夫婦連名で香典は出せる?書き方・マナー・金額相場を解説
- 2024年12月03日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
法事・法要に招かれた場合に必要になるのが「香典」です。故人さまに夫婦でお世話になっていた場合、夫婦でお葬式に参列する場合もあるでしょう。
そのような場合に、「どのくらいの金額を包めばよいのか?」「夫婦連名で香典は出せる?」など、疑問に感じることは多いはずです。
今回は香典や夫婦連名で香典を出す場合の作法・金額等について説明します。
目次
香典とは?
香典は故人さまを悼む気持ちを表し、その冥福を祈り供養することを目的として捧げられます。
本来、参列者はお花・果物・線香等を供物として故人さまへ捧げましたが、現代に捧げるものは「現金」が通常です。
この香典は、お通夜やお葬式に参列した際に受付やご遺族に渡し、故人さまに捧げます。
香典を夫婦連名でも出せる
お通夜やお葬式で用意する香典は、夫婦連名で出すこともできます。ここでは、香典を夫婦連名で出すうえで知っておきたいポイントを解説します。
香典は夫婦連名でも問題ない
香典は、夫婦連名で出しても失礼にあたりません。通常であれば夫の氏名を記載しますが、夫婦両方の名前を記載することも可能です。
個人で参列する場合だと香典は一人で包むのが基本ですが、夫婦だと家族単位にするのが一般的です。
家族の代表者の名前を書くだけでよいとされており、それが正式なマナーとなっています。
夫の名前だけでは、妻が香典を出していないと思われるとご不安に感じる方もいるでしょう。
このような場合に、故人さまと妻の関係が深かったり、夫婦それぞれがお世話になったりした場合は夫婦連名でも問題ありません。
連名にしてはいけないというルールはなく、故人さまとの関係性によってはむしろ連名の方がよいケースもあります。
夫婦連名で香典を出すケースとは
夫婦連名で香典を出すケースは、夫婦ともに故人さまと親交が深いケースや妻側の親族のお葬式の場合です。
ただし、地域によっては夫婦連名で記載することが失礼にあたる場合もあります。
夫が参列できず妻が代理で参列する場合は、妻が参列しても夫の名前のみ記載します。この場合は、夫の名前の隣に「内」と記載するのがマナーです。
内と記載することで、夫の代理で妻が参列したという意味になります。
お葬式の記帳にも妻が代理で参列していても、香典に記載されている夫の名前を書く必要があります。
なお、故人さまと夫婦がそれぞれ親交が深かったとしても、別々に香典を出すのは避けた方がよいでしょう。香典本来の在り方は、夫婦は一組で家族と考えられているためです。
夫婦が別々に出してはならないというルールはありませんが、常識知らずと思われてしまう可能性もあります。
夫婦連名で香典を出す場合の書き方
夫婦連名で香典を出す場合は、香典袋の書き方に注意しましょう。ここでは、夫婦連名で香典を出す場合の書き方を解説します。
香典袋の書き方
香典袋に氏名を書く際には、中央に夫の氏名を書き、その左側に妻の名前を書きます。
水引下の中央に夫の名前が来るように書き、妻の名前は名字を省略して記載するのがポイントです。水引の上部に記載する表書きは、夫婦連名でも特に書き方は変わりません。
中袋(中包み)の書き方
香典袋の中袋に名前を書く際にも、外袋と同様に夫婦連名で書いて問題ありません。中袋に夫婦の名前を書く場合も、外袋と同じルールで書きます。
表面の中央に金額、裏面には中央に住所を記載します。その左に夫の姓名を書いて、さらに左に妻の名前のみを記載しましょう。
旧姓がなければ誰かわからない可能性がある場合は、旧姓を添えても問題ありません。
夫婦連名で香典を出す場合の金額について
夫婦連名で香典を出す場合は、金額のルールも気になるところです。ここでは、夫婦連名における香典の金額や相場をシーンごとに解説します。
夫婦連名で香典を出す場合の基本マナー
夫婦連名で香典を出す場合、連名でも香典は1家族分と考えて問題ありません。
夫婦2人だから香典も2人分とはならず、故人さまとの関係性から相場が5,000円なら夫婦連名でも5,000円となります。
一方、お葬式のあとの会食に出席する場合は、香典とは別で食費は人数分を用意するのがマナーです。
そのため、会食ありのお葬式に参列する場合は、香典と夫婦2人分の食事費用もつつみます。
ここで注意が必要となるのは食事費用と香典を合わせることで、金額がお葬式で避けられやすい数字になる場合です。
例えば、10,000円の香典を包む場合に食事代が1人5,000円だと、夫婦で20,000円包むことになります。
お葬式では、偶数で割り切れる数字は嫌われる傾向にあり、故人さまのご家族に不快な思いをさせてしまう可能性もあります。
気になる場合は香典を10,000円にして残りの10,000円を供え物にするなど、金額を調整するのもよいでしょう。
祖父母が亡くなった場合
祖父母がお亡くなりになった場合、夫婦連名の香典相場は10,000円以上です。夫婦の年齢ごとの相場は以下になります。
- 20代:10,000円~20,000円
- 30代~40代:20,000円~30,000円
- 50代以上:30,000円~50,000円
祖父母との関係性が深い場合は、相場以上に包むこともあります。経済的な事情も考慮しながら、自身の年齢に合った金額を用意しましょう。
3世帯住宅で祖父母と同居している場合は、同居家族がお葬式を催す立場となるため、香典を包む必要はありません。
叔父や叔母が亡くなった場合
叔父や叔母がお亡くなりになった場合、夫婦連名の香典相場は5,000円以上です。夫婦の年齢ごとの相場は以下になります。
- 20代:5,000円~10,000円
- 30代~40代:10,000円~20,000円
- 50代以上:20,000円~30,000円
親戚がお亡くなりになった場合、付き合いの程度や親交の深さによって相場も変わります。金額の上限は特にないものの、一般的には30,000円までが相場といえるでしょう。
友人や知人が亡くなった場合
友人や知人がお亡くなりになった場合、夫婦連名の香典相場は3,000円以上です。夫婦の年齢ごとの相場は以下になります。
- 20代:3,000円~5,000円
- 30代以上:5,000円~10,000円
香典の金額は年齢や関わりの深さによって相場が異なります。
友達でも親友と呼べるような親しい間柄のご友人であれば、相場よりも額は多めにする傾向にあります。
職場や仕事関係の人が亡くなった場合
職場や仕事関係の人がお亡くなりになった場合、夫婦連名の香典相場は5,000円以上です。
- 30代以上:5,000円~10,000円
会社関係の香典相場は、故人さまと自身や夫婦の関係性によって金額も異なります。また、職場の方々と連名で香典を出す場合もあるでしょう。
周りの社員が連名で香典を出しているにも関わらず、個人や夫婦で香典を出すと軋轢を生む可能性もあるため注意が必要です。
ただし、故人さまと親交があった場合には個人や夫婦で香典を包んでも問題ありません。
妻の親戚が亡くなった場合
妻の親戚がお亡くなりになった場合も、香典の相場は同じです。
妻の親戚に香典を渡す際は、夫婦連名の方がよいケースもあります。夫の名前が妻の親戚に十分に知られていない場合、誰からの香典か判断できない可能性があるためです。
特に郵送で香典を送る場合だと確認ができないため、香典の表書きは夫婦連名にする方がわかりやすいでしょう。
しきたりや地域性で連名が難しい場合、郵送で送った際には電話で伝える配慮も必要です。
夫婦連名で香典を出す場合のマナー
夫婦連名で香典を出す場合はマナーを守り、故人さまやご家族に失礼のないように気をつけましょう。
ここでは、夫婦連名で香典を出す場合のマナーを解説します。
連名を避けた方がいいケースについて
香典を夫婦連名にしない方がいいのは、故人さまとの関わりが深くないケースです。
香典は家族単位で用意するのが一般的であり、連名での記載がマナー違反と捉えられる可能性があります。
妻が代理で参列する場合も、夫の名前の左下に「内」と記載するのが一般的です。夫婦それぞれが故人さまと親交があり、関係性が深い場合に連名にするのがよいでしょう。
「夫婦で参列しているのに夫だけの名前を書くのは失礼では?」と感じるかもしれませんが、そのようなことはありません。
金額の合計に気をつける
香典を夫婦連名にする場合も、金額の合計と数字に注意する必要があります。
香典の金額については夫婦連名でも1人分で問題なく、3,000円や5,000円、10,000円のように奇数の数字が一般的です。
連名に関係なく、4と9の数字は縁起が悪い数字と捉えられる場合が多く、避けるのが基本的なマナーとなっています。
食事代を含めて香典を渡す場合は、金額の合計に偶数や9の数字が入らないようにしましょう。また、金額だけでなくお札の枚数が偶数枚にならないように注意する必要もあります。
香典返しの辞退を検討した方がいい場合もある
夫婦連名で香典を出す場合、香典返しの辞退を検討した方がいい場合もあります。
基本的に夫婦連名の香典は1家族という括りになるため、1人で参列しても夫婦で参列しても香典返しは1つが基本です。
しかし、通夜料理や精進落としの料理、おもてなしを受ける際には2人分となります。香典の金額が多くない場合は、ご遺族の負担をできるだけ軽くするための配慮も必要でしょう。
香典返しを辞退する際には、ご遺族にきちんと伝えることが大切です。
あいまいな方法で伝えてしまうと、ご遺族が用意していた香典返しが無駄になってしまう可能性があります。そうなってしまうと、ご遺族にかえって迷惑をかけてしまいます。
香典袋の中袋の表や裏面に記載しておくのもよいでしょう。例えば、「お返しのご配慮は遠慮させていただきますようお願い申し上げます」と記載するのも問題ありません。
中袋以外であれば、宛名と本文と差出人の名前を記載した一筆箋を添えるのもよいでしょう。最近は香典返しを当日に返すケースも多いため、受付の際に一言伝えておくとスマートです。
供花や供物を送る場合について
夫婦で供花や供物を送る場合は、夫と妻の名前をそれぞれ記載します。名前の書き方は、香典と同じように右から夫、妻の順番で記載するのが基本です。
最近では、お葬式を小規模化する傾向にあり、香典の代わりに供花や供物を送るケースもあります。
供花や供物を送る際には熨斗をかけるのがマナーで、「御霊前」や「御供」と記載しましょう。
また、郵送する場合はお通夜の2~3時間前、少なくともお葬式の前日までには届くようにします。
故人さまがご逝去してからお葬式までのスケジュールはタイトな場合が多いため、訃報を受けたらできるだけ早く準備しましょう。
葬儀場によっては供花の持ち込みを禁止しているところもあるため、事前に葬儀場やご遺族に確認が必要となるケースもあります。
子どもの名前について
夫婦連名で香典を用意する際、子どもの名前を入れるかどうかは収入の有無で異なります。
子どもに収入がある場合は親と子どもが別々に香典を用意するケースもありますが、同居している場合は連名にしても問題ありません。連名にする場合は妻の左側に名前を記入します。
家族や兄弟の連名で香典を出す場合の表書きは、3名までにするのが一般的です。4人を超える際には中央に夫の氏名を書き、左下に「外一同」「外〇名」と記入してください。
また、子どもが小さく収入がない場合は連名にする必要はなく、親の名前のみにします。
連名にすると、ご遺族が子どもであると気づかず、香典返しを用意してしまう場合もあるため注意が必要です。
ただし、子どもの友達やその身内に不幸があった場合だと、親の名前のみでは誰なのかわかりません。
このような特殊な事情があるケースは、中袋に子どもの名前や学年を合わせて記載しておくとわかりやすいです。
法事の香典(不祝儀)に関する疑問・質問
ここでは、法事の香典に関しての質問へ回答します。
普段の対応であるなら失礼には当たらないものの、法事という故人さまを偲ぶ場であれば、マナー違反になることがあります。
新札でも問題ありませんが、折り目をつけてから香典袋に入れるのがマナーです。
地域差はあるものの、不祝儀に新札は縁起が悪いとされ、法事でも旧札を用いることがマナーとされていました。
そのため、きれいな旧札か、新札に1か所程度折り目をつけてから香典袋へ入れるのが無難でしょう。
お供え物を持参する場合も、香典の相場である3,000円以上を用意するのが礼儀と言えます。
お供えを持参する時は香典金額を安くしても良いかですが、これは持参する方の故人さまに対する礼儀にも関係してきます。
お供え物+香典を持参する場合にも、香典の相場以上を用意しましょう。また、特別な事情がない限り、お供え物だけで香典を持参しないのはマナー違反となる可能性もあります。
法事・法要を欠席する場合には、香典を渡す場合には紙幣を現金書留に入れて送ります。
また、果物や供花(白い花が無難)を贈ることも問題ありません。
香典やお供え物を送付する場合には、主催者側にわかりやすいように「お供物料」と表書きします。
香典にしてもお供え物にしても、概ね5,000円程度の金品を贈るのが相場です。
二枚以上のお札を香典袋に入れる場合には、お札向きを揃えます。
そして中袋の裏面に紙幣の表を向けて入れます。
弔事の場合は、香典を「袱紗(ふくさ)」に包み法事・法要へ持参するのがマナーです。
弔事では、袱紗の色は地味な色で黒・紺・灰色や紫色が好まれます。
香典の包み方も、弔事の際は左開きになる様に包みましょう。
袱紗を持っていない場合には、ハンカチで代用しても構いませんが、黒・灰色・紺等の地味な色を選びます。
香典袋で水引の色や作りが異なるのは、香典の目安となっているためです。
水引きは香典袋にかける帯紐のことで、本来は魔除けや未開封の証拠という意味が込められています。
香典袋の水引の色は黒白や銀一色、青白、黄色があり、包む金額に合わせて選びましょう。
よく使われている青白や黒白の水引は、3,000円から5,000円を包むときに使います。印刷しているタイプのものは黒色が青色に見えることもあるため、購入時には注意しましょう。
黒色の水引は香典袋の定番であり、どの地域のお葬式や法事でも使えます。
黄色の水引は10,000円から50,000円を包む際に使われ、主に関西地方より西のエリアで使用されることが多いです。
銀色の水引は50,000円以上のときに使われることが多く、大きさのバリエーションも豊富にあります。
地域によっては使用しない方がいい水引の色もあるため、事前に地域の方や葬儀社に確認しておくと安心です。
香典に名前を書く際、筆の色は薄墨が望ましいとされています。薄墨を使用するのには以下の説があります。
- 故人さまを悲しむ気持ちから涙で墨が薄くなった
- 故人さまの不幸を聞いて駆けつけてしっかり墨を使用して書く時間がなかった
薄墨は一般的に墨に比べると水分が多く、濃隅に比べて滲みやすく薄いのが特徴です。そのため、香典を受け取ったご遺族が文字を見た際に、書きながら涙を流したと感じる印象を受けます。
薄墨を使用するのはお通夜と告別式の際で、それ以外の法事で使用することはありません。お通夜と告別式で薄墨が相応しいのは、突然の訃報で時間の余裕がなく、急いで駆けつけるためです。
なお、薄墨で書くのは外袋が基本であり、中袋は万年式やボールペンで書きます。これは中袋は住所も記載する必要があるためで、薄墨だとわかりにくい可能性があるためです。
薄墨を使うか使わないかも地域差が大きく、地域によっては普通の墨を使って香典を書く場合もあります。
香典をご遺族に渡す場合は、お悔やみの言葉を一緒に伝えるのが一般的です。
具体的には、「この度はご愁傷様さまです」「お悔やみ申し上げます」といった言葉をかけます。宗派によって使えるお悔やみの言葉が異なるため、故人さまやお葬式の宗派を確認しておくとよいでしょう。
また、お悔やみの言葉では忌み言葉や重ね言葉はタブーとされています。
忌み言葉とは浮かばれないや落ちるのように、別れや不幸を連想させるネガティブな言葉です。
重ね言葉とは、「ますます」や「いよいよ」のように同じ言葉を重ねる言葉で、不幸が重なるという印象を与えてしまいます。
まとめ
香典は日本人に根付いた習慣で、ご遺族に対し失礼に当たらないためにも、作法を守ることが大切といえます。
夫婦連名で香典を用意するときも、名前の書き方に注意してご遺族への配慮を大切にしましょう。
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監修者のコメント
岩田 昌幸 一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
法事・法要では、その後食事の席が設けられている場合があります。香典の額も、その分を考慮してひとり1万円以上は準備しておいた方が良いでしょう。葬儀の時は表書きなど薄墨を使用するとされている慣習もありますが、四十九日を過ぎると「心を込めてしっかり書いた」という意味で濃墨を使うとされています。