浄土真宗のお経の由来は?宗派や葬儀におけるマナーについて解説
- 2024年10月25日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
浄土真宗は、数ある仏教宗派の中で最も信仰者が多い宗派です。
浄土真宗には特有の作法やマナーがあるため、お葬式に参列する前に知っておかなければ、故人さまやご遺族に対して失礼になる場合があります。
この記事では、浄土真宗のお経の由来、葬儀費用、お葬式におけるマナーや宗派別の流れについて解説します。
浄土真宗特有の作法や思想、マナーを学び、失礼がない対応を心がけましょう。
目次
浄土真宗のお経の教えと由来
仏教におけるお経とは、仏教の開祖であるお釈迦さまの説法をお弟子さんが継承したものです。
お釈迦さまは80歳まで生きましたが、ご逝去後にお弟子さんのなかで説法の解釈について話し合い、それぞれが大切にしている教えをもとに考えたのが宗派の始まりといわれています。
日本には天台宗、真言宗、浄土宗、浄土真宗などさまざまな宗派があり、大切にしている考え方や依りどころが異なります。
宗派のひとつである浄土真宗が依りどころにするのは、阿弥陀如来(あみだにょらい)という仏さまの救いです。
南無阿弥陀仏と念仏をとなえて、阿弥陀如来さまへ感謝を伝えることを大切にしています。また、最後は阿弥陀如来さまの力で極楽浄土に行けるという教えが特徴的です。
極楽浄土とは、美しい音楽と美しい花で囲まれた仏の国を指し、仏さまとなった後は人間の世に再び生まれ変わり、人々を救うとされています。
生前に念仏をとなえながらお参りをすることで阿弥陀如来さまの力を借り、お亡くなりになったらすぐに極楽浄土へ行けるという思想です。
浄土真宗についてより詳しく知りたい方は、浄土真宗ってどういう宗派?特徴や葬儀のマナーを紹介をご覧ください。
浄土真宗の葬儀におけるマナー
浄土真宗のお葬式には、特有のルールやマナーがあります。失礼にあたる言葉やお焼香の作法があるため、マナー違反には注意が必要です。
ここでは、浄土真宗のお葬式マナーを解説します。
浄土真宗で失礼にあたる言葉
浄土真宗でお悔やみの言葉として用いると失礼にあたる言葉は以下のとおりです。
- 冥福を祈ります
- 天国
- 冥土
- 永眠いたしました
- 安らかにお眠りください
浄土真宗ではお亡くなりになった方は、すぐに極楽浄土で仏さまになる教えのため、天国などの言葉はマナー違反となります。
また、「この度はご冥福をお祈りいたします」という言葉の『ご冥福』には、仏さまになれずに冥土へ迷い込んでしまう意味があるため、浄土真宗では不適切な言葉です。
そのため、お悔やみの言葉では「お悔やみ申し上げます」と、宗派に関係ない言葉を用いるとよいでしょう。そのほか、他の宗派と同様に繰り返しの言葉は避けてください。
焼香の作法
浄土真宗のお葬式では、線香を寝かせて置くのがマナーです。
常香盤という香炉を使ってお香を焚き、中の溝に燃香を入れて端から火をつけます。1本の線香を香炉の大きさに合わせて折り、火がついている部分を左にして寝かせて置きます。
浄土真宗のお焼香を行う作法は、以下の通りです。
- 1.お焼香の順番がきたら自席を立ち、お焼香台へと進みます
- 2.お焼香台の2歩手前で立ち止まり、仏さまに向かい一礼します
- 3.一礼のあと、左足からお焼香台の前まで進みます
- 4.ひとつまみの抹香(まっこう)を、香炉(こうろ)のなかの香炭(こうたん)の上に一度だけくべます
- 5.合掌し、南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)とお念仏を数回となえ、礼拝します
- 6.合掌の手をほどき、前を向いたまま、後ろへ2歩右足から下がります
- 7.仏さまに向かい一礼をします
- 8.自席へ戻ります
作法の順番をしっかりと学び、ご遺族に失礼のない対応を心がけましょう。
宗派ごとの作法やマナーについては、意外と知らない、宗派ごとの焼香の作法や回数の違いをご覧ください。
香典袋の表書きの書き方
一般的に香典袋の表書きには四十九日前が御霊前、四十九日を過ぎて仏になったら御仏前と記載します。
ただし、浄土真宗は四十九日前でも香典袋に御仏前、もしくは御香典と書くのがマナーです。
宗派によっては四十九日前の香典袋の表書きに御霊前と書きますが、浄土真宗はお亡くなりになるとすぐに極楽浄土で仏さまになれるため、四十九日前でも御霊前にはなりません。
事前に宗派がわかっている場合は御仏前と書き、宗派がわからないと場合は御香典と書いておくとよいでしょう。
香典の相場は、故人さまとの関係性によって異なります。
故人さまが親であれば3万円以上、兄弟姉妹であれば3万円前後、叔父や叔母であれば1〜3万円程度、血縁関係がなければ5千円〜1万円が平均相場です。
お香典の金額相場やマナーについては、香典の金額相場、香典袋の書き方・渡し方やマナーまで徹底解説をご覧ください。
浄土真宗の葬儀費用について
お葬式の費用は宗派によって極端には変わりません。宗派を問わず、お葬式の規模や参列者数、プランによって変化します。
ここでは、浄土真宗におけるお葬式やお布施の平均相場を解説します。
お葬式にかかる費用
日本消費者協会の「2022年 第12回 『葬儀についてのアンケート調査』報告書」によると葬儀一式費用の平均金額は111.9万円となっています。
葬儀一式にかかる費用の内訳は以下のとおりです。
- 病院から搬送
- 預かり安置
- 飾り付け
- 会場祭壇設営
- 会葬礼状
- 霊柩車・ハイヤー
- 火葬費用
- 斎場使用料
さらに、お通夜からの飲食接待費は約12.2万円、戒名・お経等のお布施が約42.5万円、葬儀一式費用と併せて合計161.9万円が平均費用となっています。
また、お香典の額は約74.1万円が平均費用になるため、お葬式にかかる費用合計から差し引くと100万円前後がお葬式の平均的な支出となります。
出典:2022年 一般財団法人日本消費者協会 第12回「葬儀についてのアンケート調査」より
しかし、あくまで平均値を示した相場になるため、お葬式の規模やプランの変更によって総額費用が増える場合があります。
お布施の平均相場とは
日本消費者協会の「2022年 第12回 『葬儀についてのアンケート調査』報告書」の結果によると、お布施の平均相場は42.5万円です。ただし、浄土真宗のお葬式には戒名料が発生しないため、他の宗派より平均相場が低い傾向にあります。
法名料は1万円から2万円が相場といわれているため、戒名料と比較しても費用を抑えられます。
浄土真宗のお経は3種類
浄土真宗のお経には3種類の聖典があります。お葬式に参列する方が完璧に理解する必要はありませんが、最低限の知識として知っておくのがよいでしょう。
ここでは、浄土真宗のお経で代表的な聖典をわかりやすく解説します。
仏説無量寿経
仏説無量寿経(ぶっせつむりょうじゅきょう)とは、浄土宗や浄土真宗で重視されている浄土三部経のひとつに分類されるお経です。
浄土教の根本聖典となる仏説無量寿経は、お釈迦さまが生前にさまざまな教えを説かれて書き残したなかでも、一番説きたかったお経といわれています。
そのため、お釈迦様がお生まれになった目的や仏教の目的などが書かれており、お釈迦さまの本心が詰まっているお経です。
仏説阿弥陀経
仏説阿弥陀経(ぶっせつあみだきょう)は、浄土真宗や浄土宗でよく読まれるお経です。お経には、極楽浄土のありさまと極楽浄土へ行く方法が示されています。
また、すべての人が生きているときに本当の幸せを手にする道も書かれており、阿弥陀経の尊さが随所に込められているお経です。
仏説観無量寿経
仏説観無量寿経は観経とも呼ばれており、インドのマガダ王国の王の妃である韋提希(いだいけ)夫人がお釈迦さまの教えを説いています。
観無量寿経の由来は、息子によって牢獄に幽閉された夫人に対して、お釈迦さまが阿弥陀如来さまによる救いを説いた内容が含まれています。
観無量寿経は、日本の歴史に対しても大きな影響を与えたお経のひとつです。
浄土真宗のお経では般若心経を唱えない
浄土真宗のお経では、般若心経を唱えません。
浄土真宗の考え方は、阿弥陀如来さまの本願によって救済を受け、極楽浄土に行けるため、祈りや修行による悟りや成仏が目的ではありません。
ここでは、浄土真宗のお経の教えと宗派について解説します。
浄土真宗のお経「正信念仏偈(しょうしんねんぶつげ)
正信念仏偈(しょうしんねんぶつげ)は、浄土真宗の代表的なお経です。
省略して正信偈とも呼ばれ、浄土真宗の宗祖である親鸞(しんらん)が著した教行信証の一部となります。
本来、お経とはお釈迦さまが説法を記録したものになるため、正信念仏偈はお経に分類されません。
しかし、仏教の真髄をとらえた著書として認められ、浄土真宗のお経として同等に扱われています。
正信念仏偈には、阿弥陀如来さまの徳を讃えることや、親鸞自身が阿弥陀如来さまによって救われたことが書かれています。
また、すべての人間が自分と同様に阿弥陀如来さまによって救われ、幸せになってほしいという願いが込められているお経です。
浄土真宗(本願寺派)
浄土真宗本願寺派は、阿弥陀如来さまの本願により往生することを頼るため、般若心経は唱えず、浄土三部経を唱えます。
浄土真宗本願寺派は、宗教法人のなかでも一番多い宗派として有名です。親鸞(しんらん)の墓地がある場所を発祥の地として、西本願寺を本山としています。
本来であれば、生前にお経を読むことで極楽浄土に行ける教えですが、日常生活では仏壇の前で合掌と礼拝をするだけが一般的な作法です。
浄土真宗(大谷派)
浄土真宗大谷派は、阿弥陀如来さまを本尊とする宗派です。浄土真宗大谷派も本願寺派と同様の理由で、般若心経を唱えません。
親鸞(しんらん)を宗祖とする大谷派の根本道場は、東本願寺を所属するすべての寺院および教会の本山としています。
浄土真宗の葬儀の流れと宗派について
浄土真宗の葬儀は、宗派によって流れが異なります。
ここでは、浄土真宗の葬儀の流れを宗派別に解説します。ただし、あくまで一般的な流れであり、地域の風習や葬儀社のプランによっても異なるため注意してください。
本願寺派
浄土真宗本願寺のお葬式では、故人さまを自宅から葬儀場へ送り出す前に自宅の仏の前で出棺勤行(かんぜんごんぎょう)を行います。
その後、葬儀場において葬場勤行(そうじょうごんぎょう)が執り行われます。浄土真宗本願寺派の流れは以下のとおりです。
- 1.開式
- 2.三奉請(さんぶじょう)
- 3.導師焼香
- 4.表白(ひょうびゃく)
- 5.正信偈(しょうしんげ)
- 6.念仏
- 7.和賛(わさん)
- 8.回向(えこう)
- 9.閉式
- 10.喪主の挨拶
- 11.出棺・火葬
納棺勤行のあとには、葬儀場で葬場勤行が執り行われ、お坊さんによる読経とお焼香をご遺族と参列者で行います。
大谷派
浄土真宗大谷派のお葬式は、葬儀式第一、葬儀式第二の2つの形式があります。
葬儀式第一は、主に自宅でとつめる棺前勤行と葬儀場でとつめる葬場勤行の2部構成で行われます。葬儀式第一の流れは以下のとおりです。
- 1.棺前勤行(総礼、勧衆偈、短念仏十遍、回向、総礼、三匝鈴、路念仏)
- 2.葬場勤行(三匝鈴、路念仏、導師焼香、表白、三匝鈴、路念仏、弔辞、正信偈、和讃、回向、総礼)
葬場勤行では、主にお坊さんの読経やお焼香をご遺族と参列者で行います。一方、棺前勤行も含めてすべてを葬儀場で執り行うのが葬儀式第二です。
葬儀式第二の流れは以下のとおりです。
- 総礼
- 伽陀(かだ)
- 勧衆偈(かんしゅうげ)
- 短念仏十遍(たんねんぶつじゅっぺん)
- 回向(えこう)
- 総礼
- 三匝鈴(さんそうりん)
- 路念仏(じねんぶつ)
- 三匝鈴さんそうりん)
- 導師焼香
- 表白(ひょうびゃく)
- 三匝鈴(さんそうりん)
- 正信偈(しょうしんげ)
- 短念仏(たんねんぶつ)
- 三重念仏(さんじゅうねんぶつ)
- 和讃(わさん)
- 回向(えこう)
- 総礼
ご遺族の希望や風習によっても流れは異なりますが、浄土真宗大谷派は2種類の形式があると覚えておきましょう。
浄土宗との違い
浄土真宗と浄土宗のお葬式における大きな違いは、授戒と引導という儀式の有無です。
- 授戒:故人さまが仏さまの弟子になるための儀式
- 引導:故人さまを仏の道へと導くための儀式
浄土真宗はお亡くなりになってすぐに極楽浄土へ行けるため、授戒と引導の儀式は必要ありません。一方、浄土宗は授戒と引導の儀式がお葬式に含まれます。
また、浄土宗のお葬式では、故人さまに代わってお坊さんと参列者が念仏をとなえる“念仏一会”という独自の作法があります。
「南無阿弥陀仏」と、一定時間に10回以上となえることで、故人さまが仏さまの助けを得る手助けをする意味が込められています。
まとめ
浄土真宗は、お亡くなりになった瞬間に極楽浄土へ行くという思想の宗派です。そのため、他の宗派で使われる冥福・天国・冥土・永眠などのお悔やみの言葉は失礼にあたります。
他にも浄土真宗のお葬式では、特有のマナーや作法があります。正しいマナーを覚え、お葬式に参列する際はご遺族の前で失礼のない対応を心がけましょう。
よりそうお葬式では、浄土真宗をはじめとして、仏教各種宗派のお葬式にも対応可能です。事前の準備からお葬式の手配まで、ご遺族のご不安によりそいながら丁寧にサポートいたします。
また、浄土真宗のマナーやしきたりを守りながら、ご家族が共に過ごした時間を想い、故人さまとの最後の時間を大切にしたお別れをご提供しています。
お葬式のことでお悩みがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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