無宗教葬(自由葬)で見送る故人らしい葬儀とは
- 2024年12月03日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
無宗教葬(自由葬)は宗教的儀式を含まない形式で、故人の個性を尊重できます。
音楽葬やお別れ会など自由なスタイルが可能ですが、喪中の概念がないなどのデメリットもあります。位牌や仏具、香典のマナーにも配慮が必要です。
無宗教葬とは、は特定の宗教宗派の儀礼を行わずに葬儀と告別式を行う自由葬のひとつの形です。
仏式の葬儀と違い、位牌や戒名、読経や焼香等はありません。進行や催しごとも一切決まりがないので、ゼロから作ることになります。
そのため、どんな葬儀を行いたいか、葬儀社とよく相談して進める必要があります。
目次
無宗教葬(自由葬)とは?
無宗教葬は、特定の宗教・宗派の儀礼方式や作法を執り行わない葬儀のことを指しています。
僧侶等による読経や説教がない自由な方式で、故人をお見送りします。
そのため、無宗教葬は別名「自由葬」とも呼ばれています。
無宗教葬(自由葬)では、宗教的な縛りがないため、葬儀内容をしっかりと組み立てる必要があります。
葬儀の工程を構成していく企画力が求められる葬儀ともいえます。
無宗教葬(自由葬)を行う方の3つの特徴
無宗教葬(自由葬)は、特定の宗教・宗派のお葬式でなかなかできない、故人を追悼するための趣向を凝らした葬儀を演出することができます。
一般的に、無宗教葬(自由葬)を選択する方は以下の3つのいずれかに当てはまることが多いです。
宗教に興味がない
特定の宗教や信仰を持っていない方や、これまでの生活で宗教色のある行事を避けてきた方です。
しきたりに従った葬儀を行うことに違和感を感じる方は無宗教を選ぶ傾向にあります。
自分らしい葬式にしたいという故人の意思を反映させたい
形式ばったことが嫌いという方です。故人が生前に楽しんでいた趣味や情熱を注いでいた仕事を称え、クラシックやロックなどの音楽やガーデニングなどをお葬式にも反映したいという方や、自由で華やかに祭壇を飾りたいという方もいます。
遺族やご友人の納得できる葬儀にしたい
故人の意思や思い出を色濃く反映させた葬儀で最後のお別れを行うことで、悔いの残らない葬儀にしたい方です。
無宗教葬(自由葬)のメリットとデメリットとは?
メリット
無宗教ではお葬式の料金が安くなる場合が多いです。
お葬式の料金以外にも、一周忌、四十九日、三回忌、七回忌など、行事をしないことで大幅に費用を抑えられます。
また、故人の遺志を尊重した葬儀が行えることも無宗教のメリットです。
デメリット
親戚や、身内の中でも同意が得られない場合があります。「無宗教では故人がさまよってしまう」と反対する親戚もいるでしょう。無宗教を選択する人は、そもそも「天国」「浄土」「あの世」に対する概念をあまり持っていないので、気にしていない傾向があります。 そうはいっても、無宗教葬だった場合でも、後に区切りとして四十九日や初盆、新盆などで法事を行う人もいます。
無宗教ゆえに「喪中」という概念がない
喪中とは、宗教的な意味合いよりも、「大切な方を亡くしたばかりで、日常の生活に戻るまでの一定期間お祝い行事などを控える」という考え方が根本にありますが、無宗教ゆえに喪中をどのように解釈して過ごしていくか、自分たちで考えて行動しなくてはいけません。
厄年などあまり気にしたことがない、忌中であっても結婚式に参列した参加したという場合は、例年と変わらず喪中期間を過ごすことになるでしょう。
ただし、無宗教は宗教や行事の固定観念にとらわれず、柔軟な考えがありますので、無宗教でも喪中はがきを送ることや無宗教でも命日などに法事を行うこともあります。
無宗教葬(自由葬)の種類
特に最近多い無宗教葬に、「音楽葬」と「お別れ会」の2つがあります。
ホテルで会食を中心に行うホテル葬や葬儀の際にカラオケを行うカラオケ葬などもあります。
音楽葬
自由葬の一つで、故人が生前好きだった音楽を流しながら進行していく葬儀を指します。
ピアノやバイオリン、トランペットなど楽器による生演奏や、合唱隊による歌などを演出していきます。
CDに録音しておき、BGMとして流すケースもあります。
お別れ会
お別れ会は「偲ぶ会」などとも呼ばれており、葬儀・告別式を終えた後に改めて開催する送別会や、告別式の代わりに行う場合があります。
無宗教でも火葬(火葬式)や家族葬の後にお別れ会を開く方が増えてきています。
近親者や故人と親しかった友人・知人などを呼ぶケースが一般的です。
レストラン葬
レストランを会場とし、食事をしながら故人を偲びます。
ホテル葬
一般的に、密葬後に社葬や偲ぶ会としてパーティー形式で行ないます。
キャンドル葬
祭壇や会場をキャンドルで飾り、幻想的な雰囲気で故人をお送りします。
無宗教葬(自由葬)の注意点
案内状はどのように出せばいい?
無宗教葬でも、一般的な葬儀の案内状と変わりはなく、故人の死去の事実と葬儀日程・場所を簡潔に記載します。
平服で参列して頂きたい場合は、「平服でご出席願います」と記載しましょう。
位牌はどうすればいい?仏壇・仏具は必要?
無宗教葬(自由葬)の場合にも位牌を用意することはできます。
ただし、無宗教では戒名を入れるのではなく、生前の故人の名前(俗名)を入れることになります。
また、開眼供養(位牌の魂入れ)は無宗教では行わないことが多いです。
無宗教葬では神棚や仏壇、御本尊は不要という方が多いです。
仏壇は設けず、手元供養のための小さな祭壇と遺影で日々故人を偲ぶという方が多いです。
初七日や四十九日はどうすればいい?
無宗教葬(自由葬)を行った場合は、法要をする必要はありません。
遺族等が希望するなら、無宗教でも一周忌や初七日や四十九日など、仏教で行われるような定期の場を設けることはできます。
お経(読経)のような儀式をせずに、出席者が会食して故人を偲ぶということも可能です。
納骨はどうすればいい?お墓は必要?
納骨や埋葬方法は一般的な場合と変わりません。無宗教でも霊園や納骨堂等に納めます。
東京や大阪などの都心では、マンション型やロッカー式の納骨堂を利用する方も増えています。
また、散骨や樹木葬を選ぶこともできますし、無宗教でも聖地公園などのお墓に納骨・埋葬することもあります。
自由葬を成功させるためには?
無宗教葬(自由葬)を成功させるためには、無宗教葬(自由葬)の経験豊富な葬儀社と相談しながら進めていきましょう。
自由葬でどのようなことを叶えたいか、ある程度イメージを持っておくことが大切です。
無宗教葬には、どんな服装がふさわしい?
無宗教葬(自由葬)は宗教的な作法にとらわれない葬儀です。
ただし、無宗教でも故人を悼む場であることには変わりはなく、案内状に「平服でお越しください」と書かれている場合を除き、喪服を着用することが無難です。
お別れの会でも、葬儀・告別式の名称を変えただけで、ご遺体がある状態のお別れ会であれば喪服を着用します。
無宗教葬で数珠は必要?選び方は?
無宗教葬では念珠・数珠は絶対に必要というわけではありません。
数珠を持つか持たないかはそれぞれの判断です。
数珠を持ちたいという場合は、宗派にこだわりがない「略式数珠」の中から選ぶといいでしょう。
香典と香典返しのマナーは?
無宗教葬での香典の金額目安は、一般的な葬儀と変わりません。近所の方であれば5,000円から10,000円程度が相場とされています。
ただし、無宗教葬では四十九日法要を行わないことが一般的です。
四十九日法要や一周忌法要など、仏教的な法事がないなら、香典も必要ないという考えもあります。
不祝儀袋には特に決まりがありませんので、一般的な葬儀に持参するような不祝儀袋や封筒(白無地)を使うことが多いです。
表書きは、どの宗教にも使える「御霊前」と書きます。
「献花」を香典の表書きとしたり、「お花料(御花料)」とすることもあります。
法事に行くときなど、どの時期の香典の表書きも同様です。
また、香典を頂いた際は忌明け後に香典返しに挨拶状を添えて送ることが一般的です。
欠席する場合はどう伝えればよい?
葬儀を欠席する場合は、一般的な葬儀と同様に、弔電やお悔やみ状をお送りするのがよいでしょう。
「お悔やみ状」とは、故人との別れを悼み遺族への思いを綴ったお手紙のことで、無宗教でも弔いは同様に行われます。
弔電を出すにはどうすればいい?
弔電は葬儀に出席できない場合に送る電報のことです。
無宗教の葬儀でも弔電を読み上げる場が設けられることが多いので、一般的な葬儀の場合と同じようにお送りして問題はありません。
一度葬儀で弔電を送っていてお別れ会も欠席する場合、再度2通目を送る必要はありません。
案内状の返信用ハガキに欠席の意思を示すだけで問題ありません。
弔電をうつときの文例は?
ご逝去された方の立場などに合わせた電報をうつ必要があります。不安な方はNTTなどの電報文例を利用するといいでしょう。
無宗教葬でのよくある質問
無宗教の方で、お墓は不要と考えている方も少なくありません。
無宗教葬で納骨できる納骨堂は全国に多く存在しています。納骨にかかる費用は30万円(一人用)から100万円(家族用)程度です。
また、永代供養をセットで行ってくれる納骨堂も多いです。
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監修者のコメント
岩田 昌幸 一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
無宗教葬(自由葬)とは、特定の宗教・宗旨・宗派にとらわれない葬儀形式のことですから、逆に考えれば何をしてもOKです。宗教形式を取り入れた通夜、葬儀・告別式はしなくても、火葬場で少しだけお経をあげてもらいたいということもできます。初七日、四十九日、一周忌法要も「してはいけない」「しなくていい」ではなく、必要だと感じたら応じてお願いしても良いのではないでしょうか。