遺骨をゆうパックなどで郵送しても問題ない?遺骨の運送方法
- 2023年01月13日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
親族の葬儀を検討している人の中には「遺骨を郵送できないだろうか?」と考えている人も少なくないでしょう。
超高齢社会で喪主も高齢化が進んでいます。足腰が不自由だったり、お墓が遠方にあったりと事情は様々ですが、自分で運びたいけれど不可能だという高齢者はいます。
遺骨は意外と重く、何個もあれば車などで運ばない限り遠くへは運べません。電車で遠方まで運ぶとなると乗り換えなども大変ですし、周りの目が気になることでしょう。
遺骨の郵送は、できれば自分で運びたいけれど、どうしても運ぶことができない人にとって安心で便利な方法の一つです。
目次
遺骨を郵送することは合法?違法?
「遺骨を郵送することは違法なんじゃないのか」と考える人もいるでしょう。ですが、遺骨を郵送することは合法です。
遺骨の取り扱いで違法となるのは、例えばコンビニのトイレに粉砕していない遺骨を捨てた場合などです。この場合、遺棄罪と器物損壊罪に当たります。
ただしこれは、人骨を粉砕せずに捨てたことや、私有地に捨てたことが問題となっているだけです。国内に郵送するだけなら何の罪にもなりません。
そして、遺骨を宅配業者に依頼して郵送することは「送骨」と呼ばれ、遺骨を移動するケースが増えるようになり一般に広がりつつあります。高齢のため、遠方に自分で持参できない人などが多くなってきたからです。
実際、永代供養などとセットで送骨を受け付ける寺院の数も広がりを見せています。
もし「遺骨を郵送するのを違法だと聞いた」という人がいるなら、おそらく国外への郵送と混同しているのでしょう。確かに日本郵便でも日本から海外へ、遺骨や位牌や遺体を送ることを禁止しています。
しかし国内に限っていえば何ら問題ありません。
また、「違法ではないが遺骨の郵送はできない」と宅配業者の知人から言われたという人もいるかもしれません。
ほぼすべての宅配業者の約款で遺骨の郵送は禁止されています。ですが、すべての宅配業者で禁止されているわけではないのです。
遺骨を郵送できる宅配業者はどこ?
唯一、遺骨を郵送できる宅配業者は日本郵便だけです。ゆうパックでのみ遺骨を送ることができます。
ヤマト運輸や佐川急便など宅配業者は日本に数多くあります。しかしそれら大手の宅配業者でも遺骨を郵送することはできません。
例えばヤマト運輸の宅配便利用約款には「次に掲げる荷物は引き受けません」と記載した上で、遺骨をその中の一つとして挙げています。
他の宅配業者でも同様で遺骨を郵送してもらえません。
また、日本郵便のゆうパックで郵送は可能ですが、遺骨は損害賠償の対象外となります。ゆうパックには損害賠償制度があり、万が一荷物が壊れたり、紛失してしまった場合、最高30万円までの実損額を賠償するようになっています。
しかし遺骨は価値がつけられないため、汚損や紛失などがあっても損害を償うことはできません。
もし天災や不慮の事故などに巻き込まれた場合は手元に戻って来ない可能性もあります。わずかなリスクとはいえ大切な遺骨ですから不安になることもあるでしょう。
ゆうパックには、届け先にきちんと配達されているかすぐに調べられる追跡サービスがついています。また、引き受けから配達までの送達過程を記録するセキュリティサービスも有料で受けられます。こういったサービスを利用すれば不安も和らぐかもしれません。
ゆうパックで遺骨を郵送するときの料金は?
ゆうパックで遺骨を郵送するのにかかる料金は、通常のゆうパックの計算と同じです。
重さが 25kgまでの場合と、25kg超え30kg以下の場合で料金が変わります。
また、大きさによっても料金が増減するのです。ゆうパックでは荷物の大きさを縦と横と高さの合計で表します。
例えば、縦、横、高さを足した結果80cm以下だった場合は、80サイズというサイズに区別されます。80サイズは80cm以下60cm超えです。
170サイズだけ例外ですが、他は20cm刻みでサイズの区別がつけられています。
ゆうパックには基本運賃表が存在し、各都道府県からどこに郵送するかによって料金が変わります。
例えば北海道から北海道の別の場所に60サイズの骨壺を郵送した場合、かかる基本運賃は800円です。同様に同じサイズの骨壺を北海道から送った際、東北は1080円、関東・信越は1280円、北陸・東海は1400円、近畿は1510円、中国・四国・九州も1510円、沖縄1520円かかります。
つまり遺骨を郵送する際の料金は、重さ、サイズ、距離などによって決まるということです。
例えば、いくつもの骨壺を遠方に送る方が骨壺一個を近辺に送るよりお金がかかります。
船便・空輸は選べるの?
ゆうパックは様々なサービスを用意していますが、船便や空輸を選択するというサービスはありません。ですが、遺骨を空輸で運ぶことはあり得ます。航空機による輸送ができないものは、主に安全運航を妨げる物です。
これは運輸省の「航空機による爆発物等の輸送基準等を定める告示」により航空機による輸送が制限された結果で、日本郵便が決めているわけではありません。
具体的には火薬類、高圧ガス、引火性液体、可燃性物質などです。これらの具体例を見ればわかるように、遺骨は爆発物などではないので問題ありません。
もしかしたら「空輸できない荷物と判断されて空輸してもらえず、船便となってとても時間がかかるのでは?」と考えている人もいるかもしれませんが、遺骨に関しては大丈夫です。
仮に遠方の地域に船便で送られたとしても、配達の遅れは一日から四日程度です。
また、あまりない事例かもしれませんが、海外に遺骨を送りたい場合、ゆうパックは国内だけの取り扱いのため利用できません。
また、国際宅配便であるゆうグローバルエクスプレスを利用しようとしても「お引き受けできないもの」の項目に含まれているため不可能です。空輸可能なのは、あくまで国内に限ります。
日時や時間帯の指定は?
遺骨の郵送でも、日時や時間帯の指定というゆうパックのサービスは利用することができます。
時間帯は下記の通り、細かく指定できて便利です。
- 午前中
- 12時頃~14時頃
- 14時頃~16時頃
- 16時頃~18時頃
- 18時頃~20時頃
- 20時頃~21時頃
しかし、あくまで配達時間帯の目安であり、大切な遺骨の到着が少し遅れたからといって慌てないようにしましょう。遺骨の到着が遅れて不安なら、ゆうパックには追跡サービスがあるのでそれを利用すると良いでしょう。
郵送するときの遺骨の梱包方法は?
郵送するための遺骨の梱包を始める前に、骨壺の中に水が溜まっていないか蓋を開けて確認しましょう。
湿気の多い地下カロートに安置してあった場合は、結露によって水が溜まっていることが少なくありません。もし水が溜まっていたら風通しの良い場所に置いておくと良いでしょう。
そのままゆうパックで送ると、郵送中に水が漏れてしまう可能性があります。
郵送する時の遺骨の梱包方法は端的に言うと、遺骨がこぼれないようにして、骨壺が割れないようにするということです。
ただ遺骨の入った骨壺をそのまま郵送用の箱に詰めて送ってしまうと、骨壺の蓋が開いて遺骨がこぼれたり、郵送の際の衝撃で骨壺が割れてしまう可能性があるからです。それらを避けるため、遺骨の梱包は丁寧に行いましょう。
まとめ
まだ遺骨をゆうパックで郵送する「送骨」は一般的な納骨の方法とは言えないかもしれません。
ですが、超高齢社会で高齢者が増える中、送骨の需要は増えることでしょう。そういった状況を見据えた寺院も少なくなく、送骨に関するサービスを取り扱う寺院の数も広がりを見せています。
遺骨を郵送することは全くの合法です。ただし取り扱いは日本郵便のゆうパックのみです。
ゆうパックの基本的なサービスは、遺骨の郵送でも受けられ、日時や時間帯の指定から空輸までしてくれます。
送骨する際の遺骨の梱包方法にさえ気をつければ上手く納骨できるでしょう。足腰の弱い人やお墓が遠方にある人などにとって、遺骨の郵送は非常に便利な方法です。
遺骨の郵送に関するよくある質問
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監修者のコメント
岩田 昌幸 一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
骨壺に入った遺骨を運ぶのは、高齢者だけではなく成人男性も大変です。公共の交通機関を利用して遺骨と一緒に長距離移動をしなければいけない場合は、ゆうパックを利用しても良いでしょう。墓じまいなどで多くのご先祖の遺骨を取り出して移動する場合なども、ゆうパックの宅配はよく利用されます。