香典返しはいくらが目安?適切な金額をケース別に紹介
- 2024年11月29日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
香典返しは、時間を割いて参列しお悔やみいただいた方々に、感謝の気持ちを伝える習わしです。
仏事に接する機会は少ないため、御礼のマナーや通例に関して不安に思う方も多いことでしょう。
ここでは、香典返しにおける金額の目安や考え方について紹介していきます。
また、故人や家族の勤め先・取引先からいただいた場合や、額によって異なるお返しの金額について、一般的なお返しの品物など起こりうるさまざまなケースについても一緒に学んでいきましょう。
目次
香典返しの金額の目安はいくら?
香典返しの相場金額は、古来より受け取った香典の3分の1程度を返す「3分の1返し」、半分を返す「半返し」が一般的です。
たとえば、1万円の香典をいただいた場合、半返しなら5000円程度のお礼の品物を用意します。これに加えて、香典の金額は故人との関係性や生前の交流の深さによって1人1人異なってきます。
小規模でしめやかに葬儀を行うという場合を除いて、参列者それぞれに応じた返礼を用意するのは大変なので、金額別に3段階程度の返礼の品物を準備しておくと良いでしょう。
ただ、親族や身内が高額の香典を包むケースに関しては例外で、扶助の気持ちであることが多いためお返しの金額について細かくこだわる必要はありません。
この場合は、3分の1から4分の1程度を目安にしておけば良いです。
相場は地域によって違う?
古来より人がなくなった際に葬儀が執り行われてきましたが、現代のように全国各地から親類や関係のあった人々が大勢訪れるようなものではなく、近隣に住まう者や近しい者だけで集まって執り行うものでした。
そのため、関西では3分の1返し、関東では2分の1・半分返しが主流といったように、地域によって相場が異なっていたのです。しかし、今では全国から多くの人々が集まること、半返しの考え方が全国的に広まっていることから、単純に東と西で分けて考えることは難しくなりました。基本的には、全国で主流とされる考え方・半返しと考えておけば問題はないでしょう。
半返しの風習は、一説によると昔は葬儀を終えた時点で受け取った香典の半分程度が残ることが多かったため、その分を参列者やお世話になった人にお礼したり、菩提寺に寄進したりすることが風習の始まりのきっかけとされています。
ただ、仏事や風習のルールが徐々に緩やかになってきたと言いつつも、地域の中や親族間のしきたりを大切に守っている方も少なくありません。
半返しを頭の隅に置きつつも、事前に地元地域の家族や親類に相談・確認しておくとよりスムーズに運べるでしょう。
3分の1でいいケースは?
香典返しの金額相場は半返しが一般的とされていますが、3分の1返しでも良いというケースもあります。
複数のケースが考えられますが、まずは稼ぎ頭である一家の主・働き手がなくなったケースを見ていきましょう。
香典返しに使うよりも、遺族の今後の生活のために使ってくださいという配慮から、香典返しは3分の1か少ない額で良いとされています。
香典返しの品物をお渡ししない場合、お礼状・挨拶状を送って感謝の気持ちを伝えるのを忘れないようにしましょう。
次に、親族や身内から5〜10万円といった多額の香典を受け取った場合についてです。
こちらも、葬儀の足しにしてくださいという意味・気持ちが込められているため、必ずしも半返しにこだわらなくても良いとされています。
この場合は、四十九日法要の後に3分の1から4分の1ほどの、香典返しのお礼の品を贈ると良いでしょう。ただ注意したいのは、この考え方も半返し同様「全国的な一般論」であり、地域や親族間で守られている慣習・ルールが存在する場合もあるという点です。不安であれば、一度親族や地域の家族に相談するようにしてください。
高額の香典をいただいた場合、お返しの品物の選択肢が限られてくるため、相手方の好みや趣向と異なる品物を贈ってしまい、かえって迷惑になることもあります。近年では、豊富な品揃えの中から好きなものを選べるカタログギフトを、返礼品として採用されることも多いです。
▼詳しい内容と手配方法▼当日返しの金額相場は?
別名を即日返し・即返しとも言う当日返しとは、通夜や葬儀の当日に、受付で参列者に渡す香典返しの返礼品のことを指します。
これまでは四十九日の忌明けを待ってお返しするのが香典返しの習わしでしたが、近年では式の当日に一緒に行うケースが増えています。
本来香典返しは、四十九日のあとに「香典をいただき、四十九日の供養を無事に終えることができました」という挨拶と、感謝の気持ちを伝えるためのものでした。
しかし、香典返しの手配は、送り先の住所の管理をしたり、いただいた金額をチェックしてお礼の品物を選んだりする作業の負担が伴います。
そのため、これらの負担を軽減するなどの理由から、香典の額の平均あたりの予算で返礼品を用意しておき、参列者全員に当日返しとして手渡し、高額の香典をいただいた方には後日個別対応するという方式が多く採用されています。
当日返しに用意する会葬返礼品の相場金額は、一般参列者の平均額から見て2000〜3000円前後の品物を選ぶことが多いです。
会葬返礼品はその品物だけでなく、お礼状とセットにして渡すことが一般的とされています。
生前に故人が特別にお世話になった人や、高額の香典をいただいた人については、忌明けに個別に対処しましょう。
また、心ばかりのお礼として贈り、後日改めて香典返しを贈ることを前提としているのであれば、500円程度の品物とお礼状でも問題はありません。
当日返しが足りなかったら?
当日返しは、平均額である5000円の香典を予想して2000〜3000円前後の返礼品を用意するのが一般的で、これに加えて1万円をいただいた場合など額に応じて2〜3段階に分けて用意します。
しかし、予想に反して多額の香典をいただくこともあります。用意した当日返しではお礼が足りない、半返しに満たないというケースも当然あるでしょう。
この場合、後日対応するのがセオリーです。
具体的には四十九日が過ぎたタイミング(忌明け)で、改めて香典返しをします。この時注意したいのは、葬儀の日に渡した当日返しにかけた金額分を差し引かなければならない、という点です。
当日返しの返礼品の金額と、四十九日の後に贈る品物の金額の合計が、通夜・葬儀の日にいただいた香典の金額の半分となるよう調整してください。
たとえば、2500円の当日返しを用意していたとして、1万円の香典をいただいた場合は当日分だけでは足りないため、四十九日法要のあとに改めて2500円程度の品物を贈れば良いです。
その際、品物だけでなくお礼状・挨拶状を添えて発送しましょう。
お礼状の内容は、葬儀に参列いただいた旨や香典のお礼、四十九日法要を無事終えたことに関しての報告などを記載します。
会社名義で香典を受け取った場合は?
故人の勤め先・会社の方から香典をいただく際に、会社名義で差し出されることもあります。
この場合送り主が会社・法人なのか、社員有志の方による連名なのか、それとも社長など役職者の方の個人なのかといったように名義ごとに対応が異なります。
法人名義の場合は、経費(福利厚生費)で用意しているのが一般的であるため、お返しは特に必要ありません。
社員有志・社員一同などの複数人からの連名で香典をいただいた時の対応としては、忌引き後の初出社時にお返しを渡せるようにしておくとスムーズです。
大きな額をいただいたのであれば、一人一人に分けられる菓子折りを用意すると良いでしょう。会葬返礼品やお礼状を多めに用意して、一人ずつ配るとより礼儀正しい印象になります。
また忌引きで会社・職場に迷惑をかけてしまった場合は、後日差し入れをするなどの気遣いも大切です。
一方、役職者の方が個人名義で香典を包んでくれた場合は、きちんと個別に香典返しをする必要があります。
個人的に香典を用意して参列いただいたということは、会社の代表としてではなく故人やその家族との個人的な付き合いのために、わざわざ参列してくれたということです。
もちろん、会社の代表を兼ねて来られる場合もありますが、どちらにしても他の弔問客と同様に香典返しを用意します。
同じ会社名義でいただいた香典であっても、法人としてなのか社長個人の気持ちとして包んでくれたものか紛らわしいケースもあるので注意しましょう。
安全策としては、大勢の社員で分けられる菓子折りなどを、香典返し相当分の額のものを用意します。
連名の香典を受け取ったら?
先程の勤め先のケースに加えて、複数名の友人が有志で出し合うなどさまざまな形で連名の香典を受け取る場合があります。
連名でもらった香典返しは、2人や3人で1つの品物とは考えずに、個別に贈ることが望ましいとされています。
1人当たりの金額が3000円ほどである場合、一般的な相場額から言えば1000〜2000円の香典返しとなりますが、通常の香典返しと同じ品物を贈るケースも多いです。
1人当たりが少額であった場合は、菓子折りなど小分けのお菓子を香典返しとして贈るという方法もあります。
親しい間柄であれば、直接お返しの品を渡しても問題ありません。
香典の金額によっては、香典返しする必要がないと判断してしまいそうになりますが、参列者から香典返しを辞退する意思表示がない限りは贈呈するのが望ましいです。
香典をいただいたことや忙しい中参列していただいたことに対する感謝の気持ちを、香典返しで伝えることが何より大切だからです。
連名の香典返しの注意点としては、返礼漏れです。1人には香典返しをして、もう1人には香典返しを忘れた、という失礼なことがないように気をつけましょう。
香典返しの品物の一般的な例
香典返しは祝儀とは異なり、「不祝儀は残さない方が良い」と考えられているため、あとに残らないものが返礼品として好まれます。
具体的には、お茶やコーヒー・紅茶、海苔や砂糖・お菓子などの食べ物や飲み物、つまり消費したら消えるもの=「消えもの」がよく使われています。
贈った相手がいつ賞味されるかは分からないため、生ものよりも日持ちのする商品を選びましょう。
また同じ消えものとして使えばなくなる品物、石鹸や洗剤、タオル・シーツや毛布などの日用品も定番です。
ただし、これらの日用品は買い置きしていたり、他の行事のもらいものとしても定番であったりするため、もらっても持て余すご家庭も少なくありません。
そこで、おすすめなのが素材や製法にこだわった製品です。わざわざ買うことはないけれども、あると嬉しいという品物を上手に見つけると良いでしょう。
この他、選ばれる品に陶磁器や漆器が挙げられます。陶磁器には故人がなくなって土に帰るという意味があり、漆器には不幸を塗りつぶすという意味があるため、香典返しに選ばれているのです。もちろん、好きな商品が自分で選べるカタログギフトや、商品券も喜ばれます。
反対に、同じ消えものでも肉や魚類は「四つ足生臭もの」と呼ばれ、昔から避けられています。
慶事に用いられるかつお節・昆布もふさわしくないのでやめておきましょう。
香典返しを安く抑えるには?
通夜や告別式の費用に加えて、返礼品や食事の用意など仏事には何かとお金がかかります。平均的な葬儀の参列者数は60人前後とされており、人数分香典返しを用意すればかなりの出費となってしまいます。
お礼はきちんとしたい、でもできれば香典返しの費用を安く抑えたいという時に有効な手段が、送料無料のショップに注文するという方法です。
例えば、香典返しを1つ発送するために500円の送料がかかる場合、60人の参列者に発送すれば3万円もかかってしまいます。しかし、送料無料のショップを利用することで、3万円分の費用が浮き出費を抑えることができます。
式の費用や返礼品のグレードを落とすと参列者や親族に伝わってしまいますが、送料に関しては誰にも知られない部分なので、上手く活用しましょう。
相場に合わせた香典返しをしよう!
香典返しに用いる返礼品の相場額は、香典でいただいた額の半返しや3分の1返しが一般的です。この金額を目安にしつつ、香典返しの品物を選ぶようにしましょう。
よく選ばれている品物は、食べ物・飲み物など食べたらなくなるもの、石鹸・洗剤やタオルなど使ったらなくなるもの、すなわち「消えもの」が多いです。
いただく金額の平均額からみて、3段階のグレードの香典返しを用意しておくとスムーズに進みます。
万が一、高額な香典をいただいたら後日改めて品物を贈ると良いです。
ただ、一般的とされる金額やルールは地域や宗派、親族間によって大きく異なる場合もあるため、迷ったら地域の家族や親族など詳しい方に相談するようにしましょう。
お葬式手配の「よりそうお葬式」
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監修者のコメント
岩田 昌幸 一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
お祝い品と違って、香典返しは「記念品」という意味はありません。「その人らしさ」を彷彿させる香典返しが注目された時期もありましたが、現在は「無難な品物」が定番。消費しやすく扱いやすい「軽量」「個包装」「小型」のものが人気があります。故人の個性を出すなら、同封するお礼状で差別化を。