病院でお亡くなりになったときは浴衣に着替える?着せ方やエンゼルケアの目的を解説
- 2024年10月08日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
病院でお亡くなりになったときは、入院中のパジャマから浴衣に着替えるのが一般的です。エンゼルケアのタイミングで病院が用意した浴衣に看護師が着替えさせます。
ただし、病院で着用する浴衣は死装束とは異なります。浴衣はあくまで、自宅や葬儀社の安置所に搬送するまでの服装です。
この記事では、病院でお亡くなりなったときの着替え、浴衣と死装束の違い、エンゼルケアの目的や処置について解説します。
目次
病院でお亡くなりになったときは浴衣を着せる?
病院でご家族がお亡くなりになったとき、入院時の服装からどのように浴衣へ着替えさせればよいか悩まれる方も少なくありません。
入院中にお亡くなりになった場合、故人さまの病状によっては医療器具がつながっているケースがあるため、浴衣への着替えは看護師が行います。
ここでは、病院でお亡くなりになったときの浴衣に着替えるタイミングを解説します。
エンゼルケアの一環で浴衣に着替えるのが一般的
故人さまが病院でお亡くなりになった場合は、エンゼルケアの一環で浴衣に着替えるのが一般的です。
治療のために使用していた医療器具を看護師が外し、病院で用意している浴衣に着替えさせます。ただし、着用する浴衣に特別な決まりはありません。
故人さまが生前愛用していた洋服や、ご家族が用意した浴衣を希望しても問題ありません。ご家族が希望する服装があれば、事前に看護師へ預けておきましょう。
また、搬送の前後に故人さまのお身体を拭くタイミングがあるため、今後の処置がしやすい服を選ぶのが一般的です。
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お亡くなり直後は看護師が処置するケースが多い
故人さまがお亡くなりになった場所によって、浴衣に着替えさせる人が異なります。
病院でお亡くなりになった場合は、看護師が着替えや処置を担当して搬送の準備を行うケースがほとんどです。
病院で浴衣に着替える場合は、医療器具を脱着する処置が必要になるため、ご家族が着替えさせるケースは滅多にありません。
お手伝いを希望する場合は看護師に相談してみましょう。
また、自宅でお亡くなりになった場合は、ご家族もしくは葬儀社の現地スタッフがエンゼルケアと合わせて着替えさせるのが一般的です。
浴衣と死装束は異なる
お亡くなりになった直後に着る浴衣と死装束を混同する方もいますが、それぞれ着用する目的が異なります。
浴衣は自宅や葬儀社の安置所に搬送するまでの服装で、死装束は旅立ちのときに必要な服装とされており、納棺前に改めて着替える服装です。
お亡くなりになった直後に着替える浴衣と死装束は、着用する意味が異なるため、混同しないように注意してください。
病院でお亡くなりになった際の浴衣の着せ方
お亡くなりになってから着用する浴衣には、正しい着せ方があります。一般的には看護師が着替えさせますが、ご家族が手伝う場合は、間違えないように注意が必要です。
ここでは、病院でお亡くなりになった際の浴衣の着せ方を解説します。
浴衣は右前、死装束は左前
浴衣は、男女問わず右前で着させます。
右前とは、右側の襟が故人さまの体に近くなるよう重ねる着方です。一般的な着物と同様の着方になります。
着替えを手伝う人から見ると逆向きになってしまうため、くれぐれも注意してください。一方、死装束は左前で着用するのがマナーです。
故人さまから見て左側の襟が手前にきます。また、着替えを手伝う人から見ると左側の襟が上に重なるように見えます。
故人さまがお亡くなりになったときに着る浴衣は右前、死装束は左前と覚えておきましょう。
浴衣は病院で用意されたものを使用する
病院でお亡くなりになった場合、看護師がすみやかにエンゼルケアを行い、故人さまのお身体を搬送するための処置を行います。
事前にご家族の要望がない場合は、病院側が用意した浴衣に着替えさせるのが一般的です。
処置を終えると、病院内の霊安室に移動して葬儀社の到着を待ちます。葬儀社が到着すると、病院で着用した浴衣のまま、自宅もしくは葬儀社の安置所へ搬送されます。
着用した浴衣は後日返却する必要はなく、退院時に浴衣の代金も合わせて精算します。
死装束は納棺前に着替える
死装束は納棺前に着替えます。一般的に葬儀社が用意してくれるため、ご遺族が準備する必要はありません。
旅立ちに必要な格好とされている死装束には特別な着せ方や作法があるため、葬儀社の現地スタッフが主軸となって着替えさせます。
また、死装束には以下の副葬品や備品が付帯します。
装飾品や備品の名称 | 内容 |
---|---|
編笠(あみがさ) | 現代の帽子同様の役割をになう頭にかぶる服飾品 |
天冠(てんかん) | 仏様の弟子になった証となる額につける三角形の白い布 |
杖 | 木製のものを用意して、故人さまとお棺の間に収める |
手甲(てっこう) | 手の甲を守るために用いられる。 |
脚絆(きゃはん) | スネを守るために用いられる |
白足袋 | 現代の靴下同様の役割をになう足に履く服飾品 |
草鞋(わらじ) | 現代の靴同様の役割をになう足に履く履物 |
六文銭(ろくもんせん) | 三途の川を渡る渡し賃 ※副葬品として不燃物が禁止されているため、印刷した六文銭を収めるのが一般的 |
頭陀袋(ずだぶくろ) | 六文銭を入れる小物入れ |
数珠 | 生前の故人さまが愛用していたものをもたせる |
あの世までの長い道のりを徒歩で無事に辿りつけるように、さまざまな副葬品を用意します。しかし、ご遺族がすべての副葬品を用意するのは困難です。
そのため、葬儀社が事前に用意し、死装束に着替えさせるタイミングで必要な副葬品を身に着けさせ、旅立つための身支度を整えます。
病院でお亡くなりになったあとに行う処置
病院でお亡くなりになった場合は、看護師もしくは葬儀社による処置が行われます。
お亡くなりなった直後に行う処置はエンゼルケアとも呼ばれており、お葬式までの間、故人さまのお身体の状態を適切に保つために施します。
また、担当医からご臨終を告げられたあとは、状況に応じて看護師のサポートをしたり、退院や搬送に必要な手続きを始めるのが一般的です。
ここでは、病院でお亡くなりになったあとに行う処置を解説します。
お身体を搬送する準備
故人さまがお亡くなりになったあとは、お身体を搬送する準備がメインになります。お亡くなりになった病院名や住所を葬儀社に伝え、寝台車を手配してもらいましょう。
また、病院から葬儀社を紹介してもらえるケースもあります。ただし、緊急でない限り事前に葬儀社を選んでおいたほうが搬送がスムーズです。
医療器具の脱着や清拭
病院で入院中にお亡くなりになった場合は、治療で使用していた点滴や心電図モニターなどの医療器具を看護師がすみやかに脱着します。
医療器具を脱着したあとはお身体をきれいに清め、身だしなみを整えるのが一般的です。ただし、病院で行う処置は搬送にともなう必要最低限の内容となります。
また、状況によっては死後硬直を考慮して口を閉じたり、手や足の向きを整える処置を行うケースもあります。
お亡くなりになった直後からすみやかに処置を行う理由は、時間の経過によるお身体の状態悪化を防ぎ、故人さまの尊厳を守るためです。
エンゼルケアは看護師もしくは葬儀社が行う
エンゼルケアを施す担当者は、病院やご家族の方針によって変わります。
病院でお亡くなりになった直後に葬儀社の安置所へ搬送するケースでは、処置を看護師が担当し、葬儀社がエンゼルケアを施します。
一方で、病院側に依頼するケースでは、看護師もしくは病院の専門スタッフがエンゼルケアを施してから葬儀社が安置所へ搬送する形になります。
お亡くなりになったときの状況やご家族の意向によって、エンゼルケアを施す担当者や場所が異なります。エンゼルケアを病院に依頼する場合は事前に相談してください。
主に病院で行うエンゼルケアの項目
ここでは、病院で行うエンゼルケアの項目を解説します。病院でエンゼルケアを希望した場合には、以下の項目で処置が行われます。
傷口や体液などの処置
医師や看護師による処置には、以下の内容があります。
- 傷口の縫合
- 医療器具の脱着
- 体液などの処理
故人さまの病状によっては点滴や酸素呼吸器だけでなく、高性能な医療器具を装着しているケースがあるため、状況によっては医師による傷口の縫合が必要です。
一般的には医療器具を脱着するタイミングで医師が傷口を縫合したり、ストーマなどの医療器具を外す特別な処置を行います。
闘病中に使用していた医療器具に関して気になる点がある場合は、お身体を搬送する前に医師や看護師に相談しておきましょう。
また、医師や看護師の判断によっては、傷口から体液が漏れないようにガーゼや綿詰めなどの処置を行うケースもあります。
清拭(せいしき)・着替え
病院でお亡くなりになった際は、看護師が大判のタオルなどでお身体が見えないよう覆いながら全身をやさしく拭き、乾燥を防ぐためにボディクリームなどを使って保湿します。
清拭が済んだら、指定の浴衣に着替えて搬送の準備をするのが一般的です。
そのあとは葬儀社の現地スタッフが到着したタイミングで、看護師から葬儀社へ引き渡す形となります。
口腔内のケアや綿詰め
病院では、看護師がマウスウォッシュなどを使用して口腔内を消毒します。
口腔内をケアする場合には、綿膜を傷つけないように歯ブラシは使用せず、柔らかいスポンジを使用して処置するのが一般的です。
口腔内の消毒が完了したら、体液が漏れないように綿詰めを行います。また、顎の硬直を避けるために専用の器具で口が開かないように処置するケースもあります。
口腔内のケアや綿詰めは、担当する看護師もしくは葬儀社の判断によって処置する内容が異なります。
ラストメイク(死化粧)
最小限でのラストメイクは病院で処置されることが多いですが、本格的なラストメイクは、葬儀社が指定の安置所に搬送してから行うケースがほとんどです。故人さまのお身体の状態に合わせたメイクや処置を行い、生前の元気な姿に近づけることを目的とします。
ただし、葬儀社にラストメイクを依頼すると一般的には別途オプション費用が発生します。
病院でも簡易的な清拭(せいしき)は行われますが、より生前に近い姿で見送りたい場合は葬儀社への依頼がおすすめです。
葬儀社に依頼すれば専門スタッフがラストメイクを担当し、洗顔・顔剃り・シャンプー・整髪・お化粧を行ってくれます。傷やあざを隠すカバーメイクにも対応しているため、お亡くなりになった原因問わず処置を施してくれます。
また、故人さまが生前使っていた化粧品の使用、フルメイクなど、ご遺族の希望に合わせたメイクも可能です。
手を整える・冷却
ラストメイクが完了したら、爪を短く切って、手を胸の前で組む姿勢に整えます。手を合掌させる場合は、合掌バンドを用いて手が離れないように固定するのが一般的です。
また、お葬式までの期間、故人さまのお身体を安置するときは部屋の温度を18℃に設定して、ドライアイスで冷やす処置を行います。
ドライアイスによる冷却は季節や安置期間に応じて交換周期は異なりますが、交換作業は主に葬儀社の現地スタッフが作業します。
エンゼルケアの目的
エンゼルケアは、故人さまの尊厳を守り、あの世に向かって旅立つ準備です。また、故人さまだけでなく、ご遺族に対する心のケアにもなります。
ここでは、エンゼルケアの目的を解説します。
お身体をきれいに整えて故人さまの尊厳を守る
エンゼルケアを行う目的のひとつは、故人さまの尊厳を守るためです。旅立つ前にお身体をきれいに整え、故人さまの尊厳を守ります。
医師や看護師は、お亡くなりになったあとのお身体の状態を保つために、すみやかに医療器具を外し適切な処置を行います。
生前の状態に近づける処置をすみやかに施せば、ご遺族やご友人が最後のお別れを伝えやすくなり、元気だったときのことを思い出せるでしょう。
ご遺族に対する心のケアのひとつ
エンゼルケアを行う理由には、ご遺族に対する心のケアが含まれます。
長い闘病生活や事故などが原因で姿が変わってしまったケースでも、エンゼルケアを施せば元気だったころに近づけられます。
ご遺族もエンゼルケアによって元気だったころの姿を見られるため、故人さまとの思い出を振り返りながら最後のお別れを伝えられるでしょう。
また、ご遺族も故人さまのエンゼルケアを手伝うことで、感謝を心から伝え、最愛なる方の死を受け入れやすくなるともいわれています。
そのため、エンゼルケアは故人さまだけではなく、最後のお別れを伝えるご遺族にとっても大切な処置となります。
感染症を予防するため
エンゼルケアの目的は、感染症を予防する意味も含まれます。
お亡くなりなったあとのお身体は、時間の経過にともなって腐敗が進行します。万が一ご遺族が体液や血液に触れてしまうと、感染症を引き起こすリスクが考えられるでしょう。
そのため、お亡くなりになった直後に適切なエンゼルケアを行い、感染症を未然に防ぐ目的が含まれています。
まとめ
病院でお亡くなりになった場合、医師や看護師が適切な処置を行い、浴衣に着替えさせて搬送する準備を行います。
その後、葬儀社がお身体を安置場所に搬送してからエンゼルケアを施すのが一般的です。
エンゼルケアは故人さまが生前に元気だった姿へ戻すために行われ、故人さまが旅立つ準備を行うとともに、ご遺族の心のケアにもなる目的が含まれます。
きれいに身支度を整えて、ご家族と最後のお別れをする準備を進めましょう。
ご家族が病院でお亡くなりになり、搬送や安置に関するお悩みがあれば、よりそうお葬式までご連絡ください。
24時間365日対応で(ご葬儀のご依頼を)受け付けており、緊急の場合でも1時間程度でお迎えに伺います。
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「お亡くなりになったご家族への対応がわからない」、「どこに搬送すればよいのかわからない」など、少しでも不安があればお気軽にご相談ください。
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