通夜・葬儀での数珠の持ち方・使い方・選び方[宗派別早見表]
- 2024年07月29日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
仏具の一つである数珠(念珠)。
現代では日常的にはなじみのない方が多いですが、葬儀・告別式(葬式)での数珠の持ち方や使い方は宗教・宗派によって異なります。
また、数珠には男性用と女性用があり、房(ふさ)も宗教・宗派で異なります。
数珠の用い方・マナーと、その選び方も合わせてご紹介していきます。
目次
通夜/葬儀での数珠の持ち方・使い方・選び方
通夜や葬儀、告別式には持っていれば数珠を持参します。
数珠の持ち方はお葬式ではどうすればいいのか?
仏式での数珠の用い方は決まっているのか?
喪服での数珠の扱い方や作法に決まりはあるかはどうすればいいのか?
など、数珠は仏を礼拝するときに用いる法具なので、日常でなじみの薄い分、いざという時に多くの疑問があることでしょう。
数珠には、宗派ごとに形や用い方に決まりごとがあります。
「数珠の持ち方のイラスト」「お通夜の数珠の持ち方の画像」「数珠の持ち方の画像」など、インターネットで数珠に関する多くの情報がありますが、注意しないといけないのは、ご自身の宗派に合わせたものを参考にしないといけないということです。
ここでは、各宗派ごとの数珠の持ち方・使い方・選び方を詳細に解説していますので、すべての宗派の方の手引きとなることでしょう。
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数珠とは:種類と意味
数珠(じゅず)とは、複数の小さな球に糸を通して輪にした法具です。
仏式の通夜・葬儀ではお焼香の時に用いられます。
仏を念ずる時に用いる珠との意味から「念珠」(ねんじゅ)とも呼ばれています。字の前後を入れ替えて「珠数」と書く場合もあります。
数珠は念仏を数えるためと、人間が持つ108個の煩悩を打ち消すために持つといわれ「身を護る」などの功徳があるとされます。 そのように数珠は持つ方のお守りの役割もある仏具であるため、>数珠の貸し借りはしないのがマナーです。
数珠には大きく分けて「本式数珠」と「略式数珠」という種類があります。
本式数珠は、それぞれの宗派ごとに決まった形の正式な数珠のことで、「正式数珠」とも言います。 略式数珠は宗派にこだわりなく、すべての宗派で使える略式の数珠のことで、「片手数珠」とも言います。また、数珠は「念珠」や「寿珠」とも言われています。
本式数珠(二重)
本式数珠は一般には二重にして使用し、「本連数珠(念珠)」・「二連数珠(念珠)」・「二輪数珠(念珠)」とも呼ばれます。
本式数珠の形は宗派によって異なりますが、数珠の正式な形である108玉が揃うものが本式数珠とされています。
我々の持っている煩悩は108あると言われていますが、この108というのは人間の煩悩の数を表しており、最も功徳(くどく)がある数とされています。本式数珠は、108の煩悩を108の玉で覆い隠す働きをもつものとして、お守りとして使われる場合もあります。
ただ宗派によっては数珠に関するとらえ方の違いがあり、108個の珠数にこだわりを持っていない宗派もありますので、詳細は、下記の各宗派の項目をご参照ください。
略式数珠(一重)
略式数珠は、主珠の数を簡略化した数珠のことで、一般的には一重で作られており、「片手数珠(念珠)」または「略式数珠(念珠)」とも呼ばれます。
略式数珠は、以前までは正式数珠の108を基準に、2分の1の54個、3分の1の36個、4分の1の27個などと割り決められていましたが、現在では、使いやすさや見た目など実用性が重視されています。
通夜・葬儀では、必ず本式数珠を用意しなければいけないという決まりはないので、通常のお葬式では略式数珠を持参すれば十分使えます。
地域の特性や嫁ぎ先、身内に確認し、家ごとのこだわりなどが特になければ、喪服や袱紗と一緒に略式数珠を用意しておくとよいでしょう。
略式数珠は、男性用と女性用は区別されていますので、購入の際には気をつけましょう。詳細は、下記の「男性用と女性用の数珠の違い」をご参照ください。
男性用と女性用の数珠の違い
男性用と女性用の数珠の違いは、主に珠(たま)の大きさや全体の大きさ(長さ)房の色にあり、男性用と女性用を混同して使用することはありません。また、正式数珠に関しては、宗派によって形や持ち方も違ってきますので、正式数珠を購入される場合は、確認が必要です。通夜や葬儀などのマナーとして数珠の持ち方を覚えておいてください。
詳細やお勧めの珠のサイズや素材、房の色に関しては、下記の「男性用の数珠」もしくは「女性用の数珠」をご参照ください。
宗派ごとの数珠の持ち方・使い方の違い
この項目では、宗派によって異なる数珠の持ち方・使い方について説明します。各宗派で決められている数珠は、「正式数珠」と言い、数珠の形や房などが異なります。また、宗派によっては、男性用と女性用で異なります。
また、ここでは主な宗派の数珠の持ち方・使い方についてだけでなく、各宗派の概略も記載しています。ご自分の宗派でない通夜や葬儀、告別式に参列される際に参考にしてください。
数珠の持ち方「真言宗」
真言宗とは
真言宗(しんごんしゅう)は、空海(弘法大師)によって9世紀初頭の平安時代に開かれた大乗仏教の宗派です。
真言陀羅尼宗(しんごんだらにしゅう)、曼荼羅宗(まんだらしゅ)、秘密宗(ひみつしゅう)とも称され、中国の青龍寺で恵果から学んだ密教を基盤にしています。
真言宗の数珠
真言宗は、特にお念珠を大切にするという傾向があり、ほかの宗派に比べ、特に数珠を重要視しています。主玉108個の他、親玉、四天玉(四菩薩)からなる二重のタイプで、房は菊房で表と裏があります。また、真言宗の数珠の持ち方は短いほうではなく、長い一連の数珠を二重にして使用する形状なので、「振分数珠」とも呼ばれています。
男性用・女性用共に同じ形で、大きさだけが異なります。また、真言宗の数珠の持ち方は高野山真言宗、真言宗豊山派、真言宗醍醐派、真言宗智山派なども数珠の持ち方は同じです。数珠の持ち方でも「遍路(四国88カ所霊場を巡る)」の疑問が多いですが、お遍路の数珠の持ち方は、「両手の中指にかける」か「右手は中指、左手は人差し指にかける」の2通りがあります。
数珠の使い方「真言宗」
持ち歩く、もしくは座っているときの数珠の持ち方は左手で親玉を上にし、二重にしてかけ、房を握るようにして持ちます。
合掌のときの数珠の持ち方は、両方の中指に数珠をかけ、そのまま手を合わせて合掌をします。その際、自分の為の行の時は房を手の平の内側に入れ、そのまま房を包むように合掌します。
そして、合掌した手を擦り合わせ、音を立てて使います。これには、108の煩悩を擦り砕くという意味があり、日本仏教界の重職を務めた高僧の「鳥羽僧正(覚猷)」が修法の終わりを知らせるために合図として音をたてたことが始まりです。
数珠の持ち方「浄土宗」
浄土宗とは
浄土宗は、浄土信仰に基づく鎌倉仏教のひとつで、「浄土専念宗」とも呼ばれています。浄土宗は、本尊は阿弥陀如来です。浄土宗では信心の表れとして念仏を唱える努力を重視し、念仏を唱えれば唱えるほど極楽浄土への往生も可能になると説いた時宗の数珠の持ち方が受け継がれ「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えれば、死後は平等に住生できるという専修念仏の教えを説き、のちに浄土宗の開祖と仰がれた「法然上人(源空・げんくう)」を宗祖としています。
また、数珠の持ち方でも高野山では、法要やお葬式の数珠の持ち方とは違い、補処(浄明)の付いている方を右手の中指に、緒留(おどめ)を左手の頭指に掛け、房を両手の掌中に入れて持念します。
浄土宗の数珠
浄土宗の数珠は、本式数珠でも珠の数は108玉ではありません。浄土宗の本式数珠は、2つの輪を交差させ一つに繋いだような独自の形が特徴です。「日課数珠」「百八数珠」「荘厳数珠」の3種類があり、一般の檀家・信徒は「日課数珠」を使います。念仏の数を数えられるような形になっています。
また、男性用、女性用で玉数と大きさが異なるのが特徴です。念仏を唱えるとき、決められた形式で数珠の玉数に沿って数えていくと男性は3万2千4百回、女性は6万4千8百回唱えることができるため、男性用は「三万浄土」、女性用は、「六万浄土」とも呼ばれます。
数珠の使い方「浄土宗」
念仏を唱える時は、副玉が入っていない方の輪を左手の親指と人差し指の間に掛け、副玉が入っている方の輪を左手の人差し指と中指に挟み、そのまま握り念仏を唱えます。そして、副玉の入っていない方の玉を念仏の度に親指で手前に手繰ります。合掌をするときの数珠の持ち方は両手の親指に2つの輪を揃えてかけ、房を手前(自分の体側)に垂らし、親指を揃えた数珠を押さえます。
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数珠の持ち方「浄土真宗」
浄土真宗とは
浄土真宗とは、親鸞が始めた浄土教の一派「本願寺派(通称:西本願寺 正式名称:龍谷山本願寺)」となります。絶対他力の教えで、信心があれば、往生後すぐに成仏できるという考えです。浄土真宗は、法然上人を師として仰いでからの生涯に渡り、法然によって明かされた浄土住生を説く真実の教えを継承した「親鸞(しんらん)」を宗祖とされています。
唱えは「南無阿弥陀仏(なもあみだぶつ)」と言います。
浄土真宗の数珠
数取りができないように、房が「蓮如結び」になっています。これは、煩脳具足そのままで救われる教えなので、数珠を操ることで煩悩の火を消す必要がないからです。数珠の選び方で浄土真宗には、形や数にこだわりはありません。
数珠の使い方「浄土真宗」
数珠の持ち方は真宗の教えによるものですが、浄土真宗では「本願寺派(西本願寺)」と「真宗大谷派(東本願寺)」で持ち方が異なります。
西本願寺の数珠の持ち方
房を下に垂らすように2連に巻いて、そのまま両手を合わせます。数珠を持つ時は、房を下に垂らし、左手で持ちます。
東本願寺の数珠の持ち方
両方の親玉部分が上にくるように2重に巻いて、両手に掛け左手の側に房を垂らします。どちらも、合掌の時は、数珠を両手にかけ、親指で軽く上から押さえ、指の間をぴったり閉じます。合掌した手は胸の前、指は斜め45度位上に来るように構えます。
数珠の持ち方「日蓮宗」
日蓮宗とは
日蓮宗は、皇室から日蓮大菩薩と立正大師の諡号を追贈された「日蓮聖人」を宗祖とする法華経信仰による仏教の宗派の一つです。法華経の中から選ばれた宗祖の名前がそのまま名称になっています。
日蓮宗の数珠
日蓮宗の数珠には、玉一つ一つに「珠数曼陀羅」があり、多くの種類がありますが、大きく分けて「勤行数珠」と「装束数珠」の2種類があります。一般の檀家・信徒は「勤行数珠」を使います。僧侶は普段は「勤行数珠」、法要などの儀式の際には「装束数珠」を使います。日蓮宗の数珠は、108玉でできており、108個繋げた数珠を持つことで、煩悩を消し、身を清めるご利益があるとされています。
「南無妙法蓮華経」をとなえる数珠の持ち方は、課題を唱える際、数をかぞえるために用いられ、10回繰ったら約1000回のお題目を唱えたことになると言われています。数珠の持ち方は法華宗、日蓮正宗、不受布施派、本門佛立宗など日蓮宗系の宗派はみな同じです。また、法華系の新宗教である霊友会の数珠の持ち方も霊友会から分派した日蓮宗系の立正佼成会の数珠の持ち方も同じと言われています。日蓮宗の数珠は、長い一連の珠数に四十一個の下がり珠の付いた菊房がついているのが一般的です。
数珠の使い方「日蓮宗」
お唱えをするときや回向をするときは、輪を8の字にねじり、2本の房が出ている方を右手の中指にかけ、3本の房が出ている方を左手の中指にかけ、房は手の甲側に垂らして手を合わせます。特に念を込めるときには、両手に掛けることもあり、移動など、普段手に持つときは二重にして左手に持ちます。
数珠の持ち方「曹洞宗」
曹洞宗とは
曹洞宗は、日本仏教において禅宗のひとつで、お釈迦様をご本尊として仰ぎ、大本山永平寺を開いた道元と大本山總持寺を開いた瑩山を両祖として敬っている宗派です。「只菅打座(しかんたんざ)」を本旨として、坐禅をすることで真実の自己・仏性に目覚めて悟りの境地へと至るとする教えを根本としています。
曹洞宗の数珠
曹洞宗の数珠は、主珠が108個あり、数珠に金属の輪が通っているのが特徴です。
玉のひとつひとつに煩悩を引き受けてくださる仏様が108尊いるとされており、この数珠を持つことにより、煩悩を消し去り、身を清めるご利益があると信じられています。
そのため曹洞宗では、本式数珠を持つことが檀家・信徒の心得とされており、本式数珠を持つ方が多いです。
なお、曹洞宗は禅宗のため、お念仏やお題目を唱えることはせず、座禅を重んじていますので、厳しい規定はありません。
数珠の使い方「曹洞宗」
合掌の時の数珠の持ち方は右手を添えるように合わせ、房を下に垂らすように、輪を二重にして親玉が左手の人差し指の上になるようにかけ、両手を合わせて合掌します。なお、座禅を重んじている曹洞宗(禅宗)では、上記に記載した以外、数珠に関しての作法や規定は存在しません。
数珠の持ち方「真宗大谷派」
真宗大谷派とは
浄土真宗の宗派のうちの1つで、大谷派の根本道場である「真宗本廟(通称:東本願寺)」を所属するすべての寺院及び教会の本山としています。基本的な教えては浄土真宗本願寺派と同じとなりますが、唱えの言葉は異なり、「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」となります。
真宗大谷派の数珠
数珠の持ち方で大谷派の場合は、浄土真宗と同じく、数取りができないように、房が「蓮如結び」になっています。これは、数珠を操ることで煩悩の火を消す必要がないからです。浄土真宗の大谷派は数珠の持ち方として、形や数にこだわりはありません。
数珠の使い方「真宗大谷派」
数珠を二重に巻き、親玉が上に来るようにし、房を上にして合掌した両手にかけます。房は左手の甲の方に垂らします。
数珠の持ち方「臨済宗」
臨済宗とは
日本仏教において禅宗のひとつで、中国唐の真定府の臨済院に住み、黄檗希運の弟子であり、興化存奨を初めとする多くの弟子を育てた「臨済義玄」を宗祖としています。中国の禅宗の五家七宗の一つとして鎌倉時代に栄西(ようさい)が日本に伝えました。 日本の臨済宗は、「法嗣、はっす(師から弟子への悟りの伝達)」を重んじています。
釈迦を本師釈迦如来大和尚と、ボーディダルマを初祖菩提達磨大師、臨済を宗祖臨済大師と呼びます。臨済宗では、座禅によって悟りを開くことを自力と言いますが、臨済宗も曹洞宗も禅宗の一派であるため、数珠の持ち方は禅宗が伝えた釈迦牟尼仏に帰依するという意味の「南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)」を唱えます。
臨済宗の数珠
臨済宗の数珠は曹洞宗と作りや房は同じで、主珠が108個ありますが、輪がありません。男性用の数珠には紐房、女性用の数珠には頭付房が付いています。臨済宗は曹洞宗と同じく禅宗のため、お念仏やお題目を唱えることはせず、座禅を重んじていますので、厳しい規定はありません。なお、同じ禅宗である黄檗宗の数珠の持ち方も真如苑の数珠の持ち方も同様です。
数珠の使い方「臨済宗」
合掌の時は、輪を二重にし左手にかけ、右手を添えるように合わせ、房を下に垂らし、両手を合わせて合掌します。数珠の持ち方・使い方に関しても、曹洞宗と同じく、座禅を重んじている禅宗のため、上記に記載した以外、数珠に関しての作法はありません。
数珠の持ち方「天台宗」
天台宗とは
天台宗は、大乗仏教の宗派のひとつで、諸経の王とされる妙法蓮華経(法華経)を根本経典とするため「天台法華宗(てんだいほっけしゅう)」とも呼ばれている宗派です。唐の僧「鑑真和上」によって天台宗の典籍(書物)が日本に入ったことが始まりで、天台宗の宗祖である、唐に渡って天台山にのぼり、天台教学を受けた「最澄(俗名は三津首広野:みつのおびとひろの)」が帰国して天台教学を広め、天台法華宗として認められたのが始まりです。
一尊一仏の教えではなく、本尊はおの仏像でも良いとされています。
天台宗の数珠
天台宗の数珠は主珠108個からなり、主玉はそろばん玉のような平珠(ミカンのような形)が特徴です。房には、20個の平珠と10個の丸珠が付いています。天台宗の数珠には大きく分けて「9寸サイズ」「8寸サイズ」「大平天台」の3種類があり、男性は「9寸サイズ」女性は「8寸サイズ」僧侶は「大平天台」を持ちます。
数珠の使い方「天台宗」
お参りの際は、房を下に垂らし、両手の人差し指と中指の間にお数珠を掛けて手を合わせます。移動する時や座っている時は、二重にして左手に持ちます。その時、房は小指側に寄せておきます。合掌の際は、輪を張った状態で両手の人差し指と中指の間に数珠を挟み、そのまま手を合わせます。
数珠の持ち方「創価学会」
創価学会とは
創価学会は、法華経系の在家仏教の団体で、価値の中心に「生命の尊厳」の確立を置き、それに基づいた「万人の幸福」と「世界の平和」の実現を目標としている日本の宗教法人です。「創価」とは、「価値創造」の意味です。
創価学会の数珠
大きな特徴としては、房が白房であることです。珠の数は108個となります。なお、購入の際には、創価学会の数珠専門店で購入することをお勧めされるようですので、購入される場合は、事前に学会員の方にご相談されることをお勧めします。
数珠の使い方「創価学会」
数珠が長いときの持ち方は、数珠を半分におり、3つ房が右側、2つ房が左側に来るように手にかけて合掌をします。
男性の数珠の持ち方
宗派ごとに男性用と女性用で数珠が異なるものもありますが、一般的な数珠の持ち方としては男の人も女の人も同じです。また、仏壇での数珠の持ち方も、弔事での数珠の持ち方も、告別式の数珠の持ち方も基本的には同じです。数珠の持ち方は略式のものを用いる場合、多くの宗派で共通の持ち方があります。また、数珠の持ち方は線香を備えるときも通夜のときも法事のときも基本的には同じです。ただし、数珠の種類によって数珠の扱い方が異なりますので、下記をご参照ください。
片手数珠の場合
左手に輪を通して合掌をする、もしくは合掌した両手に輪をかけます。
振分数珠の場合
二重にして、左手に輪を通して合掌をする、もしくは二重にして合掌した両手に輪をかけます。
女性の数珠の持ち方
一般的な数珠の持ち方として、女性特有の持ち方はありません。ただし、片手数珠と正式数珠(振分数珠)では数珠の扱い方が少し異なりますので、以下をご参照ください。
片手数珠の場合
左手に輪を通して合掌をする、もしくは合掌した両手に輪をかけます。
振分数珠の場合
二重にして、左手に輪を通して合掌をする、もしくは二重にして合掌した両手に輪をかけます。
正しい数珠の選び方
ここでは、数珠の選び方について説明します。ご自分が特定の宗派の信徒の場合は、ご自分の宗派の正式数珠を持つことが理想的ですが、最近では初めて自分の数珠を買うという方の多くは略式数珠を選ぶという傾向にあります。また、高価な数珠にこだわる必要はありません。なにより大切なのは、ご自分が御仏やご先祖様を尊ぶ心です。
特定の宗派を信仰していない場合は、素材、球の色や房の色、全てにおいて自分が好きなものを選ぶことができます。また、数珠は明確に男性用・女性用という区別がありますので、原則として混同することはありません。
各宗派の本式数珠に関しては、それぞれ珠の材質の意味に従って決めることが多く、略式数珠に関しては、気にいったものを選んでかまいません。可能であれば、実物を持って、自分の手に合ったものを選ぶことをお勧めします。数珠はお守りとなるため、自分に合った数珠は数珠がその人を選んでいると言われていますが、自分に合ったものは手にはめた時に、気分がとても落ち着き、しっくりきます。
男性用の数珠
男性用の数珠は、略式数珠(主玉が108個ないタイプ)では、基本的な玉のサイズは22玉、20玉、18玉(10mm〜18mm)となります。
数珠全体の輪の大きさは同じで、違うのは玉数のみとなりますので、玉数が多いほど、1玉あたりは小さくなります。
一般的には22玉の数珠を持つ方が多いですが、手の大きい方やちょっと立派な数珠をお持ちになりたい場合は20玉、貫禄がある数珠が欲しい場合は玉が大きく迫力のある18玉がお勧めです。
房の色に特に決まりはありません。
男性の場合は、落ち着いた青や緑、茶色、黄色を選ばれる方が多いようです。
女性用の数珠
女性用の数珠は、略式数珠(主玉が108個ないタイプ)と八宗用数珠(主玉が108個あるタイプ)があり、玉のサイズは6ミリ、7ミリ、8ミリが一般的です。
手の大きさに合わせてサイズを選ばれる方もいらっしゃいますが、持った時の感覚で選ばれる方が多いようです。なお、標準サイズは7ミリとされていますが、人気の大きさは8ミリで、「みかん玉」や「平玉」など、お洒落な雰囲気に加工された数珠もあります。
女性らしい数珠を希望される方は、水晶などの天然石や星月菩提樹を選ばれると良いでしょう。房の色は女性らしい、ピンクや水色を選ばれる方が多くいらっしゃいますが、気品のある紫を選ばれる方も多くいらっしゃいます。房の色に特に決まりはありませんので、お好きな色を選んで頂いて大丈夫です。 また、房は付け替えが可能なので、好みが変わられた場合は、違う色を選ぶこともできます。
子供用の数珠
子供用の数珠は、素材がガラス玉や割れにくいアクリルでできている物が多くあります。珠の大きさや輪の長さも子供の手にも馴染むよう、小さめにできています。色は淡く数種類の色が使われていることが多いため、手にはめていてもとても可愛らしいです。大人用と比べるとおもちゃのように見えてしまうかもしれませんが、子供用数珠は正式な数珠として、通夜や葬儀、告別式(葬式)にお使い頂けます。
数珠の持ち方・使い方・選び方の気になる疑問・質問
数珠は片手で持った方が良いの?両手で持った方が良いの?
数珠は、座っている時や移動している時とお焼香やお参りする時で持ち手が変わります。数珠の持ち方は一般的に、座っているときは左手首にかけ、歩くときは房を下にして左手で持ちます。お焼香をするときの数珠の持ち方は合掌をするため、数珠の持ち方は親指で軽く押さえて、ほかの4本の指にかけ両手で持ちます。
数珠の持ち方で片手の場合は右手に持つの、左手に持つの?
右手は清浄なる手、左手は不浄の手という考え方がありますので、片手で持つ場合は左手に持ちます。もしくは、左手の手首にかけても良いとされています。片手で持つ場合でも、宗派によっては持ち方に決まりがあります。詳細は、上記の宗派毎の項目をご覧ください。
数珠の選び方で色や素材についての基準はあるの?
基本的に、数珠を選ぶ際はお好きな色や素材を選ぶことができます。しかし、女性的な色や素材、男性的な色や素材はありますので、下記で説明をします。
房の色や素材について選ぶ基準はあるの?
房の色や種類について説明します。
数珠の中でも、房は目立つ存在なので、購入の際に何色の房を選ぶべきか迷う方が多い項目です。一般的な数珠(略式数珠)を購入される際は、房の色はご自分が好きな色を選んで問題ありません。
また、房は付け替えが可能です。もし年齢や好みで色を変えたと思われた際は、数珠専門店(念珠専門店)や数珠を購入されたお店で付け替えをされると良いでしょう。品質を保つためには数珠専門店での付け替えをお勧めします。
まとめ
数珠(念珠)は通夜や葬儀や告別式などのご不幸や法要(法事)の時に使うものだと思われている人も多かったのでではないでしょうか。
数珠は、魔除けとしてお守りで常時持ち歩く物で、仏具の一つであるということを知っているだけで、数珠(念珠)への理解や想いが改まります。
また、数珠は宗派によって形や作法が異なるということも事前に知っておくことで、その場で慌てたり、無作法になることをを防げます。信仰を大切にしている方にとっては、数珠のマナー(作法)は目につき、不快な思いをされる場合もありますので、配慮を持って参列されることをお勧めします。
- 数珠は持っていなくても失礼にはあたらないが、あれば持っていき、焼香の際に用いる
- 儀式の時に数珠を用いる際は、常に左手にかけて持つ
- 宗派によって数珠の形や用い方は異なるが、自分の宗派のものを使って差し支えない
- 大切な法具なので畳や椅子の上に直に置かなないようにする
- 数珠の貸し借りはしない方がベター
法具としての数珠の意味や役目を理解することで、いざという時の、マナー(作法)が身につきます。
故人やご遺族に失礼にならない立ち居振る舞いで、お別れの儀式に臨んでください。
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監修者のコメント
岩田 昌幸一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
数珠は葬儀や法要だけではなく、寺院でのお祝い行事や観光の際にも使用できます。略式の数珠をひとつ持っていると良いでしょう。素材や色、房などお好みでかまいません。数珠は法具であるため、赤いサンゴやメノウなど、色味があっても大丈夫です。