自殺された方の葬儀や手続き
- 2024年11月27日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
葬儀は一般的に何らかの理由で亡くなってしまった人に対して行われるものであり、亡くなられた理由に関係なく一通りの内容が行われるものだとされています。ただその中でも自殺してしまった方の葬儀は非常に難しいと言われているのですが、今回はそんな自殺された方の葬儀や手続きについて、その難しさなどを含めて解説していきます。
自殺者の統計と年次推移
日本国内の自殺者は2018年のデータではおよそ2万人とされており、特に40代・50代・60代の中高年の自殺者が多い傾向が見受けられています。
若い世代の場合は学校や家庭環境が原因とされているものが多く、20代以降になると男女の問題や経済・生活などの事情、そして30代以降になると健康問題などを理由に自殺する人が増えている傾向がみられます。また自殺するのは女性よりも男性の方が2倍以上も多い傾向があり、深刻な社会問題として取り上げられています。
このような日本の自殺者の統計に関しては、戦後から2万人を超えているという結果が残っています。特に1990年代後半から経済の不況や男性の家事参加強要などのジェンダー議論、そしてうつ病に対する新薬が始まったことなど様々な要因が重なった結果、自殺者の統計が3万人を超える時期もありました。さらにリーマンショック以降は悪化する経済状況を要因とした自殺も増えてきたようで、毎年高い数値のまま自殺者の数が更新されているというのが現状です。
自殺者の葬儀は難しい
葬儀社では様々な理由で亡くなった方の葬儀を取り扱っていますが、特に自殺された方の葬儀は細かい点まで配慮して行うため難しい案件となります。
自殺者の葬儀は、警察が絡んだり、ご遺体の状態が良くないことが多く、安置、納棺、通夜、葬儀・告別式、火葬までの流れが通常とは異なるケースが多いためです。
その間は遺族の方々も混乱した状況にありますし、落ち着いて葬儀の段取りなどもできないため葬儀社側のストレスも非常に大きいとされています。このため葬儀社側としては遺族の心の傷をこれ以上深めないようにすることしかできず、お互いに納得のいく葬儀にすることが難しいと考えられているのです。
このように様々な理由で自殺者の葬儀は難しいとされているため、葬儀を検討している遺族はその点を踏まえて葬儀社と打ち合わせをしなければいけません。
自殺者の葬儀の流れ
自殺者の葬儀の流れは、まず自殺された方の遺体が発見されるところから始まります。遺体が発見された後は警察による検視が行われ、その間に葬儀社や遺族に連絡が入る仕組みになっているのです。ちなみに検視が行われている間は遺体を引き取ることができないため、死因が確定するまでの間は何らかの手続きをしたり、自殺された方の部屋の片付けをしたりします。また、葬儀社との打ち合わせをすることもあります。葬儀社が死因を聞かれて答えることはありませんが、問い合わせがあった場合など慎重に対応しなければならないため、自殺した事実を隠したいときや、参列のお断りしたい場合など、その旨を葬儀社と十分打ち合わせをしておく必要があります。
そうして検視が終わった後は葬儀社に遺体の処理をしてもらい、何らかの損壊が見受けられる場合はエンバーミングなどの処置をしてもらいます。こうすることで自殺された方の尊厳を守ることができるのは勿論、遺族の心の傷を深めないようにすることができるのです。
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あとは打ち合わせた通りに通夜と葬儀、火葬等を行います。友人・知人など多くの人が集まってお別れをするスタイルも希望できますが、自殺の場合は遺族が対外的に配慮できる余裕がなく、近親者のみで葬儀を済ませる傾向が多いようです。
葬儀後にやること、手続きなど
自殺された方の葬儀が終わった後は、ほかの理由で亡くなられた方と同じように保険関係の手続きや住居に関する手続きなどを行う必要があります。特に住居に関して自殺の場合は突然の出来事なのでなかなかスムーズに手続きができなかったり、料金の支払いに関して遺族が負担しなければいけなかったりするケースが多いです。また自宅以外の場所で自殺をしていると、場所や内容によっては損害賠償を請求されてしまう可能性もあります。そのような場合も遺族が負担しなければいけないため、注意が必要だとされています。
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それ以外に遺族がやらなければいけないこととして挙げられているのが、心の整理です。事故死や病死のように突然身内に死が訪れる自殺の場合、葬儀が終わってからもなかなか心の整理がつかないという遺族が少なくありません。このため時間はかかりますが、少しずつ心の内をどこかに吐き出しながらゆっくり気持ちを整理していくことが必要なのです。
まとめ
他国と比較すると高い水準にある日本の自殺者数。自殺者の葬儀は、安置、納棺、通夜、葬儀・告別式の手順が通常とは異なり、遺族も心の準備ができないことからから難しいとされています。その中で遺族は、自殺された故人の尊厳と自分たちの心の傷を守りながら葬儀を行う必要があります。葬儀社に相談や心の内を吐き出しながら、落ち着いて対応していくように心がけましょう。
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監修者のコメント
岩田 昌幸 一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
自殺された方の遺族は、その後も生涯にわたって悲嘆を背負っていくものです。死を受け止めることさえできず、葬儀のことを考える余裕はありません。多くの場合、葬儀は簡素に済ませる傾向にあります。周囲は気を遣ってその話題を避けてしまいがちですが、時折「気にかけている」ことをさりげなく示すことで、張り詰めた心がほぐれることもあります。