遺骨を自宅に保管したままでも問題ない?遺骨の正しい扱い方とは
- 2024年11月29日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
大事な人が亡くなった時にお葬式や火葬をしますが、火葬した後の遺骨はどうしたらいいのでしょうか。
必ずお墓に埋葬しなければいけないのか、お墓のない場合はどうすればいいのか、他の供養方法があるのかと悩んでいる人も少なくありません。
この記事では、遺骨とはなにか、いつまで自宅に置いていられるのか、具体的な供養方法にはどんなものがあるのかなど、火葬後の遺骨の取り扱い方について詳しく解説していきます。
目次
遺骨はいつまで自宅に置いておける?
火葬場から自宅に持ち帰った遺骨は、いつまで置いておけるのでしょうか。まずは納骨の期日について解説いたします。
法律や仏教は、納骨の期日を定めていない
火葬された遺骨は、一時的に自宅の中に安置しますが、いつまでに納骨しなければならない法律も、仏教の教えもありません。
ですから、いつまで自宅に置いておくかは、家族の想いによって決められるのです。
納骨のタイミングは区切りとなる法要
納骨のタイミングとして多く選ばれているのは、四十九日、一周忌、三回忌など、区切りとなる法要です。
地域によっては火葬当日にそのまま墓地に移動して納骨することもあります。
お墓がある場合は、四十九日法要や一周忌法要の際にすることが多いです。
お墓がない場合、納得するお墓を手に入れるためにはそれなりの時間がかかります。四十九日までにお墓を用意するのは困難ですから、お墓を建てたあとや一周忌、三回忌法要などに合わせてされる方もいらっしゃいます。
またお墓をすでに持っていても「気持ちの整理がつくまでは自宅に置いておきたい」という場合は、ご自身の気持ちの整理がついたタイミングで納骨されるという場合もあります。
七回忌を目安に納骨を
納骨は家族の望むタイミングで構わないとはいえ、ほとんどの方が七回忌までには納骨をするケースが多いようです。
数年の間に他の家族の誰かが亡くなってしまったり、自宅で守っていくことが難しくなってしまうことがあります。また、死別の喪失を受け入れられる状態になり、「そろそろお墓を考えてみよう」と思うことができる時期でもあります。実際に「遺骨をお墓に納めたことで安心した」と語る人も多くいます。
いつまでも長く自宅の中に置いている間に、もしも家族に万が一のことが起きた時、故人の遺骨が放置されたままになってしまう恐れもあります。
心に区切りをつけて一歩を踏み出すためにも、また故人の遺骨のためにも、遅くても七回忌までには、お墓を探して、埋葬することをおすすめします。
遺骨の取り扱い 6つの方法
すでにお墓や納骨堂などを持っている方は、そこに遺骨を納めればよいのですが、そうでない方は自分たちに見合った新しいお墓を用意しなければなりません。昨今選ばれている供養の形は、次の6つです。
- 一般墓
- 納骨堂
- 樹木葬
- 散骨
- 永代供養
- 手元供養
それぞれどのような特徴があり、どんなメリットやデメリットがあるのか、次章から詳しく解説して参ります。
一般墓
一般墓とは、従来から続く石でできたお墓のことです。一般墓の特徴は「石でできた伝統的なお墓である」「家族や先祖のお骨がまとめて納められる」などが挙げられます。
祖先から子孫まで、数世代にわたってお骨を納められるので、家族のつながりを示すシンボル的な役割をも担います。お盆やお彼岸、年末年始などにお墓参りに出かけられた人も少なくないのではないでしょうか。
また最近では、洋風なデザインのおしゃれな墓石や、夫婦だけが入れるコンパクトな墓石も登場し、「暗い」「古臭い」といった従来のイメージを刷新しつつあります。
一般墓のメリット
一般墓には、次のようなメリットがあります。
ご先祖様と一緒に入ることのできるお墓があることで、先祖の供養を自分たちの手で行えます。
先祖供養は伝統的に続く日本の大切な文化ですし、お墓参り際に家族や親族が集まれる拠り所にもなります。
これまでは伝統的な和型の墓石が主流でしたが、近年は多様なニーズに応える形で、さまざまなデザインのお墓が建てられています。
欧米で見られるようなスタイリッシュなタイプから、個々人の趣味や想いを反映したデザイン墓石などがあります。石の色も黒やピンクなどさまざまなものがあり、彫刻技術の進化によってさまざまな字体、花柄、紋様が表現できます。
近年は、納骨堂、樹木葬、散骨など、さまざまな供養の方法がありますが、それらに不慣れな方からは苦言を呈されることも少なくありません。その点、一般墓は長く続いているという安心感があり、親族の賛同が得やすいでしょう。
一般墓は、一度購入してしまうと、あとは次の墓守に承継し続ける事で、永代にわたって使用できます。
「一般墓は高い」と言われがちですが、もしも子や孫の代までそのお墓を使うのであれば、コスパにすぐれていると言わざるを得ません。
「子どもに負担をかけないために、自分が元気なうちにお墓を買っておく」という人も少なくありません。
一般墓のデメリット
一方で、一般墓には、次のようなデメリットがあります。
メリットの中で「長い目で見てコスパに優れる」と書きましたが、初期購入時には多額の費用が掛かります。
一般墓を購入するためには墓地代(永代使用料)や墓石代(墓石や工事の費用)がかかるため、納骨堂、樹木葬などと比べて費用が高額になりがちです。
ただし最近では、少人数向けのお墓、コンパクトなお墓なども登場し、価格面においても納骨堂や樹木葬などと同等のものも登場しています。
一般墓は子孫が代々に渡って承継していくことが前提に作られています。
承継者がいなければ購入できませんし、お墓の跡継ぎがいなくなってしまった場合、無縁仏になってしまったり、家族や親戚が墓じまいをしなければならない可能性もあります。無縁墓になると墓地の管理者に負担がのしかかり、墓じまいとなると子孫や親戚に負担がのしかかります。
こうした流れを受けて、最近では一般墓でも墓じまいの心配のないタイプのものが登場しています。
一般墓があると、定期的にお墓の掃除や草むしりなどをしなければなりません。
また、長年使用することで、お墓の傾きなどの修繕しなければならないことも起こりえます。近くにお墓があればいいのですが、遠方に住んでいると、これらは大きな負担になってくるでしょう。
納骨堂
納骨堂とは、納骨をするための屋内施設のことです。建物の中には「納骨壇」が並び、利用者はこれらを個別に購入し、その中にお骨を納めます。
納骨堂のタイプ
納骨堂には主に次のようなタイプがあります。
名称の通り、収納型のロッカーのような形状をしています。扉を開けた中に、遺骨や遺影、故人の形見などを納めます。普段はカギをかけて、家族以外が開けられないようにしておきます。
礼拝の場としての「仏壇」と、お骨の収容空間としての「ロッカー」が一体となったタイプです。上段が仏壇部分で、ご本尊、位牌、三具足(お花、お線香、ローソク)、おりんなどを並べます。下部に骨壺を並べて安置します。
普段はバックヤードに保管されている骨壺が、家族がお参りに来た時だけ参拝ブースに自動搬送される仕組みの最新型の納骨堂です。
主に土地不足が深刻な都市部において、省スペースでたくさんの遺骨を預かれる納骨堂として誕生しました。建物一棟を全て納骨堂として機能させているので「ビル型」「マンション型」などとも呼ばれています。
納骨堂のメリット
お墓専用の墓地はそれなりの開けた土地でなければ造成できないため、郊外につくられる傾向にあります。それに比べて納骨堂は、墓地ほどの場所を取らないため、市街地などアクセスのよい場所からも探すことができます。
屋内施設ですから、雨や風などの天候に左右されることなくゆっくりとお参りできます。
一般墓だと墓石の拭き掃除や草むしりをしなければなりませんが、屋内施設の納骨堂だとそうした手間もかかりません。
納骨堂は、すでに並べられた納骨壇の中から好きな区画を選ぶだけです。墓地の購入や墓石工事などの大がかりな手間がかからないため、費用も安価に抑えられます。
お寺の境内に多い納骨堂ですから、最終的にお参りする人がいなくなったら、そのままそのお寺に永代供養のお願いができます。
納骨堂のデメリット
従来のお墓参りに馴れている人からすると、納骨堂へのお参りを物足りなく感じるかもしれません。お墓掃除をして、お花を活けて、お線香を立てるといった一連のお参りの作法が納骨堂ではできません。生のお花はやがて枯れて周囲を汚すことになるので基本的には供えられません。また、ローソクや線香などの火の使用を禁止しているところも多くあります。
省スペースを利用したのが納骨堂の特徴ですから、当然お盆時期などは、限られたスペースにたくさんの方がお参りに来て、大変混雑します。順番待ちに数時間待つところもあるようです。
建物が老朽化した時の管理者側の対応が不明瞭です。屋外にあるお墓の場合、その家の人の責任で破損や倒壊に対処しますが、納骨堂だと、修繕資金がないためにそのまま納骨堂を閉業するというリスクもゼロではありません。自動搬送型などは特に構造が複雑で、場合によっては遺骨を安心して保管できない状況に陥る可能性も指摘されています。
樹木葬
樹木葬とは、墓石ではなく、樹木や草花をシンボルとしたお墓のことです。景観が美しいこと、承継の心配がなく将来的に永代供養ができる、一般墓よりも安価であることから、昨今人気を高めています。
樹木葬のタイプ
樹木葬には、主に「里山型」と「都市型」があります。
自然豊かな里山全体を墓地として埋葬を行ないます。もちろん、里山型の樹木葬墓地は、都道府県から墓地としての利用を認められた場所に限られます。墓石やモニュメント、カロートなどの構造物を使わないのが基本で、割り当てられた区画の中で、土の中に遺骨を埋葬し、シンボルツリーを植樹して、これをお墓とします。自然回帰志向と、自然保全を両立させた弔いの方法と言えるでしょう。
一般的な霊園の中で、墓石を用いずに樹木を用いて埋葬供養するタイプのものです。割り当てられた区画の中で埋葬と植樹をするタイプ、シンボルとなる大樹のまわりにお骨を埋葬するタイプなどがあります。カロートやプレートなどに石を用いることも少なくなく、石と木の両方を用いた樹木葬もあちこちで見られます。
樹木葬のメリット
樹木葬は基本的には一代限りの個人墓あるいは夫婦墓として作られているため、あととりや墓守がいなくても安心です。墓石の場合は、不要となった際は墓じまいの工事が必要ですが、樹木葬の場合はそうした手間もかからず、霊園や寺院に永代供養を任せられます。
個別にお墓を準備しようとすると高額な費用がかかりますが、樹木葬であれあば安価な費用で済みます。石の場合、工場で石材の加工をし、墓地で基礎工事や据付工事をしなければなりませんが、樹木葬の場合は植樹や埋葬にそこまでの手間がかからないため、費用も安くなるのです。
花や草花を用いたお墓ですから、霊園全体が色鮮やかで明るく解放的な雰囲気なのが特徴です。これまでの「お墓は怖い」といったイメージを刷新してくれて、思わずお墓参りしたくなります。
樹木葬のデメリット
草花をシンボルにしているお墓ですから、季節や天候に左右されやすいのが特徴です。寒い季節、あるいは大雨や台風のあとなどは寂しく感じられることもあるでしょう。
樹木葬は個人、あるいは夫婦で使うことが前提で作られていることが多いようです。そのため、ご先祖様のお骨を一緒に納めたい、子や孫にも利用してほしいと考える人にとっては、デメリットとなるでしょう。
自分たちは樹木葬が良くても、いざお参りに来ることとなる家族や周囲の人たちからは理解を得られないこともあるでしょう。樹木葬はまだまだ新しいタイプのお墓ですから、従来から続く先祖代々を祀ることのできる一般墓がよいと思う人からは苦言を呈される可能性もあります。
永代供養
永代供養とは、遺骨をお寺に預け、永代に変わって供養を依頼することです。「あととりがいない」「自分たちだけではご先祖様や家族の供養ができない」という方々が、最終的にお寺に永代供養をお願いします。
永代供養では、基本的に遺骨を「合祀」します。つまり、集合墓や合祀墓と呼ばれるお墓の中に、他の方と同じ場所に埋葬するのです。
いきなり永代供養にしても構いませんし、一般墓や納骨堂や樹木葬で個別に供養した後に、最終的に永代供養するというケースも少なくありません。
永代供養にすると、末代に渡ってお寺が供養してくれるので、無縁仏や無縁墓になる心配がありません。
散骨
散骨とは遺骨を粉末状にして、山や海などの自然に撒いて供養することです。
これまでご紹介してきた方法は、一般墓にせよ、納骨堂にせよ、樹木葬にせよ、遺骨を埋葬する場所としての「お墓」を用いてきましたが、散骨は「お墓」のない葬法だといえます。
「お墓は不要」「自然に還りたい」「費用が安い」等の利用から注目を集めています。
しかし一方で、散骨を定める明確な法律が存在せず、違法と合法のいわば「グレーゾーン」にて行われているのが実情です。
散骨の注意点
▶ほとんどが海洋散骨
散骨には「海洋散骨」と「山林散骨」がありますが、ほとんどは海洋散骨が行われています。山林などの土地は、必ず地権者がいます。人の土地に勝手に遺骨を撒くことは倫理的に受け入れられるものでなく、トラブルを避ける意味からも、山での散骨はあまりみられません。
また海洋散骨も漁業権の関係から散骨可能なエリアが決まっております。
火葬から引き取った焼骨のまま撒いてしまうと、遺体遺棄罪になってしまいます。散骨をする時には必ず粉骨(お骨をパウダー状にする)をして、遺骨と判別できない状態にしてから撒きましょう。
パウダー状にして、人目につかないところに撒けば、おそらく誰もがそこにお骨が撒かれたとは気づかないでしょう。つまり、やろうと思えば自らの手で散骨は可能ですが、トラブル回避のためにも散骨業者の利用をおすすめします。
散骨のメリット
散骨は、樹木葬や納骨堂など、他の方法よりも最も安く行える葬法です。やろうと思えば自分自身の手でも行なえますし、業者に散骨を委託するプランだと数万円から、自ら海に出て散骨するプランでも2~30万円以内で実施できます。
多くの人が、亡くなったあとはお墓の中ではなく海や山などの自然に還りたいと願います。散骨だからこそ、こうした想いをすぐに実現できます。
散骨はお墓を持たない葬法ですから、その後のお墓の維持管理に手間や時間を掛けなくて済みます。
散骨のデメリット
お墓がないため、決まったお参りの場所がありません。散骨をした時はいいものの、あとから「手を合わせる場所がないことに戸惑いを感じる」と漏らす人がいるのも実情です。
本人は散骨が良くても、子や孫など、周囲の家族たちがお墓参りを希望するケースも少なくありません。弔いは自分自身の問題だけでなく、家族みんなの問題でもあります。まだまだ市民権を得ているとは言い切れない散骨だからこそ、実施の際は家族に相談して進めましょう。
2023年3月現在、散骨に関する明確な法律はありません。そのため、すべての散骨は「解釈」をもとに行われていることとなります。その解釈の違いによってはトラブルに発展することもあります。実際に北海道や静岡県などの自治体では、地元住民の反発から散骨禁止条例やガイドラインが作られた事例もあるほどです。
手元供養
ここまで、一般墓、納骨堂、樹木葬、永代供養、そして散骨について解説してきました。これらはすべて、自宅にあった遺骨をしかるべき場所に移して供養することを意味します。
しかし最近では、その後も遺骨の一部を自宅に置いておく「手元供養」を希望している人が増えています。
手元供養には、次に挙げるような方法があります。
遺骨ペンダント
ペンダントトップの中が空洞になっていて、大切な方の遺骨や遺灰、遺髪などを少量納められます。普段から身に着けておくことによって、いつまでも故人をがそばに感じられます。シルバー、プラチナ、ダイヤモンドなどさまざまな素材で作られており、さまざまな価格帯のものがあります。
ミニ骨壺
骨壺と言えば、火葬場から手渡された味気のないものを連想しがちですが、最近はさまざまなオシャレな骨壺が販売されています。有田焼や七宝焼などの陶器、真鍮、ガラスなど、オシャレでカラフルな骨壺がたくさん販売されています。
ミニ仏壇
従来のようなお仏壇ではなく、リビングなどの住空間の中にマッチするコンパクトなミニ仏壇が人気です。仏さまや位牌ではなく、故人様の遺骨やお写真を飾り、お花やお供え物を並べるだけで、あなただけの祈りの空間ができあがります。
遺骨ダイヤモンド
遺骨の中に含まれる炭素を取り出し、人工的に高温高圧にかけることで、ダイヤモンドを作ることができます。遺骨をダイヤモンドのアクセサリーにすることで、永遠に輝きを放ちながら、いつでもそばに身に着けておくことができます。
まとめ
このように、遺骨の取り扱い方や埋葬方法、供養方法はさまざまです。
現代では、家族のつながりが薄くなってしまう無縁化が進み、宗教観の変化もあり、供養も多様化しています。
一般墓、納骨堂、樹木葬、永代供養、散骨の5つの方法に加えて、手元供養についてご紹介しましたが、いずれにせよ、故人のため、そして遺された家族の心の区切りのためにも、七回忌までにはいずれかの方法で埋葬することをおすすめします。
分からない時にはお寺や葬儀社などのプロに相談するのも方法です。専門家の力り借りつつ、親族ともよく話し合って、故人や遺族にとって最適な供養方法を見つけるようにするといいでしょう。
遺骨の扱い方に関するよくある質問
お葬式手配の「よりそうお葬式」
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監修者のコメント
岩田 昌幸 一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
遺骨をお墓に納めなければいけない期日に決まりはありません。いつまでも置いておくことは可能ですが、納骨するタイミングを失って置きっぱなしになってしまっている遺骨が全国で100万柱以上あるという話も。年忌法要やお盆・お彼岸などのタイミングを見計らって納骨することをおすすめします。