼」のことを考えてみましょう。
目次
神社の参拝でも馴染み深い、二礼二拍一礼の流れ
神社に参拝した際に行う「二礼二拍一礼」。正確には「一拝・祈念・二拝・四拍手・一拝」と言い、ただのお辞儀や拍手でなく、神様を讃え、心を込めて丁寧に行う動作なのです。
あらためて、動作の確認をしておきましょう。
お賽銭を入れる
まず、お賽銭箱にお賽銭を入れます。お賽銭は投げ入れるものではありませんので、賽銭箱の上に置いてくる感じで静かに入れましょう。
鐘を鳴らし二礼する
つぎに鐘を鳴らし、神様への敬意と感謝の意味を表すお辞儀を2回行います。この場合のお辞儀は、腰を90度に曲げて、通常よりも深く行いましょう。また、混雑している時には鐘を鳴らすことにこだわらないようにしましょう。
拍手をする
続いて、拍手を2回行います。出雲大社や宇佐神宮など一部の神社では、4回叩く場合もありますので、事前に調べていきましょう。拍手には敬い拝む、和合という意味があると言われています。
打つときは、右手を少し引き、両手を合わせないで、ずらして打ちましょう。理由としては、神様と人はまだ一体ではなく、神様より一歩下がることで、神を敬い讃える心を表していると言われています。
一礼をする
最後にもう一度、腰を90度にする深いお辞儀を行い、参拝は終了です。お願いごとに関しては、一礼を行う前に心の中で唱えます。
基本的な動作はこの「二礼二拍一礼」で定まっていますが、場所によって作法が異なる場合もあります。しかしいずれも、神様に対して、敬う気持ちによって定められた作法と言えるでしょう。
二礼二拍手一礼はいつから始まったのか
そもそもは、明治8年に式部寮から頒布された官国幣社の祈年祭に関する事項を定めた「神社祭式」に、「再拝拍手」と記されたところから始まっているようです。
この「再拝拍手」から始まり、「再拝→祝詞奏上→再拝」や「再拝、祝詞奏上、再拝、二拍手、一拝」など、その時代や祭事を任された人物、定義づけした機関によって、新たな作法の考案や改良が行われていきました。
明治40年、「神社祭式行事作法」が制定され、その中でひとつの作法が定義されたと言われています。
「再拝→二拍手→押し合せ→祝詞奏上→押し合せ→二拍手→再拝」という形式になっており、現在の「二礼二拍一礼」という作法よりも長い動作で作られています。
その後、式の円滑な進行や、考え方の変化から、神社祭式行事作法に幾度かの改訂がなされ、昭和23年に改訂された段階で「二礼二拍一礼」が正式な拝礼作法となったようです。
弘文堂から出版されている『神道事典』にも、『神社祭式行事作法には、宮司の拝礼作法として、「二礼二拍一礼」についての記述がある』と言われています。先人による永きに渡る経験と改良、そして神様を尊う心によって作られたのが、「二礼二拍一礼」というわけです。
二礼二拍手一礼の形式になるまで
そもそもは神様に対し、敬意や賛美の考え方があったと推測ができますが、作法としては前述の通り、神社祭式に記載された「再拝拍手」の考え方から始まっているようです。
ただ、当時の人々は、それだけではどのタイミングで「再拝拍手」を行うのか、具体的な作法が分からなかったと言われています。
曖昧な状態で「再拝拍手」が広まっていく中、かつて内務卿を担当していた伊藤博文から「一揖(いちゆう・浅い礼)、再拝、二拍手、一揖が正式な作法である」と語られたところから、その当時は「一揖、再拝、二拍手、一揖」が正しい作法として、世間に広まったのではないでしょうか。
その後、1882年8月に明治政府から、神道政策の一環として、古典(国典)研究および神官養成を目的とした機関で、神道総裁有栖川宮幟仁親王が皇典講究所総裁となった「皇典講究所」が設立されました。
そこでは「再拝、祝詞奏上、再拝、二拍手、一拝」という内容で、指導が行われ、世間にも広まっていきました。そのため、伊藤博文から伝わった「一揖、再拝、二拍手、一揖」に変わって、「再拝、祝詞奏上、再拝、二拍手、一拝」が正しい作法として、行事等で実施されていたと推測できます。
その後、「再拝→二拍手→押し合せ→祝詞奏上→押し合せ→二拍手→再拝」など、従来の作法を基本として、動作の追加も見られたようですが、昭和23年に神社祭式行事作法が改訂され、現在の「二礼二拍手一礼」になったと言われています。
一時期は「一拝」がなかった時期もあったようですが、皇典講究所から「終わりの一拝がないと締まらない」という指導があったとされています。
この言い渡しを考えると、神様を敬うだけでなく、どういう形式で進んでいけば、式が円滑に進められるかも考慮された結果として、現在の「二礼二拍手一礼」の形式になったと推測できるでしょう。
二礼二拍手一礼の例外とは
いろいろな経緯を巡りながら、参拝の形式は「二礼二拍手一礼」へと昇華されていきました。
さまざまな事柄や人物、機関が長い年月をかけて定めた作法ですが、実はそれでもすべての神社で行われているわけではありません。
二礼二拍手一礼は、厳密に言えば神職が行う作法であり、一般の参拝客に強要するものではないと言う考えをしている場合があります。
そのため、神社によっては独自の考えで、より神様に対し深く敬意を示せる方法を模索し、ほかとは異なる作法を実施している所もあるのです。
出雲大社の「二礼四拍手一礼」と「二礼八拍手一礼」
例えば、出雲大社では公式ホームページにも記載があるように、「二礼四拍手一礼」が正式な参拝方法となっています。
四拍に関しては、古来より無限の数を表す「8」を基準に考えており、普段はその半分の「4」を持って神様をお讃えするという作法を定めています。
そして、毎年5月14日の例祭(勅祭)では、特別に「二礼八拍手一礼」を行っています。出雲大社だけでなく、大分県の宇佐神宮や新潟県にある弥彦神社も「二礼四拍手一礼」を正しい参拝方法としています。
伊勢神宮の「八度拝八開手」
伊勢神宮では恒例祭や神宮祭祀など、精進潔斎を行った神職が「八度拝八開手」という4拍手を2回行う参拝方法で、行事を遂行する場合もあります。
一般の参拝客の方は、通例通り「二礼二拍手一礼」で参拝して問題ありません。
まとめ
神様を敬う、讃えるという形から始まった再拝拍手ですが、時代や人物、そして機関によって、いくつもの種類が考えられ、現在の「二礼二拍手一礼」に集約されました。
あまり形式張った参拝は必要ないと考える人もいます。
ただ、作法の経緯を知っておけば、神様を敬うということだけでなく、この作法を深く考え、より良いものにしていこうとしてきた先人の方々に対しても、敬意を払うという気持ちを持って、「二礼二拍手一礼」を心がけてみるのも、良いかもしれません。
二礼二拍一礼に関するよくある質問
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監修者のコメント
岩田 昌幸一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
神葬祭での拝礼時、拍手は音を立てない「忍び手(しのびて)」で行います。神職から玉串を受けたら、御霊前の案あん(台のこと)の前まで進み、軽くお辞儀をして玉串を根本をご霊前に向けて案の上に置きます。次に、二礼二拍手(忍び手)一礼し、軽くお辞儀をして元の位置に戻ります。