エンバーミングとは?手順や必要な場面、メリット・デメリットを解説
- 2024年11月28日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
エンバーミングは直訳すると「防腐保全処置」を指し、故人さまを生前の姿に近づけるために行う修復作業などを指す言葉です。
しかし、エンバーミングについて、具体的にどのようなことをするのかわからない方もいるのではないでしょうか。
この記事では、エンバーミングの基本知識から手順や必要な場面、メリット、デメリット、注意点について詳しく解説します。
エンバーミングについて知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
エンバーミングとは
エンバーミングは、故人さまを生前の姿に近づけるために行う防腐保全処置のことです。
ここでは、エンバーミングとはどのようなものなのかについて詳しく解説します。
直訳すると「防腐保全処置」
エンバーミングとは、直訳すると防腐保全処置を指します。人間は生命活動が停止した瞬間に腐敗が始まりますが、エンバーミングを行うことで腐敗を防止し、お葬式の際に綺麗な姿のままお見送りすることが可能です。
通常は葬儀社などに勤めている専門資格を持ったエンバーマーが対応するため、故人さまのご家族が何かしなければいけないわけではありません。
エンバーミングの詳細については、故人さまがお亡くなりになったときに葬儀社に確認しておくと安心できます。
なお、人がお亡くなりになったことに対する手続きについては以下の記事で解説しているため、あわせてお読みください。
遺体の腐敗を防ぐためのもの
エンバーミングはご遺体の腐敗を防ぐためのもので、専門資格を持ったエンバーマーがエンバーミング施設で以下のような処置を行うのが普通です。
- ご遺体の殺菌・消毒・洗浄
- 血液や残存物の除去
- 特殊な薬剤の注入
- 着せ替え
エンバーミングではご遺体の殺菌・消毒・洗浄、血液や残存物の除去、特殊な薬剤の注入、着せ替えなどを行います。
これらはあくまでもエンバーミングの内容を簡単にまとめたもので、実際に行われる内容に関しては葬儀社によって若干変わるため、より詳しいエンバーミングの内容について知りたい人は依頼する葬儀社に詳細をご確認ください。
処置件数は25年で約5倍
エンバーミングの処置件数は、25年で約5倍になっています。具体的には、阪神淡路大震災がきっかけで広く知られるようになり、1995年〜2020年の25年間で約5倍の処置件数に増加しています。
エンバーミングの技術はここ数十年の間で向上し、今では故人さまとのお別れに欠かせないものといっても過言ではありません。
導入されたのは1974年
日本でエンバーミングが導入されたのは、1974年のことです。
ご火葬が中心の日本ではエンバーミングを行う人は決して多くなかったのですが、1995年に発生した阪神淡路大震災から徐々に普及するようになりました。
当時、災害でたくさんの人がお亡くなりになられたもののご火葬が間に合わず、ご遺体を少しでも保つための手段としてエンバーミングが施されるようになりました。その後、エンバーミングの需要は拡大を続け、現在に至ります。
エンバーミングの手順
エンバーミングでは、ご遺体を殺菌・消毒・洗浄する、顔や髪の毛を綺麗にする、着替え・化粧・修復をする、腐敗の防止処置を行うのが主な手順となります。
ここでは、エンバーミングの手順について詳しく解説します。
エンバーミング施設に書類を提出する
エンバーミングでは、まずエンバーミング施設に書類を提出しなければなりません。
エンバーミング施設に提出する書類は主に2種類あり、一つが「エンバーミング依頼書(同意書)」、もう一つが「死亡診断書(死体検案書)」となります。
書類の提出に合わせて故人さまの生前の写真も一緒に提出すると、エンバーマーの参考になるため、あらかじめ準備しておくと安心です。すべての書類を提出したら、ご遺体を安置している場所からエンバーミング施設に搬送し、エンバーミングが行われます。
葬儀社に依頼する人は、エンバーミングへの対応が可能かどうかを事前に確認しておくとより安心です。
なお、死亡診断書や死体検案書については以下の記事で解説しています。
ご遺体を殺菌・消毒・洗浄する
エンバーミングでは、ご遺体を殺菌・消毒・洗浄します。ご遺体の状態を確認した後、肌表面を殺菌・消毒・洗浄して綺麗にします。
皮膚に雑菌・ばい菌が残留していると腐敗が進みやすくなるため、ご遺体を搬送した段階で綺麗に洗い流すのが一般的です。
顔や髪の毛を綺麗にする
ご遺体に付着したものを洗い流した後は、顔や髪の毛を綺麗にします。洗顔や洗髪を行って見た目を整えるのはもちろん、髭剃り産毛処理を行った後、保湿剤を塗って頭部全体を整えていきます。
基本的に顔や髪の毛はお葬式でご家族や参列者に見える部分となるため、エンバーマーもより細かく対応するのが通例です。
血液や残存物を除去する
ご遺体の顔や髪の毛を整えたら、血液や残存物を除去します。体内に血液や残存物が残っていると腐敗が進みやすくなる可能性があるため、人為的に排出し、体内に特殊な薬剤を注入します。
大抵は動脈から防腐剤を注入しつつ、同時に静脈から血液を抜くのが主流です。切開する場所は故人さまの状態によって変わるのですが、傷口は約1〜1.5cmほどとなるため、目立つものではありません。
残存物に関しては、腹部に穴を開けて胸腔や腹腔に残ったものを吸引する形で取り除き、最後に防腐剤を注入して完了です。事故などでご遺体に損壊がある場合は、該当部分の修復も行います。
着替え・化粧・修復する
最後に、故人さまを綺麗にしたら衣装を着せ、化粧・修復を行い、表情を整えます。
ご家族の希望に沿って化粧・修復を適宜行いながらより生前に近づけられるため、ご要望はエンバーマーにお伝えください。
なお、エンバーミングにかかる時間についてはご遺体の状態によって変わりますが、おおよそ3〜4時間となります。
エンバーミングが必要な場面
エンバーミングは必ず必要というわけではありませんが、故人さまを生前の姿に近づけられるため、どのような場面で必要なのかは知っておきたいです。
ここでは、エンバーミングが必要な場面について詳しく解説します。
ご遺体を整える必要がある
エンバーミングは、ご遺体を整える必要がある場面で効果的です。お葬式は故人さまがお亡くなりになったままの姿で執り行うことが可能ですが、ある程度はご遺体を整える必要があります。
ご遺体が綺麗な状態であれば、残されたご家族も安らかな気持ちでお見送りできるため、そのままの姿よりは生前の姿に近づけてあげることが求められるのではないでしょうか。
ご火葬まで数日かかる
ご火葬まで1週間以上かかる際は、エンバーミングが必要です。故人さまがお亡くなりになられてからご火葬を行うまでには24時間空けなくてはなりませんが、諸事情でご火葬までに数日かかることがあります。
ご火葬までに数日かかる場合はエンバーミングを行い、お葬式まで腐敗させないための処理が必要となるでしょう。
感染予防が求められる
感染予防が求められるときも、エンバーミングが必要です。ご遺体は活動が止まってから数時間〜数十時間で腐敗が始まるのですが、稀に感染症の原因となることがあります。
もし感染予防が求められるようならエンバーミングを行い、ご家族や参列者に被害が及ばないための処理が必要となるでしょう。
空輸での搬送が必要
エンバーミングは、空輸での搬送が必要な場面にも有効です。ご遺体を空輸で搬送することはほとんどありませんが、諸事情によって長時間の搬送が必要となった場合はエンバーミングが必要となります。
搬送中に腐敗が進むことがあるため、状況に応じてエンバーミングができるように手配しておきましょう。
エンバーミングのメリット
エンバーミングは、ご遺体を冷却せずに保管できる点、綺麗な見た目にしてもらえる点、生前の姿のまま見送れる点、ゆっくりお別れできる点などがメリットです。
ここでは、エンバーミングのメリットについて詳しく解説します。
ご遺体を冷却せずに保管できる
エンバーミングは、ご遺体を冷却せずに保管できるのがメリットです。
ご遺体を常温で放置すると腐敗が進むのですが、防腐剤を注入するエンバーミングを行えば、冷却せずとも保管できます。ドライアイス代も抑えられます。
冷却に必要な設備も不要となるため、冷却そのものが難しい場面でも安心です。
綺麗な見た目にしてもらえる
綺麗な見た目にしてもらえるのも、エンバーミングのメリットです。
殺菌・消毒・洗浄によって故人さまに付着した汚れを洗い流してもらえるため、より綺麗な見た目でお葬式を執り行いたい人に適しています。
何か具体的な要望がある際は、エンバーマーに伝えましょう。
生前の姿のまま見送れる
生前の姿のまま見送れるのも、エンバーミングのメリットです。
着替え・化粧・修復によって故人さまを整えてもらえるため、より生前の姿のままでお葬式を執り行いたい人に向いています。
特別に施してもらいたいことがあるときは、エンバーマーにお伝えください。
ゆっくりお別れできる
エンバーミングを行えば一定期間は腐敗を防げるため、ゆっくりとお別れできます。
お葬式では故人さまがお亡くなりになられた翌日もしくは翌々日にお通夜・葬儀・告別式・ご火葬を行うのが一般的ですが、エンバーミングを行えばある程度の日数を確保できます。
よりたくさんの人が参列できるよう週末にお葬式を行うなど、柔軟なスケジュールに対応可能です。その分、ゆっくりとお別れできるため、ご家族にとってもメリットがあります。
エンバーミングのデメリット
エンバーミングは、ご遺体にメスを入れることになる点、処理に一定の時間がかかる点、相応の費用がかかる点などがデメリットです。
ここでは、エンバーミングのデメリットについて詳しく解説します。
ご遺体にメスを入れることになる
エンバーミングは、ご遺体にメスを入れることになるのがデメリットです。故人さまのご家族のなかには、お亡くなりになった後にメスを入れることに対してあまりよく思わない人もいるでしょう。
ご家族によっては「エンバーミングはしないでいい」「エンバーミングした方がいい」と意見が割れ、揉めることになるかもしれません。これらのトラブルが発生することを考えると、ご遺体にメスを入れるというのはやはりデメリットとなります。
ご遺体を綺麗にしたいというご家族の気持ちはわかりますが、あくまでもお葬式は故人さまを弔うためのものであるため、ご本人の意向に沿うよう対応することが重要です。もし遺言書などにお葬式について言及されているようであれば、そちらを優先しましょう。
ただし、メスを入れるとはいっても傷口は約1〜1.5cmと目立つわけではありません。むしろ、最小限の穴で済むよう対応してもらえるため、ご安心ください。
処理に一定の時間がかかる
処理に一定の時間がかかるのも、エンバーミングのデメリットです。
エンバーミングは、主に以下のようなことが行われます。
- エンバーミング施設に書類を提出する
- ご遺体を殺菌・消毒・洗浄する
- 顔や髪の毛を綺麗にする
- 血液や残存物を除去する
- 着替え・化粧・修復する
以上に加えて、ご遺体の搬送などが合間に必要となるため、相応の時間がかかるため、急ぎでお葬式を行いたい人にとっては気になるかもしれません。
もちろん、エンバーミングは腐敗を防止したり、見た目を綺麗にしたりと利点もあるのですが、時間がかかるなどの欠点もあることを念頭に置いておきましょう。
ただし、最近ではエンバーミングの技術が向上しており、以前と比べて素早く対応できるようになっているため、そこまで時間は気にならなくなってきています。
具体的な所要時間が気になる人は、エンバーマーに一度ご確認ください。
相応の費用がかかる
エンバーミングを依頼するなら、相応の費用がかかります。費用については依頼する内容によって変わるため一概にはいえないものの、数十万円ほどかかるのが一般的です。
基本的にエンバーミングの費用に含まれているのはご遺体の殺菌・消毒・洗浄、洗顔や整髪、血液や残存物の除去であり、ご遺体の搬送費などは含まれていません。
セットプランにどこまで含まれているかは状況によっても変わるため、どこからどこまでどれほどの費用で対応してくれるのかは細かく確認しておきましょう。必要に応じて複数の業者に相見積もりを行うのが望ましいです。
エンバーミングの注意点
エンバーミングにはいくつかの注意点があるため、依頼する前に知っておきたいです。
ここでは、エンバーミングの注意点について詳しく解説します。
遺体を一時的に預ける必要がある
エンバーミングは特別なエンバーミング施設で行うことになるため、ご遺体を一時的に預ける必要があります。
エンバーミングの所要時間は3〜4時間と決して長時間に及ぶわけではありませんが、書類を提出したり搬送したりと何かと負担がかかるため、注意が必要です。
家族の了承を得る必要がある
エンバーミングは勝手に行うことはできないため、ご家族の了承を得る必要があります。
エンバーミングに対しては良い印象を持つ人がいる一方、悪い印象を持つ人も一定数いらっしゃるため、話し合いが必要です。
無断で決めて後からトラブルになるのは避けたいため、必ずご家族で話し合ってから決めるようにしましょう。
作業中は付き添えない
エンバーミングの作業中は、故人さまに付き添えません。作業はエンバーミング施設に隔離された状態で行われ、完了するまでご家族が見守ることはできないため、ご注意ください。
まとめ
エンバーミングとは、直訳すると「防腐保全処置」を指し、故人さまを生前の姿に近づけるために行う修復作業などを指す言葉です。
エンバーミングは単にご遺体が腐敗するのを防ぐというよりは、ご家族が安らかな気持ちでお見送りできるようにしたり、ご本人の見た目を整えてあげたりする役割があります。
葬儀社によっては、エンバーミングに対応しているところもあるため、より故人さまに美しい状態で旅立っていただきたい人はぜひご依頼ください。
よりそうお葬式ではご家族が安心してお葬式を執り行えるよう、家族葬や火葬式を中心に提供しています。また、故人さまの身支度を整える納棺の儀のほか、エンバーミング対応(有料オプション)も提供しております。
当社はご家族の希望に添えるよう複数の形式のプランを用意しており、ご要望に合わせて対応が可能な他、全国各地に対応しているため、ご希望に沿ったお葬式が可能です。
もしお葬式のことでお困りでしたら、ぜひ当社にご相談ください。
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