【家族葬の香典返し】相場、品物、挨拶状のすべてが分かる完全マニュアル
- 2024年11月27日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
近年増えている「家族葬」は、身内や近い親族、親しい友人などの少人数で行う葬儀です。一般に告知しないため参列者は少なく、応対に追われることなくゆったりと故人を見送ることができるのがメリットです。
また、現在のような感染症流行時には、周囲に配慮して家族葬を選ぶ方も増えています。家族葬では、香典を受け付けない香典辞退が主流になりつつありますが、従来の葬儀のように香典を受け取る場合もあります。
また、辞退してもどうしてもと受け取らざるを得ないこともあります。香典を受け取る場合は、家族葬でも香典返しが必要になりますので、それをこれから解説していきましょう。
目次
家族葬の香典返しとは?
葬儀において、通常は参列者から香典をいただき、香典返しを行うという慣習があります。ただし家族葬では、香典辞退をする喪主も増えつつありあります。
その理由はさまざまで、参列者に金銭的な負担をかけたくないからというものや、香典返しの手間が負担になるからというものもあります。もともと小規模な家族葬は葬儀費用が比較的低めで、喪主側に大きな負担にならないことが多くなっています。
それに家族葬は、身内や近い親族などが中心に集まるため香典額も高額になりやすく、それに見合ったお返しをするのも大変と考えていることもあります。
ただし、家族葬でも一般の葬儀のように香典や供花・供物を受け取る場合もあります。また、あらかじめ辞退を伝えてあっても、断り切れないこともあるでしょう。その場合は、一般葬と同じく「香典返し」をするのがマナーとなります。
家族葬の香典返しを行う時期
香典返しを渡すタイミングですが、「当日返し(即日返し)」と「後返し」があります。多くの人が集まる一般葬では当日返しが多いですが、香典額に幅がある家族葬では後返しが多い傾向にあります。
葬儀・告別式の当日に渡す場合
当日返し、または即日返しは、通夜や葬儀・告別式の会場など香典をいただいた場で香典返しを行なう方法です。参列者は受付で香典を渡し、芳名帳に記帳。受付から香典返しを受け取ります。
その場合、渡す香典返しは、香典の金額に関係なく同一・同金額のものになります(通常は2,000〜3,000円程度のもの)。これは一般葬の香典額は5,000〜1万円程度が多いためです。ただし、血縁者が主となる家族葬では、香典額が高額でその金額の幅も広いため(1〜10万円程度)、この方法はあまり向いていないと言えるでしょう。
もしくは香典額が多い人にだけ、当日に渡す香典返しのほか、あらためて後日に別の香典返しを渡すという方法もあります。
なお、一般葬の通夜や告別式で用意することの多い会葬御礼(弔問客の全員に渡すお礼)は、家族葬では用意しないことがほとんどです。会葬御礼は香典返しとは別物で、金額も500〜1,000円程度。参列者が家族や顔見知りの親族が多い家族葬では、省略されることがほとんどですが、あっても問題ありません。
後日に渡す場合
家族葬ではいただいた香典の額に幅があることが多いので、香典返しは後日に行う「後返し」が一般的です。葬儀の後に受け取った場合も、やはり香典返しをします。
ただし香典辞退の意向を示した上で香典をいただき、「香典返しは不要」と参列者に言われた場合は、必ずしも香典返しをしなければならない訳ではありません。この辺りはケースバイケースといったところでしょうか。
後返しの時期ですが、各宗教とも「忌明け(きあけ)」の時期に行います。ただしその時期は宗教や宗派によって異なります。
仏式
忌明けは四十九日になるので、49日を過ぎてから1ヶ月以内を目安として香典返しを行います。仏教では亡くなった方の行き先は最大49日をかけて行き先が決まるからです。香典返しを送る際には、
お礼状に四十九日法要や納骨が終わったことを記載します。
神式
神道の場合は、忌明けとなるのは50日なので、「五十日祭」後1ヶ月ぐらいを目安にします。
キリスト教式
プロテスタント系の場合は1ヶ月後の記念式、カトリックの場合は30日目のミサを目安に用意するといいでしょう。
忌明けを過ぎてしまった場合
忙しくて忌明けから1ヶ月を過ぎてしまった場合も、忘れずに香典返しを送りましょう。それ以上過ぎてしまった場合は、詫び状を冴えると丁寧になります。
家族葬の香典返しの相場
香典返しの相場は家族葬でも一般葬と同じで、いただいた金額の1/3から半額(半返し)程度が基本です。
例えば1万円の香典なら3,000〜5,000円。3万円なら1万〜1万5,000円ほどになります。ただし現在では香典返しの上限を1万5,000円程度とする考えもあり、10万円いただいたからと5万円を香典返ししなくても失礼にはなりません。あくまでケースバイケースでお考えください。
家族葬の香典返しに相応しい品物
家族葬も香典返しの品は一般葬と同じで、「後々に残らないもの」が基本のマナーです。これは、葬儀はおめでたいことではないので、返礼品も後に残さない「消えもの」を選んでいたためです。
食品
日持ちするものがよく、定番はお茶や海苔、お菓子など。コーヒーなどの飲み物、醤油や食用油などの調味料もよく香典返しに使われます。ただし、引き出物に入れる昆布や鰹節などの縁起物は避けたほうがいいと言われています。
日用品
タオルや寝具、洗剤などが定番です。
カタログギフト
食品や日用品などの消えものは金額が高くはなく、高額の香典のお返しとしては釣り合わない場合があります。また、金額に幅がある家族葬の香典では、個々に釣り合う香典返しの品を用意するのも大変です。そこで重宝するのがカタログギフトの利用です。先方がカタログに掲載された商品から予算にあったものを選ぶと、それが直接送られるサービスです。
商品券
近年では、カタログギフトよりも自由度が高い商品券を香典返しにするケースも増えてきています。ただし、金額が相手にはっきりとわかってしまうため、そっけないと感じる相手もいらっしゃるでしょう。また、目上の方には避けたほうがいい場合もあります。
人によっては、自分の欲しいものに使えるので喜ばれる方もいらっしゃいます。若い方はカタログギフトよりも商品券の方が使い出があると考えている人も多いので、これもまたケースバイケースで考えましょう。その場合も、相手が使いやすいかどうかを考えて商品券を選びましょう。
商品券やギフト券は実用的だけれど味気ないと感じるなら、手書きの挨拶状を添える、あるいは高級タオルなどの商品に付けて贈るという方法もあります。
お返しの掛け紙・表書きについて
掛け紙
弔事の贈り物には、掛け紙を掛けます。のし紙と違うのは、慶事に使われる「のし(熨斗)」がない事です。現代では掛け紙は簡略化されて印刷物を使うのですが、香典返しでは“のし”のない掛け紙を使います。
その際、通常は黒白の結び切りの水引が印刷されたものを使用します。蓮が印刷されているものは仏式用なので、葬儀がキリスト教式や神式の場合は使えません。また関西などの西日本では、黒白ではなく黄白の水引が印刷されたものを使う地域もあります。
掛け紙の掛け方
掛け紙の掛け方には、内掛けと外掛けの2種類があります。
品物に包装紙をかける場合、品物に掛け紙を直接掛け、その上から包装紙で包むのが「内掛け」、包装紙で包んだ後に掛け紙をかけるのが「外掛け」です。
どちらでも問題ありませんが、慶事ではないので内掛けの方が控えめでいいでしょう。配送の場合も紙が破れてしまうことがあるので内掛けが望ましいでしょう。ただし手渡しの場合は、外掛けが主流になっています。
表書き
香典返しの場合、掛け紙の表書きには水引の上に「志」と書くのが一般的です。水引の下には贈り主の名前を書きます。名前は「鈴木家」「鈴木」のように喪家またはその姓を書くのが一般的ですが、「鈴木一郎」のようにフルネームを書く場合もあります。
香典返しの挨拶状の書き方
家族葬だからと言って香典返しのマナーには違いはありません。当日返しでは挨拶状(御礼状)は添えないのが慣例になっています。また後返しでも手渡しなど直接渡す場合は、挨拶状は必要ありません。
挨拶状をつけるのがマナーなのは、郵送や宅配便などで後から香典返しの品を送る場合です。ただし、葬祭業者や返礼品業者に香典返しの発送を依頼する場合は、通常は業者がそれにつける挨拶状も作成します。
自分で書く場合、忌明けの挨拶状(御礼状)の文面は下記のようないくつかのルールがあります。
1.「、」「。」といった句読点は使わない
2.季節の挨拶は使用しない
3.忌み言葉は使用しない
拝啓
父 ○○○○(故人の名前)儀 葬儀に際しましては
ご丁寧なお心遣いを賜りましたこと御礼申し上げます
四月十日にお陰をもちまして四十九日忌(七七日忌)法要を
滞り無く執り行う事ができました
故人の生前中に賜りました
ひとかたならぬご厚誼にあらためて心より感謝御礼申し上げます
つきましては心ばかりではございますが
供養のしるしのお品をお送りいたしますので
ご受納くださいますようお願い申し上げます
まずは略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます
敬白
令和○年×月△日
喪主 〇〇〇〇
親族一同
お返しが不要な場合のお礼状の書き方
こちらは香典返しの品が必要ない場合の例です。
拝啓
父 〇〇〇〇 儀 葬儀に際しましてご多忙の中にもかかわらず
ご会葬を賜り かつ丁重なるご厚志を賜り心より厚くお礼申し上げます
おかげをもちまして○月○日に四十九日の法要を滞りなく相営みました
生前のご厚情に感謝申し上げますとともに
今後も変わらぬご指導ご厚誼を賜りますようお願い申し上げます
本来であれば拝眉の上御礼申し上げるべきとは存じますが
失礼ながら書中を持ってご挨拶申し上げます
敬白
令和○年×月△日
喪主 〇〇〇〇
親族一同
葬儀後に弔問に訪れた方へのお礼について
家族葬は身内だけで行う場合がほとんどで、呼ばれていない方は参列しないのがマナーです。そのため、葬儀が終わって落ち着いた頃に弔問にいらっしゃる方もいます。その場合も家族葬で香典辞退をしていれば、弔問にいらした方からも香典を受け取りません。連絡を受けた時に、香典を辞退している旨を必ず告げておきましょう。対応が場当たりだとトラブルのもとになりがちだからです。
それでも香典を受け取ることになった場合は、一般葬と同じく忌明けに香典返しをします。内容については、通常の場合と同じです。
まとめ
家族葬では香典(不祝儀)を辞退するケースも多いですが、香典を受け取った場合には香典返しは必要です。これは供花や供物の場合も同じです。
香典返しのマナーは一般葬と同じで、香典の金額の3分の1から半額が目安となります。ただし高額の場合は、1万5,000円程度とする考えもあります。一般葬の場合は即日返しが主流ですが、家族葬の場合は後返しが主流になっています。
家族葬だからといって香典返しのマナーは特別ということはなく、基本を押さえておけば問題ないでしょう。
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監修者のコメント
岩田 昌幸 一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
ひと昔、「その人らしさ」を象徴する香典返しが注目されたことがありました。著名人・有名人の場合は、オリジナル香典返しを準備するケースもありますが、一般の場合はオリジナリティは話題性のみで、現実的には実用性のある「軽量・小型・小分け」タイプが定番です。