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葬儀のマナー
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意外に知らないお通夜の持ち物!マナーはあるの?
故人にお供えいただいた香典のお礼として、遺族は香典返しというお礼を贈ります。香典返しは地方や宗教、贈る相手などによりマナーが異なります。この記事では香典返しのマナーをもとに、香典返しの贈り方、香典返しに添える挨拶状や礼状、のしの書き方などを文例とともにご紹介します。
お通夜や葬儀、告別式に参列された方から故人の霊前にいただいた香典に対し、ご遺族からお礼をすることを「香典返し」といいます。 香典返しは四十九日法要を終えて、無事故人を供養できたことのご報告と、故人が生前お世話になった方に、遺族から感謝の気持ちを伝える機会をかねています。
会葬御礼とは、香典をいただいていない場合でも、通夜や葬儀、告別式に参列してくださった方に対して感謝の気持ちを込めて渡す品物のことです。通常、参列して下さったお礼状(ハガキタイプのもの)を添え、タオルやハンカチ、お茶など日常の生活に使う少額のものをお渡しするケースが一般的です。
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会葬御礼に対し、香典返しは香典をいただいた方に贈る品物のことをいいます。香典返しの相場やオススメ商品について、以下の記事でより詳しくご紹介しています。
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香典返しには、香典返しに適した品物や贈る時期、贈り方、香典返しに添える挨拶状の書き方、のしの書き方、など、いくつかのマナーがあります。故人を悼んでくださった方に失礼のないよう、香典返しのマナーにそってお礼の気持ちを伝えましょう。
香典返しの品物は、不幸が手元に残らないという意味合いから一般的に消えものがよいとされています。金額としては「半返し」といわれ、いただいた金額の半分〜1/3くらいを目安にお返ししましょう。
香典返しを贈る時期は、お通夜や葬儀、告別式の当日にお渡しする「即日返し(当日返し)」と、四十九日を過ぎたころ贈る「忌明け返し」の二通りがあります。
お通夜や葬儀、告別式の当日、会葬御礼とともに香典返しをお持ち帰りいただくことを即日返しといいます。当日は全ての方に同じ品物をお贈りします。
高額の香典をいただいた方に対しては、忌明け後あらためて香典返しを贈りましょう。金額の目安としては、香典返しの相場から「当日お渡しした香典返しの金額」を差し引いた額です。
「忌が明けて」からおくる忌明け返しですが、「忌明け」となる日は宗教により異なります。
宗教 | 忌明けのなる日(故人が亡くなられた日から数える) |
---|---|
キリスト教(カトリック) | 30日目[追悼ミサ] |
キリスト教(プロテスタント) | 1か月後[帰天記念日] |
仏式 | 49日目[七七日忌(なななのかき)] |
神式 | 50日目[五十日祭] |
本来、忌明け返しは喪主が香典返しを持参してご挨拶に伺うものですが、現在では挨拶状とともに送ることが多くなっています。
香典返しは「忌明け」の法要をおこなった後、約1ヶ月以内を目安に送りましょう。近隣の方や、よくお会いする方には手渡しでもかまいません。
香典返しの時期は、地域によって違う場合もあります。
東日本では四十九日法要が終わった後に送る”忌明け返し”が多く、一方、西日本では通夜や葬儀、告別式の当日に持ち帰っていただく”即日返し”が多いとされています。
また、東京では即日返しが主流となってきています。地域による特殊な決まりごとですので、身内の方や葬儀社の方に相談されるとよいでしょう。
香典返しののしの書き方として、表書きに広く使える言葉は「志(こころざし)」ということをまず覚えておきましょう。表書きとは、水引の結び目上部に書く言葉のことをいいます。また、水引の結び目下部には喪主の姓を記入します。地域やご家庭の都合によってはフルネームを記入することもあります。
表書きは香典返しを贈る時期や地域、宗教により、かけ紙や水引、使用する言葉が異なります。それぞれを表でまとめました。 香典返しに使う水引は、印刷されたものがほとんどなので、銀や白はグレー系になっています。
宗教 | 水引(結びきり) | 表書き | さし絵(蓮) | 忌明け前 | 忌明け後 |
---|---|---|---|---|---|
仏式(関東) | 黒白、グレー | 「志」 | 「志」 | 「忌明志」 「七七日忌志」 | あり、なしともに可 |
仏式(関西) | 黒白、グレー、黄白 | 「満中陰志」 | あり、なしともに可 | ||
仏式 (中国・四国・九州地方のおもに瀬戸内海を囲む地域) | 黒白、グレー、黄白 | 「茶の子」 | あり、なしともに可 | ||
神式 | 黒白、グレー、黄白(関西) | 「偲び草」「偲草」 | なし | ||
キリスト教 | 使用しない、または黒白かグレー | 「帰天記念」(カトリック) 「召天記念」(プロテスタント) 「感謝」 「記念品」 |
なし |
時期や地域、宗教を問わず使用可
仏教(関西)
香典返しをお渡しする時期が忌明け前と忌明け後では表書きが異なります。
【忌明け前】
一般的な「志」を使用しましょう。
【忌明け後】
地域や宗教により表書きが異なります。一般的な「志」も使用できます。
香典返しの表書きは、地域によって異なります。
【関東】
一般的には「志」が使用されます。
【関西】
「満中陰志(まんちゅういんし)」が使用されます。満中陰とは、忌が明けたことを意味するため忌明けより前には使えません。もちろん「志」も使用できます。
宗教によっても表書きは異なります。
【仏式(関東)】
表書き:関東では「志」が一般的です。「忌明志」、「七七日忌志」でも可
結びきり:水引は黒白またはグレー
さし絵:蓮のさし絵が入ったのし紙も使用可能
【仏式(関西)】
表書き:「満中陰志」
結びきり:水引は黒白または黄白
さし絵:蓮のさし絵が入ったのし紙も使用可能
【仏式(中国・四国・九州地方のおもに瀬戸内海を囲む地域)】
表書き:「茶の子」
結びきり:水引は黒白または黄白
さし絵:蓮のさし絵が入ったのし紙も使用可能
【神式】
表書き:「偲び草」、「偲草」
結びきり:水引は銀一色または黒白
さし絵:蓮のさし絵が入ったのし紙は使用しない
【キリスト教】
表書き:キリスト教では「帰天記念」(カトリック)、「召天記念」(プロテスタント)、「感謝」、「記念品」などがあります。
結びきり:水引のないかけ紙か、慣例にしたがって黒白の水引を使用
さし絵:蓮のさし絵が入ったかけ紙は使用しない
香典返しには挨拶状やお礼状を添えましょう。本来であれば先方に伺い香典返しとともに直接お礼を述べるものですが、香典返しを送る場合では挨拶状やお礼状が用いられます。
直接伺う場合でも、先方が留守にしている場合も考えられます。香典返しとあわせて挨拶状・礼状を添えておくほうが良いでしょう。
香典返しに添える挨拶状やお礼状の書き方として、次のようなことをお伝えします。
●故人の名前
>「亡父 ○○」「亡祖母 ○○」「故 ○○儀」「弊社社長 ○○儀」
●お礼の言葉
>通夜や葬儀、告別式への参列や香典をいただいたことへのお礼
●忌明けの報告
>法要が滞りなく終わったことの報告
●香典返しの贈答
>香典返しを贈ったことのお知らせ
●略儀であること
>お礼状は略儀で、本来なら直接お礼を言うべきであること
●差出人の名前
>喪主、親族の名前 ※社葬の場合には、葬儀委員長の名前が筆頭
挨拶状・お礼状を書くときにもマナーがあります。注意して書きましょう。
●句読点「、」「。」は使用しません。
→諸説あるようですが、主に次のようなことがいわれています。
>書状には句読点を使っていなかった。
>句読点は読解力が無い場合の補助として使われるため、相手の方に失礼になる。
>法事が滞りなく済むようにとの意味から、文章が途切れる句読点を使わない。
●「ますます」「重ね重ね」などの重ね言葉は使いません。
→不幸を繰り返すというイメージにつながるためです。
●時候の挨拶は使いません。
→時候の挨拶は季節や天候に応じた季節感を表す言葉で、「相手に安否をたずねる挨拶」と合わせて使うため、香典返しのご挨拶状では使いません。
●頭語と結語は、「両方入れる」もしくは「両方入れない」のどちらかに統一します。
→使う場合は、「拝啓/敬具」「謹啓/謹白」といった頭語/結語を使うと良いでしょう。
ここからはすぐに使える文例をご紹介します。宗教ごとに使用する言葉が異なるため、挨拶状やお礼状も宗教ごとに使い分けるとよいでしょう。
謹啓 先般 亡父 ○○ 葬儀に際しましては、ご多忙にもかかわらずご会葬を賜り厚く御礼申し上げます
おかげをもちまして○月○日に四十九日の法要を滞りなく済ませることができましたことをご報告いたします
つきましては供養のしるしまでに心ばかりの品をお届けいたしましたのでお納めくださいますようお願い申し上げます
本来であれば拝眉の上御礼申し上げるべきところではございますが 失礼ながら書中をもちまして謹んでご挨拶申し上げます
謹白
令和○○年○月○日
謹啓 先般 亡父 ○○ 葬儀に際しましては、ご多忙にもかかわらずご会葬を賜り厚く御礼申し上げます
おかげをもちまして○月○日に五十日祭を滞りなく済ませることができましたことをご報告いたします
つきましては偲草のしるしまでに心ばかりの品をお届けいたしましたのでお納めくださいますようお願い申し上げます
本来であれば拝眉の上御礼申し上げるべきところではございますが 失礼ながら書中をもちまして謹んでご挨拶申し上げます
謹白
令和○○年○月○日
謹啓 先般 亡父 ○○ 召天に際しましてはご多忙にもかかわらずご会葬を賜りかつご丁重なるご献花を賜りましたこと誠に有難く厚く御礼申し上げます。
おかげをもちまして○月○日に召天記念会を滞りなく済ませることができましたことをご報告いたします
つきましては偲草のしるしまでに心ばかりの品をお届けいたしましたのでお納めくださいますようお願い申し上げます
本来であれば拝眉の上御礼申し上げるべきところではございますが 失礼ながら書中をもちまして謹んでご挨拶申し上げます
謹白
令和○○年○月○日
香典返しに添える挨拶状・お礼状は奉書紙(ほうしょがみ)1枚にお礼を書き、奉書の一重の封筒に入れるのが一般的です。
通夜や葬儀、告別式当日にお持ち帰りいただく香典返しに添える挨拶状・お礼状は「薄墨」で書きます。一方、忌明け後の香典返しに添える挨拶状・お礼状は、忌明けの報告もかねているため、薄墨ではなく「濃墨」を使います。
「薄墨を使うのは忌明けまで」ということを覚えておくとよいでしょう。印字の場合も同様です。
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会社の方や取引先の方から香典をいただくケースは少なくないはずです。会社関係の場合、香典を会社名でいただくことや、支社名、部署名、個人名、個人の連名でいただくなど、さまざまなケースがあります。
まずは、どなたからいただいたのかを把握しましょう。ここでは、それぞれのケースに合わせた香典返しをご紹介します。
香典を「会社名」でいただいた場合、会社の慶弔費から支払われていることが多いため、この場合の香典返しは一般的に不要とされています。
「会社名+社長の名前」で香典をいただくこともあります。大企業の場合、やはり形式的に贈られていることが多いでしょう。しかし、社長とかかわることの多い中小企業の場合は、社長個人で香典を贈っていることがあります。この場合は、他の方と同じように香典返しをお渡しするのがよいでしょう。どちらか判断がつきにくい場合は、総務部に問い合わせましょう。
社長はもちろん、上司や同僚など個人名で香典をいただいた場合は、通常のお返しと同じように香典返しをお渡ししましょう。お渡しする時期は、忌明けにご自宅宛てで送るか手渡しでもかまいませんが、忌引き後出社した際、会社をお休みしたお詫びもかね、香典返しをお渡しするほうがスマートです。早めに出勤し、勤務時間前に役職順でお渡ししましょう。
自分が所属する課や同期生から「一同」で香典をいただいくこともあります。職場で小分けできる菓子などをお返しするとよいでしょう。喪家の土産菓子などでもかまいません。忌引き中は、急な休暇で同僚や上司にご迷惑をかけたかもしれません。お渡しする際はやはり、会社をお休みしたことのお詫びとお礼を忘れず伝えましょう。
同じ職場でも、何人かの有志から連名で香典をいただくことがあります。この場合、香典をくださった方全員にタオルなどの実用品をお返ししましょう。金額の目安としては、いただいた金額を人数割りし、その金額の半額程度です。
基本的には会社からいただいた場合と同様に、いただいた方のお名前から香典返しの有無を判断します。香典返しが必要な場合、会社宛で送るか、忌引き後初めて訪問する際持参し、お礼とともに手渡ししましょう。取引先の場合は、代表にお渡しするのでもかまいません。いただいた金額にもよりますが、小分けできる品物を香典返しに選ぶとよいでしょう。
所属団体や親睦会といったグループから香典をいただいた場合も会費などからいただいていることが多いため、お返しは不要とされています。また、友人同士のグループでお互いにご不幸の際には送るように決めている場合も、香典返しは不要となります。
香典のほか、生花をお供えくださる方もいらっしゃいます。身内や親族の場合はお返しの必要はありません。会社の上司や友人からいただいた場合は、香典返しの予算を少し上乗せしてお返しされる方が多いです。
香典のほか、生花をお供えくださる方もいらっしゃいます。身内や親族の場合はお返しの必要はありません。会社の上司や友人からいただいた場合は、香典返しの予算を少し上乗せしてお返しされる方が多いです。
【いただいた香典10,000円+生花10,000円の場合】
香典返しの目安>>>香典のお礼5,000円+生花のお礼2,000~3,000円
◆香典+生花をいただいた方への香典返し 7,000~8,000円
弔電をいただいた方への香典返しは必要ありませんが、いただいたお気持ちに対し、お礼の言葉を伝えるのがマナーといえます。葬儀、告別式が終わったら、早めにお礼の電話をさしあげましょう。
通夜や葬儀、告別式に会社の方や親しい友人など、お手伝いいただいた方には香典返しとは別にお礼をさし上げるとよいでしょう。金額は少額でかましません。会社の方でしたら小分けできるお菓子、個人の場合は1,000円くらいの予算でお返しされている方が多いです。
香典をくださった方の中には、香典返しを辞退される方がいらっしゃいます。辞退される意思表示は、香典袋や香典袋の中に一筆添えられていることが多いです。
【香典返しを辞退される理由の一例】
香典には本来、通夜や葬儀など急な出費に対し故人の遺族を経済的に助けるという意味合いがあります。香典返しを辞退された場合は、相手の気遣いを考慮し、香典返しをお渡ししなくても失礼にあたりません。ただし、お礼の気持ちを伝えるのはマナーです。香典返しのお品物は不要でも、葬儀後、時間をあまりおかずに電話や礼状などでお礼を述べましょう。会社の同僚たちからの場合、忌引き明けの出社日にお礼とともに差し入れ程度のお菓子を配るのもよいでしょう。
会社の方への香典返しを贈るときの挨拶状・お礼状は、通夜や葬儀、告別式への参列や香典をいただいたことへのお礼を伝えるのはもちろんですが、急なお休みをいただいたことへのお詫びも忘れてはなりません。仕事へ復帰するご挨拶と香典返しを持参したことも伝えましょう。席を外していらっしゃる方も想定されます。香典返しに添える挨拶状とは別に、お礼の言葉が残せるような準備もしておきましょう。
文例)
通夜、葬儀の際にはお心遣いをいただきありがとうございました。おかげさまで無事葬儀を終え故人を見送ることができました。急なお休みで大変ご迷惑をおかけいたしました。本日から業務に戻らせていただきますので、今後ともよろしくお願いいたします。気持ちばかりではありますが、供養のしるしをお持ちいたしました。
部署名○○○ 名前○○○○
香典返しが終わることで、通夜に始まった一連の事に一つの区切りがつきます。香典返しは贈る時期や地域、宗教により贈り方はさまざまですが、共通していることは、故人を悼み香典をいただいた方に、遺族から感謝の気持ちを伝える機会であるということです。最後まで、ご参列いただいたみなさんからの言葉や香典への感謝の気持ちを忘れず、生前故人にかかわっていただいた方に失礼のないよう、遺族としてのきちんとお礼を伝えたいものです。
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※本記事の情報正確性等につきましては、細心の注意を払っておりますが、いかなる保証もするものではありません。特に宗教、地域ごとの習慣や個別の事情によって考え方や対応方法が異なることがございます。掲載情報は、ご自身の責任と判断においてご利用ください。情報の利用によって何らかの損害が発生した場合でも、当社は一切の責任を負いません。本記事に掲載の提供情報は、法的アドバイスの提供を目的としたものではありません。
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