何のためにある?料金は?戒名に関する基礎知識
- 2023年03月14日
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もしも家族が亡くなったら、そんなことを考えたことはありませんか。
家族の誰かが亡くなったら、葬式を挙げるという方も多いでしょう。しかし、普段生活をしている中で、葬式に触れる機会は多くはなく、そのため葬式の知識について学ぶ機会もそう多くありません。
ところが、人の死は思いもよらぬタイミングで訪れるものです。全く知識がない状態で葬式に臨むのと、事前に知識を持って葬式に臨むのとでは、心持ちが変わってきます。
悲しいことですが、人間は生きていればいつかは亡くなります。いつか自分も直面するそのときのために、葬式について、ここでは特に戒名についての基本的な知識をいくつか紹介していきます。
目次
戒名とは受戒した人に与えられた名前
そもそも戒名とは、仏弟子として受戒した人に与えられた名前のことなのですが、檀家制度のもとで一般の人は死後に授かることが一般的となりました。
具体的には、戒名をいただくことで、仏の世界に入ることが許されるという意味があります。
現代では、お寺の僧侶に戒名をつけてもらうのが一般的となっています。
基本的には、家族が亡くなった際には、葬儀社とは別に寺院にも連絡する必要があります。
家族が亡くなったということを寺院に連絡する際に、一緒に戒名についても話をします。
こうすることで、法要の執り行いの打ち合わせに加えて、寺院の僧侶は亡くなった人の戒名を考えてくれます。
戒名はもともと生前につけてもらうものだった?
現代では、戒名は一般的に亡くなった人につける名前のことを指します。
ところが、実は、昔と今では戒名の意味するところが違っています。
仏教はもともと中国から伝来してきた宗教ですが、本来戒名というものは、現代とは逆で、人が生きているときにつける名前のことを意味していました。
つまり、人が仏門に入るときにつけてもらう名前のことを戒名と呼んだのです。戒名をいただき、同時に現世の名前である俗名を捨てることによって、身も心も仏教に仕える仏弟子になる、ということを意味しました。また戒名は、戒律と呼ばれる、仏教における生活規律を守る証としてつけるという意味もあったそうです。
このように、もともとは生前につけるものであったために、これを生前戒名と呼びました。
ところが、日本に仏教が伝わってしばらくすると、日本では、人は死後に成仏するものであるという考え方が広まりました。
葬式で僧侶は、亡くなった人を仏の世界へと送り出す役割を果たします。これを引導を渡すと言います。
ところがこのとき、亡くなった人が仏の世界に行くには俗名のままでは良くないということで、だんだんと亡くなった人に戒名をつけるという風習が生まれたのです。
この風習が現代でも残っていて、今では、亡くなった人につける名前のことを戒名と呼ぶようになりました。
戒名は菩提寺からいただくのが基本
戒名は寺院の僧侶からいただく名前のことです。
しかし、どの寺院の僧侶からいただいても良いという訳ではありません。基本的には、戒名は菩提寺からいただくものです。
菩提寺とは、簡単に言うと、先祖代々のお墓があったり、位牌がまつられているお寺のことです。死後、家族などの親しい人が釈迦のような悟りを開けるようにといった意味を込めて造られたお寺が菩提寺の由来と言われています。
葬式や法事の際には、葬儀社とは別に菩提寺に連絡をする必要があります。また、菩提寺の僧侶が法要を行うのが一般的です。
ところが近年、自分の家の菩提寺が分からないといった人が増えています。特に都市部に住んでいる人や、若い人の間ではこういったことが多いです。
そのため、急な葬式の際に法要が依頼できないというケースがあります。
いざというときのためにも、家族や親族が生前のうちに確認をしておく必要があるでしょう。親族であれば、菩提寺が同じ寺院である場合が多いです。
このように、事前に菩提寺を確認しておくことによって、葬式の際に無用なトラブルを避けることができます。
ランクがある?戒名の位とは?
仏教の基本的な教えは、平等を説くというものです。
本来、戒名はどのような身分でも二文字で、これには仏の世界では皆が平等であるということが表されています。
ところが、実際の戒名にはランク付けがあります。そのランクの違いなどによって、もともと二文字の戒名に様々な漢字が付け加えられていきます。ここでは、その種類について一つずつ紹介していきます。
戒名は、「院号」、「道号」、「戒名」、「位号」の4つからできていて、この順に構成されています。現代では、これら4つの組み合わせをひとまとめにして「戒名」と呼んでいます。
まずは「院号」です。これは、戒名に院の字がつくもののことを言います。
天皇が退位した後に住んでいた屋敷の名前のことを、何々院と呼んでいたことから起こったもので、もともとは天皇や将軍家などの戒名として用いられました。
現代では、生前に寺院や社会に大きく貢献した人、また相当の地位や身分の人に、戒名の上位として与えられるものです。
次に「道号」です。もともとは僧侶のことを、尊敬の意を込めて、修行をした場所や堂の名前で呼んでいたものが、だんだんと戒名の上につけられるようになったものです。
現代では戒名の上につけられる亡くなった人の別名のことで、その人の趣味や性格、特徴などを表す漢字が入ります。
そして位号ですが、これは仏教徒の階級を表すものです。性別や年齢、地位などで決まり、戒名の後につきます。
高い戒名料ならランクの高い戒名がもらえる?
お寺の住職に戒名をつけてもらうには、お布施を包む必要があります。
これが戒名料です。戒名は、生前の行い業績、性別、年齢などによってランクが変わっていくことは説明しましたが、一般的には、ランクの高い戒名ほど戒名料は高くなります。
それでは、もし仮に高い戒名料を払えば、生前の行いや業績などに関係なく、高い位の戒名がもらえるのでしょうか。
実は、高い戒名料を払っても高い位の戒名をもらえるとは限らないのです。
戒名は、説明したように寺院や社会にどれだけ貢献したかで決まるものです。そのため、亡くなった人や遺族が自由に位を選べるものではないということです。
位が高い戒名ほど高い戒名料が必要にはなりますが、その逆に、戒名料の高い、低いで戒名のランクが決まるものではありません。
もしも、どうしても位の高い戒名が欲しい場合には、事前に菩提寺と相談しておいたほうがトラブルを避けるためにも良いでしょう。
▼詳しい内容と手配方法▼現代でも生前戒名をつけてもらうことは可能
一般的に戒名は、昔は生きている人につけるもので、これを生前戒名と呼びましたが、現代では亡くなった人につける名前であるということを説明しました。
ですが、現代でも生きている間に生前戒名をつけてもらうことは可能です。
この生前戒名にはいくつかのメリットがあります。
一つは、寺院によっては、亡くなってから戒名をつけるよりも戒名料が安くなるケースがあるということです。葬式は想像以上に費用が掛かります。戒名料も決して安いものではありません。節約できるところは少しでも節約したいというのが、葬式を挙げる人にとっては正直な気持ちではないでしょうか。ただし、すべての寺院で安くなるわけではないため、注意が必要です。
また二つ目は、菩提寺と相談しながら、自分の納得のいく戒名をつけてもらえるということです。
本来であれば自分が亡くなった後に戒名をいただきますが、どうせなら、人が勝手に決めた戒名よりも、自分の気に入る戒名をつけたいと考える人も少なくないでしょう。そんな人には生前戒名をおすすめします。
戒名に関するありがちなトラブル1.料金
菩提寺から戒名をいただくときには、お布施を渡します。戒名料と呼ばれることもありますが、戒名は商品や労働による対価ではないので「料金」という表現をすることは適切ではありません。 (わかりやすいようにここでは「戒名料」という言葉を使います)
戒名料は決して安い金額ではありません。さらに、ランクの高い戒名ほど金額が高くなります。戒名料は、基本的にはその人の気持ちの金額で良いというように言われています。
しかし、実際には、一定した相場があるものでもなく、金額の設定が大変難しいというのが現状です。宗派などにもよりますが、下はおよそ10万円ほど、高額なもので100万円以上するものもあります。そこで問題となりやすいのが、料金のトラブルです。
遺族の意向に反して、知らない間に位の高い戒名をつけられてしまい、後でお寺に指定された高額な戒名料を払わされたり、または、低い位の戒名にもかかわらず、位に見合わない高額な戒名料を請求されるといったケースがありえます。
戒名の知識がなければ、位の高い、低いが分からず、訳も分からないままに高額な戒名料を払わされることになるかもしれません。
このようなトラブルを防ぐためにも、戒名の基本的な知識を学ぶことは大切です。
また、あまりにも高額な戒名料を請求された場合には、早めに葬儀社などに相談をして、第三者に介入してもらうことによって解決をしてもらうようにしましょう。
加えて、早い段階で菩提寺と戒名についての相談と確認をしておくことも大切なことです。寺院はこのお布施で生活をしている訳なので、中には不当な金額を請求してくるところもあるかもしれません。十分に気を付けるようにしましょう。
戒名に関するありがちなトラブル2.菩提寺以外の寺院でいただいた
金銭トラブルの他に、戒名に関するありがちなトラブルの二つ目として、菩提寺以外の寺院で戒名をもらった場合が考えられます。
例えば、実家を離れて一人暮らしをしている家族が亡くなった際に、葬式の手配を菩提寺ではなく、亡くなった人の住まいの近くの寺院で行ってしまったり、菩提寺があることを知らずに葬儀社に紹介された寺院や、自分で探した寺院に葬式を依頼して、後になって菩提寺の存在に気付くというケースです。
葬儀社から紹介してもらった寺院で戒名をもらい、その後で菩提寺のお墓に埋葬をしようとしたところ、戒名の付け直しや葬式のやり直しを要求されてしまったり、または納骨を拒否されてしまうといったことがありえます。
戒名を付け直すことになると、戒名料は2倍かかることに。これは多大な出費になります。
たとえ遠方に菩提寺がある場合でも、基本的には菩提寺に連絡をするのが原則です。遠方の場合には、普通のお布施に加えて、宿泊費や交通費を負担することになります。
どうしても菩提寺が不明な場合に限り、葬儀社を通して寺院を紹介してもらうようにしましょう。
ただし、すでに説明したように、後に菩提寺が判明した場合には、納骨を拒否されたり戒名の付け直しを要求されたりする場合があるということは頭に入れておいた方が良いでしょう。
戒名に関するトラブルを防ぐには?
戒名に関する様々なトラブルを紹介してきました。家族の誰かが不幸にも亡くなってしまい、気持ちの整理がつかないまま、葬式の準備や進行で疲れているときに、こういったトラブルが起こると心も体も辛いことでしょう。
戒名をつける際に起こりうる様々なトラブルを防ぐために、事前に準備できることがあります。
まず、戒名料については、家族が亡くなる前に菩提寺に確認をしておくようにしましょう。
早めに菩提寺に相談、確認を行うことで、不当に高額な戒名料を請求される可能性が低くなります。
また、生前戒名を依頼しておくことも、トラブルを防ぐ方法の一つです。戒名料を節約できる可能性がありますし、自分の納得のいく戒名をつけることで、不当な請求を防ぐこともできます。
実家から離れたところに住んでいる家族が亡くなった場合でも、まずは菩提寺に連絡をするようにしましょう。
これを怠ってしまうと、戒名の付け直しや葬式のやり直しによって余計な費用が増えてしまったり、菩提寺への納骨が拒否されてしまうという可能性があります。たとえ遠方の場合でも、日程さえ合えば僧侶は来てくれます。日程が合わない場合には、菩提寺から近くの僧侶を紹介してもらうようにしましょう。
菩提寺から紹介された僧侶に葬式を依頼する場合には、戒名は事前に菩提寺からいただくか、または葬式ではとりあえず俗名で行い、納骨するまでに菩提寺から戒名をつけていただくという必要があります。
家族の不幸に備えて事前に準備をすることはあまり気が進まないかもしれませんが、家族の葬式を滞りなく行うため、最後のお別れを悔いなく終わらせるためにも、以上のことには十分に気を付けましょう。
戒名に関する基礎知識はあらかじめ覚えておこう
ここまで、戒名とは何か、戒名の由来について、どこからいただくものなのか、戒名のランクとは何か、戒名料について、生前戒名について、戒名に関するありがちなトラブルについて、トラブルを防ぐための方法など、戒名に関する基本的な知識について紹介していきました。
家族が亡くなったときに、無用なトラブルを避けるためにも、戒名に関する基礎知識は最低限頭に入れておくようにしておきましょう。
クレジットカード払いにも対応
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監修者のコメント
岩田 昌幸 一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
文献によると日本ではじめて戒名が登場するのは聖武天皇で「勝満」という二文字を授かっています。徳川家康は「東照大権現安国院殿徳蓮社崇誉道和大居士」で19文字。一説によると最も長い戒名だとか?