初彼岸を行う時期・服装・お供え・香典について

- 2023年03月30日

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「初彼岸」という言葉を知っていますか。四十九日を終えた故人がはじめて迎えるお盆である「初盆(新盆)はよく耳にしますが、初彼岸は知らないという方も多いのではないでしょうか。
初彼岸とは一体どんな仏事なのか、普通のお彼岸とどう違うのか、なにか特別なことをしなければいけないのかなど、疑問持たれている方も少なくないかと思われます。
今回は、初彼岸の意味や時期、毎年やって来る春と秋のお彼岸との違い、初彼岸にすべきことについて分かりやすく解説します。服装、香典などのマナーにも触れていますので、どうぞ最後まで読み進めてみて下さい。
お彼岸とは

お彼岸とは、春と秋の年に2回あり、仏さまの世界にたどり着くための修行、亡き人やご先祖様を手厚く供養するための期間のことです。
お彼岸の意味
「彼岸」ということばには、2つの意味があります。
ひとつは、本来の「川の向こう岸」という意味が転じて「俗世間ではない仏さまの世界」という場所を示すことばとして、もうひとつは、仏さまの世界にたどり着くための修行の期間そのものを指すことばとして用いられています。
▶修行の期間としてのお彼岸
彼岸の語源は、サンスクリット語(古代インドの言葉で、経典などで用いられた)の「paramita(波羅蜜多、パーラミタ)」で、この言葉の中に「彼岸(パーラム)」と「至る(イタ)」の2つの意味が組合されています。
彼岸とは「川の向こう岸」という意味ですが、これを仏さまの世界の象徴として捉えます。私たちが生きる煩悩に満ちあふれるこの世界(此岸)と、悟りの境地に達したあの世の世界(彼岸)の間に、川があると見立てたのです。
▶死者供養としてのお彼岸
日本では、「死者が成仏する」という表現があるように、故人はやがて仏になるという信仰があります。彼岸とは仏さまの世界のことを意味しますが、日本人は、その「仏」には私たちの大切な故人や先祖も含まれると考えました。
こうした死後観から、彼岸を死者の世界、此岸を生者の世界と捉え、お彼岸の期間中は、仏道における修行だけでなく、亡くなった方やご先祖様の供養も手厚く行われるようになったのです。
お彼岸の期間
お彼岸は、春と秋、年に2回あります。
そしてお彼岸は、春分の日と秋分の日を中心に7日間行われます。春分と秋分は年によって日が異なりますので、それにあわせてお彼岸の日付も変わります。
また、仏さまの世界に至るためには6つの修行(六波羅蜜)をすべきとされており、彼岸の各日に実践すべき修行が割り振られています。
この記事を執筆している2023年の場合、お彼岸の期間は次の通りです。
修行の内容 | 春のお彼岸 | 秋のお彼岸 | |
---|---|---|---|
彼岸の入り | 布施 | 3月18日 | 9月20日 |
持戒 | 3月19日 | 9月21日 | |
忍辱 | 3月20日 | 9月22日 | |
彼岸の中日 | 先祖や故人の供養 | 3月21日(春分の日) | 9月23日(秋分の日) |
精進 | 3月22日 | 9月24日 | |
禅定 | 3月23日 | 9月25日 | |
彼岸の明け | 智慧 | 3月24日 | 9月26日 |
ちなみに、初彼岸は四十九日を終えた次にやって来るお彼岸のことですから、秋から冬にかけて四十九日を終えた方の場合は春のお彼岸が、春から夏にかけて四十九日を終えた方の場合は秋のお彼岸が、それぞれ初彼岸に該当します。
六波羅蜜の意味
彼岸に至るための6つの修行「六波羅蜜」とは次の通りです。
▶布施
見返りを求めない施しをすることです。最近では「布施=お寺への謝礼」と思われがちですが、本来は、貪欲の気持ちを抑えて、他者に完全な恵みを施すことです。お金や物を施すだけでなく、よい行いや笑顔をふりまくことも、布施行の一環です。
▶持戒
仏になる者として、自らの言動を戒めることです。
▶忍辱
思い通りにいかないことや恥ずかしいと思うことを堪え忍び、受け入れられる心境を目指すことです。
▶精進
仏になるために、慢心することなく不断の努力を実践することです。
▶禅定
心を落ち着けて、どんな場面でも心を平静に保ち、動揺しないことです。
▶智慧
これまでの布施・持戒・忍辱・精進・禅定の修行を実践することにより、やがて仏さまの智慧を頂戴して、彼岸に到達できると自覚することです。
季節の変わり目に、自身を見つめ先祖を偲ぶ
春分と秋分も、太陽が真東からのぼり真西に沈む日です。この日を境に冬は春に、夏は秋へと季節を移していきます。季節の変わり目、その境界にご先祖様を供養するというのは、自然と共に生きてきた日本人らしい風習と言えるでしょう。
実際に、お彼岸時期の修行法として、真西に沈む夕陽を見ながら瞑想をする「日想観」というものがあります。西というのは阿弥陀如来が作った極楽浄土がある方角で、真西に沈む太陽を見つめることで、まっすぐと阿弥陀如来につながれる、極楽往生できると信じられ、いまでもお彼岸の日には夕日に向かって手を合わすところがあります。
大阪市の四天王寺の日想観は特に有名で、たくさんの参拝客でにぎわいます。
初彼岸とは
ここまでお彼岸の基礎知識について見てきましたが、ここからは、お彼岸の中でも故人がはじめて迎える初彼岸について詳しく解説いたします。
初彼岸とは、四十九日を終えてはじめて迎えるお彼岸のこと
初彼岸とは、人が亡くなって四十九日が過ぎた後、はじめて迎えるお彼岸のことです。
そのため、四十九日が明ける前にお彼岸を迎えたとしても、一般的には初彼岸とは言いません。たとえば9月に亡くなった方の場合、初彼岸は9月のお彼岸ではなく、翌年の春のお彼岸になります。
お彼岸と初彼岸は何が違う?
毎年やって来るお彼岸と、身内に不幸が起きて初めて迎える「初彼岸」では、何が違うのでしょうか。
初彼岸とはここ最近聞かれるようになった風習で、初盆のような伝統的なしきたりはありません。ですから、何か特別なことをしなければならないわけではなく、いつもよりも手厚い供養を心がけるだけで充分です。
家族や親戚が集まる、お仏壇やお供え物をしっかりとお掃除をする、お経を丁寧にあげるなど、故人への供養をいつも以上に心を込めて手向けることが大切です。
地域によっては、お寺の彼岸法要の中で特別に供養してもらえるところや、お寺が初彼岸を迎える家にお参りに行くところもあるようです。
初彼岸の成り立ち
仏教行事や、日本の民俗信仰として、はじめて迎えるお盆である「初盆(新盆)」には、全国各地でご先祖様をお迎えするためのしきたりがありますが、はじめて迎えるお彼岸にことさら特別な仏事を行う伝統的な慣習はあまり見られませんでした。
しかし、一部地域では初彼岸を大切な仏事とされており、これがインターネットの普及によって全国的に知られるようになっていったのだと思われます。
初彼岸は主に東日本の地域で行われており、お寺での合同法要や、僧侶による各家へのお参りするなど、通常のお彼岸よりことさら手厚く供養をします。
また、初彼岸を迎える家に対して、親戚や近所の人がお供え物を持ってお見舞いをする地域もあるようです。
初彼岸ですべきこと

「初彼岸ではいつも以上に手厚く供養する」とはいうものの、実際にどんなことをすればよいのでしょうか。
お墓参り
ご先祖様が眠るお墓にお参りをします。お墓をきれいに掃除して、手を合わせることで、きっと心も晴れやかとなることでしょう。
ちなみに、秋分の日は「お墓参りの日」に制定されています。これは「国民の祝日に関する法律」の中で、この日を「祖先をうやまい、なくなった人をしのぶ日」と定められていることに由来します。
仏壇への礼拝
お墓とあわせて、お仏壇もきれいにして礼拝します。仏壇の中に並べられた仏具を取り出してくまなく掃除をする、親戚が集まって仏壇の前でひと時を過ごす、朝夕にお経を丁寧に唱えるなど、普段なかなかできないことを通じて故人や先祖と向き合うという人も少なくありません。
彼岸法要への参加
お彼岸の時期になると、日本全国のお寺で彼岸法要が行われます。
もしも檀家であるならば、菩提寺の彼岸法要に参加してみる、お寺とご縁を結んでない方は、自分が気に入っているお寺にお参りしてみてもよいでしょう。
彼岸法要では、普段聞くことのできない厳かなお経を聞けます。また塔婆を書いて自身が大切にしている故人や先祖の供養を託すこともできます。法要の後にはお坊さんからのありがたい法話も聞けるなどして、先祖供養のために、そして自分自身を振り返るための時間を過ごせるでしょう。
初彼岸の準備
初彼岸を迎えるにあたり、家族はどんな準備をすればいいのでしょうか。
お供え物や飾りつけ
初彼岸だからといって、お供えやお飾りにこれといった決まりはありません。
お盆であれば、精霊棚や盆提灯、精霊馬や水の子など、伝統的なお飾りやお供え物がありますが、お彼岸にはこうしたしきたりはありません。家族がおのおので心が満たされる方法をとればよいでしょう。お花やお供え物をいつもより豪華にするだけでも十分です。
お彼岸のお供え物として有名なのがおはぎとぼたもちです。同じ食べ物なのに呼び方が違うのは、それぞれの季節の花にちなんでいるからです。
春彼岸には春の花である牡丹にちなんで「ぼたもち」、秋彼岸には秋の花である萩にちなんで「おはぎ」をお供えします。
初彼岸の服装
初彼岸は基本的に家族だけで行われるものですから、普段の格好でお仏壇やお墓にお参りしても構いません。
もしもお寺へのお参り、あるいはお坊さんが自宅にお参りにやって来るのであれば、平服(いわゆる略喪服)を着用します。
ここでいう平服とは、地味目な色のスーツ姿、あるいはそれに準じる服装のことです。服装に決まりはないものの、カジュアルになりすぎないよう配慮しましょう。
初彼岸の僧侶へのお布施
四十九日や一周忌法要のように、親戚を招いて個別に法要を行うのであれば、お布施の相場は3万円~5万円です。あわせて御車代や御膳料を用意すると、より丁寧な対応となります。
お寺の本堂で行われる彼岸法要への参列であれば、お布施の相場は3千円~1万円です。
初彼岸の香典やお供え物
初彼岸を迎える家に弔問する際の香典は、3千円〜5千円が目安です。
持参するお供え物として適しているのは、果物やお菓子です。小分けにできるもの、日持ちのするものを選ぶといいでしょう。また、進物用の線香も、今後の仏事で必ず使い、賞味期限もないことからお供え物に最適です。普段自ら買うことのない高級線香をいただけるということで遺族からも喜ばれます。
お供え物の金額の目安も、3千円〜5千円程度です。
まとめ
初彼岸の意味やすべきことについて、お分かりいただけましたでしょうか。
初彼岸では、通常のお彼岸よりもことさら手厚く供養することで、故人も喜び、手を合わすこちら側の心も満たされることでしょう。
もともとは仏教における修行の期間だったお彼岸も、今は亡き人を偲ぶ大切な日とされています。家族や親しい親族とともに静かに故人の冥福を祈り、故人への感謝あふれる時間をお過ごしください。

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